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席
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せき
ふりがな文庫
“
席
(
せき
)” の例文
私
(
わたくし
)
は
漸
(
やうや
)
くほつとした
心
(
こころ
)
もちになつて、
卷煙草
(
まきたばこ
)
に
火
(
ひ
)
をつけながら、
始
(
はじめ
)
て
懶
(
ものう
)
い
睚
(
まぶた
)
をあげて、
前
(
まへ
)
の
席
(
せき
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
してゐた
小娘
(
こむすめ
)
の
顏
(
かほ
)
を一
瞥
(
べつ
)
した。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ほうぼうからうらやましがるような
声
(
こえ
)
が
起
(
お
)
こった。
小泉
(
こいずみ
)
は、うれしそうに、またすまなさそうに、
自分
(
じぶん
)
の
席
(
せき
)
へもどったのであります。
生きぬく力
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「とう/\
雪子
(
ゆきこ
)
に
負
(
ま
)
けた」と
席
(
せき
)
を
外
(
はづ
)
して、
宗助
(
そうすけ
)
の
方
(
はう
)
を
向
(
む
)
いたが、「
何
(
ど
)
うです
又
(
また
)
洞窟
(
とうくつ
)
へでも
引
(
ひ
)
き
込
(
こ
)
みますかな」と
云
(
い
)
つて
立
(
た
)
ち
上
(
あ
)
がつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところがキッコは
席
(
せき
)
も一番前のはじで胆取りにしてはあんまり小さく巡査にも弱かったものですからその中にはいりませんでした。
みじかい木ぺん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今
(
いま
)
敵國
(
てきこく
)
深
(
ふか
)
く
侵
(
をか
)
して、
邦内
(
はうない
)
騷動
(
さうどう
)
し、
士卒
(
しそつ
)
、
境
(
さかひ
)
に
(一七)
暴露
(
ばくろ
)
す。
君
(
きみ
)
寢
(
い
)
ねて
席
(
せき
)
を
安
(
やす
)
んぜず、
食
(
くら
)
うて
味
(
あぢはひ
)
を
甘
(
あま
)
しとせず。百
姓
(
せい
)
の
命
(
めい
)
皆
(
みな
)
君
(
きみ
)
に
懸
(
か
)
かる。
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
▼ もっと見る
吃驚
(
びつくり
)
して、
取
(
と
)
つて、すつと
上
(
うへ
)
へ
引
(
ひ
)
くと、
引
(
ひ
)
かれた
友染
(
いうぜん
)
は、
其
(
そ
)
のまゝ、
仰向
(
あふむ
)
けに、
襟
(
えり
)
の
白
(
しろ
)
さを
蔽
(
おほ
)
ひ
余
(
あま
)
るやうに、がつくりと
席
(
せき
)
に
寝
(
ね
)
た。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
道満
(
どうまん
)
と
晴明
(
せいめい
)
が
右左
(
みぎひだり
)
に
別
(
わか
)
れて
席
(
せき
)
につきますと、やがて
役人
(
やくにん
)
が四五
人
(
にん
)
かかって、
重
(
おも
)
そうに大きな
長持
(
ながもち
)
を
担
(
かつ
)
いで
来
(
き
)
て、そこへすえました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
奈美子
(
なみこ
)
は
白
(
しろ
)
い
布
(
きれ
)
で
頭
(
あたま
)
をくる/\
捲
(
ま
)
いて、
寂
(
さび
)
しい
彼
(
かれ
)
の
送別
(
そうべつ
)
の
席
(
せき
)
につれ
出
(
だ
)
されて、
別室
(
べつしつ
)
に
待
(
ま
)
たされてゐたことなぞも、
仲間
(
なかま
)
の
話柄
(
わへい
)
に
残
(
のこ
)
された。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
書記が一人であとの
席
(
せき
)
を
占領
(
せんりょう
)
していた。マチアはかれが
御者
(
ぎょしゃ
)
に向かって、ベスナル・グリーンへ馬車をやれと言いつけているのを聞いた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「それじゃきょうじゅうに東京へいけばえい。二、三
席
(
せき
)
勝負
(
しょうぶ
)
してからでかけても
遅
(
おそ
)
くはない。うまくいって
逃
(
に
)
げようたってそうはいかない」
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
呼立る時大岡殿
席
(
せき
)
を進まれ是迄段々吟味を
遂
(
とげ
)
し通り最早其方
罪
(
つみ
)
に伏したるやと云れしかば憑司は
左右
(
さう
)
恐
