よこ)” の例文
かぜがなくていいな。」とゆめなかだけれどおもっていたときです。蒸気じょうきポンプのわだちが、あちらのひろとおりをよこほうがったようです。
火事 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、その多分たぶん朝鮮ちようせん支那しなふうつたはつたのでありませうが、よこからはひるながいし部屋へやつかなかつくられることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
又護身の用として余は三尺の秋水しふすゐよこたへ、小西、森下、深井、石田の四君は各「ピストル」を携帯けいたいし、人夫は猟銃れうじう二挺を準備じゆんびしたり。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ものを言う口付くちつきが覚束おぼつかなくてはどこを見ているかはっきりしないで黒くてうるんでいる。今はそれがうしろのよこでちらっと光る。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
實際じつさい地質學ちしつがく研究けんきゆうしてゐる地層ちそうふかさは地表下ちひようか二三里内にさんりないよこたはつてゐるものばかりであつて、醫學上いがくじよう皮膚科ひふかにもおよばないものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
るのがうまいとしたから、ちることもよくちた。本郷ほんがう菊坂きくざか途中とちう徐々やは/\よこちたがてら生垣いけがき引掛ひつかゝつた、怪我けがなし。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんの祖母おばあさんの隱居所いんきよじよになつてた二かい土藏どざうあひだとほりぬけて、うら木小屋きごやはうおり石段いしだんよこに、その井戸ゐどがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
熔融炉の側には、松の樹をたおしたような大電纜だいケーブルが、長々とよこわっていたが、これは忘れられたように誰一人ついているものは無かった。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ぺん宣言書せんげんしよ==其は頭から尻尾しつぽまで、爆發ばくはつした感情の表彰へうしやうで、激越げきえつきはめ、所謂阿父のよこつらたゝき付けた意味のものであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たちまち、なにおそろしいことでもきふおもしたかのやうに、かれかしらかゝへるなり、院長ゐんちやうはうへくるりとけて、寐臺ねだいうへよこになつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
したるとおどろほどくびながくなつてて、まるでそれは、はる眼下がんかよこたはれる深緑しんりよくうみからくきのやうにえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はつと気がいて眼をけて見ると、四辺あたりには朝の光りが一杯に射し込んでゐた。よこぱらを押へてみたが、もう痛みは無くなつてゐた。
四郎五郎しろごろうさんのやぶよこまでかけてると、まだ三百メートルほどはしったばかりなのに、あつくなってたので、上衣うわぎをぬいでしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
わたしりあのSさんのやうにみなさんにもうおわかれです、でもねわたしいまおほきなおほきな丘陵きうりようのやうに、安心あんしんしてよこたはつてゐますのよ。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
腰を折ったり、四つにったり、背中をよこちょにしたり、頭だけ曲げたり、あな恰好かっこうしだいでいろいろに変化する。そうして非常に急ぐ。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
〔譯〕心理しんりは是れたての工夫なり、愽覽はくらんは是れよこの工夫なり。たての工夫は、則ち深入しんにふ自得じとくせよ。よこの工夫は、則ち淺易せんい汎濫はんらんなれ。
『あれ、むかうのみねかすめて、しろい、おおきな竜神りゅうじんさんが、にもとまらぬはやさでよこんでかれる……あのすごいろ……。』
だんだんひどくなって、よこからきつけてくる風を、マサちゃんは不平ふへいそうにながめて、それから決心して、目かくしをして歩きだしました。
風ばか (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
すぎ大木たいぼく西にしたふしたのでづしんとそこらをおそろしくゆるがしておしなにはよこたはつた。えだくぢけてそのさきにはつちをさくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私はくさの中へこしを降ろすと煙草たばこを取り出した。つまも私のよこすわつて落ちついたらしく、くれて行く空のいろながめてゐた。——
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
おなじかくれるにしても、二かいほう用心ようじんがいい。」とおもって、馬吉うまきちは二かいがって、そっとすすだらけなたたみの上にごろりとよこになりました。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
くろおほかみ最惜いとをしげもなくひきつめて、銀杏返いてうがへしのこはれたるやうに折返をりかへ折返をりかへ髷形まげなりたゝみこみたるが、大方おほかたよこりて狼藉らうぜき姿すがたなれども
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よひくちにははしうへ与太よた喧嘩けんくわがあるし、それから私服しふくがうるさく徘徊うろついてゝね、とう/\松屋まつやよこで三にんげられたつてふはなしなんだよ。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
七八間先けんさききざみに渋蛇しぶじゃよこを、一文字もんじ駆脱かけぬけたのもつか、やがてくびすかえすと、おにくびでもったように、よろこいさんでもどった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
漁師りょうしはまだ手足をのばして、ねていました。すると、おかみさんはひじで漁師のよこぱらをつっついて、いいました。
