)” の例文
そして、大空おおぞらからもれるはるひかりけていましたが、いつまでもひとところに、いっしょにいられるうえではなかったのです。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
の一のかはをがれたために可惜をしや、おはるむすめ繼母まゝはゝのために手酷てひど折檻せつかんけて、身投みなげをしたが、それのちこと
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しやうめいくるのにはすなは其家そのいへわすれ、ぐんのぞんで約束やくそくすればすなは其親そのしんわすれ、(一六)枹鼓ふこることきふなればすなは其身そのみわする。
嘉吉はおみちの前でもう少してきぱき話をつづけたかったし、学生がすこしもこっちをわるけないのが気に入ってあわてて云った。
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そしてちちのつもりでは、私達わたくしたち夫婦ふうふあいだ男児だんしうまれたら、その一人ひとり大江家おおえけ相続者そうぞくしゃもらける下心したごころだったらしいのでございます。
ものゝかんかた非常ひじやう鋭敏えいびんで、はなみゝはだなどにれるものをするどることの出來できめづらしい文學者ぶんがくしやであつたことをせてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そして御主人ごしゅじんからつよさむらいをさがしていというおおせをけて、こんなふうをして日本にほん国中くにじゅうをあちこちとあるきまわっているのでした。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
勿論もちろんあま正直しょうじきにはつとめなかったが、年金ねんきんなどうものは、たとい、正直しょうじきであろうが、かろうが、すべつとめたものけべきである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
小六ころくなんにもこたへなかつた。臺所だいどころからきよつて含嗽茶碗うがひぢやわんつて、戸袋とぶくろまへつて、かみ一面いちめんれるほどきりいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
りよ小女こをんなんで、汲立くみたてみづはちれていとめいじた。みづた。そうはそれをつて、むねさゝげて、ぢつとりよ見詰みつめた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
玄竹げんちく其方そちつたのは、いつが初對面しよたいめんだツたかなう。』と、但馬守たじまのかみからさかづき玄竹げんちくまへして、銚子てうしくちけながらつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたしはそれをならふために授業じゆげふけてはゐませんでした』とつて海龜うみがめ長太息ためいきし、『わたしたゞ規則きそくどほりの課程くわていんだゝけです』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
玄関番げんくわんばん書生しよせい不作法ぶさはふ取扱とりあつかひけると、其処そこ主人迄しゆじんまでがいやになる。著米ちやくべい早々さう/\始末しまつは、すくなからず僕等ぼくら不快ふくわいあたへた。(四月三日)
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
すなはつき太陽たいよう引力いんりよくによつてわが地球ちきゆうけるひづみの分量ぶんりようは、地球全體ちきゆうぜんたい鋼鐵こうてつ出來できてゐると假定かていした場合ばあひ三分さんぶんしかないのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それ以外いぐわい品物しなもの爲替回復かはせくわいふく影響えいきやう直接ちよくせつにはけないのであるから、此程度このていど物價ぶつか低落ていらくもつと適當てきたうところであらうとおもはれる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
では優越を問題外にしても、まだ、命令の口調で氣を惡くしたり怒つたりしないで、時々私の命令をけてもいゝと云へますか。どうです?
それより、わたくし武村兵曹たけむらへいそうとは、艦中かんちう一同いちどうからふでにもことばにもつくされぬ優待いうたいけて、印度洋インドやう波濤はたうつて、コロンボのみなとへとすゝんでく。
其時そのとき日本帝國にほんていこく』から何程なにほど利益りえき保護ほごとをけてゐるのかとはれたら、返事へんじには當惑たうわくするほどのミジメな貧乏生活びんばふせいくわつおくつてゐたくせに。
その小松こまつは、何處どこからかひかりけてるらしく、丁度ちやうどぎんモールでかざられたクリスマスツリーのやうに、枝々えだ/\光榮くわうえいにみちてぐるりにかゞやいてゐた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
亀池かめいけしたでおじいさんの乳母車うばぐるまいついた。ぼくたちはおじいさんの息子むすこさんにわけをはなして、おじいさんをこちらへけとった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
その客の中には、彼れの妻をはづかしめた貴族もまた、まじつてゐた。客は皆、その家の屋根にある露台ろだいで、饗応きやうおうけた。
日本の女 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そして叔父からいろ/\をしへをけると同時に、いよ/\長さきかへるといふ時に、さん/″\母にせびつてやうやつてもらつたのが二円五十錢の
火影ほかげ片頬かたほゝけたつまかほは、見恍みとれるばかりに綺麗きれいである。ほゝもポーツと桜色さくらいろにぼかされて、かみいたつてつやゝかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
なぜなら各人の感覚も理性も同一のものを同一にれはしないから。Aにとって美であるものがBにとって醜であることは常にありうることだ。
ロミオ (前へ進みて)おゝ、りませう。言葉ことば其儘そのまゝ一言ひとこと戀人こひゞとぢゃとうてくだされ、すぐにも洗禮せんれいけませう。今日けふからは最早もうロミオでい。
土手どてしのたかさにえる蜀黍もろこし南風なんぷうけて、さしげたごとかたちをなしてはさきからさきへとうごいて、さかのぼ白帆しらほしづかに上流じやうりうすゝめてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
