“一膳”の読み方と例文
読み方割合
いちぜん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それでは御免こうむって、わし一膳いちぜん遣附やッつけるぜ。なべの底はじりじりいう、昨夜ゆうべから気をんで酒の虫は揉殺したが、矢鱈やたら無性むしょうに腹が空いた。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自分はこの長い町を通りながら、自分らに適当と思う程度の一膳いちぜんめし屋をついに九軒まで勘定した。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
桂正作は武士の子、今や彼が一家は非運の底にあれど、ようするに彼は紳士の子、それが下等社会といっしょに一膳いちぜんめしに舌打ち鳴らすか、と思って涙ぐんだのではない。けっしてそうではない。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)