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裏戸口
読み方 | 割合 |
うらとぐち | 50.0% |
うらどぐち | 50.0% |
裏戸口の
柹の
木の
下に
据ゑられた
風呂には
牛が
舌を
出して
鼻を
舐めづつて
居る
樣な
焔が
煙と
共にべろ/\と
立つて
燻りつゝ
燃えて
居る。
「
居たかえ」それでも
卯平は
呶鳴つて
見たが
返辭がない。
卯平は
口の
内で
呟いて
裏戸口へ
廻つて
見たら
其處は
内から
掛金が
掛つて
居る。
「おやもうそつちの
方へ
行つたのかい、それぢや
彼處を
叩くんだよ」
内儀さんはいつて
分れた。おつぎは
直に
自分の
裏戸口に
立つた。
彼等はさういふ
夜に
褞袍を
被つて
他人の
裏戸口に
立たねば
成らぬ
必要な
條件を
一つも
有つて
居ない。