牛の牢という名は、めぐりの石壁いしかべけずりたるようにて、昇降のぼりくだりいとかたければなり。ここに来るには、よこみちを取りて、杉林すぎばやし穿うがち、迂廻うかいしてくだることなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それは油氣あぶらけのないかみをひつつめの銀杏返いてふがへしにつて、よこなでのあとのあるひびだらけの兩頬りやうほほ氣持きもちわるほどあか火照ほてらせた、如何いかにも田舍者ゐなかものらしいむすめだつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
百樹もゝきいはく丁酉の夏北越ほくゑつに遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありときゝて京水とともに至りしに、寺の門のかたはらくひたてよこなが行燈あんどんあり、是にだいしていはく
そして、とうとういつめられて、みよこの家のよこの、ボートがきしにあげられてあるところまで走ってきた。そのむこうは、もう湖水こすいで、ゆきどまり——。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
たとへば日比谷公園ひゞやこうえんよこ道路どうろや、青山赤坂通あをやまあかさかどほりなどにゑてあるすゞげたようなのなる並木樹なみきぎとして立派りつぱなすゞかけのは、あかるい淡緑色たんりよくしよくをしてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
これからはらがだぶだぶになるまでむのです。そしてねむくなると、にじでもくやうなをくび を一つして、ごろりとよこになるのです。とかみなりのやうないびきです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
昼過ひるすぎからすこ生温なまあたゝかかぜやゝさわいで、よこになつててゐると、何処どこかのにはさくらが、霏々ひら/\つて、手洗鉢てあらひばちまはりの、つはぶきうへまでつてる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あの水松いちゐしたで、長々なが/\よこになって、このほらめいたうへひたみゝけてゐい、あなるので、つちゆるんで、やはらいでゐるによって、めばすぐ足音あしあときこえう。
それゆえ、そのとおり、とりはからわぬにおいては、この宮中につかえるたれかれのこらず、夕食ののち、よこぱらをふむことにいたすから、さようこころえよ。
かれはロハ台によこたわりながら、その希望と今の失望との間にはさまった一場の光景をまた思い浮かべた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
左様さやうであらう、ソラ此器これ脈搏みやくはくくんだ、うだグウ/\るだらう。登「エヘヽヽヽくすぐつたうござりますな、左様さやうよこぱら器械きかいをおあてあそばしましては。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
今まで黙って聞いていた神尾主膳が、この時、平手を以て、ピシャリと、無警告で、鐚のよこつらをひっぱたきましたから、不意を食った鐚が驚いたの驚かないの——
充分したゝか打叩うちたゝきければ彼の男よこどうたふされしにぞ其間そのひまに又七と共に殘り二人の惡者わるもの散々さん/″\に打叩きける故みなかなはじと散々ちり/″\にげ行けりされば金は取られずまづ無事に其場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雲はその平地の向うの果である雑木山の上によこたわっていた。雑木山では絶えず杜鵑ほととぎすが鳴いていた。
蒼穹 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
それは気持きもちが悪かった。何かよこぱらへんしわくちゃになったと思うと——やがてそのうちにシャツがやぶれて、もみくたになったという感覚かんかくが、もっとはっきりして来た。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
娘を夜の冒険に送り出して、引返した彦兵衛、行灯あんどんあかりの中に、動物のように乱酔した身体をよこたえた東作を、憎々しく見詰めましたが、いきなりハタと枕を蹴って
こたへて、茶色ちやいろのスエエタアをた、まるまるふとつたからだをよちよちさせながら、敏樹としきべつちひさなまりげた。が、見當けんたうはづれて、それはをつとよこへそれてしまつた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
しかしつぎかた、おれはかへりゆく労働者らうどうしやのすべてのこぶしのうちにぎめられたビラのはし電柱でんちうまへに、倉庫さうこよこに、かぜにはためく伝単でんたんた、同志どうしやすんぜよ
あの貧乏びんぼう百姓ひゃくしょうの、やさしい、まるで母親ははおやのようなほほえみだの、おいのりの十のしるしや、あのくびよこにふりながら、「ほんに、さぞたまげたこったろうになあ、なあぼう
船橋せんけううへから一心いつしん双眼鏡そうがんきやうふねけてつたが、不思議ふしぎだ、わたくし視線しせん彼方かなた視線しせんとがはしなくも衝突しようとつすると、たちま彼男かなた双眼鏡そうがんきやうをかなぐりてゝ、乾顏そしらぬかほよこいた。
しかも消えるように所在知れずになったそれらと、ここにこうして着座したものとに、どれだけの差があるというのか。彼らの前にも同じ道がよこたわっているのではないか。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
さてはよこにひく車戸くるまどかと、諸手もろてをかけてこころみたが、ぎしッといっただけで一すんひらかばこそ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
製作形状せいさくけいじやう等に付ては土器の事を言ふりに細説さいせつすべけれど、大概たいがいを述ぶれば其全体ぜんたいは大なる算盤玉そろばんだまの如くにしてよこ卷煙草まきたばこのパイプをみぢかくせし如き形のぎ出し口付きたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
いづれも渋々しぶ/\食堂しよくだうりて、れいつてうまくもなんともない晩餐ばんさん卓子テーブルく。食事しよくじがすんでまた甲板かんぱんると、すでにとツぷりとれて、やツとのことでふね桟橋さんばしよこづけになつたらしい。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
人車じんしや徐々じよ/\として小田原をだはらまちはなれた。ぼくまどからくびしてる。たちまちラツパをいさましくてゝくるま傾斜けいしやぶやうにすべる。そら名殘なごりなくれた。海風かいふうよこさまにまどきつける。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)