この握りめしこのにぎりめし
増田健次は復員すると間もなく警察官を志願し、今ではもう制服も身についた一人前の駐在さんになつていた。郷里は宮城県の田舎であるが、両親はもうなく、ずつと年の違う兄が後をついで僅かばかりの土地を耕している。彼は元来なら本籍地に勤務するはずなのを …