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見上
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みあ
ふりがな文庫
“
見上
(
みあ
)” の例文
「もう、これなら、だれにも
負
(
ま
)
けず、どんなところへでも
飛
(
と
)
んでいける。」と、すずめは、
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
を
見上
(
みあ
)
げて、ひとり
言
(
ごと
)
をしました。
温泉へ出かけたすずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
昨日
(
きのふ
)
の
朝
(
あさ
)
千葉
(
ちば
)
が
私
(
わたし
)
を
呼
(
よ
)
びまして、
奧樣
(
おくさま
)
が
此
(
この
)
四五
日
(
にち
)
御
(
お
)
すぐれ
無
(
な
)
い
樣
(
やう
)
に
見上
(
みあ
)
げられる、
何
(
ど
)
うぞ
遊
(
あそば
)
してかと
如何
(
いか
)
にも
心配
(
しんぱい
)
らしく
申
(
まをし
)
ますので
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「もう
何時
(
なんじ
)
」と
云
(
い
)
ひながら、
枕元
(
まくらもと
)
の
宗助
(
そうすけ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
宵
(
よひ
)
とは
違
(
ちが
)
つて
頬
(
ほゝ
)
から
血
(
ち
)
が
退
(
ひ
)
いて、
洋燈
(
らんぷ
)
に
照
(
て
)
らされた
所
(
ところ
)
が、ことに
蒼白
(
あをじろ
)
く
映
(
うつ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
削
(
けず
)
ったような
高
(
たか
)
い
崖
(
がけ
)
、そこら
中
(
じゅう
)
には
見上
(
みあ
)
げるような
常盤木
(
ときわぎ
)
が
茂
(
しげ
)
って
居
(
お
)
り、いかにもしっとりと
気分
(
きぶん
)
の
落
(
お
)
ちついた
場所
(
ばしょ
)
でした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と、
山姥
(
やまうば
)
は木の上を
見上
(
みあ
)
げて、きょうだいをしかりました。その
声
(
こえ
)
を
聞
(
き
)
くと、きょうだいはひとちぢみにちぢみ
上
(
あ
)
がってしまいました。
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
父
(
とう
)
さんも
馬籠
(
まごめ
)
のやうな
村
(
むら
)
に
育
(
そだ
)
つた
子供
(
こども
)
です。
山道
(
やまみち
)
を
歩
(
ある
)
くのに
慣
(
な
)
れては
居
(
ゐ
)
ます。それにしても、『みさやま
峠
(
たうげ
)
』は
見上
(
みあ
)
げるやうな
險
(
けは
)
しい
山坂
(
やまさか
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
粗末
(
そまつ
)
な
布
(
きれ
)
の
下衣
(
したぎ
)
しか
着
(
き
)
てゐないで、
足
(
あし
)
には
何
(
なに
)
も
履
(
は
)
かず、
眼
(
め
)
は
落着
(
おちつ
)
いてゐて、
別
(
べつ
)
に
驚
(
おどろ
)
いた
風
(
ふう
)
も
無
(
な
)
く、こちらを
見上
(
みあ
)
げた。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
吉野川
(
よしのがは
)
の
傍
(
そば
)
にある
象山
(
きさやま
)
の
山
(
やま
)
のま、すなはち
空
(
そら
)
に
接
(
せつ
)
してゐるところの
梢
(
こずゑ
)
を
見上
(
みあ
)
げると、そこには、ひどくたくさん
集
(
あつま
)
つて
鳴
(
な
)
いてゐる
鳥
(
とり
)
の
聲
(
こゑ
)
、それが
聞
(
きこ
)
える。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
頷
(
うなづ
)
いた。
仰向
(
あふむ
)
いて
頷
(
うなづ
)
いた。
其膝切
(
そのひざきり
)
しかないものが、
突立
(
つツた
)
つてる
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げるのだもの。
仰向
(
あふむ
)
いて
見
(
み
)
ざるを
得
(
え
)
ないので、
然
(
しか
)
も、
一寸位
(
ちよつとぐらゐ
)
では
眼
(
め
)
が
屆
(
とゞ
)
かない。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
