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哀
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あは
ふりがな文庫
“
哀
(
あは
)” の例文
今
(
いま
)
の
苦勞
(
くらう
)
を
戀
(
こひ
)
しがる
心
(
こゝろ
)
も
出
(
い
)
づべし、
斯
(
か
)
く
形
(
かたち
)
よく
生
(
うま
)
れたる
身
(
み
)
の
不幸
(
ふしやはせ
)
、
不相應
(
ふさうおう
)
の
縁
(
ゑん
)
につながれて
幾
(
いく
)
らの
苦勞
(
くらう
)
をさする
事
(
こと
)
と
哀
(
あは
)
れさの
増
(
まさ
)
れども
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
結局
(
けつきよく
)
麻雀界
(
マアジヤンかい
)
から
抹殺
(
まつさつ
)
されるに
到
(
いた
)
つたなどは
甚
(
はなは
)
だ
殷鑑
(
ゐんかん
)
遠
(
とほ
)
からざるものとして、その
心根
(
こゝろね
)
の
哀
(
あは
)
れさ、
僕
(
ぼく
)
は
敢
(
あ
)
へて
憎
(
にく
)
む
氣
(
き
)
にさへならない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
落し娘兩人は苦界へ
沈
(
しづ
)
み夫のみ成らで其身まで此世の
縁
(
えに
)
し淺草なる此
中田圃
(
なかたんぼ
)
の露と共に
消
(
きえ
)
て行身の
哀
(
あは
)
れさは
譬
(
たと
)
ふるものぞなかりける
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
院長
(
ゐんちやう
)
は
不覺
(
そゞろ
)
に
哀
(
あは
)
れにも、
又
(
また
)
不氣味
(
ぶきみ
)
にも
感
(
かん
)
じて、
猶太人
(
ジウ
)
の
後
(
あと
)
に
尾
(
つ
)
いて、
其禿頭
(
そのはげあたま
)
だの、
足
(
あし
)
の
踝
(
くるぶし
)
などを
眴
(
みまは
)
しながら、
別室
(
べつしつ
)
まで
行
(
い
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『お
絹
(
きぬ
)
さんは
最早
(
もう
)
居
(
ゐ
)
ませんよ、』と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てゝばた/\と
逃
(
に
)
げて
去
(
い
)
つた。
哀
(
あは
)
れなる
哉
(
かな
)
、これが
僕
(
ぼく
)
の
失戀
(
しつれん
)
の
弔詞
(
てうじ
)
である!
失戀
(
しつれん
)
?、
失戀
(
しつれん
)
が
聞
(
き
)
いてあきれる。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
B それで
其女
(
そのをんな
)
はね。
私
(
わたし
)
の一
身
(
しん
)
を
捧
(
さゝ
)
げる
人
(
ひと
)
はあなたより
外
(
ほか
)
にはないとか
何
(
なん
)
とか
云
(
い
)
つてね。
是非
(
ぜひ
)
この
哀
(
あは
)
れなる
悶
(
もだ
)
えの
子
(
こ
)
を
救
(
すく
)
つて
下
(
くだ
)
さいとか
何
(
なん
)
とか
書
(
か
)
いたものだ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて
来
(
き
)
た、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
のやうな
旅人
(
たびびと
)
も、おのづから
哀
(
あは
)
れを
催
(
もよほ
)
し、
挨拶
(
あいさつ
)
を
申
(
まを
)
すうちに、つい
其
(
その
)
誘
(
さそ
)
はれて。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
若
(
も
)
しや
哀
(
あは
)
れな勞働者は其の唄の
終
(
をは
)
らぬ
中
(
うち
)
、
惡魔
(
あくま
)
のやうな機械の
運轉
(
うんてん
)
の
渦中
(
くわちう
)
に
