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曵
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ひ
ふりがな文庫
“
曵
(
ひ
)” の例文
トタンにがらがらと
腕車
(
くるま
)
が一台、目の前へ
顕
(
あらわ
)
れて、
人通
(
ひとどおり
)
の中を
曵
(
ひ
)
いて通る時、
地響
(
じひびき
)
がして土間ぐるみ五助の
体
(
たい
)
はぶるぶると
胴震
(
どうぶるい
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
襞
(
ひだ
)
と云ふ
襞
(
ひだ
)
を白く
曵
(
ひ
)
いたアルプス連山の姿は
予
(
かね
)
て想像して居た様な雄大な
趣
(
おもむき
)
で無く、白い盛装をした欧洲婦人の
群
(
むれ
)
を望む様に優美であつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そしてさうした大層な仕事は、みんな、蟻達の
顎
(
あご
)
の力で
曵
(
ひ
)
き出された一と粒一と粒で成就されるのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
ですからわたくしは、
何処
(
どこ
)
に往っても、樹の有る処、花の有る処、
乃至
(
ないし
)
は黙々と
口噤
(
くちつぐ
)
む石、空を
曵
(
ひ
)
く
一抹
(
いちまつ
)
の雲の有るところでは、決して自分がたった独りでいるのだとは思いはしないのです。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
取
(
と
)
らすべしとの
給
(
たま
)
ひしかど
元來
(
もとより
)
落
(
おと
)
せしは
我
(
わ
)
が
粗忽
(
そこつ
)
なり
曵
(
ひ
)
かれしも
道理
(
どうり
)
破損
(
そこね
)
しとて
恨
(
うら
)
みもあらず
况
(
まし
)
てや
代
(
かは
)
りをとの
望
(
のぞ
)
みもなし
是
(
こ
)
れは
亡母
(
なきはゝ
)
が
紀念
(
かたみ
)
のなれば
他人
(
ひと
)
に
奉
(
たてまつ
)
るべき
物
(
もの
)
ならずとて
拾
(
ひろ
)
ひ
納
(
あつ
)
めて
懷
(
ふところ
)
にせしを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
という処へ、荷車が二台、浴衣の洗濯を
堆
(
うずたか
)
く積んで、小僧が三人寒い顔をしながら、
日向
(
ひなた
)
をのッしりと
曵
(
ひ
)
いて通る。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちょうど藤つつじの
盛
(
さかり
)
な頃を、父と一所に、大勢で、金石の海へ……船で
鰯網
(
いわしあみ
)
を
曵
(
ひ
)
かせに
行
(
ゆ
)
く途中であった……
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
曵
部首:⽈
7画
“曵”を含む語句
曵戸
棚曵
櫛曵
猿曵