たふ)” の例文
かれくるしさにむねあたりむしり、病院服びやうゐんふくも、シヤツも、ぴり/\と引裂ひきさくのでつたが、やが其儘そのまゝ氣絶きぜつして寐臺ねだいうへたふれてしまつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
逆手さかてもちまゝうしなひてたふたりしかば是は何事なにごとならんと氣付きつけあたへて樣子やうすきく敵討かたきうちなりと申ゆゑ半左衞門はんざゑもんおほいに驚き早々さう/\町役人ちやうやくにん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
雪難之碑せつなんのひ。——みねとがつたやうな、其處そこ大木たいぼくすぎこずゑを、睫毛まつげにのせてたふれました。わたしゆきうもれてく………身動みうごきも出來できません。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
自分じぶん蒲團ふとんそばまでさそされたやうに、雨戸あまど閾際しきゐぎはまで與吉よきちいてはたふしてたり、くすぐつてたりしてさわがした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わしだんずることも出來でけうずれ、このやうに頭髮かみのけ掻毟かきむしって、ま此樣このやう地上ぢびたたふれて、まだらぬ墓穴はかあなしゃくることも出來でけうずれ!
わたし先頃さきごろフランスの西海岸にしかいがんにあるカルナックといふところおほきいいしつたのでありますが、いまみつつにをれて地上ちじようたふれてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
障子しようじのような建具たてぐえついたならば、この建具たてぐたふすこと、衣類いるいえついたときは、ゆかまた地面じめん一轉ひところがりすれば、ほのほだけはえる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かれこれほど偶然ぐうぜん出來事できごとりて、うしろからことわりなしに足絡あしがらけなければ、たふこと出來できないほどつよいものとは、自分じぶんながらにんじてゐなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ地上ちじやうたふれ、次々つぎ/\に×(6)き×(7)されるじう×(8)もとに、うしほ退しりぞくやうに全身ぜんしんからけてちからかん
何分なんぷんつた。突然とつぜん一人ひとり兵士へいしわたしからだひだりからたふれかかつた。わたしははつとしてひらいた。その瞬間しゆんかんわたしひだりほほなにかにやとほどげられた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
こんなふう薪炭用しんたんよう建築土木用けんちくどぼくよう木纎維用等もくせんいようなどのために森林しんりんはどん/\たふされ、ふかやま、ふかい谷底たにぞこ森林しんりんまでがだん/\にあらされるようになりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
一ぴきののみ眞蒼まつさをになつて、たゝ敷合しきあはせの、ごみのなかげこみました。そしてぱつたりとそこへたふれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ただすぎたけうらに、さびしい日影ひかげただよつてゐる。日影ひかげが、——それも次第しだいうすれてる。もうすぎたけえない。おれは其處そこたふれたままふかしづかさに包まれてゐる。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
繭玉まゆだまのかたちを、しんこでつくつてそれをたけえだにさげて、お飼蠶かいこさまをまもつてくださるかみさまをもまつりました。病氣びやうきたふれたうまのためには、馬頭觀音ばとうくわんおんまつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
翌日よくじつ牛込改代町うしごめかいたいちやうたふさふらふせつは、ぜに貫文くわんもん海苔鮨のりずしぼんそれより午過ひるすぎ下谷上野町したやうへのまちたふさふらふせつたゞきう
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
かれあしなくして地をはしり、たふれてふたゝびおきざるなど、魚族ぎよぞくたぐふべきものなきは奇魚きぎよといふべし。
あに一人ひとりあつたが戦地せんちおくられるともなく病気びやうきたふれ、ちゝ空襲くうしふとき焼死せうしして一全滅ぜんめつした始末しまつに、道子みちこ松戸まつど田舎ゐなか農業のうげふをしてゐる母親はゝおや実家じつかはゝともにつれられてつたが
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
四人よにんまでたふしたが、だい番目ばんめにのつそりとあらはれて露西亞ロシヤ陸軍士官りくぐんしくわんけ六しやくちか阿修羅王あしゆらわうれたるやうなをとこ力任ちからまかせにわたくし兩腕りよううでにぎつて一振ひとふりばさんずいきほひ
すべつた音と「今になつてチエ、何と云ふことをして呉れるんだ」といふ叫びとたふれる物音が私の注意を惹いた。人も馬も倒れてゐた。彼等は土手道をなめらかに固めた氷の上で滑つたのだ。
波風なみかぜまれて死人しにんのようになつて磯端いそばたたふれてゐました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
僕等は朝からヴウヴレエ酒を一びんたふして仕舞しまつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
馬車ばしやのあと見もやらず、意味いみもなく歌ひたふるる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
れい酒癖しゆへき何處どこみせにかたふれて寢入ねいりても仕舞しまひしものかそれなればいよいよこまりしことなりうちにてもさぞあん此家こゝへもまたどくなりなにとせんとおもほどよりつもゆきいとゞ心細こゝろぼそ燭涙しよくるゐながるゝおもて二階にかい一人ひとり取殘とりのこされし新田につたのおたか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みちのべに、ぞしだらなにたふれにし。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