身躰
(
からだ
)
を
卷込
(
まきこ
)
まれて、唄の
文句
(
もんく
)
の其の
通
(
とほ
)
り、
長
(
なが
)
くもない
生涯
(
しようがい
)
の
終
(
をはり
)
を
告
(
つ
)
げたのではあるまいか。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
彼
(
かれ
)
は
例年
(
いつ
)
になく
身體
(
からだ
)
の
窶
(
やつ
)
れが
見
(
み
)
えた。かさ/\と
乾燥
(
かんさう
)
した
肌膚
(
はだへ
)
が一
般
(
ぱん
)
の
老衰者
(
らうすゐしや
)
に
通有
(
つういう
)
な
哀
(
あは
)
れさを
見
(
み
)
せて
居
(
ゐ
)
るばかりでなく、
其
(
その
)
大
(
おほ
)
きな
身體
(
からだ
)
は
肉
(
にく
)
が
落
(
おち
)
てげつそりと
肩
(
かた
)
がこけた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此
(
この
)
哀
(
あは
)
れな
小
(
ちひ
)
さな
物
(
もの
)
は、
愛
(
あい
)
ちやんが
捕
(
つかま
)
へた
時
(
とき
)
に
蒸氣
(
じやうき
)
機關
(
きくわん
)
のやうな
恐
(
おそ
)
ろしい
鼻息
(
はないき
)
をしました、それからわれと
我
(
わ
)
が
體
(
からだ
)
を二つに
折
(
を
)
り
重
(
かさ
)
ねたり、
又
(
また
)
眞直
(
まつすぐ
)
に
伸
(
の
)
ばしたりなどしたものですから
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
カピ長
婚儀
(
こんぎ
)
の
爲
(
ため
)
にと
準備
(
ようい
)
した一
切
(
さい
)
が
役目
(
やくめ
)
を
變
(
か
)
へて
葬儀
(
さうぎ
)
の
用
(
よう
)
。
祝
(
いは
)
ひの
樂
(
がく
)
は
哀
(
かな
)
しい
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
、めでたい
盛宴
(
ちさう
)
が
法事
(
ほふじ
)
の
饗應
(
もてなし
)
、
樂
(
たの
)
しい
頌歌
(
しょうか
)
は
哀
(
あは
)
れな
挽歌
(
ばんか
)
、
新床
(
にひどこ
)
に
撒
(
ま
)
く
花
(
はな
)
は
葬
(
はふむ
)
る
死骸
(
なきがら
)
の
用
(
よう
)
に
立
(
た
)
つ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
其
(
そ
)
の
目
(
め
)
が、あの
恋
(
こひ
)
の
秘密
(
ひみつ
)
を
私語
(
さゝや
)
いてゐるかと
思
(
おも
)
ふと、
腹立
(
はらだゝ
)
しくもあつたが、
哀
(
あはれ
)
にも
思
(
おも
)
つた。
此
(
こ
)
の
哀
(
あは
)
れは
崇高
(
すうかう
)
の
感
(
かん
)
じを
意味
(
いみ
)
するので、
妻
(
つま
)
の
昔
(
むかし
)
を
客観
(
かくゝわん
)
に
見
(
み
)
た
時
(
とき
)
であるのは、
言
(
い
)
ふまでもない。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
哀
(
あは
)
れ
氣
(
げ
)
な聲を出して、
動
(
やゝ
)
もすれば
後
(
おく
)
れて
了
(
しま
)
ひさうなお光は、高く着物を
端折
(
はしを
)
り、
絽縮緬
(
ろちりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
の
派手
(
はで
)
な
友染模樣
(
いうぜんもやう
)
を
鮮
(
あざや
)
かに現はして、小池に負けぬやうに、
土埃
(
つちぼこり
)
を蹴立てつゝ歩き出した。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
貴
(
たつと
)
き事もあり、
哀
(
あは
)
れなる事もあり、少しは
空物語
(
そらものがたり
)
もあり、
利口
(
りこう
)
なる事もありと
前文
(
ぜんぶん
)
に
記
(
しる
)
し
置
(
お
)
かれたり、
竹取物語
(
たけとりものがたり
