おな)” の例文
ちょうどわたしおなじい七つ、八つばかりの子供こどもが、毎日まいにち五、六にんあつまって鬼事おにごっこをしたり、こまをまわしたりしてあそんでいました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さて、三ねんまへ、……ちがひます。なれども、おな霜月しもつきさり、ちやうおないま時刻じこくわれらにもお前樣まへさまおなことがありました。……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うつくしきかほ似合にあはぬはこゝろ小學校通せうがくかうがよひに紫袱紗むらさきふくさつゐにせしころ年上としうへ生徒せいと喧嘩いさかひまけて無念むねんこぶしにぎときおなじやうになみだちて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分じぶん大学だいがくにいた時分じぶんは、医学いがくもやはり、錬金術れんきんじゅつや、形而上学けいじじょうがくなどとおな運命うんめいいたるものとおもうていたが、じつおどろ進歩しんぽである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あの小説がてから、サヾーンといふ人が其話を脚本に仕組んだのが別にある。矢張りおなじ名でね。それを一所にしちや不可いけない」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そののち何回なんかいうした儀式ぎしきのぞんだかれませぬが、いつもいつもおな状態じょうたいになるのでございまして、それはまった不思議ふしぎでございます。
あの『をさなきものに』とおなじやうに、今度こんどほん太郎たらう次郎じらうなどにはなかせるつもりできました。それがこの『ふるさと』です。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「いけねえ、おなどしだ。じや、お前、おれで、これから話そう。岡本さんなんて呼ぶなよ。岡本でいゝ。こつちも、なんだつけ?」
この握りめし (新字新仮名) / 岸田国士(著)
おなしきおなもんうりふたツの類型土器るゐけいどき各地かくちからるのである。それすうからかんがへても、大仕掛おほじかけもつ土器どき製造せいざうしたとへる。
したがつてわたしは、以前いぜん同郷的愛着どうきやうてきあいちやく同藩的偏見どうはんてきへんけんうしなつたとおなじやうに、いま次第しだい國民的愛着こくみんてきあいちやく國家的偏見こくかてきへんけんうしなつたのであつた。
それは丁度ちやうど日本にほん國號こくがう外人ぐわいじんなんなんかうとも、吾人ごじんかならつね日本にほん日本にほんかねばならぬのとおな理窟りくつである。(完)
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
おなひとですら其通そのとほり、いはんやかつこひちかられたことのないひと如何どうして他人たにんこひ消息せうそくわからう、そのたのしみわからう、其苦そのくるしみわからう?。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
月野博士はかせはロウエル教授けうじゆおなかんがへで 火星くわせいは水がすくない そこで運河うんがへは火星じんが大仕掛じかけ給水きふすゐポンプで水をくばるといふのぢや
いま弦月丸げんげつまるしておな鍼路しんろをば故意わざ此方こなたむかつ猛進まうしんしてるのである、一ぷん、二ふん、三ぷんのち一大いちだい衝突しようとつまぬかれぬ運命うんめい
おな日本につぽん石器時代せつきじだい人々ひと/″\のおたがひ交通こうつうとか、文化ぶんか關係かんけいなどをるには、土器どき模樣もようかたちなどを研究けんきゆうすることが必要ひつようであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
然うしたら社會の人として、あるひ安楽あんらく生活せいくわつるかも知れない。しかし精神てきには、まつたんで了ツたのもおなじことなんだ!
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
一「セカンド」は大抵たいていみやく一動いちどうおなじ。さて時計とけい盤面ばんめんを十二にわかち、短針たんしん一晝夜いつちうやに二づゝまはり、長針ちやうしんは二十四づゝまは仕掛しかけにせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
「こんどのおかあさんもいいおかあさんだから、くなったおかあさんとおなじように、だいじにして、いうことをくのだよ。」
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
おな不正ふせいくわだてるのならば、百三十六麻雀牌マアジヤンパイ背中せなかたけ木目もくめ暗記あんきするなどは、その努力感どりよくかんだけでもぼくにはむし氣持きもちがいい。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
きつと、おぢさんの子供こどもやおぢさんをいてくれる子供こどもたちとおなじやうに、よろこんでんでくれ、よろこんでうたつてくれるにちがひない。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それだのにおなゆきいたゞいたこゝのひさしは、彼女かのぢよにそのつたこゝろあたゝめられて、いましげもなくあいしづくしたゝらしてゐるのだ。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
何遍なんべんいたしましても、おなじことでござります。』と、玄竹げんちくはこの潔癖けつぺき殿樣とのさま相手あひてをしてゐるのが、すこ迷惑めいわくになつてた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
夫では和郎あなたはあの所とちがつて上野か向島「イヤ矢張やつぱり行先は王子にてしかも音羽へ出て行くつもり「ヲヤ/\夫では昨日きのふおなじだとふさ丁稚でつちに錢を ...
