かは)” の例文
それとともに、人麿ひとまろうただとつたへられてゐないもので、ひとのためにかはつてつくつた、このひとうた非常ひじようにたくさんあるようにおもひます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
さうして座敷ざしきすみ瞽女ごぜかはつて三味線さみせんふくろをすつときおろしたとき巫女くちよせ荷物にもつはこ脊負しよつて自分じぶんとまつた宿やどかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞくちびるがあまり厚過あつすぎるので、其所そこ幾分いくぶんゆるみがえた。そのかはかれには、普通ふつう人間にんげん到底たうているべからざる一種いつしゆ精彩せいさいひらめいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
震災しんさい以來いらい東京とうきやう梅園うめぞの松村まつむら以外いぐわいには「しるこ」らしい「しるこ」あとつてしまつた。そのかはりにどこもカツフエだらけである。
しるこ (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
だからね、かはりばんこに着ませうよ。實はね、あたしは、名義めいぎはこの家の主人だけど、ほんたうの主人は、この表通りの自轉車屋なのよ。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
『おまへつたことぢやない!』と五點フアイブ。『そんならわたしれにはなしてやらう——玉葱たまねぎかはりに欝金香うつこんかう料理人クツクところつてけッて』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
行火あんかかはりにまでももちひられるようになり、今日こんにちでは人間にんげん生活上せいかつじよう電氣でんき寸時すんじくことの出來できない必要ひつようなものとなりました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
御機嫌ごきげんちがひたらばれまでとしてあそびのかはりのおいとまねがひしに流石さすが日頃ひごろつとめぶりもあり、一日すぎてのつぎはやきてはやかへれと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此頃このごろおい日本地震學界につぽんぢしんがつかい解散かいさんむなきにいたつたが、あらたにわが政府事業せいふじぎようとしておこされた震災豫防調査會しんさいよぼうちようさかいこれかはつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かねうけたまはる、かれちゝなる濱島武文氏はまじまたけぶみしと、春枝夫人はるえふじんとのこゝろざしかはつて、不肖ふせうながら日出雄少年ひでをせうねん教育きよういくにんをば、これからこの櫻木重雄さくらぎしげを引受ひきうけませう。』
おれかはりにくんだ。弥「ハヽヽそれぢやアわたし身上しんしやうもらふのだ。女房「御覧ごらんなさい、馬鹿ばかでも慾張よくばつてますよ。 ...
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ゆゑに家毎いへごとこのながれもつ井水ゐすゐかはりとし、しかもをけにてもくむべきながれなれば、平日の便利べんり井戸よりもはるかにまされり。
B ぼく政治上せいぢじやうこと趣味しゆみがないからくはしいことらないが、なんでも請願せいぐわんかはりに、多數たすう人民じんみんから衆議院議長しうぎゐんぎちやうてゝ葉書はがきさうとふのださうな。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
吸物すひものひ尽した。小僧は『おかはりを』といつて、塗の剥げた盃をさしつけた。松潜まつくゞりはかへでの枝に居らぬ。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
五人ごにんのうちであまりものいりもしなかつたかはりに、智慧ちえのないざまをして、一番いちばんむごたのがこのひとです。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
はへうじも、とは、まさかひはしなかつたけれども、場合ばあひ……きれいきたないなんぞ勿體もつたいないと、たちのき場所ばしよ周圍しうゐからせつて、使つかひかはつて、もう一度いちど
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてそれらの金屬きんぞくをもつてつくつた器物きぶつほうが、いしつくつたものよりは工合ぐあひのよいことをつてからは、だん/\いしかはりに金屬きんぞくつくるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのとき、もう一人ひとりひとかきかはつて、『ります、ります』とこたへますね。あのぼうつよたれゝばたれるほど、かきあまくなるとかききました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
知て小西屋へ行しは兄の元益なれば是も如何なるたゝりや有んと元益と共にむねやすからず思ひゐたるに慈悲深じひぶかく山田が事は問給はで是を庄兵衞がかはりとなし養親やうしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きまつた綴音シラブルも脚韻も顧慮しないかはりにしきりに頭韻法を繰返す。氏はみづか未来派フユチユリストの天才であると公言し、古臭い詩風の破壊を敢てした事を光栄とすると言つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
品川湾の眺望に対する興味は時勢と共に全く湮滅してしまつたにかゝはらず、其のかはりとして興るべき新しい風景に対する興味は今日こんにちに於てはいま成立なりたたずにゐるのである。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
其所らがきふにもや/\とうすもやでもかゝつたやうになツて畫架諸共もろとも「自然の力」は、すーツと其の中へき込まれるかと思はれた………かはつて眼に映ツたのが裸體になツたお房だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ピータ ほい、眞平御免まっぴらごめんなれぢゃ。足下おぬし唄方うたかたであったものを。乃公おれかはってはう。そも/\「音樂おんがくぎん調しらべ」とっぱ、はて、とかく樂人がくじんは金貨にはうありつかぬからぢゃ。
明治めいぢ三十七ねん戰爭せんさうおこるや、又一またいち召集せうしふせられ、ゆゑかはりてこのきた留守るす監督かんとくすることとなれり。わが牧塲ぼくぢやう事業じげふやうやそのちよきしものにて、創業さうげふ困難こんなんくはふるに交通かうつう不便ふべんあり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
