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掛
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かゝ
ふりがな文庫
“
掛
(
かゝ
)” の例文
鏡子は気に
掛
(
かゝ
)
る
良人
(
をつと
)
の金策の話を此人にするのに、
今日
(
けふ
)
は
未
(
ま
)
だ余り早すぎると
下臆病
(
したおくびやう
)
な心が思はせるので、それは心にしまつて居た。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
櫻
(
さくら
)
の
樹
(
き
)
の
梢
(
うら
)
を、ぱつと
照
(
て
)
らして、
薄明
(
うすあか
)
るく
掛
(
かゝ
)
るか、と
思
(
おも
)
へば、
颯
(
さつ
)
と
墨
(
すみ
)
のやうに
曇
(
くも
)
つて、
月
(
つき
)
の
面
(
おもて
)
を
遮
(
さへぎ
)
るや
否
(
いな
)
や、むら/\と
亂
(
みだ
)
れて
走
(
はし
)
る……
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此返事
(
このへんじ
)
を
聞
(
き
)
いて、むつと
腹
(
はら
)
が
立
(
た
)
つた。
頭巾
(
づきん
)
の
下
(
した
)
に
歯
(
は
)
を
剥出
(
むきだ
)
して、
血色
(
けつしよく
)
の
好
(
い
)
い
頸元
(
えりもと
)
に
伸
(
の
)
し
掛
(
かゝ
)
ると
向
(
むかう
)
は
後退
(
あとすざり
)
もしない。また
質
(
き
)
いて
見
(
み
)
た。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
網
(
あみ
)
を
張
(
は
)
つた
高
(
たか
)
い
竹竿
(
たけざを
)
には
鳥籠
(
とりかご
)
が
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。その
中
(
なか
)
には
囮
(
をとり
)
が
飼
(
か
)
つてありまして、
小鳥
(
ことり
)
の
群
(
むれ
)
が
空
(
そら
)
を
通
(
とほ
)
る
度
(
たび
)
に
好
(
い
)
い
聲
(
こゑ
)
で
呼
(
よ
)
びました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれども第一に
困
(
こま
)
つたのは、平岡の勝手
元
(
もと
)
の都合を、三千代の
訴
(
うつた
)
へによつて
知
(
し
)
つたと
切
(
き
)
り
出
(
だ
)
しては、三千代に
迷惑
(
めいわく
)
が
掛
(
かゝ
)
るかも知れない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「
居
(
ゐ
)
たかえ」それでも
卯平
(
うへい
)
は
呶鳴
(
どな
)
つて
見
(
み
)
たが
返辭
(
へんじ
)
がない。
卯平
(
うへい
)
は
口
(
くち
)
の
内
(
うち
)
で
呟
(
つぶや
)
いて
裏戸口
(
うらとぐち
)
へ
廻
(
まは
)
つて
見
(
み
)
たら
其處
(
そこ
)
は
内
(
うち
)
から
掛金
(
かけがね
)
が
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それを
石橋
(
いしばし
)
と
私
(
わたし
)
とで
頻
(
しきり
)
に
掘出
(
ほりだ
)
しに
掛
(
かゝ
)
つた、すると
群雄
(
ぐんいう
)
四方
(
しはう
)
より
起
(
おこ
)
つて、
響
(
ひゞき
)
の声に
応
(
おう
)
ずるが
如
(
ごと
)
しです、
是
(
これ
)
が
硯友社
(
けんいうしや
)
創立
(
さうりつ
)
の
導火線
(
だうくわせん
)
と
成
(
な
)
つたので
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
茶の接待、水浴室の設備なども鄭重である。
茶亭
(
さてい
)
には花卉の鉢を
陳
(
なら
)
べ乃木東郷両大将の記念自署などが扁額として
掛
(
かゝ
)
つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
