およ)” の例文
けら殿どのを、ほとけさんむし馬追蟲うまおひむしを、鳴聲なきごゑでスイチヨとぶ。鹽買蜻蛉しほがひとんぼ味噌買蜻蛉みそがひとんぼ考證かうしようおよばず、色合いろあひもつ子供衆こどもしう御存ごぞんじならん。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これにはいし大小だいしよう種々しゆ/″\ありますが、おほきなものになるとえん直徑ちよつけい一町いつちようくらゐもあり、いしたかさは二三十尺にさんじつしやくおよぶものもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「おっと、御念ごねんにはおよばねえ。おかみゆるしておくんなさりゃァ、棒鼻ぼうはなへ、笠森かさもりおせん御用駕籠ごようかごとでも、ふだててきてえくらいだ」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私もおよばずながら、それに学びたいと思っている。実は、白状すると、私もこの話を知るまでは、なかなか決心がつかなかったがね。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
いまかならずしも(六四)其身そのみこれもらさざるも、しかも((説者ノ))((適〻))かくところことおよばんに、かくごとものあやふし。
實際じつさい地質學ちしつがく研究けんきゆうしてゐる地層ちそうふかさは地表下ちひようか二三里内にさんりないよこたはつてゐるものばかりであつて、醫學上いがくじよう皮膚科ひふかにもおよばないものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
これで病附やみついた東皐子とうくわうしは、翌日よくじつ徒弟とていおよ穴掘あなほり老爺おやぢ同行どうかうして、さかんに發掘はつくつし、朝貌形完全土器あさがほがたくわんぜんどきしたなどは、茶氣ちやき滿々まん/\である。
そして、毎晩あんなに美しい話を聞かせてくれたり、すばらしい絵を見せてくれたりした、偉大いだいな友だちのことに思いおよびました。
𤍠あついところからさむ地方ちほうくにつれて、そこに生育せいいくしてゐる樹木じゆもく種類しゆるいおよ森林しんりんかたち各々おの/\ことなつてゐる、とはいまはおはなししました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
ヂュリ 誓言せいごんにはおよびませぬ。また誓言せいごんなさるなら、わたしが神樣かみさまともおもふおまへをおけなされ、すればお言葉ことばしんじませう。
吾等われ/\この危難きなんからすくいだことは、大佐たいさ智惠ちゑでもとておよばぬのであらうと、わたくしふかこゝろけつしたが、いま塲合ばあひだからなにはない。
草木さうもくおよ地上ちじやうしもまばたきしながらよこにさうしてなゝめけるとほ西にし山々やま/\ゆき一頻ひとしきりひかつた。すべてをつうじて褐色かつしよくひかりつゝまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聞居られしが其後そののちかれが弟願山の事におよび江戸表のてらは何方の徒弟とていなるやとたゞさるゝに至りて多兵衞はハツと心付おほいに狼狽うろたへ樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
カントの超絶てうぜつ哲学てつがく余姚よよう良知説りやうちせつだいすなはだいなりといへども臍栗へそくりぜに牽摺ひきずすのじゆつはるかに生臭なまぐさ坊主ばうず南無なむ阿弥陀仏あみだぶつおよばず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
こそならべてたしとわれすらおもふに御自身ごじしんなほなるべしおよぶまじきこと打出うちだして年頃としごろなかうとくもならばなにとせんそれこそはかなしかるべきを
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其所そこれい唱歌しやうか一件いつけんだがね、ぼく色々いろ/\かんがへたが今更いまさら唱歌しやうかにもおよぶまいとおもふのだ如何どうだらう。『ろ』で澤山たくさんじやアないか。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
女はおよごしになって、立て切った障子しょうじを、からりとける。内はむなしき十畳敷に、狩野派かのうは双幅そうふくが空しく春のとこを飾っている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
およびその右手のこととて、彼にのり移るのも不思議はなかったが、その後一時平静にかえったシャクが再び譫言を吐き始めた時、人々はおどろいた
狐憑 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「わしの力にはおよばないよ」と、死神がこたえました、「まず、一つ消えてからでないと、新しいのは燃えださないのでな」
とはいえ、わたしはその時、そんなことは気にもとめずに聞き流した。公爵などという肩書かたがきは、ほとんどなんの作用もわたしにおよぼさなかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
「どうか許して下さい。私は馬鹿です。あなた方のかみの毛一本にもおよびません。きっと心を改めてこのおわびはいたします。きっといたします。」
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ヘルンが学校に行ってる間、夫人はひまぬすんで熱心に読書をし、手のおよぶ限り、日本の古い伝説や怪談の本をあさりよんだ。
じつはここがそちの修行場しゅぎょうばなのじゃ。モーべつした岩屋いわやかえるにもおよばぬ。早速さっそく内部なかはいってるがよい。なにも一さいそろえてあるから……。
あはれなるかな吾友わがともよ、我のラサ府にありし時、その身につみのおよばんを、知らぬこころゆわがために、つくせし君をわれいかに、てゝや安くすごすべき
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
昔の日本の学者は芭蕉ばしょうの本物を知らなかったので、そこでこの芭蕉ばしょうの字を濫用らんようし、それがもとでバショウの名がつけられ今日こんにちおよんでいるのである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ムヽー、あれだけの手当てあておよんでも息が出んとまうせば最早もはやまつた命数めいすうきたのかも知れぬて、うしてもかぬか。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
二十五六さいころより毎日まいにち朝夕てうせき實行じつかうして、七十七さい今日こんにちおよび、爾來じらい數十年間すうじふねんかん頭痛づつうわすれ、健全けんぜんとなり、感冐かんばうをかされたることいま一度いちどもあらず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
