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はる
ふりがな文庫
“
春
(
はる
)” の例文
そして、
大空
(
おおぞら
)
からもれる
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
を
受
(
う
)
けていましたが、いつまでもひとところに、いっしょにいられる
身
(
み
)
の
上
(
うえ
)
ではなかったのです。
花と人の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
此
(
こ
)
の一
歩
(
ぶ
)
に
身
(
み
)
のかはを
剥
(
は
)
がれたために
可惜
(
をし
)
や、お
春
(
はる
)
と
云
(
い
)
ふ
其
(
そ
)
の
娘
(
むすめ
)
は
繼母
(
まゝはゝ
)
のために
手酷
(
てひど
)
き
折檻
(
せつかん
)
を
受
(
う
)
けて、
身投
(
みな
)
げをしたが、
其
(
それ
)
も
後
(
のち
)
の
事
(
こと
)
。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
間
(
あひだ
)
には
又
(
また
)
芒
(
すゝき
)
の
硬直
(
かうちよく
)
な
葉
(
は
)
が
空
(
そら
)
を
刺
(
さ
)
さうとして
立
(
た
)
つ。
其
(
その
)
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
下
(
した
)
に
居
(
きよ
)
を
求
(
もと
)
める
雲雀
(
ひばり
)
が
時々
(
とき/″\
)
空
(
そら
)
を
占
(
し
)
めて
春
(
はる
)
が
深
(
ふ
)
けたと
喚
(
よ
)
びかける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
葉末
(
はずゑ
)
におく
露
(
つゆ
)
ほども
知
(
し
)
らず
笑
(
わら
)
ふて
暮
(
く
)
らす
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
もまだ
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
き二月
半
(
なか
)
ば
梅
(
うめ
)
見
(
み
)
て
来
(
こ
)
んと
夕暮
(
ゆふぐれ
)
や
摩利支天
(
まりしてん
)
の
縁日
(
ゑんにち
)
に
連
(
つら
)
ぬる
袖
(
そで
)
も
温
(
あたゝ
)
かげに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また
春
(
はる
)
殿
(
デン
)
に満つは間違であらう。ここの
春
(
はる
)
殿
(
デン
)
は、論語に「暮春には春服既に成り云々」とある場合などと同じく、春は殿の形容詞である。
閑人詩話
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
▼ もっと見る
それは、お
日様
(
ひさま
)
が
温
(
あたたか
)
く
照
(
て
)
っているのを
見
(
み
)
たり、
雲雀
(
ひばり
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いたりして、もうあたりがすっかりきれいな
春
(
はる
)
になっているのを
知
(
し
)
りました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
勅撰集
(
ちよくせんしゆう
)
第一番
(
だいゝちばん
)
の
古今集
(
こきんしゆう
)
の
春
(
はる
)
のはじめにあるものといへば、そのうちでも
第一番
(
だいゝちばん
)
の
歌
(
うた
)
といふことになるから、
自然
(
しぜん
)
人
(
ひと
)
は、それを
重
(
おも
)
く
見
(
み
)
ます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「
本當
(
ほんたう
)
に
有難
(
ありがた
)
いわね。
漸
(
やうや
)
くの
事
(
こと
)
春
(
はる
)
になつて」と
云
(
い
)
つて、
晴
(
は
)
れ/″\しい
眉
(
まゆ
)
を
張
(
は
)
つた。
宗助
(
そうすけ
)
は
縁
(
えん
)
に
出
(
で
)
て
長
(
なが
)
く
延
(
の
)
びた
爪
(
つめ
)
を
剪
(
き
)
りながら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小櫻姫
(
こざくらひめ
)
の
通信
(
つうしん
)
は
昭和
(
しょうわ
)
四
年
(
ねん
)
春
(
はる
)
から
現在