此方
(
こなた
)
には
具足櫃
(
ぐそくびつ
)
があつたり、
弓
(
ゆみ
)
鉄砲抔
(
てつぱうなど
)
が
立掛
(
たてかけ
)
てあつて、
最
(
い
)
とも
厳
(
いか
)
めしき
体裁
(
ていさい
)
で
何所
(
どこ
)
で
喫
(
たべ
)
させるのか、お
長家
(
ながや
)
か
知
(
し
)
ら、
斯
(
か
)
う思ひまして
玄関
(
げんくわん
)
へ
掛
(
かゝ
)
り
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「越前屋の先の女房の母親で、死んだお菊の祖母さんだが、
掛
(
かゝ
)
り
人
(
うど
)
に違ひないから、後添ひの今の
内儀
(
おかみ
)
とは、どうもしつくり行かない樣子だ」
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かたりと
荷車
(
にぐるま
)
がとまりました。
豚
(
ぶた
)
は、はつとわれ にかへつてみあげました。そこには
縣立
(
けんりつ
)
畜獸
(
ちくじう
)
屠殺所
(
とさつじよ
)
といふ
大
(
おほ
)
きな
看板
(
かんばん
)
が
掛
(
かゝ
)
かつてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
物語れば忠八は
驚
(
おどろ
)
き
歎
(
たん
)
じ此處に夫程
御滯留
(
ごたいりう
)
有とも知らず所々方々尋ね廻りしこそ愚なれ併し
今宵
(
こよひ
)
此家に泊らずば御目にも
掛
(
かゝ
)
らず江戸迄行んものを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夫人
(
ふじん
)
は
屹度
(
きつと
)
無事
(
ぶじ
)
であらうと
言
(
い
)
はれたに
拘
(
かゝは
)
らず、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
も、
私
(
わたくし
)
も、
最早
(
もはや
)
貴女
(
あなた
)
とは、
現世
(
このよ
)
でお
目
(
め
)
に
掛
(
かゝ
)
る
事
(
こと
)
は
出來
(
でき
)
まいとばかり
斷念
(
だんねん
)
して
居
(
を
)
りましたに。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
ない。——
出
(
で
)
ないけれど
面白
(
おもしろ
)
い。
疲勞
(
ひらう
)
しては
天幕
(
てんと
)
に
入
(
い
)
り、
菓物
(
くわぶつ
)
を
食
(
く
)
ひ、サイダを
飮
(
の
)
む。
勢
(
いきほ
)
ひを
得
(
え
)
ては
又
(
また
)
掘
(
ほ
)
りに
掛
(
かゝ
)
るが、
甚
(
はなは
)
だしく
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
ない。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
パリス
侍童
(
わらは
)
よ、
其
(
その
)
炬火
(
たいまつ
)
をおこせ。
彼方
(
あち
)
へ
往
(
い
)
て、つッと
離
(
はな
)
れてゐい。……いや、それを
消
(
け
)
せ、
人目
(
ひとめ
)
に
掛
(
かゝ
)
りたうない。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
これは、
獨
(
ひと
)
り
讀書
(
どくしよ
)
の
上
(
うへ
)
ばかりではない。
何
(
な
)
んでも、
自己
(
じこ
)
に
腰
(
こし
)
を
据
(
す
)
ゑて
掛
(
かゝ
)
らなければ、
男
(
をとこ
)
でも
女
(
をんな
)
でも、一
生
(
しやう
)
、
精神上
(
せいしんじやう
)
の
奴隷
(
どれい
)
となつて
死
(
し
)
んで
行
(
ゆ
)
く
他
(
ほか
)
は
無
(
な
)
いのだ。
読書の態度
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
慌しく汽笛が鳴つて、ガタリと列車が動き出すと、智惠子はヨロヨロと足場を失つて思はず吉野に
凭
(
よ
)
り
掛
(
かゝ
)
つた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