そしてその病床には最も忠実な弟子であったヴィヴィアニおよびトリチェリが絶えず傍に侍していたということです。
ガリレオ・ガリレイ (新字新仮名) / 石原純(著)
御心配ごしんぱいにはおよびません。今日きょうから七日なのか日限にちげんのつきないうちに、きっとむすめさんをたすけることができるだろうとおもいますから、安心あんしんしてっていてください。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このへん飾馬考かざりうまかんがへ』『驊騮全書くわりうぜんしよ』『武器考證ぶきかうしよう』『馬術全書ばじゆつぜんしよ』『鞍鐙之辯くらあぶみのべん』『春日神馬繪圖及解かすがしんばゑづおよびげ』『太平記たいへいきおよ巣林子さうりんし諸作しよさくところおほあへ出所しゆつしよあきらかにす
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
ウィリアムだいせい其人そのひと立法りつぱふ羅馬ローマ法皇はふわう御心みこゝろかなひ、たちまちにして首領しゆれう必要ひつえうありし英人えいじんしたがところとなり、ちかくは纂奪さんだつおよ征服せいふくほしひまゝにするにいたりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かん支那しな建築けんちく木材もくざいせんいしとの混用こんようであるが、これもにおける木材もくざい比較的ひかくてき貧少ひんせうであるのと、石材せきざいおよせんてきする材料ざいれう豊富ほうふであるがためである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
菜摘邨来由なつみむららいゆ」と題する巻物が一巻、義経公より拝領の太刀たち脇差わきざし数口、およびその目録、つばうつぼ陶器とうき瓶子へいし、それから静御前よりたまわった初音はつねつづみ等の品々。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
利根とね水源すゐげん確定かくていし、越後えちごおよ岩代いわしろ上野かうずけの国境をさだむるを主たる目的もくてきとなせども、かたは地質ちしつ如何いかん調査てうさし、将来しやうらい開拓かいたくすべき原野げんやなきやいなや良山林りやうさんりんありやいなや
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
これ廿にぢう四年の六月が初刊しよかんであつたが、例の九号にもおよばずしてまためてしまつたのです、小栗風葉をぐりふうえふの会員のうちから出たので、たくに来たのは泉鏡花いづみきやうくわさきですが
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
寢食しんしよくことまをすにおよばず、器物きぶつ取扱とりあつかひことみづこと掃除さうぢこと其外そのほかさい仕事しごとくわんしてみん銘々めい/\獨立心どくりつしんつておこなへば自然しぜん責任せきにんおもんずるやうになる。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
そこにはわたしおよわたし周圍しういをなした人たちや旅の風けいなどの過去くわこの一めん々々が、あざやかに記録きろくされてゐる。
フランスおよびフランス人をよく知るぼくには——もちろんフランス人にも日本人として僕が同感しねる性情も多分たぶんにありますが——それが実に明白に理解されます。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
およばずながら私がお道すじをご案内申しあげたいと存じまして、お迎えにまいりましたのでございます
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
斯くする事數回におよべば、各の紐夫々に延びて、全体の形、あたか車輪しやりんの如くにりて勢好く廻轉す。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
すると吉宗、何を思ったか、いきなりおよび腰に自ら扇子せんすで御簾をはねると、ぬっと顔を突き出した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そこにあざやかにえがき出された一少年の不思議な「はつ恋」の体験のいきさつは、その底に作者自身の一生を支配した宿命的なのろいの裏づけがあることを知るにおよんで
「はつ恋」解説 (新字新仮名) / 神西清(著)
根葉ねはからちけば、昨年こぞ今年ことしなてや、首里しゆりをさめならぬ、那覇なはをさめならぬ、御百姓おひやくしやうのまじりかつじにおよで、御願おねげてる御願おねげたかべてるたかべ、肝揃きもそろてゝ、肝揃きもそろげは
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
それゆゑ濱口内閣はまぐちないかく出來できたときはすで昭和せうわ年度ねんどの四ぶんの一を經過けいくわしてつたにかゝはらず、實行豫算じつかうよさんうへに一ぱん會計くわいけいおよ特別會計とくべつくわいけいあはせて一おく四千七百萬圓程まんゑんほど節約せつやくをなして
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
拭掃除ふきさうじ面倒也めんどうなり、お茶拵ちやごしらへも面倒也めんどうなり内職婦人ないしよくふじんの時をおしむこと、金をおしむよりもはなはだしくそろ煮染にしめ行商ぎやうせふはこれがためおこりて、中々なか/\繁昌はんじやうと聞きおよ申候まうしそろ文明的ぶんめいてきそろ(二十日)
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
其外そのほか便利べんりは一々かぞあぐるにおよばざることなり。たゞ此後このゝち所謂いはゆる晦日みそかつきることあるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
さうおもつてわたしはまだ自分じぶんにはかくされてゐる太陽たいやう笑顏ゑがほ想像さうざうなかさがもとめた。けれどもわたしはそれをさうながつにはおよばなかつた。小松こまつ刻々こく/\かゞやきをしてつた。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しかし、十一さいのときに父を失うにおよんで、この幸福のゆめもはかなく消え去ってしまった。
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
ふのは、たゞたんどもたちのためにとばかりではく、わたしは此等これらのはなしのなか人生じんせい社會しやくわいおよびその運命うんめい生活せいくわつくわんする諸問題しよもんだい眞摯まじめにとりあつかつてみたからであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
しかしそれも、けっしてくつらしくはてをらずに、このほがらかな調子ちようしに、たまのようにつゝまれて、たゞつきひかりに、およかりれつうごかされた氣分きぶんとして、むねれてます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)