あい)” の例文
世界せかい植物しょくぶつあいするひとたちで、おそらく、わたしをっていないものはあるまいね。わたしは、みなみあたたかなしまはやしなかそだちました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
早稻田わせだたものは早稻田わせだあいし。大學だいがくたものは大學だいがくあいするのは當然たうぜんで、諸君しよくんかなら其出身そのしゆつしん學校がくかうあいほこらるゝでしよう。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
蝙蝠かうもりねこべるかしら?』なんてひました、それであいちやんは、どつちがうとも其質問そのしつもんこたへることが出來できませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
人の正義をあいすることは丁度ちょうど鳥のうたわないでいられないと同じだ。セララバアド。お前は何か言いたいように見える。ってごらん。
現世げんせ夫婦ふうふならあいよくとの二筋ふたすじむすばれるのもむをぬが、一たん肉体にくたいはなれたうえは、すっかりよくからははなれてしまわねばならぬ。
ことわりになる理由としてあの人の言われたのは——そう、こうです、——わたしはあの子をあいしている、あの子もわたしを愛している。
もしも王子が、その絵姿えすがたをひと目でも見れば、たちまちその王女へのはげしいあいを心に感じて、気をうしなって、たおれてしまうだろう。
おんなにもしてみたいほどのいろしろで、やさしいまゆ、すこしひらいたくちびるみじかいうぶのままのかみ子供こどもらしいおでこ——すべてあいらしかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かれはかくも神経質しんけいしつで、その議論ぎろん過激かげきであったが、まち人々ひとびとはそれにもかかわらずかれあいして、ワアニア、と愛嬌あいきょうもっんでいた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これで顔にむこうッきずでもあれば、うってつけの服装つくりなんですが、それこそ、辻のお地蔵さんへあげるお饅頭みたいな、あいくるしい顔だ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「まあ御金持おかねもちね。わたし一所いつしよれてつて頂戴ちやうだい」とつた。宗助そうすけあいすべき細君さいくんのこの冗談じようだんあぢは餘裕よゆうたなかつた。眞面目まじめかほをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それだのにおなゆきいたゞいたこゝのひさしは、彼女かのぢよにそのつたこゝろあたゝめられて、いましげもなくあいしづくしたゝらしてゐるのだ。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
けれども、ふゆ鳥打帽とりうちばうかむつた久留米絣くるめがすり小僧こぞうの、四顧しこ人影ひとかげなき日盛ひざかりを、一人ひとりくもみねかうして勇氣ゆうきは、いまあいする。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あいするところ((ノ人))をろんずればすなはもつ(七五)るとせられ、にくところ((ノ人))をろんずれば、すなはもつおのれこころむとせらる。
あいしてだいじにするのか、運動の習慣しゅうかんでだいじにするのか、いささか分明ぶんめいくのだが、とにかく牛をだいじにすることはひととおりでない。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
しき夫人おくがたむかへたまひぬともあいらしきちごうまたまふとものつらさがおもはるゝぞとてほろ/\と打泣うちなけばお八重やへかなしく
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのちゝと子の心と心とが歔欷きよきの中にぴつたり抱き合ふ瞬間しゆんかん作者さくしやの筆には、恐ろしい程眞實しんじつあい發露はつろするどゑがき出してゐるではありませんか。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わたくしはしなくも、昨夜ゆふべローマからの滊車きしやなかんだ『小公子リツトルロー、トフオントルローイ』といふ小説せうせつちうの、あのあいらしい/\小主人公せうしゆじんこう聯想れんさうした。
まだかほは見えぬけれど着物の色さいで少女と知れる姿すがたが現はれると、自分のあい人ではないかと思つて見たりするのである。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
ふところにいだき入んとするにしうとめかたはらよりよくのませていだきいれよ、みちにてはねんねがのみにくからんと一言ひとことことばにもまごあいするこゝろぞしられける。
嗚呼ああ、先生なんぞ予をあいするの深くしてせつなるや。予何の果報かほうありて、かかる先生の厚遇こうぐうかたじけのうして老境ろうきょうなぐさめたりや。
ロミオ わし無禮ぶれいをしたおぼえはない、いや、その仔細しさいわかるまではとて會得ゑとくのゆかぬほどわし足下きみあいしてゐるのぢゃ。
世界中せかいじゅう人々ひとびとがみなおたがいあいしあい、そして力強ちからづよきてゆくこと、それがかれ理想りそうであり、そしてかれはいつも平和へいわ自由じゆう民衆みんしゅうとの味方みかたであります。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
それはとりもなほさず樹木じゆもくあいし、いてはやまをもあいすることになつて、國家こつか安榮あんえいをつくることになるからです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
あね小柄こがらの、うつくしいあいらしいからだかほ持主もちぬしであつた。みやびやかな落着おちついた態度たいど言語げんごが、地方ちはう物持ものもち深窓しんそうひととなつた処女しよぢよらしいかんじを、竹村たけむらあたへた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
かれ與吉よきちせま戸口とぐちごとこゝろからむかへる以前いぜん卯平うへいではなくなつてた。それでもかれ與吉よきちあいしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