)
、
宇津保物語
(
うつぼものがたり
)
は
噺
(
はなし
)
の
父母
(
ちゝはゝ
)
にして、
夫
(
それ
)
より
下
(
しも
)
つ
方
(
かた
)
に
至
(
いた
)
りては、
爺
(
ぢゞ
)
は山へ、
婆
(
ばゞ
)
は川へ
洗濯
(
せんたく
)
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕はこの死骸をもの
哀
(
あは
)
れに感じた。しかし妻にその話をしたら、「それはきつと地震の前に死んでゐた人の焼けたのでせう」と云つた。
成程
(
なるほど
)
さう云はれて見れば、
案外
(
あんぐわい
)
そんなものだつたかも知れない。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
哀
(
あは
)
れ、そは
三十路女
(
みそぢをんな
)
の
面
(
おも
)
もちのなにとなく淋しきごとく
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
命
(
いのち
)
はてしひとり旅こそ
哀
(
あは
)
れなれ
元禄
(
げんろく
)
の
代
(
よ
)
の
曾良
(
そら
)
の旅路は
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ぷぅんと鳴きついて
哀
(
あは
)
れつぽく訴へでる
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
隱
(
かく
)
るゝ
風情
(
ふぜい
)
哀
(
あは
)
れなり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
淋
(
さび
)
しきまゝに
琴
(
こと
)
取出
(
とりいだ
)
し
獨
(
ひと
)
り
好
(
この
)
みの
曲
(
きよく
)
を
奏
(
かな
)
でるに、
我
(
わ
)
れと
我
(
わ
)
が
調
(
てう
)
哀
(
あは
)
れに
成
(
な
)
りて、いかにするとも
彈
(
ひ
)
くに
得
(
え
)
堪
(
た
)
えず、
涙
(
なみだ
)
ふりこぼして
押
(
おし
)
やりぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
致し
誠
(
まこと
)
の修驗と相成て後當村へ
歸
(
かへ
)
り其時にこそ
師匠
(
ししやう
)
感應院の院を
續度
(
つぎたく
)
存ずるなり
哀
(
あは
)
れ此儀を
御許
(
おんゆる
)
し下され度
夫迄
(
それまで
)
の内は感應院へは
宜
(
よろし
)
き代りを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、
日頃
(
ひごろ
)
いかつい
軍曹
(
ぐんそう
)
の
眼
(
め
)
に
感激
(
かんげき
)
の
涙
(
なみだ
)
さへ
幽
(
かす
)
かに
染
(
にぢ
)
んでゐるのを
見
(
み
)
てとると、それに
何
(
なん
)
とない
哀
(
あは
)
れつぽさを
感
(
かん
)
じて
次
(
つぎ
)
から
次
(
つぎ
)
へと
俯向
(
うつむ
)
いてしまつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
哀
(
あは
)
れなる
物語
(
ものがたり
)
は
多
(
おほ
)
けれども、
此
(
この
)
ロミオとヂュリエットの
戀物語
(
こひものがたり
)
に
優
(
まさ
)
るはないわい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
腹立
(
はらだ
)
たし
氣
(
げ
)
な
顏
(
かほ
)
をしたものや、ベソを
掻
(
か
)
いたものや、
怖
(
こは
)
さうにおど/\したものなぞが、
前後
(
ぜんご
)
してぞろ/\と
舟
(
ふね
)
から
陸
(
をか
)
へ
上
(
あが
)
つた。
母
(
はゝ
)
に
抱
(
だ
)
かれた
嬰兒
(
あかご
)
の
泣
(
な
)
く
聲
(
こゑ
)
は、
殊
(
こと
)
に
哀
(
あは
)
れな
響
(
ひゞき
)
を
川風
(
かはかぜ
)
に
傳
(
つた
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
土瓶
(
どびん