ハテ
品川
(
しながは
)
の
益田孝君
(
ますだかうくん
)
さ、一
夜
(
や
)
に
頭
(
あたま
)
が三
尺
(
じやく
)
延
(
のび
)
たといふが
忽
(
たちま
)
ち
福
(
ふく
)
も
禄
(
ろく
)
も
益田君
(
ますだくん
)
と人のあたまに
成
(
な
)
るとは
実
(
じつ
)
に
見上
(
みあ
)
げた
仁
(
ひと
)
です、
殊
(
こと
)
に
大茶人
(
だいちやじん
)
で
書巻
(
しよくわん
)
を愛してゐられます
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
なに
)
か
噺
(
はなし
)
の
端緒
(
いとぐち
)
でも
求
(
もと
)
めたいといふ
容子
(
ようす
)
で
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
の
梢
(
こずゑ
)
からだらりと
垂
(
たれ
)
てる
南瓜
(
たうなす
)
の
臀
(
しり
)
を
見上
(
みあ
)
げながらいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
道子
(
みちこ
)
は
橋
(
はし
)
の
欄干
(
らんかん
)
に
身
(
み
)
をよせると
共
(
とも
)
に、
真暗
(
まつくら
)
な
公園
(
こうゑん
)
の
後
(
うしろ
)
に
聳
(
そび
)
えてゐる
松屋
(
まつや
)
の
建物
(
たてもの
)
の
屋根
(
やね
)
や
窓
(
まど
)
を
色取
(
いろど
)
る
燈火
(
とうくわ
)
を
見上
(
みあ
)
げる
眼
(
め
)
を、すぐ
様
(
さま
)
橋
(
はし
)
の
下
(
した
)
の
桟橋
(
さんばし
)
から
河面
(
かはづら
)
の
方
(
はう
)
へ
移
(
うつ
)
した。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
混亂
(
こんらん
)
が
隊伍
(
たいご
)
の
中
(
なか
)
に
起
(
おこ
)
つた。
寢呆
(
ねぼ
)
けて
反對
(
はんたい
)
に
駈
(
か
)
け
出
(
だ
)
す
兵士
(
へいし
)
もゐた。ポカンと
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
げてゐる
兵士
(
へいし
)
もゐた。
隊列
(
たいれつ
)
の
後尾
(
こうび
)
にゐた
分隊長
(
ぶんたいちやう
)
の
高岡軍曹
(
たかをかぐんそう
)
は
直
(
す
)
ぐに
岸
(
きし
)
に
駈
(
か
)
け
寄
(
よ
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
『はい、
决
(
けつ
)
して
御無事
(
ごぶじ
)
には
濟
(
す
)
みません。』と、
亞尼
(
アンニー
)
は
眞面目
(
まじめ
)
になつた、
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
頼母
(
たのも
)
し
氣
(
げ
)
に
見上
(
みあ
)
げて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
泣
(
な
)
いたのと
暴
(
あば
)
れたので
幾干
(
いくら
)
か
胸
(
むね
)
がすくと
共
(
とも
)
に、
次第
(
しだい
)
に
疲
(
つか
)
れて
來
(
き
)
たので、いつか
其處
(
そこ
)
に
臥
(
ね
)
てしまひ、
自分
(
じぶん
)
は
蒼々
(
さう/\
)
たる
大空
(
おほぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げて
居
(
ゐ
)
ると、
川瀬
(
かはせ
)
の
音
(
おと
)
が
淙々
(
そう/\
)
として
聞
(
きこ
)
える。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
老人
(
ろうじん
)
は
黙
(
だま
)
ってきいていました。それから
長
(
なが
)
いあいだ
黙
(
だま
)
って
海蔵
(
かいぞう
)
さんの
顔
(
かお
)
を
見上
(
みあ
)
げていました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
けれどもあのヱヴェレストの
頂上
(
てうじやう
)
だけは、
見上
(
みあ
)
げたゞけでも
目
(
め
)
が
眩
(
くら
)
んで、
何度
(
なんど
)
もそこまで
飛
(
と
)
んで
見
(
み
)
ようとしては、
半分
(
はんぶん
)
もゆかないうちに、
疲
(
つか
)
れてしまつたラランはゾグゾクしながら
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
雨は、
羅生門
(
らしやうもん
)
をつゝんで、
遠
(
とほ
)
