“双幅”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
そうふく80.0%
さうふく20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
女はおよごしになって、立て切った障子しょうじを、からりとける。内はむなしき十畳敷に、狩野派かのうは双幅そうふくが空しく春のとこを飾っている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
何やら双幅そうふくのかかった床の間を背に、くつろいだ御紋付きの着流し、燭台の灯にお湯あがりの頬をテラテラ光らせて、小高い膝をどっしりとならべているのは
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
彼の書斎には石刷いしずりを貼つた屏風びやうぶと床にかけた紅楓こうふう黄菊くわうぎく双幅さうふくとの外に、装飾らしい装飾は一つもない。壁に沿うては、五十に余る本箱が、唯古びた桐の色を、一面に寂しく並べてゐる。
戯作三昧 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
其時そのとき目出度めでたいからとふので、客間きやくまとこにはかならとら双幅さうふくけた。これ岸駒がんくぢやない岸岱がんたいだとちゝ宗助そうすけつてかせたことがあるのを、宗助そうすけはいまだに記憶きおくしてゐた。このとらにはすみいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)