)
へ
入
(
い
)
れた
水
(
みづ
)
を
持
(
も
)
つて
墓參
(
はかまゐ
)
りに
行
(
い
)
つて、それから
膳椀
(
ぜんわん
)
も
皆
(
みな
)
返
(
かへ
)
して
近所
(
きんじよ
)
の
人々
(
ひと/″\
)
も
歸
(
かへ
)
つた
後
(
のち
)
勘次
(
かんじ
)
は
㷀然
(
けいぜん
)
として
古
(
ふる
)
い
机
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
に
置
(
お
)
かれた
白木
(
しらき
)
の
位牌
(
ゐはい
)
に
對
(
たい
)
して
堪
(
たま
)
らなく
寂
(
さび
)
しい
哀
(
あは
)
れつぽい
心持
(
こゝろもち
)
になつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
物の
哀
(
あは
)
れをしみじみと思ひ知るらむ、淺艸の秋の匂に。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
哀
(
あは
)
れなる
旅
(
たび
)
の
男
(
をとこ
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
屋根
(
やね
)
あり、
天井
(
てんじやう
)
あり、
壁
(
かべ
)
のあると
言
(
い
)
ふばかり、
野宿
(
のじゆく
)
の
露
(
つゆ
)
の
哀
(
あは
)
れさにまさつて、それは
冷
(
つめ
)
たい
情
(
なさけ
)
ない、こぼれる
涙
(
なみだ
)
の
氷
(
こほ
)
らぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
頼
(
たの
)
めば和尚は大膳に向ひ
拙寺
(
せつじ
)
檀家
(
だんか
)
の者共天一坊樣
御暇乞
(
おいとまごひ
)
に
御尊顏
(
ごそんがん
)
拜
(
はい
)
し奉り度由
哀
(
あは
)
れ御聞屆
願
(
ねが
)
はんと申上れば是迄の
知因
(
よしみ
)
に御
對面
(
たいめん
)
仰付らるゝとて御座の間の
簾
(
みす
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かかる
夜
(
よ
)
のとある梢
哀
(
あは
)
れその空に星の見えつ。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
霜夜
(
しもよ
)
ふけたる
枕
(
まくら
)
もとに
吹
(
ふ
)
くと
無
(
な
)
き
風
(
かぜ
)
つま
戸
(
ど
)
の
隙
(
ひま
)
より
入
(
い
)
りて
障子
(
しようじ
)
の
紙
(
かみ
)
のかさこそと
音
(
おと
)
するも
哀
(
あは
)
れに
淋
(
さび
)
しき
旦那樣
(
だんなさま
)
の
御留守
(
おんるす
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
哀
(
あは
)
れまたひとつ星、見もあへぬ闇のかなたに
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何
(
ど
)
うで
幾代
(
いくだい
)
もの
恨
(
うら
)
みを
背負
(
せおう
)
て
出
(
で
)
た
私
(
わたし
)
なれば
爲
(
す
)
る
丈
(
だけ
)
の
事
(
こと
)
はしなければ
死
(
し
)
んでも
死
(
し
)
なれぬのであらう、
情
(
なさけ
)
ないとても
誰
(
た
)
れも
哀
(
あは
)
れと
思
(
おも
)
ふてくれる
人
(
ひと
)
はあるまじく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あな
哀
(
あは
)
れ、
明日
(
あす
)
も亦
鈍
(
にぶ
)
き血の
毒
(
どく
)
をや吐かむ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
夜
(
よ
)
は
漸々
(
やう/\
)
に
深
(
ふか
)
くならんとす
人影
(
ひとかげ
)
ちらほらと
稀
(
まれ
)
になるを
雪
(
ゆき
)
はこゝ
一段
(
いちだん
)
と
勢
(
いきほひ
)
をまして
降
(
ふ
)
りに
降
(
ふ
)