菊村宮内きくむらくないはおなじ日に、卜斎ぼくさいわかれをげ、花や供物くもつにかざられた笈摺おいずると、かがやく秋のにして、きのうのごとく、地蔵菩薩じぞうぼさつあいたびにたっていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
下野しもつけの国のある里の法師が、十二三歳の童児をちょうあいしていたところ、その童児がやまいために死んでしまったので
百面相役者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ねこふことは不道徳ふだうとくだと觀念かんねんしてゐる、だからこのあいらしい純情じゆんぜうなおまへつてやるわけにはかない。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
〔譯〕惻隱そくいんの心へんすれば、民或はあいおぼれ身をおとす者有り。羞惡しうをの心偏すれば、民或は溝涜かうとく自經じけいする者有り。辭讓じじやうの心偏すれば、民或は奔亡ほんばう風狂ふうきやうする者有り。
おもて入口いりくちには焦茶地こげちやぢ白抜しろぬきで「せじや」と仮名かなあらは山形やまがたに口といふ字がしるしついところ主人あるじはたらきで、世辞せじあきなふのだから主人あるじ莞爾にこやかな顔、番頭ばんとうあいくるしく
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
罌粟けしはなあいの疲のねむり、片田舍の廢園。蓬生よもぎふなかに、ぐつすりねむるまろ寢姿ねすがた——靴のおとにも眼が醒めぬ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
どもたちをおもひあいすることによつて、わたしはわたしの苦惱くるしみにみちみてる生涯しやうがいきよく、そしてうつくしい日々ひゞとしてすごすでせう。これはおほきな感謝かんしやであります。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
彼等かれらてんぷらをあいするやうに「しるこ」をもかならず——あいするかどうかは多少たしよう疑問ぎもんはあるにもせよ、かくおうはすすめて價値かちのあることだけはたしかであらう。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
... ただの江戸えどであるよりも生粹きつすゐとつけたはうよろこぶらしい)それから、その——(をつとといつていゝか、つばめ?——すこし、禿はげすぎてゐるが)あいする於莵吉おときちは十一も齡下としした
およそ文章ぶんしょうでは書きあらわせないような、まことにあいすべき、一しゅ特別とくべつな想像力をもっていたのだ。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
如何いか樣にも致し無者なきものにして我が子すけ五郎に家督かとくゆづり度思ふにより力をそへくれる樣にとのたのみに付我が子のあいまよふは凡夫のつねとは申ながらさては斯る巧みの有故に私し儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
儂が村の人になり切れぬのは事実である。然し儂が少しも村をあいしないと云うのはうそである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それきたれるはひとをそのちちより、むすめをそのははより、よめをその姑嫜しゅうとめよりわかたんためなり。ひとあだは、そのいえものなるべし。われよりもちちまたはははあいするものは、われ相応ふさわしからず。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)
カラスたちは、スモーランドの上を南西なんせいにむかって飛びつづけました。うららかにれわたった、あたたかい朝でした。地上の鳥たちは、やさしいあいうたをうたっていました。
但馬守たじまのかみ玄竹げんちくあいしたのは、玄竹げんちく岡部美濃守をかべみののかみ頓死とんし披露ひろうするにもつと必要ひつえう診斷書しんだんしよを、なんもとむるところもなく、淡白たんぱくあたへたといふこゝろ潔白けつぱくつたのがだい一の原因げんいんである。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
同月どうげつ十七にち、いよ/\發掘はつくつこととしたが家人かじん其状態そのじやうたいたいといふので、らば其用意そのえういしてくべしとて、さいとに糧食れうしよくたづさへさせ、あいする親族しんぞくの六さい幼女えうぢよ
あいするおまへちゝ、おまへはゝ、おまへつま、おまへ、そしておほくのおまへ兄妹きやうだいたちが、土地とちはれ職場しょくばこばまれ、えにやつれ、しばり、こぶしにぎって、とほきたそらげるにくしみの
質朴しつぼくあいするに堪へたり、余炉辺にし一客にふて曰く、是より山奥にいたらば栗樹くりありや否、余等一行探検たんけん中途ちうとにして飢餓きがおちゐることあらん乎、栗等の果実くわじつりて餓死がしのがれんとすと
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
あいする花子アナコ。貴女はわしの意中を理解されたようだ。このバルザック像であるが、わしはわしの生命の影が欲しいのだ。小さい花子プチト・アナコ。わしは貴女を愛する。貴女によって、わしはわしの生命の影を
バルザックの寝巻姿 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
またたまからだにつけてかざ風習ふうしゆうは、世界せかいいづれのくににもありますが、日本につぽん支那しななどにくらべて、よけいにたまあいしたとえて、支那しなはかからはそれほどたくさんのたま發見はつけんせられることはありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
飮酒いんしゆかの非職官吏ひしよくくわんりころしつゝあるにあらずや非職官吏ひしよくくわんり放蕩懶惰はうとうらんだそのあいらしきつまころしつゝあるにあらずやその無邪氣むじやきむすめころしつゝあるにあらずや、婬賣と名け肺病と名け、※慢と名つくるもの
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
この燃え立って取り巻くのは、あいか、にくみか。
努力ぬりきわかやぎ、またあい華座けざはここに。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ああただめよ、くるすのあいしるしを。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)