らうかりふでずさびに、此樣このやうよびよいものいてれたるまちといふをば引出ひきいだしぬ、をんな容貌きりようきにこそ諸人しよにんあいけて果報くわほうこのうへものなれ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれど同席の重蔵は、玄蕃の首を見ても一向に喜ばず、またこの上は早く郷里へ帰って静養するようにとねがう、新九郎の情愛をもれない風に見えた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最初さいしょのうちこそおはつ不思議ふしぎそうにしていたが、袖子そでこから敷布しきふってみて、すぐにその意味いみんだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたしなども中學生ちゆうがくせい時分じぶんから、坪井先生つぼゐせんせいをしへをけ、それからいつそうこの學問がくもんきになつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おせんはかかえた人形にんぎょうを、ひがしけて座敷ざしきのまんなかてると、薄月うすづきひかりを、まともにけさせようがためであろう。おとせぬほどに、まど障子しょうじしずかはじめた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
この下ばたらきの女は、ちょうづめをこしらえる用意よういとして、豚のを小さい容器いれものける役目やくめなのです。
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
そしてかれがえらい音楽家おんがくかになったのは、ゆたかな天分てんぶんくるしい努力どりょくとによるのですが、またおさなときにゴットフリートからけた教訓きょうくんは、ふかくこころにきざみこまれていて
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
みぎぢくになつてりますが、三遊亭いうてい共有物きよういうぶつとして、円朝わたくし門弟共もんていどもはうあづけておきましたけれども、これ河竹黙阿弥翁かはたけもくあみをう所有しよいうされてたのを、円朝わたくしもらけました。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
全體ぜんたい杉村君すぎむらくんきみはづぢやアなかツたのか』と水谷氏みづたにしは一むくゐると、杉村氏すぎむらし楚人冠そじんくわんりう警句けいくけて『るならるが、ないのにつたつてつまらないよ』とる。
窃盗せっとう嫌疑けんぎけて、身体検査しんたいけんさまでされ、半裸体はんらたい姿すがたちながら、職務しょくむ忠実ちゅうじつすぎる男の自由じゆうにされる——これがはずかしくないだろうか? しかし、これも経験けいけんなのだ。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
天変地異てんぺんちいわらつてますものは文学者ぶんがくしやなり。社会しやくわい人事じんじちやにして仕舞しまふ者は文学者ぶんがくしやなり。な、神の特別とくべつなる贔屓ひいきけて自然しぜんhypnotizeヒプノタイズ さる〻ものは文学者ぶんがくしやなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ぼく此校長このかうちやうもと大島小學校おほしませうがくかうたのは二年半ねんはんで、月日つきひにすればふにらず、十二さいより十五さいまで、ひと年齡ねんれいにすれば腕白盛わんぱくざかりでありましたけれど、ぼくしん教育けういくけたのは此時このとき
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
糟谷かすやはついに東京に位置いちられないうちに、四月上旬じょうじゅん非職ひしょく辞令じれいった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
つまり歐羅巴ようろつぱ化物ばけものは、おほくは東洋思想とうやうしさう感化かんくわけたものであるかとおもふ。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あなあはれ、榧と栗の木、落葉する栗も寒けど、常青く立てる榧の木、冬の日はことに高しよ。栗の木はいよよ透けれど、榧の木はいよよか黒く、薄日射函根の入陽いりひけてひとりとがれり。
さりながら正四位しょうしい何のなにがしとあって仏師彫刻師をむこにはたがらぬも無理ならぬ人情、是非もなけれど抑々そもそも仏師は光孝こうこう天皇是忠これただの親王等の系にいで定朝じょうちょう初めて綱位こういけ、中々なかなかいやしまるべき者にあらず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
えうするに彼は、宇宙うちうの本體をさぐらうとしたり人生じんせいの意義をきはめやうとして、種々な思想を生噛なまがみにしてゐるうちに、何時かデカタン派の影響えいきやうけて、そして其の空氣が弱い併しながらねばツこい力で
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
わーた
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
子供こどもは、おかあさんのゆるしなどをけるのをもどかしくおもいました。ある子供こどもは、ひとりで、かわなかて、あそんでいました。
魚と白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたし雪籠ゆきごもりのゆるしけようとして、たど/\とちかづきましたが、とびらのしまつたなか樣子やうすを、硝子窓越がらすまどごしに、ふと茫然ばうぜんちました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
若者わかものこころよけ、ただちにその準備したくにかかりました。もっと準備したくってもべつにそううるさい手続てつづきのあるのでもなんでもございませぬ。
酒呑童子しゅてんどうじ頼光らいこうたちがわるびれもしないで、のおさけでも、にくのおさかなでも、けてくれたので、るから上機嫌じょうきげんになって
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ついぞ學資がくし問題もんだいあたまおもうかべたことがなかつたため、叔母をば宣告せんこくけたときは、茫然ぼんやりして兎角とかく挨拶あいさつさへ出來できなかつたのだとふ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)