(
おそ
)
れぬ
體
(
てい
)
にて私し悴を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
灰
(
はい
)
かぶりがこの着物をきて、
宴会
(
えんかい
)
の
席
(
せき
)
にあらわれますと、だれもかれもがその美しさにあっとおどろいてしまいました。
灰かぶり
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
光一の胸に
憐愍
(
れんびん
)
の情が一ぱいになった。かれは自分の解説があやまっていないかをたしかめるために
控
(
ひか
)
え
席
(
せき
)
へと急いだ。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
卯平
(
うへい
)
を
横
(
よこた
)
へた
筵
(
むしろ
)
は
誰
(
たれ
)
も
取
(
と
)
りには
來
(
こ
)
なかつた。
筵
(
むしろ
)
は三
人
(
にん
)
に
席
(
せき
)
を
與
(
あた
)
へた。
勘次
(
かんじ
)
は
失火
(
しつくわ
)
に
就
(
つ
)
いて
與吉
(
よきち
)
から
要領
(
えうりやう
)
を
得
(
え
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
誰
(
た
)
が
目
(
め
)
に
覺
(
おぼ
)
えて
知
(
し
)
るものぞ
松澤
(
まつざは
)
の
若大將
(
わかたいしやう
)
と
稱
(
たゝ
)
へられて
席
(
せき
)
を
上座
(
かみくら
)
に
設
(
まう
)
けられし
身
(
み
)
が
我
(
わ
)
れすらみすぼらしき
此服裝
(
このなり
)
よしや
面
(
おもて
)
に
覺
(
おぼ
)
えが
有
(
あ
)
ればとて
他人
(
たにん
)
の
空肖
(
そらに
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はじめてじぶんにかえったようなゆとりが心にわいてきた。
席
(
せき
)
におさまると、
出席簿
(
しゅっせきぼ
)
をもったまま
教壇
(
きょうだん
)
をおり
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
壇
(
だん
)
の上には
席
(
せき
)
をまうけて
神酒
(
みき
)
をそなへ、此町の長たるもの礼服をつけて
拝
(
はい
)
をなし、所繁昌の幸福をいのる。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
すると
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
、
鎌倉
(
かまくら
)
のある
所
(
ところ
)
に、
能狂言
(
のうきょうげん
)
の
催
(
もよう
)
しがありまして、
親子
(
おやこ
)
三
人
(
にん
)
連
(
つ
)
れでその
見物
(
けんぶつ
)
に
出掛
(
でか
)
けました
折
(
おり
)
、
不図
(
ふと
)
間近
(
まじか
)
の
席
(
せき
)
に
人品
(
じんぴん
)
の
賎
(
いや
)
しからぬ
若者
(
わかもの
)
を
見
(
み
)
かけました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
紀
(
こつな
)
さへ
席
(
せき
)
を
遠
(
とほ
)
ざけられて、
何
(
なに
)
かしら
込
(
こ
)
み
入
(
い
)
つた
話
(
はなし
)
のありさうなのを、
玄竹
(
げんちく
)
は
氣
(
き
)
がかりに
思
(
おも
)
ひつゝ、
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
かぬ
腰
(
こし
)
を
無理
(
むり
)
から
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けて、
天王寺屋
(
てんわうじや
)
、
米屋
(
よねや
)
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
いろ/\の
厚
(
あつ
)
き
待遇
(
もてなし
)
を
受
(
う
)
けた
後
(
のち
)
、
夜
(
よる
)
の八
時
(
じ
)
頃
(
ごろ
)
になると、
當家
(
たうけ
)
の
番頭
(
ばんとう
)
手代
(
てだい
)
をはじめ
下婢
(
かひ
)
下僕
(
げぼく
)
に
至
(
いた
)
るまで、
一同
(
いちどう
)
が
集
(
あつま
)
つて
送別
(
そうべつ
)
の
催
(
もようし
)
をする
相
(
さう
)
で、
私
(
わたくし
)
も
招
(
まね
)
かれて
其
(
その
)
席
(
せき
)
へ
連
(
つら
)
なつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
エー
若春
(
わかはる
)
の事で、
却
(
かへ
)
つて
可笑
(
をかし
)
みの
落話
(
おとしばなし
)
の
方
(
はう
)
が
宜
(
い
)
いと
心得
(
こゝろえ
)
まして一
席
(
せき
)
伺
(
うかゞ
)
ひますが、
私
(
わたくし
)
は誠に
開化
(
かいくわ
)
の事に
疎
