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倒
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たふ
ふりがな文庫
“
倒
(
たふ
)” の例文
彼
(
かれ
)
は
苦
(
くる
)
しさに
胸
(
むね
)
の
邊
(
あたり
)
を
掻
(
か
)
き
毟
(
むし
)
り、
病院服
(
びやうゐんふく
)
も、シヤツも、ぴり/\と
引裂
(
ひきさ
)
くので
有
(
あ
)
つたが、
施
(
やが
)
て
其儘
(
そのまゝ
)
氣絶
(
きぜつ
)
して
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
逆手
(
さかて
)
に
持
(
もち
)
し
儘
(
まゝ
)
氣
(
き
)
を
失
(
うしな
)
ひて
倒
(
たふ
)
れ
居
(
ゐ
)
たりしかば是は
何事
(
なにごと
)
ならんと
氣付
(
きつけ
)
を
與
(
あた
)
へて
樣子
(
やうす
)
を
聞
(
きく
)
に
敵討
(
かたきうち
)
なりと申
故
(
ゆゑ
)
半左衞門
(
はんざゑもん
)
大
(
おほ
)
いに驚き
早々
(
さう/\
)
町役人
(
ちやうやくにん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雪難之碑
(
せつなんのひ
)
。——
峰
(
みね
)
の
尖
(
とが
)
つたやうな、
其處
(
そこ
)
の
大木
(
たいぼく
)
の
杉
(
すぎ
)
の
梢
(
こずゑ
)
を、
睫毛
(
まつげ
)
にのせて
倒
(
たふ
)
れました。
私
(
わたし
)
は
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うも
)
れて
行
(
ゆ
)
く………
身動
(
みうご
)
きも
出來
(
でき
)
ません。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分
(
じぶん
)
の
蒲團
(
ふとん
)
の
側
(
そば
)
まで
射
(
さ
)
し
込
(
こ
)
む
日
(
ひ
)
に
誘
(
さそ
)
ひ
出
(
だ
)
されたやうに、
雨戸
(
あまど
)
の
閾際
(
しきゐぎは
)
まで
出
(
で
)
て
與吉
(
よきち
)
を
抱
(
だ
)
いては
倒
(
たふ
)
して
見
(
み
)
たり、
擽
(
くすぐ
)
つて
見
(
み
)
たりして
騷
(
さわ
)
がした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
予
(
わし
)
に
談
(
だん
)
ずることも
出來
(
でけ
)
うずれ、このやうに
頭髮
(
かみのけ
)
を
掻毟
(
かきむし
)
って、ま
此樣
(
このやう
)
に
地上
(
ぢびた
)
に
倒
(
たふ
)
れて、まだ
掘
(
ほ
)
らぬ
墓穴
(
はかあな
)
の
尺
(
しゃく
)
を
取
(
と
)
ることも
出來
(
でけ
)
うずれ!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
私
(
わたし
)
は
先頃
(
さきごろ
)
フランスの
西海岸
(
にしかいがん
)
にあるカルナックといふ
所
(
ところ
)
の
大
(
おほ
)
きい
立
(
た
)
て
石
(
いし
)
を
見
(
み
)
に
行
(
い
)
つたのでありますが、
今
(
いま
)
は
三
(
みつ
)
つにをれて
地上
(
ちじよう
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
障子
(
しようじ
)
のような
建具
(
たてぐ
)
に
火
(
ひ
)
が
燃
(
も
)
えついたならば、この
建具
(
たてぐ
)
を
倒
(
たふ
)
すこと、
衣類
(
いるい
)
に
火
(
ひ
)
が
燃
(
も
)
えついたときは、
床
(
ゆか
)
又
(
また
)
は
地面
(
じめん
)
に
一轉
(
ひところ
)
がりすれば、
焔
(
ほのほ
)
だけは
消
(
き
)
える。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
彼
(
かれ
)
は
是
(
これ
)