れど
隱
(
かく
)
れぬものは
鍋燒饂飩
(
なべやきうどん
)
の
細
(
ほそ
)
く
哀
(
あは
)
れなる
聲
(
こゑ
)
戸
(
と
)
を
下
(
おろ
)
す
商家
(
しやうか
)
の
荒
(
あら
)
く
高
(
たか
)
き
音
(
おと
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
哀
(
あは
)
れ
哀
(
あは
)
れあらぬ谷にいと
暗
(
くら
)
く
霊
(
たま
)
や落つる。
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
三日
(
みつか
)
とも
数
(
かぞ
)
へずして
驚
(
おどろ
)
くばかりに
成
(
なり
)
ぬ、
秋
(
あき
)
かぜ
少
(
すこ
)
しそよ/\とすれば
端
(
はし
)
のかたより
果敢
(
はか
)
なげに
破
(
やぶ
)
れて
風情
(
ふぜい
)
次第
(
しだい
)
に
淋
(
さび
)
しくなるほど
雨
(
あめ
)
の
夜
(
よ
)
の
音
(
おと
)
なひこれこそは
哀
(
あは
)
れなれ
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あな
哀
(
あは
)
れ、
今日
(
けふ
)
もまた
銅
(
あかがね
)
の雲をぞ生める。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
落
(
おち
)
たるも
落
(
おち
)
たるも
下
(
した
)
は
敷石
(
しきいし
)
に
模樣
(
もやう
)
がへの
處
(
ところ
)
ありて、
堀
(
ほり
)
おこして
積
(
つ
)
みたてたる
切角
(
きりかど
)
に
頭腦
(
づのう
)
したゝか
打
(
う
)
ちつけたれば
甲斐
(
かひ
)
なし、
哀
(
あは
)
れ四十二の
前厄
(
まへやく
)
と
人々
(
ひと/″\
)
後
(
のち
)
に
恐
(
おそ
)
ろしがりぬ
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あな
哀
(
あは
)
れ、
昨
(
きそ
)
の日も
銅
(
あかがね
)
のなやみかかりき。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
今
(
いま
)
我
(
わ
)
れ
松野
(
まつの
)
を
捨
(
す
)
てゝ
竹村
(
たけむら
)
の
君
(
きみ
)
まれ
誰
(
た
)
れにまれ、
寄
(
よ
)
る
邊
(
べ
)
を
开所
(
そこ
)
と
定
(
さ
)
だめなば
哀
(
あは
)
れや
雪三
(
せつざう
)
は
身
(
み
)
も
狂
(
きやう
)
すべし、
我
(
わが
)
幸福
(
かうふく
)
を
求
(
もと
)
むるとて
可惜
(
あたら
)
忠義
(
ちうぎ
)
の
身
(
み
)
世
(
よ
)
の
嗤笑
(
ものわらひ
)
にさせるゝことかは
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
嗚呼さみし、
哀
(
あは
)
れさみし。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
うしろの
土手
(
どて
)
の
自然生
(
しぜんばへ
)
を
弟
(
おとゝ
)
の
亥之
(
いの
)
が
折
(
をつ
)
て
來
(
き
)
て、
瓶
(
びん
)
にさしたる
薄
(
すゝき
)
の
穗
(
ほ
)
の
招
(
まね
)
く
手振
(
てぶ
)
りも
哀
(
あは
)
れなる
夜
(
よ
)
なり。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三日
(
みつか
)
に
成
(
な
)
りても
音沙汰
(
おとさた
)
の
無
(
な
)
きに
敏
(
さとし
)
こヽろ
悶
(
もだ
)
え、
甚之助
(
じんのすけ
)
を
見
(
み
)
るごとに
夫
(
そ
)
れとなく
促
(
うな
)
がせば、
僕
(
ぼく
)
も
貰
(
もら
)
つて
遣
(
や
)
りたけれど
姉樣
(
ねえさま
)
が
下
(
くだ
)
さらねばと、
哀
(
あは
)
れ
板
(
いた
)
ばさみに
成
(
な
)
りて
困
(
こま
)
り
入
(
い
)
りし
体
(
てい