(
げんざい
)
に
至
(
いた
)
るまで
足掛
(
あしかけ
)
八
年
(
ねん
)
に
跨
(
また
)
がりて
現
(
あら
)
われ、その
分量
(
ぶんりょう
)
は
相当
(
そうとう
)
沢山
(
たくさん
)
で、すでに
数冊
(
すうさつ
)
のノートを
埋
(
うず
)
めて
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
庭
(
にわ
)
の
若草
(
わかくさ
)
の
芽
(
め
)
も
一晩
(
ひとばん
)
のうちに
伸
(
の
)
びるような
暖
(
あたた
)
かい
春
(
はる
)
の
宵
(
よい
)
ながらに
悲
(
かな
)
しい
思
(
おも
)
いは、ちょうどそのままのように
袖子
(
そでこ
)
の
小
(
ちい
)
さな
胸
(
むね
)
をなやましくした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それからまた一
年
(
ねん
)
たって、二
度
(
ど
)
めの
春
(
はる
)
が
訪
(
おとず
)
れてくる
時分
(
じぶん
)
には、
保名
(
やすな
)
と
娘
(
むすめ
)
の
間
(
あいだ
)
にかわいらしい男の子が
一人
(
ひとり
)
生
(
う
)
まれていました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「しつ、
穴
(
あな
)
の
中
(
なか
)
へ
卵
(
たまご
)
を
生
(
う
)
みつけてゐるんだよ。そしてね、
來年
(
らいねん
)
の
春
(
はる
)
になつて
卵
(
たまご
)
がかへると
蜘蛛
(
くも
)
が
蜂
(
はち
)
の
子供
(
こども
)
の
御飯
(
ごはん
)
になるのさ」
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
そんなのを
見
(
み
)
ると、もう
春
(
はる
)
が
來
(
き
)
たのかと
思
(
おも
)
はれます。
蝋梅
(
ろうばい
)
はもと
支那
(
しな
)
の
産
(
さん
)
ですが、
早
(
はや
)
く
我國
(
わがくに
)
に
移植
(
いしよく
)
され
多
(
おほ
)
くは
庭木
(
にはき
)
として
灌木状
(
かんぼくじよう
)
をしてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
右
(
みぎ
)
の
如
(
ごと
)
くし三月四月五月を
春
(
はる
)
とし、六月七月八月を
夏
(
なつ
)
とし、九月十月十一月を
秋
(
あき
)
とし、十二月一月二月を
冬
(
ふゆ
)
とするなり。
改暦弁
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
麗
(
うらら
)
かな
春
(
はる
)
の
日永
(
ひなが
)
を、
穴
(
あな
)
から
這
(
は
)
ひだした
田螺
(
たにし
)
がたんぼで
晝寢
(
ひるね
)
をしてゐました。それを
鴉
(
からす
)
がみつけてやつて
來
(
き
)
ました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
余
(
よ
)
明治
(
めいぢ
)
三十五
年
(
ねん
)
春
(
はる
)
四
月
(
ぐわつ
)
、
徳島
(
とくしま
)
を
去
(
さ
)
り、
北海道
(
ほくかいだう
)
に
移住
(
いぢゆう
)
す。
是
(
これ
)
より
先
(
さ
)
き、
四男
(
しなん
)
又一
(
またいち
)
をして、
十勝國
(
とかちのくに
)
中川郡
(
なかがはごほり
)
釧路國
(
くしろのくに
)
足寄郡
(
あしよろごほり
)
に
流
(
なが
)
るゝ
斗滿川
(
とまむがは
)
の
畔
(
ほとり
)
に
牧塲
(
ぼくぢやう
)
を
經營
(
けいえい
)
せしむ。
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
春
(
はる
)
になつて
雪
(
ゆき
)
も
次第
(
しだい
)
に
解
(
と
)
けた
或日
(
あるひ
)
、
墓場
(
はかば
)
の
側
(
そば
)
の
崖
(
がけ
)
の
邊
(
あたり
)
に、
腐爛
(
ふらん
)
した二つの
死骸
(
しがい
)
が
見付
(
みつ
)
かつた。
其
(
そ
)
れは
老婆
(
らうば
)
と、
男
(
をとこ
)
の
子
(
こ
)
とで、
故殺
(
こさつ
)
の
形跡
(
けいせき
)
さへ
有
(
あ
)
るのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
左
(
ひだり
)
の
方
(
はう
)
には、
六甲
(
ろくかふ
)
の
連山
(
れんざん
)
が、
春
(
はる
)
