みだ)” の例文
新字:
しばらくすると、毛蟲けむしが、こと/″\眞白まつしろてふになつて、えだにも、にも、ふたゝ花片はなびららしてつてみだるゝ。幾千いくせんともかずらない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女同士をんなどうしはわあとたゞわらごゑはつして各自てんで對手あひていたりたゝいたりしてみだれつゝさわいだ。突然とつぜん一人ひとりがおつぎのかみへひよつとけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
本艦ほんかん一令いちれいした推進螺旋スクルーなみつて進航しんかうはじめた。規律きりつたゞしき軍艦ぐんかん甲板かんぱん、かゝる活劇さわぎあひだでもけつしてその態度たいどみだやうことはない。
が、しばらくすると中根なかねはなしにもきがた。そして、三十ぷんたないうちにまた兵士達へいしたち歩調ほてうみだれてた。ゐねむりがはじまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
さて其外そのほかでは、なんであらうか? 性根しゃうねみだれぬ亂心らんしん……いきをもむるにがもの。……いのち砂糖漬さとうづけにするほどあまもの。さらば。
みだるゝこゝろ流石さすがしづめて花子はなこさまおほせまだわたしには呑込のみこめませぬおこたへもなにおつてのこと今日けふづおいとまたんとするを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きゝしなれば少しは心のみだれもせん此度吾助が兄君をがいせしはみな我身わがみより起りしことと思はるゝなり其のわけ日外いつぞやよりして吾助事我が身に度々たび/\不義を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はかばかしき下人げにんもなきに、かかるみだれたる世に、此殿このとのをつかはされたるこゝろざし、大地たいちよりもあつし、地神ちじんもさだめてしりぬらん。虚空こくうよりもたかし。
其内そのうちやまなかは、一日々々いちにち/\つた。御米およねからはなりなが手紙てがみがもう二ほんた。もつとも二ほんともあらたに宗助そうすけこゝろみだやう心配事しんぱいごといてなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「…………」周三は蒼白い顏をねぢ曲げながら視線をみだしておど/\した。それがいかにもあどけなくまた意氣地いくぢなく、生れつきのひもらしい感じであつた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
しかし實際じつさいは、うみやま不規則ふきそくみだれてゐますから、その水平的森林帶すいへいてきしんりんたいも、ところ/″\で中斷ちゆうだんし、また氣候きこうにも影響えいきようされて不規則ふきそくおびとなつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
さうしていへつぶかたしめされたとほりであつたならば、生徒中せいとちゆう一人ひとり負傷者ふしようしや出來できず、「しやがんだまゝそとよ」との第二號令だいにごうれいで、全員ぜんいん秩序ちつじよみださず
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
冷靜なのは、さう言つた和泉屋皆吉だけ、平次はさすがにとりみだしもしませんが、主人庄司三郎兵衞は申す迄もなく、内儀お輝の驚きやうも大變なものでした。
とゞろく胸をおさへつゝ、朱雀すざくかたに來れば、向ひよりかたちみだせる二三人の女房の大路おほぢを北に急ぎ行くに、瀧口呼留めて事の由を尋ぬれば、一人の女房立留りて悲しげに
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
夕方ゆふがたそらには、いつぱいくもみだれてゐて、あちらこちらにはやまはつてゐるとききおろす山風やまかぜが、あら/\しくいてゐる。そのにもみゝにも、すさまじい景色けしき
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
かへつて(四八)浮淫ふいんげて・これ(四九)功實こうじつうへくはふるをうれへ、以爲おもへらく、(五〇)儒者じゆしやぶんもつはふみだし、しかうして(五一)侠者けふしやもつきんをかす。
〔譯〕賢者はぼつするにのぞみ、まさに然るべきを見て、以てぶんと爲し、死をおそるゝをぢて、死をやすんずるをこひねがふ、故に神氣しんきみだれず。又遺訓いくんあり、以てちやうそびやかすに足る。
はる野路のぢをガタ馬車ばしやはしる、はなみだれてる、フワリ/\と生温なまぬるかぜゐてはなかほりせままどからひとおもてかすめる、此時このとき御者ぎよしや陽氣やうき調子てうし喇叭らつぱきたてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
... いゝえ!』といたましげなこゑあいちやんがさけびました、『またさはつたかしら!』ねずみいけみづみだし、一生懸命しやうけんめいおよらうとするのを、あいちやんはしづかにめました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
もうつてくれ、無邪氣むぢやきないたづらをして、そのへんをかきみだすのは辛抱しんぼうするが、不潔ふけつなことをするおそれがある、つてもらない、そのまゝ默認もくにんしてゐるうちに、とこに、またたれた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
規律きりつみだこと出來できません、けません!』とニキタはさとすやうな調子てうし
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
伏葉ふしばみだれ、魂合たまあへるうまむつびに
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
みだれな、わさぐな、あわてるな
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
みだれてものに狂ひよる
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