程
(
ほど
)
偶然
(
ぐうぜん
)
な
出來事
(
できごと
)
を
借
(
か
)
りて、
後
(
うしろ
)
から
斷
(
ことわ
)
りなしに
足絡
(
あしがら
)
を
掛
(
か
)
けなければ、
倒
(
たふ
)
す
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
ない
程
(
ほど
)
強
(
つよ
)
いものとは、
自分
(
じぶん
)
ながら
任
(
にん
)
じてゐなかつたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼
(
かれ
)
は
地上
(
ちじやう
)
に
倒
(
たふ
)
れ、
次々
(
つぎ/\
)
に×
(6)
き×
(7)
される
銃
(
じう
)
×
(8)
の
下
(
もと
)
に、
潮
(
うしほ
)
の
退
(
しりぞ
)
くやうに
全身
(
ぜんしん
)
から
脱
(
ぬ
)
けて
行
(
ゆ
)
く
力
(
ちから
)
を
感
(
かん
)
じ
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
何分
(
なんぷん
)
か
經
(
た
)
つた。
突然
(
とつぜん
)
一人
(
ひとり
)
の
兵士
(
へいし
)
が
私
(
わたし
)
の
體
(
からだ
)
に
左
(
ひだり
)
から
倒
(
たふ
)
れかかつた。
私
(
わたし
)
ははつとして
眼
(
め
)
を
開
(
ひら
)
いた。その
瞬間
(
しゆんかん
)
私
(
わたし
)
の
左
(
ひだり
)
の
頬
(
ほほ
)
は
何
(
なに
)
かに
厭
(
い
)
やと
云
(
い
)
ふ
程
(
ほど
)
突
(
つ
)
き
上
(
あ
)
げられた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
こんな
風
(
ふう
)
に
薪炭用
(
しんたんよう
)
、
建築土木用
(
けんちくどぼくよう
)
、
木纎維用等
(
もくせんいようなど
)
のために
森林
(
しんりん
)
はどん/\
伐
(
き
)
り
倒
(
たふ
)
され、
深
(
ふか
)
い
山
(
やま
)
、ふかい
谷底
(
たにぞこ
)
の
森林
(
しんりん
)
までがだん/\に
荒
(
あら
)
されるようになりました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
一ぴきの
蚤
(
のみ
)
が
眞蒼
(
まつさを
)
になつて、
疊
(
たゝ
)
の
敷合
(
しきあは
)
せの、ごみの
中
(
なか
)
へ
逃
(
に
)
げこみました。そしてぱつたりとそこへ
倒
(
たふ
)
れました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
唯
(
ただ
)
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
の
杪
(
うら
)
に、
寂
(
さび
)
しい
日影
(
ひかげ
)
が
漂
(
ただよ
)
つてゐる。
日影
(
ひかげ
)
が、——それも
次第
(
しだい
)
に
薄
(
うす
)
れて
來
(
く
)
る。もう
杉
(
すぎ
)
や
竹
(
たけ
)
も
見
(
み
)
えない。おれは
其處
(
そこ
)
に
倒
(
たふ
)
れた
儘
(
まま
)
、
深
(
ふか
)
い
靜
(
しづ
)
かさに包まれてゐる。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
繭玉
(
まゆだま
)
のかたちを、しんこで
造
(
つく
)
つてそれを
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
にさげて、お
飼蠶
(
かいこ
)
さまを
守
(
まも
)
つて
下
(
くだ
)
さる
神
(
かみ
)
さまをも
祭
(
まつ
)
りました。
病氣
(
びやうき
)
で
倒
(
たふ
)
れた
馬
(
うま
)
のためには、
馬頭觀音
(
ばとうくわんおん
)
を
祭
(
まつ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
一
翌日
(
よくじつ
)
牛込改代町
(
うしごめかいたいちやう
)
へ
倒
(
たふ
)
れ