の
光
(
ひか
)
りに
輝
(
かゞや
)
いて、ところ/″\
赤
(
あか
)
く
禿
(
は
)
げた
姿
(
すがた
)
は、そんなに
霞
(
かす
)
んでもゐなかつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
春
(
はる
)
が
来
(
き
)
たといつては
莞爾
(
につこり
)
、
何
(
なに
)
か
観
(
み
)
たといつては
莞爾
(
につこり
)
、
元来
(
ぐわんらい
)
があまり
確
(
しつか
)
りした
頭
(
あたま
)
でないのだ。
十歳
(
じつさい
)
の
時
(
とき
)
、
髪剃
(
かみそり
)
を
頂
(
いたゞ
)
いたが、
羅甸
(
ラテン
)
の
御経
(
おきやう
)
はきれいに
失念
(
しつねん
)
して
了
(
しま
)
つた。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
しんたのむねから
打
(
う
)
ちあげられて、
少
(
すこ
)
しくもった
空
(
そら
)
で
花火
(
はなび
)
がはじけたのは、
春
(
はる
)
も
末
(
すえ
)
に
近
(
ちか
)
いころの
昼
(
ひる
)
でした。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
奥
(
おく
)
からの
声
(
こえ
)
は、この
春
(
はる
)
まで十五
年
(
ねん
)
の
永
(
なが
)
い
間
(
あいだ
)
、
番町
(
ばんちょう
)
の
武家屋敷
(
ぶけやしき
)
へ
奉公
(
ほうこう
)
に
上
(
あが
)
っていた。
春信
(
はるのぶ
)
の
妹
(
いもうと
)
梶女
(
かじじょ
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
家は長崎で、
反物
(
たんもの
)
や装身具や支那画などの
長崎骨董
(
ながさきこっとう
)
を持って、関西から江戸の
花客
(
とくい
)
を廻り、あらかた金にすると、
春
(
はる
)
の
雁
(
かり
)
のように、遥々な
故国
(
ここく
)
へ帰ってゆくのである。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山田
(
やまだ
)
とも
付
(
つ
)
かず
石橋
(
いしばし
)
とも付かずでお茶を
濁
(
にご
)
して
居
(
ゐ
)
たのです、
其頃
(
そのころ
)
世間
(
せけん
)
に
持囃
(
もてはや
)
された
読物
(
よみもの
)
は、
春
(
はる
)
のや
君
(
くん
)
の
書生気質
(
しよせいかたぎ
)
、
南翠
(
なんすゐ
)
君
(
くん
)
の
何
(
なん
)
で有つたか、
社会小説
(
しやくわいせうせつ
)
でした、それから
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
春
(
はる
)
まけて
物
(
もの
)
がなしきにさ
夜
(
よ
)
更
(
ふ
)
けて
羽
(
は
)
ぶき
鳴
(
な
)
く
鴫
(
しぎ
)
誰
(
た
)
が
田
(
た
)
にか
住
(
す
)
む 〔巻十九・四一四一〕 大伴家持
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それは
春
(
はる
)
の
宵
(
よい
)
でありました。坊さんは
法事
(
ほうじ
)
へいってるすでした。法師はじぶんの
寝間
(
ねま
)
の前の、えんがわへでて、
好
(
す
)
きなびわをひきながら、坊さんの帰りを待っていました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
譬
(
たと
)
へば、
緩漫
(
なまのろ
)
い
冬
(
ふゆ
)
の
後
(
しり
)
へに
華
(
はなや
)
かな
春
(
はる
)
めが
來
(
く
)
るのを
見
(
み
)
て、
血氣壯
(
けっきさかん
)
な
若
(
わか
)
い
手合
(
てあひ
)
が
感
(
かん
)
ずるやうな
樂
(
たの
)
しさ、
愉快
(
こゝろよ
)
さを、
蕾
(
つぼみ
)
の
花
(
はな
)
の
少女
(
をとめ
)
らと
立交
(
たちまじ
)
らうて、
今宵
(
こよひ
)
我家
(
わがや
)
で
領
(
りゃう
)
せられませうず。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
春
(
はる
)
の
野路
(
のぢ
)
をガタ
馬車
(
ばしや
)
が
走
(
はし
)
る、
野
(
の
)
は
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
亂
(
みだ
)
れて
居
(
ゐ
)
る、フワリ/\と
生温