(
うと
)
く、
旧弊
(
きゆうへい
)
の事ばかり
演
(
や
)
つて
居
(
を
)
りますと、
或
(
あ
)
る
学校
(
がつかう
)
の
教員
(
けうゐん
)
さんがお
出
(
い
)
でで
西洋の丁稚
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
先生はほかの学科よりも、
地理
(
ちり
)
のことをやかましく言うようです。そのとき、先生は
教壇
(
きょうだん
)
からおりてきて、ニールスの手から
棒
(
ぼう
)
を取りあげると、ニールスを
席
(
せき
)
にかえしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
先
(
ま
)
づ
裁判官
(
さいばんくわん
)
の
席
(
せき
)
を
見
(
み
)
、それから
大急
(
おほいそ
)
ぎで
蜥蜴
(
とかげ
)
を
逆
(
さか
)
さまに
置
(
お
)
きました。
憐
(
あは
)
れな
小
(
ちひ
)
さな
物
(
もの
)
は、
全
(
まつた
)
く
自由
(
じゆう
)
に
動
(
うご
)
くことが
出來
(
でき
)
ないので、
只
(
たゞ
)
悲
(
かな
)
しさうに
其尾
(
そのを
)
ばかり
振
(
ふ
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
あるいは一
席
(
せき
)
の歌を
聴
(
き
)
いて、その声が善ければその音声のために感情を動かされて、他のことにはなにも眼をくれない、ついに
蓄音器
(
ちくおんき
)
の代用たるべき者のために身を誤ったりする。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
席
(
せき
)
には、昌仙以外にも、人穴城から落ちのびてきた
野武士
(
のぶし
)
もあり、あらたに加わったやくざ
浪人
(
ろうにん
)
もいならんでその数四、五十人、
呂宋兵衛
(
るそんべえ
)
のお
流
(
なが
)
れをいただきながらどれもこれも
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
和田先生は持
點
(
てん
)
八十
點
(
てん
)
だが、五十前後の年
輩
(
はい
)
の方には
珍
(
めづら
)
しい
奇麗
(
きれい
)
な、こまかな
突
(
つ
)
き
振
(
ふ
)
りをされる。しかも、やや
淫
(
いん
)
するといへるほどの
熱
(
ねつ
)
心家で、
連夜
(
れんや
)
殆
(
ほとん
)
ど出
席
(
せき
)
を
欠
(
か
)
かされた事がなかつた。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
その車もよく空いてゐたので眞中所の
窓際
(
まどぎは
)
の
席
(
せき
)
に
腰
(
こし
)
を
卸
(
おろ
)
し、
窓
(
そう
)
外に
眼
(
め
)
を
放
(
はな
)
つた。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
南洲は
素
(
も
)
と
飮
(
いん
)
を
解
(
かい
)
せず、
強
(
し
)
ひて之を
盡
(
つく
)
す、
忽
(
たちま
)
ち
酩酊
(
めいてい
)
して
嘔吐
(
おうど
)
席
(
せき
)
を
汚
(
けが
)
す。東湖は南洲の
朴率
(
ぼくそつ
)
にして
飾
(
かざ
)
るところなきを見て
酷
(
はなは
)
だ之を
愛
(
あい
)
す。嘗て曰ふ、他日我が志を
繼
(
つ
)
ぐ者は獨此の少年子のみと。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
律師
(
りし
)
席
(
せき
)
に
入
(
いつ
)
て
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
旅人
(
たびびと
)
たちはしずかに
席
(
せき
)
に
戻
(
もど
)
り、
二人
(
ふたり
)
も
胸
(
むね
)
いっぱいのかなしみに
似
(
に
)
た新しい
気持
(
きも
)
ちを、何気なくちがった
語
(
ことば
)
で、そっと
談
(
はな
)
し合ったのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
此時
(
このとき
)
堂上
(
だうじやう
)
の
僧
(
そう
)
は
一齊
(
いつせい
)
に
合掌
(
がつしやう
)
して、
夢窓國師
(
むさうこくし
)
の
遺誡
(
ゐかい
)
を
誦
(
じゆ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
思
(
おも
)
ひ/\に
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つた
宗助
(
そうすけ
)
の
前後
(
ぜんご
)
にゐる
居士
(
こじ
)
も
皆
(
みな
)
同音
(
どうおん
)
に
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ母と弟にはまだ
内証
(
ないしょう
)
にしてあった。もう一人この
席
(
せき
)
にだいじな人が
欠
(
か
)