候
(
さふらふ
)
節
(
せつ
)
は、
銭
(
ぜに
)
一
貫文
(
くわんもん
)
、
海苔鮨
(
のりずし
)
三
本
(
ぼん
)
、
夫
(
それ
)
より
午過
(
ひるすぎ
)
下谷上野町
(
したやうへのまち
)
へ
倒
(
たふ
)
れ
候
(
さふらふ
)
節
(
せつ
)
は
唯
(
たゞ
)
お
灸
(
きう
)
。
行倒の商売
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かれ
足
(
あし
)
無
(
なく
)
して地をはしり、
倒
(
たふ
)
れてふたゝび
起
(
おき
)
ざるなど、
魚族
(
ぎよぞく
)
中
比
(
たぐ
)
ふべきものなきは
奇魚
(
きぎよ
)
といふべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
兄
(
あに
)
が
一人
(
ひとり
)
あつたが
戦地
(
せんち
)
へ
送
(
おく
)
られると
間
(
ま
)
もなく
病気
(
びやうき
)
で
倒
(
たふ
)
れ、
父
(
ちゝ
)
は
空襲
(
くうしふ
)
の
時
(
とき
)
焼死
(
せうし
)
して一
家
(
か
)
全滅
(
ぜんめつ
)
した
始末
(
しまつ
)
に、
道子
(
みちこ
)
は
松戸
(
まつど
)
の
田舎
(
ゐなか
)
で
農業
(
のうげふ
)
をしてゐる
母親
(
はゝおや
)
の
実家
(
じつか
)
へ
母
(
はゝ
)
と
共
(
とも
)
につれられて
行
(
い
)
つたが
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
四人
(
よにん
)
まで
投
(
な
)
げ
倒
(
たふ
)
したが、
第
(
だい
)
五
番目
(
ばんめ
)
にのつそりと
現
(
あら
)
はれて
來
(
き
)
た
露西亞
(
ロシヤ
)
の
陸軍士官
(
りくぐんしくわん
)
、
身
(
み
)
の
丈
(
た
)
け六
尺
(
しやく
)
に
近
(
ちか
)
く
阿修羅王
(
あしゆらわう
)
の
荒
(
あ
)
れたるやうな
男
(
をとこ
)
、
力任
(
ちからまか
)
せに
私
(
わたくし
)
の
兩腕
(
りよううで
)
を
握
(
にぎ
)
つて
一振
(
ひとふり
)
に
振
(
ふ
)
り
飛
(
と
)
ばさんず
勢
(
いきほひ
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
滑
(
すべ
)
つた音と「今になつてチエ、何と云ふことをして呉れるんだ」といふ叫びと
倒
(
たふ
)
れる物音が私の注意を惹いた。人も馬も倒れてゐた。彼等は土手道を
滑
(
なめら
)
かに固めた氷の上で滑つたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
波風
(
なみかぜ
)
に
揉
(
も
)
まれて
死人
(
しにん
)
のようになつて
磯端
(
いそばた
)
に
倒
(
たふ
)
れてゐました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
僕等は朝からヴウヴレエ酒を一
壜
(
びん
)
倒
(
たふ
)
して
仕舞
(
しま
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
馬車
(
ばしや
)
のあと見もやらず、
意味
(
いみ
)
もなく歌ひ
倒
(
たふ
)
るる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
例
(
れい
)
の
酒癖
(
しゆへき
)
何處
(
どこ
)
の
店
(
みせ
)
にか
醉
(
ゑ
)
ひ
倒
(
たふ
)
れて
寢入
(
ねい
)
りても
仕舞
(
しまひ
)
しものかそれなればいよいよ
困
(
こま
)
りしことなり
家
(
うち
)
にても
嘸
(
さぞ
)
お
案
(
あん
)
じ
此家
(
こゝ
)
へも
亦
(
また
)
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
なり
何
(
なに
)
とせんと
思
(
おも
)
ふ
程
(
ほど
)
より
積
(
つも
)
る
雪
(
ゆき
)
いとゞ
心細
(
こゝろぼそ
)
く
燭涙
(
しよくるゐ
)
ながるゝ