くから、ざあつと云ふ音をあつめて來る。夕闇は次第に空を低くして、
見上
(
みあ
)
げると、門の屋根が、斜につき出した
甍
(
いらか
)
先
(
さき
)
に、重たくうす
暗
(
くら
)
い
雲
(
くも
)
を支へてゐる。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
陪審官等
(
ばいしんくわんら
)
は
些
(
や
)
や
身體
(
からだ
)
の
顫
(
ふる
)
えが
止
(
とま
)
るや
否
(
いな
)
や、
再
(
ふたゝ
)
び
石盤
(
せきばん
)
と
鉛筆
(
えんぴつ
)
とを
渡
(
わた
)
されたので、
皆
(
みん
)
な一
心
(
しん
)
に
事
(
こと
)
の
始末
(
しまつ
)
を
書
(
か
)
き
出
(
だ
)
しました、
獨
(
ひと
)
り
蜥蜴
(
とかげ
)
のみは
其口
(
そのくち
)
を
開
(
あ
)
いたまゝ、
徒
(
いたづ
)
らに
法廷
(
はふてい
)
の
屋根
(
やね
)
を
見上
(
みあ
)
げて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
頭
(
あたま
)
のてッ
辺
(
ぺん
)
から
足
(
あし
)
の
爪先
(
つまさき
)
まで、
見上
(
みあ
)
げ
見
(
み
)
おろしながら、
言葉
(
ことば
)
を
吃
(
ども
)
らせた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
滅多
(
めつた
)
に
笑
(
わら
)
つたこともない
但馬守
(
たじまのかみ
)
、
今日
(
けふ
)
は
殊
(
こと
)
に
機嫌
(
きげん
)
のわるい
主人
(
しゆじん
)
が、にツこりと
顏
(
かほ
)
を
崩
(
くづ
)
したのを、
侍女
(
じぢよ
)
紀
(
こつな
)
は
不思議
(
ふしぎ
)
さうに
見上
(
みあ
)
げて、『
畏
(
かしこ
)
まりました。』と、うや/\しく一
禮
(
れい
)
して
立
(
た
)
ち
去
(
さ
)
らうとした。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お
上
(
かみ
)
さんはちらと
見上
(
みあ
)
げました。けれど
腰
(
こし
)
も
立
(
た
)
てませんでした。そして
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
今
(
いま
)
一
度
(
ど
)
物
(
もの
)
言
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
され、
天人
(
てんにん
)
どの! さうして
高
(
たか
)
い
處
(
ところ
)
に
光
(
ひか
)
り
輝
(
かゞや
)
いておゐやる
姿
(
すがた
)
は、
驚
(
おどろ
)
き
異
(
あやし
)
んで、
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
って、
目
(
め
)
を
白
(
しろ
)
うして
見上
(
みあ
)
げてゐる
人間共
(
にんげんども
)
の
頭上
(
とうじゃう
)
を、
翼
(
はね
)
のある
天
(
てん
)
の
使
(
つかひ
)
が、
徐
(
しづ
)
かに
漂
(
たゞよ
)
ふ
雲
(
くも
)
に
騎
(
の
)
って
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
下
(
した
)
から
見上
(
みあ
)
げて
待
(
ま
)
つてれば
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
げちや
真面目顔
(
まじめがほ
)
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
まだうら
若
(
わか
)
い
身
(
み
)
でありながら
再縁
(
さいえん
)
しようなどという
心
(
こころ
)
は
微塵
(
みじん
)
もなく、どこまでも
三浦
(
みうら
)
の
殿様
(
とのさま
)
に
操
(
みさお
)
を
立
(
た
)
て
通
(
とう
)
すとは
見上
(
みあ
)
げたものである。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「おじさんのたこ、一
番
(
ばん
)
だこになれる?」と、
北風
(
きたかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら、あくまで
青
(
あお
)
く
晴
(
は
)
れわたった
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
げて、
賢二
(
けんじ
)
がいいました。
北風にたこは上がる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其時
(
そのとき
)
野々宮さんは廊下へ
下
(
お
)
りて、
下
(
した
