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徒労力
……
然れば
御身は、
少いものゝ
尻圧して
石に
成るまでも
働け、と
励ますのぢや。で、
唆かすとは
思ふまい。
徒労力をさせるとは
知るまい。
少いものを
唆かして、
徒労力を
折らせると
何故で
言ふのぢや。
御坊、
飛騨山の
菊松が、
烏帽子を
冠つて、
向顱巻を
為て
手伝つて、
見事に
仕上げさせたら
何とする。
それ、
徒労力と
言ふ
事よ!
要もない
仕事三昧打棄つて、
少い
人は
妻を
思切つて
立帰れえ。
老爺も
要らぬ
尻押せず、
柔順に
妻を
捧げるやうに、
少いものを
説得せい。