わあ ガラスの病院びやうゐんたふれさうだぞ
すぎ大木たいぼく西にしたふしたのでづしんとそこらをおそろしくゆるがしておしなにはよこたはつた。えだくぢけてそのさきにはつちをさくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
日本につぽんわかひとは、いま鸚鵡あうむ一言ひとことくかかないに、やりをそばめたはづかしい、ばつたりゆかに、俯向うつむけにたふれて潸々さめ/″\くんです。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たふし我が子を夫婦となせし上自分も共にたのしまんとくしぬすませ金をかたり取らせしならんと云ふに與惣次打點頭うちうなづき成程お專が言ふ如く毒ある花は人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにたふれをりまするをとこ御親戚ごしんせきのマーキューシオーどのを殺害せつがいしましたるをロミオとまう若人わかうど討取うちとってござります。
平生へいぜいからお人好ひとよしで、愚圖ぐづで、低能ていのうかれは、もともとだらしのないをとこだつたが、いままつた正體しやうたいうしなつてゐた。かれ何度なんどわたしかたたふれかゝつたかれなかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
大風おほかぜ突然とつぜん不用意ふようい二人ふたりたふしたのである。二人ふたりがつたとき何處どこ彼所かしこすですなだらけであつたのである。彼等かれらすなだらけになつた自分達じぶんたちみとめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かゝるあとへおなじ田中の者こゝに来り、武士の雪中にたふれておきもあがらざるを不審いぶかり立よりて、なにぞやみ玉ふかといへば、武士はかなきこゑしておこしくれよといふ。
石燈籠いしどうろうあま強大きようだいならざる地震ぢしん場合ばあひにもたふやすく、さうしてちかくにゐたものを壓死あつしせしめがちである。とく兒童じどう顛倒てんとうした石燈籠いしどうろうのために生命せつめいうしなつたれいすこぶおほい。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
わたしはをとこたふれると同時どうじに、まつたかたなげたなり、をんなほうかへりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おゝ/\乱暴狼藉らんばうらうぜきで、飛石とびいしなぞはいぬくそだらけにして、青苔あをごけ散々さん/″\踏暴ふみあらし、折角せつかく塩梅あんばいこけむした石燈籠いしどうろうたふし、まつつちまひ、乱暴らんばうだね……何方どちらからお入来いでなすつた。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あゝ、薄命はくめいなあの恋人達はこんな気味きみのわるい湿地しつちまちに住んでゐたのか。見れば物語の挿絵さしゑに似た竹垣たけがきの家もある。垣根かきねの竹はれきつて根元ねもとは虫にはれて押せばたふれさうに思はれる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すなくずれ、かげゆがみ、銃架じうかは×(19)いて地上ちじやうたふれる
さいはひにもあとでつひにその大木たいぼくたふれてしまひました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
りし小草をぐさたふ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
たふるゝ人よとく歸れ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
見廻せば片邊かたへに女のたふれ居てあけそみ息も絶たる樣子やうすなりとて憑司ははたと手を打是と云も元は傳吉からおきたこと然らば此死骸しがいへ昌次郎お梅が着類きるゐ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『きやつ、』とつて、わたくし鉄砲玉てつぱうだまのやうに飛出とびだしたが、廊下らうかかべひたひつて、ばつたりたふれた。……よわはゝもひきつけてしまつたさうです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうした機會はずみであつたかこれ壁際かべぎはけた竹箒たけばうきたふれてがかちつと草刈籠くさかりかごつた。おつぎはひよつとかへりみた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
寢床ねどこうへたふれさっしゃるかとおもふと、やがまたきてチッバルトとばらっしゃる、かとおもふと、ロミオとばって、また横倒よこたふしにならっしゃります。
大小数百千こと/″\しかくをなしてけずりたてたるごとく(かならずかくをなす事下にべんず)なるもの幾千丈の山の上より一崩頽くづれおつる、そのひゞき百千のいかづちをなし大木ををり大石をたふす。
死骸しがいはなだ水干すゐかんに、都風みやこふうのさび烏帽子ゑばうしをかぶつたまま仰向あをむけにたふれてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いつたい「さくらその」にはだいまく車のおとだいまくのギタアの音色、だいまくをはりのさくらの木を切りたふをのひゞきなどと、塲面ばめん々々のかんじとあひ俟つて音響おんけう効果こうくわじつたくみもちゐられてゐるが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たばになつてたふれた卒塔婆そとばと共に青苔あをごけ斑点しみおほはれた墓石はかいしは、岸とふ限界さへくづれてしまつた水溜みづたまりのやうな古池ふるいけの中へ、幾個いくつとなくのめり込んでる。無論むろん新しい手向たむけの花なぞは一つも見えない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
けれども何時いつたふされたかをらなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ドスはたふされた同志どうしあらふだらう