舊
(
もと
)
の
猿樂町
(
さるがくてう
)
の
彼
(
あ
)
の
家
(
うち
)
の
前
(
まへ
)
で
御隣
(
おとなり
)
の
小娘
(
ちいさいの
)
と
追羽根
(
おひばね
)
して、
彼
(
あ
)
の
娘
(
こ
)
の
突
(
つ
)
いた
白
(
しろ
)
い
羽根
(
はね
)
が
通
(
とほ
)
り
掛
(
かゝ
)
つた
原田
(
はらだ
)
さんの
車
(
くるま
)
の
中
(
なか
)
へ
落
(
おち
)
たとつて、
夫
(
そ
)
れをば
阿關
(
おせき
)
が
貰
(
もら
)
ひに
行
(
ゆ
)
きしに
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
思想
(
しさう
)
の
人間
(
にんげん
)
が
成熟
(
せいじゆく
)
の
期
(
き
)
に
達
(
たつ
)
して、
其思想
(
そのしさう
)
が
發展
(
はつてん
)
される
時
(
とき
)
になると、
其人間
(
そのにんげん
)
は
自然
(
しぜん
)
自分
(
じぶん
)
がもう
已
(
すで
)
に
此
(
こ
)
の
輪索
(
わな
)
に
掛
(
かゝ
)
つてゐる
遁
(
のが
)
れる
路
(
みち
)
の
無
(
な
)
くなつてゐるのを
感
(
かん
)
じます。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『でも、
可愛
(
かあい
)
い
犬
(
いぬ
)
ころだッたわね!』
息
(
やす
)
まうとして
毛莨
(
キンポーゲ
)
に
凭
(
よ
)
り
掛
(
かゝ
)
つた
時
(
とき
)
に、
其葉
(
そのは
)
の一
枚
(
まい
)
を
取
(
と
)
つて
扇
(
あふ
)
ぎながら
愛
(
あい
)
ちやんが
云
(
い
)
ひました、『
私
(
わたし
)
が
若
(
も
)
しそんな
事
(
こと
)
をする
年頃
(
としごろ
)
ならば、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
恙
(
つゝ
)
がなく
産
(
うま
)
れ
出
(
いで
)
しといふやうに
言問
(
ことゝひ
)
の前の人の山を
潜
(
くぐ
)
り
出
(
いで
)
て見れば、
嬉
(
うれ
)
しや、
此
(
こゝ
)
に
福岡楼
(
ふくをかろう
)
といふに
朝日新聞社員休息所
(
あさひしんぶんしやゐんきうそくじよ
)
の
札
(
ふだ
)
あり、
極楽
(
ごくらく
)
で
御先祖方
(
ごせんぞがた
)
に
御目
(
おめ
)
に
掛
(
かゝ
)
つたほど
悦
(
よろこ
)
びて
楼
(
ろう
)
に
上
(
のぼ
)
れば
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
このあたりで
女達
(
をんなたち
)
の
客引
(
きやくひき
)
に
出
(
で
)
る
場所
(
ばしよ
)
は、
目下
(
もくか
)
足場
(
あしば
)
の
掛
(
かゝ
)
つてゐる
観音堂
(
くわんおんだう
)
の
裏手
(
うらて
)
から三
社権現
(
じやごんげん
)
の
前
(
まへ
)
の
空地
(
あきち
)
、二
天門
(
てんもん
)
の
辺
(
あたり
)
から
鐘撞堂
(
かねつきだう
)
のある
辨天山
(
べんてんやま
)
の
下
(
した
)
で、こゝは
昼間
(
ひるま
)
から
客引
(
きやくひき
)
に
出
(
で
)
る
女
(
をんな
)
がゐる。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
或日
(
あるひ
)
近所
(
きんじよ
)
の
川
(
かは
)
に
漁
(
れふ
)
に出かけて
彼處
(
かしこ
)
の
淵
(
ふち
)
此所
(
こゝ
)
の
瀬
(
せ
)
と
網
(
あみ
)
を
投
(
う
)
つて
廻
(
ま
)
はるうち、ふと網に
掛
(
かゝ
)
つたものがある、
引
(
ひ
)
いて見たが
容易
(
ようい
)
に
上
(
あが
)
らないので川に
入
(
はひ
)
つて
探
(
さぐ
)
り
試
(
こゝろ
)
みると
一抱
(
ひとかゝへ
)
もありさうな
石
(
いし
)
である。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
彼
(
かれ
)
が
最後
(
さいご
)
の一
枚
(
まい