先生せんせい奥樣おくさまと、夜晝よるひる病床ベツドそばはなれませんでした。そしてくだいて看護かんごをなされました。先生せんせいは「自分じぶんにかはれるものならばよろこんでかはつてやりたい」と沁々しみ/″\、そのとき、わたしにはれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
六一臣として君をつすら、天に応じ民ののぞみにしたがへば、六二しう八百年の創業さうげふとなるものを、まして六三しるべきくらゐある身にて、六四牝鶏ひんけいあしたするを取つてかはらんに、道を失ふといふべからず。
成程なるほどわたくしじゆくには規則きそくまをしても何時なんどきる、おきるといふだけで、其外そのほかこれまもれ、これをおこなへといふやうな命令的めいれいてきことさらまをさないが、かはり、何事なにごと自營獨立じえいどくりつ精神せいしんめてつてもらひたい。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
で、あと患者くわんじや代診だいしんかれかはつて診察しんさつするのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かはつてふるい葉が落ちてしまふのです。
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
それぢや わたしがかはつてのぼつてあげるわ
へしか、消ゆる後姿うしろでかはれるれつ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
勘次かんじ開墾かいこん手間賃てまちん比較的ひかくてき餘計よけいあたへられるかはりにはくぬぎは一つもはこばないはずであつた。彼等かれら伴侶なかまはさういふことをもつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うちでは御米およね宗助そうすけせるはる羽織はおりやうやげて、おしかはりに坐蒲團ざぶとんしたれて、自分じぶん其上そのうへすわつてゐるところであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
らずひきしかばなどたまるべき微塵みぢんになりてうらみをのこしぬぢやうさま御覽ごらんじつけてどくがりたまこのそこねたるは我身わがみらせよかはりにはあたらしきのを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いかにも、くらよるあさかはつたよろこびが、『あけぬこのは』といふ簡單かんたんのうちに、みなぎつてゐるではありませんか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
断念あきらめます、……断念あきらめる……わたくしはおうら思切おもひきります。うぞ、かはり、ゆめでもい、ゆめなら何時いつまでもめずに、わたくし此処こゝに、貴女あなたそばにおください。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何百本なんびやくぽん日章旗につしようきつてつたにしろ、其樣そんことにはかまはぬ、たちま日章旗につしようき片々きれ/″\引裂ひきさかれて、かはつて獅子しゝ鷲章わしゞるしはたが、我物顏わがものがほこのしま占領せんりようすることであらう。
あるひみぎのような積極的動作せききよくてきどうさかはりに、噴氣ふんきあるひ噴煙ふんえん突然とつぜんやむような消極的しようきよくてき前徴ぜんちようしめすものもあり、また氣壓きあつ變動へんどうとく低壓ていあつさいおこくせのあるものもあるから
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
かの香港ホンコンへ志し給ふ若き人達の中よりも弾手ひきて歌ひ手のかはがはさふらひしは物優しき限りに覚え申しさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
實際じつさいのところ今日こんにちのこつてゐる種々しゆ/″\器物きぶつからかんがへますと、どうすゞとの合金ごうきんである青銅せいどうが、一番いちばんはやいしかはつてひろ使用しようされることになつたといふべきでありませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
それがいやだからおれかはりに弥吉やきち馬鹿野郎ばかやらうつて、一でこり/\するやうにしてやらう。
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのためには、いふまでもなく、おたがひ十分じゆうぶんやまあいして、むやみにらないようにし、もしれば、そのあとかはりのゑてたてることをわすれてはなりません。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
を以てする時はお内義ないぎさまいつもお内義さまでは陰中いんちゆうに陽をいだかずして天理てんりかなはず、をり/\はをつとかはりて理屈りくつをいはざれば家内かないおさまらず、さればとて理屈りくつすぎ牝鳥めんどりときをつくれば
受て攝州せつしう大坂にて御仕置に行はれしが此源内の娘にとよと云ふ大孝行の者が有てちゝ源内が入牢せし中讃州さんしう金毘羅權現こんぴらごんげんちかひをたて我が一命をかみさゝげて父の無實の罪にかはらんことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
木曾きそ檜木ひのき材木ざいもくとして立派りつぱなばかりでなく、赤味あかみのあるあつかは屋根板やねいたかはりにもなります。まあ、あの一トかゝへも二擁ふたかゝへもあるやうな檜木ひのきそばへ、お前達まへたちれてつてせたい。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……あゝ、こりゃあんまり厚顏あつかましかった。おれうてゐるのではい。大空中おほぞらぢゅういっうつくしい二箇ふたつほしが、なにようがあって餘所よそくとて、其間そのあひだかはってひかってくれとひめたのんだのぢゃな。
本所ほんじよも同じやうに所々しよ/\出水しゆつすゐしたさうで、蘿月らげつはおとよの住む今戸いまど近辺きんぺんはどうであつたかと、二三日ぎてから、所用しよゝうの帰りの夕方ゆふがた見舞みまひに来て見ると、出水でみづはうは無事であつたかはりに、それよりも
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「其のかはり女にはお産といふ大難だいなんがあるぢやありませんか。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
勉強が佐々木にかはつたから、昼寐をする説明にはならないが、与次郎が、昨夕ゆふべ先生に例の話をした事丈は是で明瞭になつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのかはしはことも二とはさがらねど、よきことには大旦那おほだんなあまはうゆゑ、すこしのほまちはことるまじ、やにつたらわたしとこまで端書はがきまい、こまかきことらず
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)