)
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ある
時
(
とき
)
は
婦女
(
おんな
)
どもに
凝
(
こ
)
る
肩
(
かた
)
をたゝかせて、
心
(
こゝろ
)
うかれる
樣
(
やう
)
な
戀
(
こゑ
)
のはなしなどさせて
聞
(
き
)
くに、
人
(
ひと
)
は
腮
(
あご
)
のはづるゝ
可笑
(
をか
)
しさとて
笑
(
わら
)
ひ
轉
(
こ
)
ける
樣
(
やう
)
な
埒
(
らち
)
のなきさへ、
身
(
み
)
には一々
哀
(
あは
)
れにて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雨
(
あめ
)
は
何時
(
いつ
)
も
哀
(
あは
)
れなる
中
(
なか
)
に
秋
(
あき
)
はまして
身
(
み
)
にしむこと
多
(
おほ
)
かり、
更
(
ふ
)
けゆくまゝに
灯火
(
ともしび
)
のかげなどうら
淋
(
さび
)
しく、
寝
(
ね
)
られぬ
夜
(
よ
)
なれば
臥床
(
ふしど
)
に
入
(
い
)
らんも
詮
(
せん
)
なしとて
小切
(
こぎ
)
れ
入
(
い
)
れたる
畳紙
(
たゝうがみ
)
とり
出
(
い
)
だし
雨の夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
果敢
(
はか
)
なの
身
(
み
)
やとうち
仰
(
あふ
)
げば
空
(
そら
)
に
澄
(
す
)
む
月影
(
つきかげ
)
きよし、
肘
(
ひぢ
)
を
寄
(
よ
)
せたる
丸窓
(
まるまど
)
のもとに
何
(
な
)
んの
咡
(
さゝや
)
きぞ
風
(
かぜ
)
に
鳴
(
な
)
る
荻
(
をぎ
)
の
友
(
とも
)
ずり、
我
(
わ
)
が
蔭
(
かげ
)
ごとか
哀
(
あは
)
れはづかし、
見渡
(
みわた
)
す
花園
(
はなぞの
)
は
夜
(
よ
)
るの
錦
(
にしき
)
を
月
(
つき
)
にほこりて
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
覺悟
(
かくご
)
次第
(
しだい
)
に
斷念
(
あきらめ
)
もつくべし、
今
(
いま
)
一
度
(
ど
)
此文
(
これ
)
を
進
(
あ
)
げて、
明
(
あき
)
らかのお
答
(
こた
)
へ
聞
(
き
)
いて
給
(
たま
)
はれ、
夫
(
そ
)
れ
次第
(
しだい
)
にて
若樣
(
わかさま
)
にもお
別
(
わか
)
れに
成
(
な
)
るべければと
虚實
(
きよじつ
)
をまぜて、
子心
(
こごヽろ
)
に
哀
(
あは
)
れと
聞
(
き
)
くやう
頼
(
たの
)
みければ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
涙
(
なみだ
)
をかくして
乘
(
の
)
り
移
(
うつ
)
る
哀
(
あは
)
れさ、
家
(
うち
)
には
父
(
ちゝ
)
が
咳拂
(
せきばら
)
ひの
是
(
こ
)
れもうるめる
聲
(
こゑ
)
成
(
なり
)
し。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
憂
(
う
)
きに
月日
(
つきひ
)
の
長
(
なが
)
からん
事
(
こと
)
愁
(
つ
)
らや、
何事
(
なにごと
)
もさらさらと
捨
(
す
)
てヽ、
憂
(
う
)
からず
面白
(
おもしろ
)
からず
暮
(
くら
)
したき
願
(
ねが
)
ひなるに、
春風
(
はるかぜ
)
ふけば
花
(
はな
)
めかしき、
枯木
(
かれき
)
ならぬ
心
(
こヽろ
)
のくるしさよ、
哀
(
あは
)
れ
月
(
つき
)
は
無
(
な
)
きか
此胸
(
このむね
)
はるけたきにと
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“哀”の意味
《名詞》
哀(あい)
なげくこと。かなしむこと。あわれむこと。
(出典:Wiktionary)
哀
常用漢字
中学
部首:⼝
9画
“哀”を含む語句
悲哀
可哀
物哀
哀傷
可哀想
哀憐
哀愁
可哀相
哀哭
哀悼
哀願
哀情
哀求
哀歌
哀訴
哀号
哀婉
哀惜
哀切
哀感
...