)
に
取
(
と
)
り
掛
(
かゝ
)
つた
時
(
とき
)
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
私
(
わたし
)
の
居
(
ゐ
)
た、
草
(
くさ
)
にも、しつとりと
其
(
そ
)
の
靄
(
もや
)
が
這
(
は
)
ふやうでしたが、
袖
(
そで
)
には
掛
(
かゝ
)
らず、
肩
(
かた
)
にも
卷
(
ま
)
かず、
目
(
め
)
なんぞは
水晶
(
すゐしやう
)
を
透
(
とほ
)
して
見
(
み
)
るやうに
透明
(
とうめい
)
で。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兎角
(
とかく
)
するうちに
月
(
つき
)
が
滿
(
み
)
ちた。
愈
(
いよ/\
)
生
(
うま
)
れるといふ
間際
(
まぎは
)
迄
(
まで
)
日
(
ひ
)
が
詰
(
つま
)
つたとき、
宗助
(
そうすけ
)
は
役所
(
やくしよ
)
へ
出
(
で
)
ながらも、
御米
(
およね
)
の
事
(
こと
)
がしきりに
氣
(
き
)
に
掛
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
その
)
大
(
おほ
)
きな
體躯
(
からだ
)
は
少
(
すこ
)
し
柹
(
かき
)
の
木
(
き
)
に
倚
(
よ
)
り
掛
(
かゝ
)
りながら、
胸
(
むね
)
から
脚部
(
きやくぶ
)
へ
斑
(
まだら
)
に
雪
(
ゆき
)
を
浴
(
あ
)
びて
居
(
ゐ
)
た。
荒繩
(
あらなは
)
が
彼
(
かれ
)
の
手
(
て
)
を
轉
(
こ
)
けて
横
(
よこ
)
に
體躯
(
からだ
)
を
超
(
こ
)
えて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お富といふのは二十七八の平凡な女で、これは出戻りの
掛
(
かゝ
)
り
人
(
うど
)
、皆んなと一緒に寶掘りをやつて居たといふだけのことです。
銭形平次捕物控:301 宝掘りの夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
偖
(
さて
)
も享保二年四月十八日越前守殿には今日村井長庵が
罪科
(
ざいくわ
)
悉皆
(
こと/″\
)
く
調
(
しら
)
べ上んとや思はれけん此度の一件に
掛
(
かゝ
)
り合の者どもを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
敦賀から一人乗つた
露西亜
(
ロシア
)
の汽船の中の様な心細さは無いが、
矢張
(
やはり
)
気に
掛
(
かゝ
)
るのは東京に残して来た子供等の
上
(
うへ
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
と
頻
(
しき
)
りに侍と亭主と刀の値段の
掛引
(
かけひき
)
をいたして居りますと、
背後
(
うしろ
)
の
方
(
かた
)
で通り
掛
(
かゝ
)
りの
酔漢
(
よっぱらい
)
が、此の侍の
中間
(
ちゅうげん
)
を
捕
(
とら
)
えて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其後
(
そののち
)
、
表面採集
(
へうめんさいしふ
)
、
或
(
あるひ
)
は
小發掘
(
せうはつくつ
)
に
來
(
き
)
た
人
(
ひと
)
は、
少
(
すくな
)
くあるまいが、
正式
(
せいしき
)
の
發掘
(
はつくつ
)
に
掛
(
かゝ
)
るのは
我々
(
われ/\
)
が三
番目
(
ばんめ
)
に
當
(
あた
)
るのだ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
朝早
(
あさはや
)
く、
磯
(
いそ
)
で
投釣
(
なげづ
)
りをしてゐる
人
(
ひと
)
がありました。なかなか
掛
(
かゝ
)
らないので、もうやめよう、もうやめようとおもつてゐました。と一
尾
(
ぴき
)
大
(
おほ
)
きな
奴
(
やつ
)
がかかりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
鶫
(
つぐみ
)
といふ
鳥
(
とり
)
や
鶸
(
ひわ
)
といふ
鳥
(
とり