表
(
おもて
)
二階
(
にかい
)
に
一人
(
ひとり
)
取殘
(
とりのこ
)
されし
新田
(
につた
)
のお
高
(
たか
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
道
(
みち
)
のべに、
身
(
み
)
ぞしだらなに
倒
(
たふ
)
れにし。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
わあ ガラスの
病院
(
びやうゐん
)
が
倒
(
たふ
)
れさうだぞ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
杉
(
すぎ
)
の
大木
(
たいぼく
)
は
西
(
にし
)
へ
倒
(
たふ
)
したのでづしんとそこらを
恐
(
おそ
)
ろしく
搖
(
ゆる
)
がしてお
品
(
しな
)
の
庭
(
には
)
へ
横
(
よこ
)
たはつた。
枝
(
えだ
)
は
挫
(
くぢ
)
けて
其
(
その
)
先
(
さき
)
が
庭
(
には
)
の
土
(
つち
)
をさくつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
日本
(
につぽん
)
の
其
(
そ
)
の
少
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
は、
今
(
いま
)
其
(
そ
)
の
鸚鵡
(
あうむ
)
の
一言
(
ひとこと
)
を
聞
(
き
)
くか
聞
(
き
)
かないに、
槍
(
やり
)
をそばめた
手
(
て
)
も
恥
(
はづ
)
かしい、ばつたり
床
(
ゆか
)
に、
俯向
(
うつむ
)
けに
倒
(
たふ
)
れて
潸々
(
さめ/″\
)
と
泣
(
な
)
くんです。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
倒
(
たふ
)
し我が子を夫婦となせし上自分も共に
樂
(
たのし
)
まんと
櫛
(
くし
)
を
盜
(
ぬす
)
ませ金を
騙
(
かた
)
り取らせしならんと云ふに與惣次
打點頭
(
うちうなづき
)
成程お專が言ふ如く毒ある花は人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それに
倒
(
たふ
)
れをりまする
男
(
をとこ
)
が
御親戚
(
ごしんせき
)
のマーキューシオーどのを
殺害
(
せつがい
)
しましたるをロミオと
申
(
まう
)
す
若人
(
わかうど
)
が
討取
(
うちと
)
ってござります。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
平生
(
へいぜい
)
からお
人好
(
ひとよ
)
しで、
愚圖
(
ぐづ
)
で、
低能
(
ていのう
)
な
彼
(
かれ
)
は、もともとだらしのない
男
(
をとこ
)
だつたが、
今
(
いま
)
は
全
(
まつた
)
く
正體
(
しやうたい
)
を
失
(
うしな
)
つてゐた。
彼
(
かれ
)
は
何度
(
なんど
)
私
(
わたし
)
の
肩
(
かた
)
に
倒
(
たふ
)
れかゝつたか
知
(
し
)
れなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
大風
(
おほかぜ
)
は
突然
(
とつぜん
)
不用意
(
ふようい
)
の
二人
(
ふたり
)
を
吹
(
ふ
)
き
倒
(
たふ
)
したのである。
二人
(
ふたり
)
が
起
(
お
)
き
上
(
あ
)
がつた
時
(
とき
)
は
何處
(
どこ
)
も
彼所
(
かしこ
)
も
既
(
すで
)
に
砂
(
すな
)
だらけであつたのである。
彼等
(
かれら
)
は
砂
(
すな
)
だらけになつた
自分達
(
じぶんたち
)
を
認
(
みと
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
かゝるあとへおなじ田中の者こゝに来り、武士の雪中に
倒
(
たふ
)
れて
起
(
おき
)
もあがらざるを
不審
(
いぶかり
)
立よりて、なにぞ
病
(
やみ
)
玉ふかといへば、武士はかなきこゑしておこしくれよといふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
