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曵
トタンにがらがらと
腕車が一台、目の前へ
顕れて、
人通の中を
曵いて通る時、
地響がして土間ぐるみ五助の
体はぶるぶると
胴震。
襞と云ふ
襞を白く
曵いたアルプス連山の姿は
予て想像して居た様な雄大な
趣で無く、白い盛装をした欧洲婦人の
群を望む様に優美であつた。
知らず
曵しかばなど
堪るべき
微塵になりて
恨みを
地に
殘しぬ
孃さま
御覽じつけて
氣の
毒がり
給ひ
此そこねたるは
我身に
取らせよ
代りには
新らしきのを