)
は、
何
(
なん
)
百
羽
(
ぱ
)
飛
(
と
)
んで
參
(
まゐ
)
りましても、みんな
網
(
あみ
)
や
黐
(
もち
)
に
掛
(
かゝ
)
つてしまひますが、
私共
(
わたしども
)
にかぎつて
軒先
(
のきさき
)
を
貸
(
か
)
して
下
(
くだ
)
すつたり
巣
(
す
)
をかけさせたりして
下
(
くだ
)
さいます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
冷
(
つめ
)
たい
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
射
(
さ
)
されて、
人目
(
ひとめ
)
に
掛
(
かゝ
)
らぬ
石
(
いし
)
の
中
(
なか
)
に
封込
(
ふうじこ
)
められた
蟾蜍
(
ひきがへる
)
の
如
(
ごと
)
く、わが
身
(
み
)
は
醜
(
みにく
)
い
鉱皮
(
くわうひ
)
の
下
(
した
)
に
押
(
お
)
し
籠
(
こ
)
められてゐる
時
(
とき
)
、ほかの
人
(
ひと
)
たちは
清浄
(
しやうじやう
)
な
肉身
(
にくしん
)
で
上天
(
じやうてん
)
するのだらう。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
五
秒
(
べう
)
、十
秒
(
べう
)
は
大叫喚
(
だいけうくわん
)
、あはや、
稻妻
(
いなづま
)
は
喰伏
(
くひふ
)
せられたと
思
(
おも
)
つたが、
此
(
この
)
犬
(
いぬ
)
尋常
(
じんじやう
)
でない、
忽
(
たちま
)
ちむつくと
跳
(
は
)
ね
起
(
お
)
きて、
折
(
をり
)
から
跳
(
をど
)
り
掛
(
かゝ
)
る
一頭
(
いつとう
)
の
雄獅
(
をじゝ
)
の
咽元
(
のどもと
)
に
噛付
(
くひつ
)
いて、
一振
(
ひとふ
)
り
振
(
ふ
)
るよと
見
(
み
)
へたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
此處彼處
(
こゝかしこ
)
に
地圖
(
ちづ
)
も
見
(
み
)
えれば、
木釘
(
きくぎ
)
には
數多
(
あまた
)
の
繪
(
ゑ
)
も
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
然
(
さ
)
うですね、
年少
(
としわか
)
な
田舍
(
ゐなか
)
の
大盡
(
だいじん
)
が、
相場
(
さうば
)
に
掛
(
かゝ
)
つて
失敗
(
しつぱい
)
でもしたか、
婦
(
をんな
)
に
引掛
(
ひつかゝ
)
つて
酷
(
ひど
)
く
費消
(
つかひ
)
過
(
す
)
ぎた……とでも
云
(
い
)
ふのかと
見
(
み
)
える
樣子
(
やうす
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
鰹船
(
かつをぶね
)
が
一
(
ひと
)
つ
宛
(
づゝ
)
此
(
この
)
器械
(
きかい
)
を
具
(
そな
)
へ
付
(
つ
)
ける
樣
(
やう
)
になつたら、
莫大
(
ばくだい
)
な
利益
(
りえき
)
だつて
云
(
い
)
ふんで、
此頃
(
このごろ
)
は
夢中
(
むちゆう
)
になつて
其方
(
そのはう
)
ばつかりに
掛
(
かゝ
)
つてゐる
樣
(
やう
)
ですよ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人の
甥
(
をひ
)
——と言つても義理の甥なんださうで、
掛
(
かゝ
)
り
人
(
うど
)
の與茂吉、二十二三の良い若い者ですが、少しばかり學があつて、筆跡が良いから帳面を
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なすよし女房は屏風を
立廻
(
たてまは
)
し床に
掛
(
かゝ
)
り
有
(
あり
)
しが後の方に
骨柳
(
こり
)
一ツ有しを夫を改めんとなすを
妻
(
つま
)
は此品は
不正
(
ふせい
)
の
物
(
もの
)
ならずと手を出す役人共
拂
(
はら
)
ひ退て中を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
女房
(
にようばう
)
は
横臥
(
わうぐわ
)