石燈籠
(
いしどうろう
)
は
餘
(
あま
)
り
強大
(
きようだい
)
ならざる
地震
(
ぢしん
)
の
場合
(
ばあひ
)
にも
倒
(
たふ
)
れ
易
(
やす
)
く、さうして
近
(
ちか
)
くにゐたものを
壓死
(
あつし
)
せしめがちである。
特
(
とく
)
に
兒童
(
じどう
)
が
顛倒
(
てんとう
)
した
石燈籠
(
いしどうろう
)
のために
生命
(
せつめい
)
を
失
(
うしな
)
つた
例
(
れい
)
は
頗
(
すこぶ
)
る
多
(
おほ
)
い。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
わたしは
男
(
をとこ
)
が
倒
(
たふ
)
れると
同時
(
どうじ
)
に、
血
(
ち
)
に
染
(
そ
)
まつた
刀
(
かたな
)
を
下
(
さ
)
げたなり、
女
(
をんな
)
の
方
(
ほう
)
を
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おゝ/\
乱暴狼藉
(
らんばうらうぜき
)
で、
飛石
(
とびいし
)
なぞは
狗
(
いぬ
)
の
糞
(
くそ
)
だらけにして、
青苔
(
あをごけ
)
を
散々
(
さん/″\
)
に
踏暴
(
ふみあら
)
し、
折角
(
せつかく
)
宜
(
よ
)
い
塩梅
(
あんばい
)
に
苔
(
こけ
)
むした
石燈籠
(
いしどうろう
)
を
倒
(
たふ
)
し、
松
(
まつ
)
ヶ
枝
(
え
)
を
折
(
を
)
つちまひ、
乱暴
(
らんばう
)
だね……
何方
(
どちら
)
からお
入来
(
いで
)
なすつた。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あゝ、
薄命
(
はくめい
)
なあの恋人達はこんな
気味
(
きみ
)
のわるい
湿地
(
しつち
)
の
街
(
まち
)
に住んでゐたのか。見れば物語の
挿絵
(
さしゑ
)
に似た
竹垣
(
たけがき
)
の家もある。
垣根
(
かきね
)
の竹は
枯
(
か
)
れきつて
其
(
そ
)
の
根元
(
ねもと
)
は虫に
喰
(
く
)
はれて押せば
倒
(
たふ
)
れさうに思はれる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
砂
(
すな
)
は
崩
(
くず
)
れ、
影
(
かげ
)
は
歪
(
ゆが
)
み、
銃架
(
じうか
)
は×
(19)
を
噴
(
ふ
)
いて
地上
(
ちじやう
)
に
倒
(
たふ
)
れる
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
幸
(
さいはひ
)
にも
後
(
あと
)
でつひにその
大木
(
たいぼく
)
は
倒
(
たふ
)
れてしまひました。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
苅
(
か
)
りし
小草
(
をぐさ
)
に
倒
(
たふ
)
れ
伏
(
ふ
)
し
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
倒
(
たふ
)
るゝ人よとく歸れ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
見廻せば
片邊
(
かたへ
)
に女の
倒
(
たふ
)
れ居て
朱
(
あけ
)
に
染
(
そみ
)
息も絶たる
樣子
(
やうす
)
なりとて憑司は
礑
(
はた
)
と手を打是と云も元は傳吉から
起
(
おき
)
たこと然らば此
死骸
(
しがい
)
へ昌次郎お梅が
着類
(
きるゐ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『きやつ、』と
言
(
い
)
つて、
私
(
わたくし
)
は
鉄砲玉
(
てつぱうだま
)
のやうに
飛出
(
とびだ
)
したが、
廊下
(
らうか
)
の
壁
(
かべ
)
に
額
(
ひたひ
)
を
打
(
ぶ
)
つて、ばつたり
倒
(
たふ
)
れた。……
気
(
き
)
の
弱
(
よわ
)
い
母
(
はゝ
)
もひきつけて
了
(
しま
)