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
ゐて
花
(
はな
)
の
香
(
かほり
)
が
狹
(
せま
)
い
窓
(
まど
)
から
人
(
ひと
)
の
面
(
おもて
)
を
掠
(
かす
)
める、
此時
(
このとき
)
御者
(
ぎよしや
)
が
陽氣
(
やうき
)
な
調子
(
てうし
)
で
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
きたてる。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
尊ぶとこそ云へり今一錢二錢の
袖乞
(
そでごひ
)
しても心
清
(
きよ
)
きが
潔
(
いさぎ
)
よし人間萬事塞翁が馬ぢや
又
(
また
)
好
(
よき
)
春
(
はる
)
に花を
詠
(
なが
)
める時節もあらん
斷念
(
あきらめ
)
よと夫婦互に力を
添
(
そ
)
へ
合
(
あひ
)
憂
(
うき
)
物語
(
ものがた
)
りに時移りしに
頓
(
やが
)
て
塒
(
ねぐら
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
(
火星
(
くわせい
)
には
水
(
みづ
)
も
少
(
すくな
)
い。もし
海
(
うみ
)
があるとすれば、
春
(
はる
)
の
雪
(
ゆき
)
どけのときだけできる
浅
(
あさ
)
い海
だ
(
うみ
)
だ。)
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
さて
前
(
まへ
)
にいへる
渋海
(
しぶみ
)
川にて
春
(
はる
)
の
彼岸
(
ひがん
)
の
頃
(
ころ
)
、幾百万の
白蝶
(
はくてふ
)
水面
(
すゐめん
)
より二三尺をはなれて
羽
(
は
)
もすれあふばかり
群
(
むらがり
)
たるが、
高
(
たか
)
さは一
丈
(
ぢやう
)
あまり、
両岸
(
りやうがん
)
を
限
(
かぎ
)
りとして川下より川上の方へ
飛行
(
とびゆく
)
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
女子教育上
(
ぢよしけういくじやう
)
の
意見
(
いけん
)
としては
別段
(
べつだん
)
に
申上
(
まをしあげ
)
ることも
御在
(
ござ
)
ませんが、
唯
(
た
)
だ
私
(
わたくし
)
が一
昨年
(
さくねん
)
の
春
(
はる
)
此
(
こ
)
の
女子英學塾
(
ぢよしえいがくじゆく
)
を
開
(
ひら
)
いてから
以來
(
いらい
)
、
種々
(
いろ/\
)
今日
(
こんにち
)
の
女子
(
ぢよし
)
即
(
すなは
)
ち
女學生
(
ぢよがくせい
)
に
就
(
つい
)
て
經驗
(
けいけん
)
した
事
(
こと
)
がありますから
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
お
照
(
てる
)
さんは向ひの
仏師屋
(
ぶつしや
)
の子で、私より二つの
歳上
(
としうへ
)
でしたが、背丈は私の方が高いのでした。お
春
(
はる
)
さんはその人の
姉
(
ねえ
)
さんでした。隣の
藍玉屋
(
あゐだまや
)
には、より
江
(
え
)
さんと云ふ子がありました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「まあ、そうでございますか、そしたらお
春
(
はる
)
どんは運がよかったのでございますね」
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
見兼ねて、妹のお
春
(
はる
)
があっしへ頼むんです。何とか銭形の親分さんにお願いして金の茶釜を見付けて下さい。兄が佐五兵衛に責めさいなまれるのを見ちゃいられません——と涙を流して
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
或年の
春
(
はる
)
、
僕
(
ぼく
)
は原稿の出来ぬことに
少
(
すくな
)
からず
屈託
(
くったく
)
していた。滝田
君
(
くん
)
はその時
僕
(
ぼく
)
のために谷崎潤一郎
君
(
くん
)
の原稿を
示
(
しめ
)
し、(それは
実際
(
じっさい
)
苦心
(
くしん
)
の痕の
歴々
(
れきれき
)
と見える原稿だった。)大いに
僕
(
ぼく
)
を
激励
(
げきれい
)
した。
滝田哲太郎君
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春
(
はる
)
うら/\
蝶
(
てふ
)
と
共
(
とも
)
に
遊
(
あそ
)
ぶや
花
(
はな
)
の
芳野山
(
よしのやま
)
に
玉
(
たま
)
の
巵