けていた。それはあの気のどくなヴィタリス親方。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
先刻
(
さつき
)
美
(
うつく
)
しい
人
(
ひと
)
が
脇
(
わき
)
へ
来
(
き
)
て
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つたが、
言葉
(
ことば
)
が
通
(
つう
)
じないことがわかつたところで、
今
(
いま
)
一
人
(
り
)
の
日本語
(
にほんご
)
のよく
話
(
はな
)
せるお
転婆
(
てんば
)
さんらしい
女
(
おんな
)
と
入替
(
いれかわ
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうしたらいくらずうずうしい
鉢
(
はち
)
かつぎでも、みっともない
姿
(
すがた
)
を
恥
(
は
)
じて、お
嫁合
(
よめあ
)
わせの
席
(
せき
)
に出るまでもなく、
自分
(
じぶん
)
から
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して行くでしょう。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
當日
(
たうじつ
)
、
席
(
せき
)
でも
聞合
(
きゝあは
)
せたが、
居合
(
ゐあ
)
はせた
婦人連
(
ふじんれん
)
が
亦
(
また
)
誰
(
たれ
)
も
知
(
し
)
らぬ。
其
(
そ
)
の
癖
(
くせ
)
、
佳薫
(
いゝかをり
)
のする
花
(
はな
)
だと
云
(
い
)
つて、
小
(
ちひ
)
さな
枝
(
えだ
)
ながら
硝子杯
(
コツプ
)
に
插
(
さ
)
して
居
(
ゐ
)
たのがあつた。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さっきの
半分
(
はんぶん
)
ずつのからだが、いつのまにかつながって、おそろしい男が若者の
席
(
せき
)
にがんばっているではありませんか。
こわいことを知りたくて旅にでかけた男の話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
もう、たくさんつばめが
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
って、
最後
(
さいご
)
には、ほばしらの
上
(
うえ
)
まで
止
(
と
)
まって、まったく、はいる
席
(
せき
)
がなくなった
時分
(
じぶん
)
、
静
(
しず
)
かに
海岸
(
かいがん
)
をはなれたのです。
赤い船とつばめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
始
(
はじ
)
め村中
殘
(
のこら
)
ず存じ申さずとの
答
(
こた
)
へなれば少しも
手懸
(
てがか
)
りはなきに次右衞門の思ふ樣是は村中
申合
(
まをしあは
)
せ掛り合を恐れて
斯樣
(
かやう
)
に申立るならんと
席
(
せき
)
を
改
(
あら
)
ため
威儀
(
ゐぎ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
壇
(
だん
)
の上には
席
(
せき
)
をまうけて
神酒
(
みき
)
をそなへ、此町の長たるもの礼服をつけて
拝
(
はい
)
をなし、所繁昌の幸福をいのる。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
寐屋
(
ねや
)
の
燈火
(
ともしひ
)
またヽく
影
(
かげ
)
もあはれ
淋
(
さび
)
しや
丁字頭
(
ちやうじがしら
)
の、
花
(
はな
)
と
呼
(
よ
)
ばれし
香山家
(
かやまけ
)
の
姫
(
ひめ
)
、
今
(
いま
)
の
子爵
(
ししやく
)
と
同
(
おな
)
じ
腹
(
はら
)
に、
双玉
(
さうぎよく
)
の
稱
(
とな
)
へは
美色
(
びしよく
)
に
勝
(
かち
)
を
占
(
し
)
めしが、さりとて
兄君
(
あにぎみ
)
に
席
(
せき
)
を
越
(
こ
)
えず
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「さあそんぢや
又
(
また
)
、みんな
上
(
あが
)
れ」と
婆
(
ばあ
)
さん
等
(
ら
)
がいふと
閾際
(
しきゐぎは
)
に
迫
(
せま
)
つて
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
た
子供等
(
こどもら
)
は
爭
(
あらそ
)
うて
席
(
せき
)
をとつた。
彼等
(
かれら
)
は
今日
(
けふ
)
も
狹
(
せま
)
い
寮
(
れう
)
の
内側
(
うちがは
)
にぎつしりと
膝
(
ひざ
)
を
窄
(
すぼ
)
めて
坐
(
すわ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
小娘
(
こむすめ
)
は
何時
(
いつ
)
かもう
私
(
わたくし
)
の
前
(
まへ
)
の
席
(
せき
)
に
返
(
かへ
)
つて、
不相變
(
あひかはらず
)
皸
(
ひび
)
だらけの
頬
