邪魔じやま)” の例文
ときに、先客せんきやく一人ひとりありましてみぎました。氣高けだかいばかりひんのいゝとしとつたあまさんです。失禮しつれいながら、先客せんきやく邪魔じやまでした。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『ああ、いい塩梅あんばいちやがつた。自分じぶん眼玉めだまふなんて阿呆あほうがどこにゐる。ペンペの邪魔じやまさえゐなけりや、もうあとはをれのものだ。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
このくらゐしづかに物事ものごとるのがほふだとかつた。くちかず、おとてないのは、かんがへの邪魔じやまになると精神せいしんからださうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
取たることまで逐一ちくいち訴へ呉ん邪魔じやませずと其所そこひらいて通しをれとのゝしるを段右衞門はいかおのいかして置ば我が身の仇なり覺悟をせよと切付るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なあに爺樣ぢいさまそつちこつちからつてゑたてたのよ、去年きよねんはそんでも其處そこらへ玉蜀黍位たうもろこしぐれえつくれたつけが、れ、邪魔じやまだともはんねえしなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
くさ邪魔じやまをして、却々なか/\にくい。それにあたらぬ。さむくてたまらぬ。蠻勇ばんゆうふるつてやうやあせおぼえたころに、玄子げんし石劒せきけん柄部へいぶした。
いと稽古けいこすきうかゞつておとよ挨拶あいさつして、「ぢや、晩ほど。どうもお邪魔じやまいたしました。」とひながらすた/\帰つた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「何んの、邪魔じやまどころか、私は飛んだ物好きで、捕物が面白くて面白くて仕樣がないのさ。その後どうなつたえ、親分」
しかるにかれ毎晩まいばんねむらずして、我儘わがまゝつてはほか患者等くわんじやら邪魔じやまをするので、院長ゐんちやうのアンドレイ、エヒミチはかれを六號室がうしつ別室べつしつうつしたのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『二れつさ!』と海龜うみがめさけんで、『おほくの海豹あざらしや、海龜うみがめなぞが、それから往來わうらい邪魔じやまになる海月くらげぱらふ——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
成程なるほどハー左様さやうかね、それぢやうちおいてもつまらぬからもつてつてれ、ついで其所そこに大きなかめがあるぢやらう、誠に邪魔じやまになつてかぬからそれも一しよもつくがい。
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひかけてふがい、なんなら此處ここへでもび給へ、片隅かたすみつてはなしの邪魔じやまはすまいからといふに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お房は、更に其處らを片付け始めた。周三は此の間、お房の邪魔じやまにならぬようにと氣をつかツて、彼方此方あつちこつちと位置を移しながら、ポンとして突ツ立ツていた。が、不愉快だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
老叟はわらつて『左樣さうはるゝならそれでもよし、イザおいとまましよう、おほきにお邪魔じやま御座ござつた』と客間きやくまを出たので雲飛うんぴよろこもんまでおくり出て、内にかへつて見るといしが無い。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大久保おほくぼのことを、すこ先生せんせいにおうかがひしたいとぞんじまして、お邪魔じやまましてございますが、先生せんせいにはなにもかもおわかりでせうとおもひますけれど。」あねはさうふうふのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
悠然いうぜん車上しやじようかまんで四方しはう睥睨へいげいしつゝけさせる時は往来わうらいやつ邪魔じやまでならない右へけ左へけ、ひよろひよろもので往来わうらい叱咜しつたされつゝ歩く時は車上しやじようの奴やつ癇癪かんしやくでならない。
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
火夫くわふ船丁等ボーイら周章狼狽しうしようらうばいまでもない、其内そのうち乘客じやうきやく※半くわはん睡眠ねむりよりめて、何事なにごとぞと甲板かんぱんはしでんとするを、邪魔じやまだ/\と昇降口しようかうぐちへんより追返おひかへさんとひしめく二三船員せんゐんこゑきこえる。
つかえる、支える、松の木に、木槿むくげ邪魔じやまだよ
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
それがかへって、いまでは邪魔じやまになるのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
邪魔じやまをするはお×りさんか
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
いゝえ、まだしてげません。……おはなしかなくツちや……でないとそでくはへたり、つたり、惡戲いたづらをして邪魔じやまなんですもの。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
八五郎は聞て然共々々さうとも/\奴等きやつら邪魔じやまをして見ろ後で何樣どのやう意恨いこんかへされるも知れずこんの惡ひ日にはまたどんな惡ひ奴が來るか計られねば早く見世を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
主墳しゆふんではるまいが、人氣にんきゆるんで折柄をりがらとて、學者がくしやも、記者きしやも、高等野次馬かうとうやじうまも、警官けいくわんも、こと/″\此所こゝあつまつて、作業さくげふ邪魔じやまとなること夥多おびたゞしい。
ひろくもないはたけのこらずが一くはれるのでおの/\たがひ邪魔じやまりつゝ人數にんずなかば始終しじうくはつゑいてはつてとほくへくばりつゝわらひさゞめく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
宗助そうすけ心配しんぱいした。役所やくしよてゐても御米およねことかゝつて、よう邪魔じやまになるのを意識いしきするときもあつた。ところがあるかへりがけに突然とつぜん電車でんしやなかひざつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