(
さかづき
)
を
飛
(
と
)
ばし、
秋
(
あき
)
は
月
(
つき
)
てら/\と
漂
(
たゞよ
)
へる
潮
(
うしほ
)
を
観
(
み
)
て
絵島
(
ゑのしま
)
の
松
(
まつ
)
に
猿
(
さる
)
なきを
怨
(
うら
)
み、
厳冬
(
げんとう
)
には
炬燵
(
こたつ
)
を
奢
(
おごり
)
の
高櫓
(
たかやぐら
)
と
閉籠
(
とぢこも
)
り、
盛夏
(
せいか
)
には
蚊帳
(
かや
)
を
栄耀
(
えいえう
)
の
陣小屋
(
ぢんごや
)
として
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
また
暖房
(
だんぼう
)
のあるために
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
も
館内
(
かんない
)
は
春
(
はる
)
のように
暖
(
あたゝか
)
く
過
(
すご
)
すことが
出來
(
でき
)
ます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そうして受取り人には田中
春
(
はる
)
という極く確かな女を出すからよろしく頼む。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その
春
(
はる
)
来
(
きた
)
るごとに余に永遠希望の雅歌を歌いくれし
比翼
(
ひよく
)
を
(
ママ
)
有する森林の親友も、その菊花
香
(
かんば
)
しき頃
巍々
(
ぎぎ
)
として千秋に
聳
(
そび
)
え常に余に愛国の情を喚起せし
芙蓉
(
ふよう
)
の山も、余が愛するものの失せてより
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
『絵本
春
(
はる
)
の
錦
(
にしき
)
』、『絵本
青楼美人合
(
せいろうびじんあわせ
)
』等について眺むるところあらば
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
矯首はじめて見る故園の家
黄昏
(
こうこん
)
戸
(
こ
)
に
倚
(
よ
)
る白髪の人弟を抱き我を
待
(
まつ
)
春
(
はる
)
又
(
また
)
春
(
はる
)
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
A ウン、あれは
斯
(
か
)
うさ。『
君
(
きみ
)
が
代
(
よ
)
の
電車
(
でんしや
)
も
止
(
と
)
まる
今朝
(
けさ
)
の
春
(
はる
)
』さ。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
「わしらもはア、この
春
(
はる
)
ア、
日振
(
ひぶ
)
りなんぞはよすべいよ」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
浅間
嶺
(
ね
)
の麓高原から松の林は黒し
春
(
はる
)
来
(
く
)
ともなし
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
春
(
はる
)
は
馬醉木
(
あせび
)
に、
蝦夷菫
(
えぞすみれ
)
かざしぬ、
花
(
はな
)
を。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
春
(
はる
)
の
夜
(
よ
)
の、
夢
(
ゆめ
)
の
一
(
ひと
)
つはかくなりき。
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
そは早き
春
(
はる
)
の
花
(
はな
)
よりもあたたかし。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
ことごとく
春
(
はる
)
酣
(
たけなわ
)
の景色であった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ゆく
春
(
はる
)
の
秋
(
あき
)
にも
似
(
に
)
たる
一夜
(
ひとよ
)
かな
荷風翁の発句
(旧字旧仮名)
/
伊庭心猿
(著)
ある
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
の ことでした。
一休さん
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
“春”の解説
春(はる)は、四季の1つ。冬の次、夏の前である。
(出典:Wikipedia)
春
常用漢字
小2
部首:⽇
9画
“春”を含む語句
春日
春風
青春
春雨
春秋
常春藤
春陽
初春
春寒
晩春
来春
早春
春昼
新春
春草
春色
春画
春情
春水
春宮
...