することも
其
(
そ
)
の
苦痛
(
くつう
)
に
堪
(
た
)
へないで、
積
(
つ
)
んだ
蒲團
(
ふとん
)
に
倚
(
よ
)
り
掛
(
かゝ
)
つて
僅
(
わづか
)
に
切
(
せつ
)
ない
呼吸
(
いき
)
をついて
居
(
ゐ
)
た。
胎兒
(
たいじ
)
を
泛
(
う
)
かしめた
水
(
みづ
)
が
餘計
(
よけい
)
に
溜
(
たま
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
先生
(
しぇんしぇい
)
此処
(
こゝ
)
は天神前で、
私
(
わし
)
はお
前
(
めえ
)
さんと喧嘩する事は、
斯
(
こ
)
うなったからは私は
引
(
ひく
)
に引かれぬから、お前さん方三人に
掛
(
かゝ
)
られた其の時は是非が
無
(
ね
)
え事じゃが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
斯
(
か
)
うした
地主
(
ぢぬし
)
にばかり
出會
(
であは
)
して
居
(
を
)
れば
文句
(
もんく
)
は
無
(
な
)
いなど
戯
(
たはむ
)
れつゝ、
其方
(
そのはう
)
を
發掘
(
はつくつ
)
に
掛
(
かゝ
)
つたが、
此所
(
こゝ
)
は
未
(
ま
)
だ三
千年
(
せんねん
)
來
(
らい
)
手
(
て
)
のつかぬ
處
(
ところ
)
であつて、
貝層
(
かひそう
)
の
具合
(
ぐあひ
)
が
大變
(
たいへん
)
に
好
(
よ
)
い。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「ええ、うるせえ」と
云
(
い
)
ふよりはやく
飛
(
と
)
び
掛
(
かゝ
)
りました。けれど四十
雀
(
から
)
はもうどこにも
見
(
み
)
えません。ちええ。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
四方の壁に幾十の小さな額が
掛
(
かゝ
)
つて居るが、見渡した所
凡
(
すべ
)
てが近頃の親しい作家の絵
許
(
ばかり
)
であるのは一
奇
(
き
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
あの
額
(
がく
)
の
中
(
なか
)
には『
奉納
(
ほうなふ
)
』といふ
文字
(
もじ
)
と、それを
進
(
あ
)
げた
人
(
ひと
)
の
生
(
うま
)
れた
年
(
とし
)
なぞが
書
(
か
)
いてあるのに
氣
(
き
)
がつきましたか。
父
(
とう
)
さんのお
家
(
うち
)
の
裏
(
うら
)
に
祀
(
まつ
)
つてあるお
稻荷
(
いなり
)
さまの
社
(
やしろ
)
にも、あの
繪馬
(
ゑま
)
がいくつも
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
最
(
も
)
う
其
(
そ
)
の
門
(
もん
)
を
出
(
で
)
はなれて、やがて
野路
(
のみち
)
へ
掛
(
かゝ
)
る
處
(
ところ
)
で、
横道
(
よこみち
)
から
出
(
で
)
て
前
(
まへ
)
へ
來
(
き
)
て
通
(
とほ
)
る
車
(
くるま
)
の
上
(
うへ
)
に、
蒋生
(
しやうせい
)
日頃
(
ひごろ
)
大好物
(
だいかうぶつ
)
の、
素敵
(
すてき
)
と
云
(
い
)
ふのが
乘
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
青山へ
来
(
き
)
て見ると、玄関に
車
(
くるま
)
が二台程あつた。
供待
(
ともまち
)
の車夫は
蹴込
(
けこみ
)
に
倚
(
よ
)
り
掛
(
かゝ
)
つて眠つた儘、代助の通り過ぎるのを知らなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
掛
(
かゝ
)
り
人
(
うど
)
のお半といふのは無類のお人好しで、顏はまづいが氣立ての良い女だ。染五郎とお絹のことといふと夢中になる」
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“掛”を含む語句
引掛
掛合
突掛
仕掛
乗掛
心掛
追掛
倚掛
前掛
願掛
肩掛
行掛
卓子掛
出掛
腰掛
手掛
凭掛
立掛
掛茶屋
差掛
...