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奧行
(いろは)のことなり、
唯見れば
大廈嵬然として
聳ゆれども
奧行は
少しもなく、
座敷は
殘らず
三角形をなす、
蓋し
幾何學的の
不思議ならむ。
見るに
間口は六七間
奧行も十間餘
土藏は二戸前あり聞しに
増て
大層なる
暮し成りければ獨心中に歡び是程の暮しならば我等一人
位何やうにも世話して
呉れるならんと
小腰を
大きい
石室は
奧行きが
十間近くもあり、
室内は
眞暗ですから
大そう
氣味の
惡いものでありますが、
蝋燭を
點したり、
懷中電燈を
携へて
行きますと、
内部の
模樣がよくわかります。