にいさん、じつは二三日うちわたしはうからお邪魔じやまあがらうと思つてゐたんだよ。」とおとよ突然とつぜん話しだした。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
理由わけわからぬ煩悶はんもんあやしくもえずかれこゝろ攪亂かくらんして、書物しよもつむにも、かんがふるにも、邪魔じやまをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
うらんでゐる者ばかりが、命をねらふとは限りません。私を羨やむ者、私が生きてゐると邪魔じやまになるもの、世の中には、いろ/\の敵があると思はなきやなりません」
いややな正太しようたさんだとくらしげにはれて、れならばかへるよ、お邪魔じやまさまで御座ございましたとて、風呂塲ふろば加减かげん母親はゝおやには挨拶あいさつもせず、ふいとつて正太しようた庭先にはさきよりかけいだしぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
じつ今日けふねがひがあつてお邪魔じやまました。これは手前てまへ愚息せがれ御座ございます、是非ぜひ貴樣あなたのお弟子でしになりたいと本人ほんにんのぞみですからつれまゐりましたが、ひと試驗しけんをしてくださいませんか。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
縱令よし、それがまつたたまごかへ邪魔じやまをしないにせよ』とつてはとは、『それにしても、わたし晝夜ちうやへび見張みはらなければならない!さうへば、わたしはこの三週間しうかんちツともひつじかげないが!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
邪魔じやまなおみゝはぴよこぴよこするし
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
邪魔じやまになるものは
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
れと云れて女房にようばうほゝふくらし女房が何で邪魔じやまなるお光殿もお光殿此晝日中ひるひなか馬鹿々々ばか/\しいと口にはいはねどつん/\するを長助夫と見て取つて其方が氣を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
北八きたはち心得こゝろえたるかほはすれども、さすがにどぎまぎしてはむとほつするところらず、おかみさんかへりにするよ。唯々はい/\。お邪魔じやまでしたとにいさんはうまいものなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
とはらぬのでかいげるのに邪魔じやまだから、其所そこ退いてれなんて威張ゐばらして、あと地主ぢぬしわかつて、有合ありあはせの駄菓子だぐわしして、機嫌きげんつたことなどである。
其上そのうへすこしのひまぬすんですわりでもすると、うしろから意地いぢわる邪魔じやまをされる、毒吐どくづかれる、あたまてにはなん因果いんぐわ坊主ばうずになつたかとくやことおほかつたとつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その晩、熊井熊五郎は、尾張をはり樣御呉服所、日本橋二丁目の茶屋新四郎の奧へ押し入り有金八百兩をうばひ取つた上、歸り際の邪魔じやまをした、手代の甚三郎といふのを斬りました。
さうしてあたまひやくすりと、桂梅水けいばいすゐとを服用ふくようするやうにとつて、不好いやさうにかしらつて、立歸たちかへぎはに、もう二とはぬ、ひとくる邪魔じやまるにもあたらないからとさうつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
相互さうご權能けんのうえて領域りやうゐきをかとき其處そこにはかなら葛藤かつとうともなはれるはずでなければらぬ。若者わかものあひあつまればみな不平ふへいじやうかたうて、勝手かつて勘次かんじ邪魔じやまなこそつぱいものにしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おさゆるなみだそできてモシとめれば振拂ふりはら羽織はおりのすそエヽなにさるゝ邪魔じやまくさしわれはおまへさまの手遊てあそびならずおとぎになるはうれしからず其方そなた大家たいけ娘御むすめごひまもあるべしその日暮ひぐらしの時間じかんもを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まことみませぬがおとほしなすつてくださりまし、なるたけお昼寝ひるね邪魔じやまになりませぬやうにそツ通行つうかういたしまする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんな事もあるだらうが、本當のところは、あの祝言の邪魔じやまをしてゐる人間があるんだ」
よくもおまつりの正太しようたさんにあだをするとてわたしたちがあそびの邪魔じやまをさせ、つみい三ちやんをたゝかせて、おまへ高見たかみ釆配さいはいつておいでなされたの、さあ謝罪あやまりなさんすか、なんとで御座ござんす
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
突立つツたつてては出入ではひりの邪魔じやまにもなりさうだし、とばくち吹降ふきぶりのあめ吹込ふきこむから、おくはひつて、一度いちどのぞいた待合まちあひやすんだが、ひとつのに、停車場ステエシヨンときはりすゝむほど
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「いゝえ、大勢はひつて來て、邪魔じやまつけだから、娘の方の床は上げて了ひましたよ」
花紅葉はなもみぢうるはしく仕立したてむすめたちが春着はるぎ小袖こそでゑりをそろへてつまかさねて、ながめつながめさせてよろばんものを、邪魔じやまものゝあにうるさし、はやてゆけねとおもおもひはくちにこそいださね
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まあ、おちよ、ともさん、眞個ほんといんだよ。……けつして邪魔じやまにするんぢやない。一人ひとりはうが、んだか落着おちついて、寂然しんとして、はかまつかぜきこえるだらうとおもふからだよ。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
奧樣おくさま立上たちあがつて、わたし大層たいそう邪魔じやまをしました、それならばるべくはややすむやうにおわたしつてるばかりの身體からだやへあいだことさむいとても仔細しさいはなきに、かまひませぬかられをておいで
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おい邪魔じやまになるとわるいよと北八きたはちうながし、みちひらいて、見晴みはらしのぼる。にし今戸いまどあたり、ふねみづうへおともせず、ひといへ瓦屋根かはらやねあひだ行交ゆきかさまるばかり。みづあをてんあをし。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)