つたさうです。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どうした
機會
(
はずみ
)
であつたか
此
(
これ
)
も
壁際
(
かべぎは
)
に
立
(
た
)
て
掛
(
か
)
けた
竹箒
(
たけばうき
)
が
倒
(
たふ
)
れて
柄
(
え
)
がかちつと
草刈籠
(
くさかりかご
)
を
打
(
う
)
つた。おつぎはひよつと
顧
(
かへり
)
みた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
寢床
(
ねどこ
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
れさっしゃるかと
思
(
おも
)
ふと、
即
(
やが
)
て
又
(
また
)
飛
(
と
)
び
起
(
お
)
きてチッバルトと
呼
(
よ
)
ばらっしゃる、かと
思
(
おも
)
ふと、ロミオと
呼
(
よ
)
ばって、
又
(
また
)
横倒
(
よこたふ
)
しにならっしゃります。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
大小数百千
悉
(
こと/″\
)
く
方
(
しかく
)
をなして
削
(
けず
)
りたてたるごとく(かならず
方
(
かく
)
をなす事下に
弁
(
べん
)
ず)なるもの幾千丈の山の上より一
度
(
ど
)
に
崩頽
(
くづれおつ
)
る、その
響
(
ひゞき
)
百千の
雷
(
いかづち
)
をなし大木を
折
(
をり
)
大石を
倒
(
たふ
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
死骸
(
しがい
)
は
縹
(
はなだ
)
の
水干
(
すゐかん
)
に、
都風
(
みやこふう
)
のさび
烏帽子
(
ゑばうし
)
をかぶつた
儘
(
まま
)
、
仰向
(
あをむ
)
けに
倒
(
たふ
)
れて
居
(
を
)
りました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつたい「
櫻
(
さくら
)
の
園
(
その
)
」には
第
(
だい
)
一
幕
(
まく
)
の
汽
(
き
)
車の
音
(
おと
)
、
第
(
だい
)
二
幕
(
まく
)
のギタアの音色、
第
(
だい
)
四
幕
(
まく
)
の
終
(
をは
)
りの
櫻
(
さくら
)
の木を切り
倒
(
たふ
)
す
斧
(
をの
)
の
響
(
ひゞ
)
きなどと、
塲面
(
ばめん
)
々々の
感
(
かん
)
じと
相
(
あひ
)
俟つて
音響
(
おんけう
)
の
効果
(
こうくわ
)
が
實
(
じつ
)
に
巧
(
たくみ
)
に
用
(
もち
)
ゐられてゐるが
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
束
(
たば
)
になつて
倒
(
たふ
)
れた
卒塔婆
(
そとば
)
と共に
青苔
(
あをごけ
)
の
斑点
(
しみ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
墓石
(
はかいし
)
は、岸と
云
(
い
)
ふ限界さへ
崩
(
くづ
)
れてしまつた
水溜
(
みづたま
)
りのやうな
古池
(
ふるいけ
)
の中へ、
幾個
(
いくつ
)
となくのめり込んで
居
(
ゐ
)
る。
無論
(
むろん
)
新しい
手向
(
たむけ
)
の花なぞは一つも見えない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
けれども
何時
(
いつ
)
吹
(
ふ
)
き
倒
(
たふ
)
されたかを
知
(
し
)
らなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ドスは
倒
(
たふ
)
された
同志
(
どうし
)
の
血
(
ち
)
を
洗
(
あら
)
ふだらう
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
“倒”の意味
《名詞》
(さか)逆であること。
(出典:Wiktionary)
倒
常用漢字
中学
部首:⼈
10画
“倒”を含む語句
顛倒
打倒
転倒
七顛八倒
横倒
轉倒
蹴倒
面倒臭
卒倒
行倒
突倒
面倒
引倒
酔倒
壓倒
擲倒
罵倒
昏倒
前倒
撲倒
...