のこ)” の例文
新字:
うちよりけておもていだすは見違みちがへねどもむかしのこらぬ芳之助よしのすけはゝ姿すがたなりひとならでたぬひとおもひもらずたゝずむかげにおどろかされてもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えゝも、乳母うばめは跛足ちんばぢゃ! こひ使者つかひには思念おもひをこそ、思念おもひのこよるかげ遠山蔭とほやまかげ追退おひのける旭光あさひはやさよりも十ばいはやいといふ。
これが西暦せいれき千八百八十三年せんはつぴやくはちじゆうさんねん大爆裂だいばくれつをなして、しま大半たいはんばし、あとにはたかわづか八百十六米はつぴやくじゆうろくめーとる小火山島しようかざんとうのこしたのみである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ほとんあやふかつたその時、私達は自らすくふために、十ぶんにそのちからうたがひをのこしながらも、愛とその結婚にかくを求めようとしました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
自分じぶん同年齡おないどし自分じぶんつてる子供こどものこらずかたぱしからかんがはじめました、しも自分じぶん其中そのかなだれかとへられたのではないかとおもつて。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
みなみまはすと、玄關げんくわんからの入口いりぐち半分はんぶんふさいで仕舞しまふし、ひがしすとくらくなる、とつて、のこ一方いつぽうてればとこかくすので、宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
小學校へはひつて文字を習ひおぼえ、をさない頭にも自分のさうあらはすことを知つて、初めて書き上げた作文にし思ひ出がのこるならば
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
棟近むねちかやまかけて、一陣いちぢんかぜわたつて、まだかすかかげのこつた裏櫺子うられんじたけがさら/\と立騷たちさわぎ、前庭ぜんてい大樹たいじゆかへでみどりおさへてくもくろい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其麽時は、孝子は用もない帳簿などをいぢくつて、人後ひとあとまでのこつた。月給を貰つた爲めに怡々いそ/\して早く歸るなどと、思はれたくなかつたのだ。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しなおもて大戸おほどけさせたときがきら/\と東隣ひがしどなりもりしににはけてきつかりと日蔭ひかげかぎつてのこつたしもしろえてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
もちろんこの小屋こやけたりこわれたりして、今日こんにちまったくのこつてをりませんが、その土臺どだいくひだけがみづなかのこつてゐるのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
留守るすのこしいよ/\天一坊樣御出張のせつは斯樣々々と紅屋庄藏大和屋三郎兵衞の兩人に萬端頼み置き常樂院には大坂を發足し道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
木曾きそひとむかしからお伽話とぎばなしきだつたとえますね。いはにも、いけにも、釣竿つりざをにも、こんなお伽話とぎばなしのこつて、それをむかしからつたへてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
じつ非常ひじやう手段しゆだんではあるが、※日くわじつ自動鐵車じどうてつしやすなすべりのたに陷落かんらくしたとき君等きみらすくはんがため製作せいさくした大輕氣球だいけいきゝゆうが、いまのこつてる。
拾得じつとく食器しよくきあらひますときのこつてゐるめしさいたけつゝれてつてきますと、寒山かんざんはそれをもらひにまゐるのでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
海岸かいがんちかやまやまには松柏しようはくしげり、其頂そのいたゞきには古城こじやう石垣いしがきのこしたる、其麓そのふもと小高こだかところつてるのが大島小學校おほしませうがくかうであります。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そしてのこつた四分しぶんさんあめからえだえだからみきながれて、徐々じよ/\地面じめんち、そこにあるられるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
是等これらは肉の大部分をりたる後、尚ほのこりて付着ふちやくし居る部分をば骨と共に前述の土器に入れて煮たる事を示すものの如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
眞ん中に皿をのこしたかつぱ頭を、柔かな春風になぶられながら、私達は土手どてを東へ、小貝川の野地を駈け下りた。
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
それからのこりの斷面貝層だんめんかひそう(一丈餘じやうよ)三ぱうくまなく見廻みまはつたが、何處どこに一ぺん土器破片どきはへん其他そのた見出みいださなかつた。
だれもおいてはきません。ひとりのこらずくのです。でもね、いいですか、それまでにおほきくそして立派りつぱそだつことですよ。壯健たつしやからだつよはね! わかつて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
アメリカの資本家しほんか搾取さくしゆされるのも、日本にほん資本家しほんか搾取さくしゆされるのもおなじわけだが、日本にほん勞働者らうどうしやとしては、まつたく『おなじわけ』にかない心理しんりのこつてゐる。
アンドレイ、エヒミチはいまはじめていたが、ミハイル、アウエリヤヌヰチはさき大地主おほぢぬしつたときの、あま感心かんしんせぬ風計ふうばかりがいまのこつてゐるとふことを。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こんなうたをあげてると、人麿ひとまろといふひとは、かなしいうたばかりんでゐたひとのようですが、なか/\どうして、どっしりとしたつようたを、たくさんのこしてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わたし北海道ほくかいだうつても、れにもつたひとはふとはおもひませんわ。わたしはたゞそつと自分じぶんまへのこした足跡あしあとを、くるまほろあひだからでもてくれゝばいゝんですもの。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