(
ほほ
)
を
萌黄色
(
もえぎいろ
)
の
毛絲
(
けいと
)
の
襟卷
(
えりまき
)
に
埋
(
うづ
)
めながら、
大
(
おお
)
きな
風呂敷包
(
ふろしきづつ
)
みを
抱
(
かか
)
へた
手
(
て
)
に、しつかりと三
等
(
とう
)
切符
(
ぎつぷ
)
を
握
(
にぎ
)
つてゐる。……
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
などと
無代
(
たゞ
)
遣
(
や
)
つたり
何
(
なに
)
かいたし誠にお
品格
(
ひんかく
)
の
好
(
よ
)
い事でござりました。
是
(
これ
)
は
円朝
(
わたくし
)
が全く
其
(
そ
)
の
実地
(
じつち
)
を見て
胆
(
きも
)
を
潰
(
つぶ
)
したが、
何
(
なん
)
となく
可笑味
(
をかしみ
)
がありましたから一
席
(
せき
)
のお話に
纏
(
まと
)
めました。
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
折
(
をり
)
ふし
鵞鳥
(
がてう
)
のやうな
聲
(
こゑ
)
で
唱
(
うた
)
ひ
出
(
だ
)
す
歌
(
うた
)
の
調
(
しら
)
べは
左迄
(
さまで
)
妙手
(
じやうず
)
とも
思
(
おも
)
はれぬのに、
唱
(
うた
)
ふ
當人
(
たうにん
)
は
非常
(
ひじやう
)
の
得色
(
とくしよく
)
で、やがて
彈奏
(
だんそう
)
が
終
(
をは
)
ると
小鼻
(
こばな
)
を
蠢
(
うごめ
)
かし、
孔雀
(
くじやく
)
のやうに
裳
(
もすそ
)
を
飜
(
ひるが
)
へして
席
(
せき
)
に
歸
(
かへ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
みんなは
席
(
せき
)
につきますと、鳥たちはどこにいるかと見まわしました。ところで、この日はいつもお天気がいいのです。というのは、ツルは
天気予報
(
てんきよほう
)
がたいへんじょうずでしたから。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
と、
席
(
せき
)
の
中央
(
ちゅうおう
)
へ、多くの
兵学者
(
へいがくしゃ
)
や
武芸者
(
ぶげいしゃ
)
の名をしるした
着到帳
(
ちゃくとうちょう
)
をくりひろげた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『はい!』と
叫
(
さけ
)
んだものゝ
愛
(
あい
)
ちやんは、
餘
(
あま
)
りに
狼狽
(
あはて
)
たので
自分
(
じぶん
)
が
此所
(
こゝ
)
少時
(
しばらく
)
の
間
(
あひだ
)
に、
如何
(
いか
)
ばかり
大
(
おほ
)
きくなつたかと
云
(
い
)
ふことを
全然
(
すつかり
)
忘
(
わす
)
れて、
遽
(
には
)
かに
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
りさま、
着物
(
きもの
)
の
裾
(
すそ
)
で
裁判官
(
さいばんくわん
)
の
席
(
せき
)
を
拂
(
はら
)
ひ
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
秦
(
しん
)
を
撃
(
う
)
ち五
城
(
じやう
)
を
拔
(
ぬ
)
けり、
起
(
き
)
の・
將
(
しやう
)
たる、
士卒
(
しそつ
)
の
最下
(
さいか
)
なる
者
(
もの
)
と
衣食
(
いしよく
)
を
同
(
おな
)
じうし、
臥
(
ぐわ
)
するに
席
(
せき
)
を
設
(
まう
)
けず、
行
(
ゆ
)
くに
(七〇)
騎乘
(
きじよう
)
せず、
親
(
みづか
)
ら
糧
(
かて
)
を
裹
(
つつ
)
み
贏
(
にな
)
ひ、
士卒
(
しそつ
)
と
勞苦
(
らうく
)
を
分
(
わか
)
つ。
卒
(
そつ
)
に
(七一)
疽
(
しよ
)
を
病
(
や
)
む
者
(
もの
)
有
(
あ
)
り。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
聖賢
(
せいけん
)
と言わるる人は家にありて、言葉遣いも
苟
(
いやし
)
くもせず、「男女七歳にして
席
(
せき
)
を
同
(
おな
)
じゅうせず」の主義で、七歳以上は自分の
娘
(
むすめ
)
でも同座せず、しかして早朝より
裃
(
かみしも
)
をつけて四角四面に端座しているか。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
困
(
こう
)
ずる
席
(
せき
)
は
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
“席”の意味
《名詞》
(セキ)会合などにおいて、各々の参加者が占有する場所。
(セキ 比喩)会合や組織における参加する資格。
(出典:Wiktionary)
席
常用漢字
小4
部首:⼱
10画
“席”を含む語句
寄席
末席
空席
御席
席上
下席
定席
上席
席亭
客席
席捲
隣席
座席
枕席
此席
同席
次席
出席
観覧席
操縦席
...