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裏戸口
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うらとぐち
裏戸口の
柹の
木の
下に
据ゑられた
風呂には
牛が
舌を
出して
鼻を
舐めづつて
居る
樣な
焔が
煙と
共にべろ/\と
立つて
燻りつゝ
燃えて
居る。
「
居たかえ」それでも
卯平は
呶鳴つて
見たが
返辭がない。
卯平は
口の
内で
呟いて
裏戸口へ
廻つて
見たら
其處は
内から
掛金が
掛つて
居る。
「
何してけつかんだ」と
勘次は
裏戸口から一
同を
驚かして
呶鳴つた。