をさみだ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
さくらうらを、ぱつとらして、薄明うすあかるくかゝるか、とおもへば、さつすみのやうにくもつて、つきおもてさへぎるやいなや、むら/\とみだれてはしる……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
蒲團ふとんてらばつてはうがえゝな」みなみ亭主ていしゆこゑ段々だん/\大粒おほつぶつてんでゆきみだれのなか勘次かんじあとからけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たれもがからだをぐらつかせながら、まるで出來できわる機械人形きかいにんぎやうのやうなあしはこんでゐたのだつた。隊列たいれつ可成かなみだれてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
時に嘉川主税之助は我が實子じつし愛欲あいよくまなこくらみて家のみだれは一向構はず彼安間平左衞門始め新參の家來を相手あひて只管ひたすら惡事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
れがためいろならずきみにおくれてかゞみかげあはおもてつれなしとて伽羅きやらあぶらかをりもめずみだ次第しだいはな姿すがたやつれる
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ロミオ おゝ、いでさらば、わが聖者せいじゃよ、所爲わざくちびるさしめたまへ。くちびるいのりまする、ゆるしたまへ、さもなくば、信心しんじんやぶれ、こゝろみだれまする。
龐涓はうけんはたしてよる斫木しやくぼくもといたり、白書はくしよすなは(五五)りてこれてらす。其書そのしよいまをはらざるに、せいぐん萬弩ばんどともはつす。ぐんおほひみだれ、(五六)相失あひしつす。
宗助そうすけおもしたやうがつて、座敷ざしき雨戸あまどきに縁側えんがはた。孟宗竹まうそうちく薄黒うすぐろそらいろみだうへに、ひとふたつのほしきらめいた。ピヤノの孟宗竹まうそうちくうしろからひゞいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おきみは頬にみだれ下つた結ひ綿の髮を、小さな唇でなぶりながら、深い溜息をついてゐた。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
これはちょっとると、「くもみだれ」、「れてく」などいふ言葉ことばが、ごた/\してゐるようであるが、わたし解釋かいしやくしたようにれてくから、べつかんがへてると、空模樣そらもようさらくはへて
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
とき神學しんがく議論ぎろんまであらはれて一しきりはシガーのけむ熢々濛々ぼう/\もう/\たるなかろくしち人面じんめん隱見いんけん出沒しゆつぼつして、甲走かんばしつた肉聲にくせい幾種いくしゆ一高一低いつかういつてい縱横じゆうわうみだれ、これにともな音樂おんがくはドスンとたくおと
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
艦長松島海軍大佐かんちやうまつしまかいぐんたいさ濱島武文はまじまたけぶみ其他そのた同席どうせきの二三士官等しくわんらは、凛々りゝたるおもて微笑びせううかべて、たがひかほ見合みあはとき軍艦ぐんかん」の右舷うげん左舷さげんには、うしほはなたまみだれて、かん速力そくりよくぶがやうであつた。
そのみだれ、ひとつびとつ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
さすがにはねみださねど
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
みだれな
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
(ひい。)とをんなこゑさぎ舞上まひあがりました。つばさかぜに、はなのさら/\とみだるゝのが、をんな手足てあしうねらして、もがくに宛然さながらである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎはつめたいあめれてさうしてすこちゞれたかみみだれてくつたりとほゝいてあしにはちたたけがくつゝいてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此年このとし三のとりまでりてなかにちはつぶれしかど前後ぜんご上天氣じやうてんき大鳥神社おほとりじんじやにぎわひすさまじく、此處こゝかこつけに檢査塲けんさばもんよりみだ若人達わかうどたちいきほひとては
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
三五郎は心得たりと受流うけながし暫時が程は戰ひしが如何で重四郎に敵するを得んや追々おひ/\太刀筋たちすぢみだ四度路しどろになる所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こゝろみだれてゐていてはゐなんだが? ヂュリエットとこのパリスとが婚禮こんれいをするはずであったとかうた。
宗助そうすけくろみだれた所爲せゐだらうとおもつて、わざ/\びんげてつた。さうして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
曳馬野ひくまのはりはらみだれ、春日はるひくらすは、昔人むかしびとかも
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
みだ苦參くららこそ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
くさみだるゝほたる
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いさゝか平常ふだん化粧けしやうたがふことなかりしとぞ。いま庇髮ひさしがみ、あのおびたゞしくかほみだれたるびんのほつれは如何いかにはたしてこれなんてうをなすものぞ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)