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さてはわがこはがらないのか、ちつともこはいとおもつてゐない。このには、あたしのおそろしい白栲しろたへが、御主おんあるじのそれとおなじにえるのだ。
つて、わたしおなじやうでなかつたらうなるんでせう、このなかれがわたしなんでせう!まァ、それはおほきななぞだわ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ちょっとたゞけでは、わかつたようでわからぬうたです。おなじようなかさなつてゐると、自然しぜん片一方かたいつぽうほうは、一部分いちぶぶんりやくする習慣しゆうかんがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
此處こゝからはるゝは世界せかいからはるゝもおなこと世界せかいからはるゝはころさるゝもおなこと、すれば追放つゐはうとは死罪しざいかくぢゃ。
れがというたとて、自由自儘じいうじまゝるならば、今日けふ巫女あづさるまいにい……」ばあさんはおなじやうな反覆くりかへした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ある日、私はつまと二人で郊外かうぐわいへ家を見付みつけに出て行つた。おな見付みつけるからには、まだ一も行つたことのない方面はうめんが良いといふ相談さうだんになつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
よつせいいへせり。の・老子らうしまなものすなは儒學じゆがくしりぞけ、儒學じゆがくまた老子らうししりぞく。『みちおなじからざれば、あひめにはからず』とは、あにこれ
坊主頭ぼうずあたまへ四つにたたんだ手拭てぬぐいせて、あさ陽差ひざしけながら、高々たかだかしりからげたいでたちの相手あいては、おな春信はるのぶ摺師すりしをしている八五ろうだった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかしこの説明せつめいこうそうせなかつた。子供こどもにはむかし寒山かんざん文殊もんじゆであつたのがわからぬとおなじく、いま宮崎みやざきさんがメツシアスであるのがわからなかつた。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其形そのかたちひとしからざるは、かの冷際れいさいに於て雪となる時冷際の気運きうんひとしからざるゆゑ、雪のかたちおうじておなじからざる也。
「いや、はや、これはどうしたことだい、わしがなみだながすなんて、これじゃ、まるでいてるのとおなじじゃないか。」
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
彼等かれらみな、この曇天どんてんしすくめられたかとおもほどそろつてせいひくかつた。さうしてまたこのまちはづれの陰慘いんさんたる風物ふうぶつおなじやうないろ著物きものてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
自分じぶん觀測所かんそくじよとの間隔かんかく一二里以内いちにりいないであるならば、兩方りようほう時刻じこくならび時間じかんとも大體だいたいおなあたひるべきはずである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「あつちとおなじでいゝのよ。おねがひするわ。宿賃やどちんだけ余計よけいになるけど。」とひながら、道子みちこ一歩一歩ひとあしひとあしをとこ橋向はしむかうくらはうへとつてかうとする。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
はるうつくしいはなくのがたく、なつあついときにすゞしい木蔭こかげしい以上いじようは、にはでも、まちのなみでも、おなじように可愛かわいがつてやらねばなりません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかして進化というはすでに発芽すべき力がもともと含蓄がんちくされているものが、漸々ぜんぜんに働くことを称するとおなじく
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
お兼には孫七という栄三郎とおない年の息子があったが、それをつれて一つ屋根の下に起きししているうちにいつしかお兼は栄三郎を実子のように思い
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ラプンツェルをれてったおな夕方ゆうがた魔女まじょはまたとううえ引返ひきかえして、った少女むすめ辮髪べんぱつを、しっかりとまど折釘おれくぎゆわえつけてき、王子おうじ
おなどしの私の児供は魔子を不便がったと見えて、大切だいじにしていた姉様あねさまや千代紙を残らず魔子にってしまった。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
で、彼は、神妙しんみょうに遊ぶ稽古けいこをする。そこへちょうど、友だちのレミイが現われた。おなどしの男の子で、跛足びっこをひき、しかも、しょっちゅう走ろうとばかりする。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
ゴットフリートはびっくりし、感動かんどうして、「なんだ、何だ?」とくりかえしながら、おなじように彼をきしめた。——それからかれ立上たちあがり、子供こどもの手をとっていった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
誰某たれそれはいが、行詰ゆきづまつたてに、はくをつけにくのと、おなじだとおもはれると、大変たいへん間違まちがひなんだ。」
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
べつに怨恨えんこんなどいだいてはいないのだとこたえたが事実じじつとしては青流亭せいりゅうてい女将おかみおなじく、いつもよるになつてから老人ろうじんたずねるのがつねで、あるとき、ひどくはげしい口調くちょう
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
どっちもおない年で、宿帳には二十二歳としるしてありました。二人とも徒歩で木曾街道を旅行して、それから名古屋へ出て、汽車で東京へ帰る予定だということです。
山椒魚 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おなをんな取卷とりまかれてゐても、三上みかみは(説明中止せつめいちうし)——時雨しぐれさんは、社會的しやくわいてきに、文學的ぶんがくてきに、とにかく最早もはや、三四人よにん女文子をんなぶんし送出おくりだしてゐる、この賢明けんめいにしてうつくしいひと
そんな心掛こころがけは、このたちにはそもそも註文ちゅうもんするだけ無理むりなのです。そういうところは、この子たちも大人おとなおなじです。「すすめッ」と、世間せけんつよい人たちはいいます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
ほか動物どうぶつも、みんなおなじやうにいてばかりゐました。に、動物園どうぶつゑん動物どうぶつ監獄かんごくでありました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)