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隣席
哲学者は冷たい眼でじろり
隣席の軍鶏を睨み/\してゐたが、黙つて
懐中から金貨を一つ取り出して、かちりと
卓子の上に置いた。
繃帶を
覗いた
唇が、
上下にべろんと
開いて、どろりとして
居る。
動くと、たら/\と
早や
膿の
垂れさうなのが——
丁ど
明いて
居た——
私たちの
隣席へどろ/\と
崩れ
掛つた。
父は食事の間、彼女の横に席を
占めて、もちまえの優美で落着きはらった
慇懃さで、
隣席の令嬢のお相手をつとめていた。
そのうち、
隣席にいた、
副監督のM氏が、ぼくに、
御愛用の時価千円ほどのコダックを
渡して便所に行ったそうです。