いや、そのうちどちらにしろ、のこつたをとこにつれひたい、——さうもあへあへふのです。わたしはそのとき猛然まうぜんと、をとこころしたいになりました。(陰鬱いんうつなる興奮こうふん
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
日本にほん輸出超過ゆしゆつてうくわくに變化へんくわしない以上いじやうこの買取かひとつたかね永久えいきう吾々われ/\手許てもとのこらうとはかんがへられぬ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
とおほめになつて、うちに少々しよう/\のこつてゐたもの褒美ほうびらせました。もちろんひめ難題なんだいにはふるひ、「赫映姫かぐやひめおほがたりめ」とさけんで、またと近寄ちかよらうともしませんでした。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
』はのこらめとささやきつ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
鳥は青いさけびをのこしてかける。
メランコリア (旧字旧仮名) / 三富朽葉(著)
其處そこのこれるものありて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
マーキュ 猫王ねこまたどの、九箇こゝのつあるといふ足下おぬしいのちたッたひとつだけ所望しょもうしたいが、其後そののち擧動次第しこなししだいのこ八箇やッつたゝみじくまいものでもない。
磐梯山破裂ばんだいざんはれつあとにはおほきな蒸氣孔じようきこうのこし、火山作用かざんさよういまもなほさかんであるが、眉山まゆやま場合ばあひにはごう右樣みぎよう痕跡こんせきとゞめなかつたのである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おほきなそろへて、ふすまかげからはひつて宗助そうすけはういたが、二人ふたり眼元めもとにも口元くちもとにも、いまわらつたばかりかげが、まだゆたかにのこつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(いろは)のことなり、れば大廈たいか嵬然くわいぜんとしてそびゆれども奧行おくゆきすこしもなく、座敷ざしきのこらず三角形さんかくけいをなす、けだ幾何學的きかがくてき不思議ふしぎならむ。
神楽坂七不思議 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
もう幾人いくにんあるいたあとなので、おもふやうにはけなかつたがそれでも勘次かんじはおしなにひかされて、まだのこつて蒟蒻こんにやくかついでかへつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たゞ埴輪はにわといつて、ひとぞう動物どうぶつかたちつぼかたちつちつくつたものがならべてあつたことは、そののこものがあるのでわかります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
弦月丸げんげつまる運命うんめい最早もはやぷん、二ふん甲板かんぱんにはのこ一艘いつそう端艇たんていい、くなりては今更いまさらなにをかおもはん、せめては殊勝けなげなる最後さいごこそ吾等われらのぞみである。
あいちやんは洋卓テーブル周圍しうゐのこらず見廻みまはしましたが、其上そのうへにはちやほかなにもありませんでした。『さけくッてよ』とあいちやんが注意ちういしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
參詣人さんけいにんへも愛想あいそよく門前もんぜん花屋はなや口惡くちわかゝ兎角とかく蔭口かげぐちはぬをれば、ふるしの浴衣ゆかた總菜そうざいのおのこりなどおのずからの御恩ごおんかうむるなるべし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
衰破すゐは斷滅だんめつし其屋敷あとはたとなりてのこれり其中に少しのをかありて時々とき/″\ぜに又は其外そのほか種々いろ/\器物きぶつなど掘出ほりだす事ある由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そうしづかにはちのこつたみづゆかかたむけた。そして「そんならこれでおいとまをいたします」とふやいなや、くるりとりよ背中せなかけて、戸口とぐちはうあるした。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
川崎備寛かはさきびくわん長尾克ながをこくなどの面面めんめんで、一とうとうを一まるまる、一さうさうを一たけたけといふふうび、三元牌サンウエンパイポンされたあとのこりの一まいてると、それがカンになり
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それからおとなりのあかかきはうつて、たつたひとつだけたかいところにのこつてたのをなが竿さをおとしました。もうおとなりのえだには一つもあかかきがありません。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なかには旋頭歌せどうかが、まだ片歌かたうた一組ひとくみであつたとき姿すがたを、のこしてゐるものすらあります。やはり萬葉集まんにようしゆう
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
砂糖さとう澱粉でんぷんといふような含水炭素がんすいたんそとよぶ養分ようぶんつくり、それをからえだへ、えだからみきくだつておくつて、木全體きぜんたい發育はついくのための養分ようぶんにし、そののこりはたくはへておきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
彼女かのぢよたのしんであとのこつた。さうして新生涯しんしやうがいゆめみながらかれからのたよりをくらした。一にち、一にちつてく。けれどもそののちかれからはなん端書はがきぽん音信おとづれもなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
くして嶺千鳥窪みねちどりくぼ遺跡ゐせきは、各部面かくぶめん大穴おほあな穿うがらした。いまでも其跡そのあと生々なま/\しくのこつてる。
すこ身體からだ工合ぐあひわるいから、今日丈けふだ宿やどのこつてゐると、つひ思切おもひきつてともふたのでつた、しかるにミハイル、アウエリヤヌヰチは、れぢや自分じぶんいへにゐることやう
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
またあのやぶしげつてゐるのをては、さうふのも無理むりはありますまい。わたしはこれもじつへば、おもつぼにはまつたのですから、をんな一人ひとりのこしたままをとこやぶなかへはひりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)