)
から自分の部屋の
軒
(
のき
)
を
見上
(
みあ
)
げて、
一寸
(
ちよつと
)
見給へ
藁葺
(
わらぶき
)
だと云つた。成程
珍
(
めづ
)
らしく屋根に瓦を
置
(
お
)
いてなかつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
言
(
い
)
いました。すると
間
(
ま
)
もなく
柿
(
かき
)
の木にはたくさん
実
(
み
)
がなって、ずんずん
赤
(
あか
)
くなりました。それを下からかには
見上
(
みあ
)
げて
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
世帶
(
せたい
)
じみた
事
(
こと
)
をと
旦那
(
だんな
)
どのが
恐悦顏
(
きようえつがほ
)
、
見
(
み
)
ぬやうにして
妻
(
つま
)
は
表
(
おもて
)
へ
立出
(
たちい
)
でしが
大空
(
おほぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げてほつと
息
(
いき
)
を
吐
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、
曇
(
くも
)
れるやうの
面
(
おも
)
もちいとゞ
雲深
(
くもふか
)
う
成
(
な
)
りぬ。
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
暫
(
しばら
)
くすると
見上
(
みあ
)
げるほどな
辺
(
あたり
)
へ
蝙蝠傘
(
かうもりがさ
)
の
先
(
さき
)
が
出
(
で
)
たが、
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
とすれ/\になつて
茂
(
しげみ
)
の
中
(
なか
)
に
見
(
み
)
えなくなつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『モリス
山
(
ざん
)
でせう、
私
(
わたくし
)
はよつく
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
ますよ。』とパツチリとした
眼
(
め
)
で
母君
(
はゝぎみ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「ほんとに
雨
(
あめ
)
は
厭
(
い
)
やだな‥‥」と、
私
(
わたし
)
はシカシカする
眼
(
め
)
で
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「
新
(
あたら
)
しいにも、なんにも、もうすこし
前
(
まえ
)
まで、かごの
中
(
なか
)
で、ぴんぴんはねていたのです。」と、
女
(
おんな
)
は、
主人
(
しゅじん
)
の
顔
(
かお
)
を
見上
(
みあ
)
げて
答
(
こた
)
えました。
女の魚売り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
女は
下
(
した
)
から
見上
(
みあ
)
げた儘である。手も
出
(
だ
)
さない。
身体
(
からだ
)
も
動
(
うご
)
かさない。
顔
(
かほ
)
も
元
(
もと
)
の
所
(
ところ
)
に落ち
付
(
つ
)
けてゐる。男は女の返事さへ
能
(
よ
)
くは
解
(
げ
)
し
兼
(
か
)
ねた。其時
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
小半里
(
こはんみち
)
、
田舍
(
ゐなか
)
ながら
大構
(
おほがま
)
への、
見上
(
みあ
)
げるやうな
黒門
(
くろもん
)
の
中
(
なか
)
へ、
轍
(
わだち
)
のあとをする/\と
車
(
くるま
)
が
隱
(
かく
)
れる。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたくし
)
の
足元
(
あしもと
)
に
飛
(
と
)
び
来
(
きた
)
り、その
無邪気
(
むじゃき
)
な、
朗
(
ほがら
)
かな
顔
(
かお
)
に
笑
(
え
)
みを
湛
(
たた
)
えて、
下
(
した
)
から
私
(
わたくし
)
を
見上
(
みあ
)
げるのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
牛若
(
うしわか
)
がいつものように
僧正
(
そうじょう
)
ガ
谷
(
たに
)
へ出かけて
剣術
(
けんじゅつ
)
のおけいこをしていますと、どこからか
鼻
(
はな
)
のばかに
高
(
たか
)
い、
見上
(
みあ
)
げるような
大男
(
おおおとこ
)
が、手に
羽
(
は
)
うちわをもって、ぬっと出て
来
(
き
)
ました。
牛若と弁慶
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
女
(
をんな
)
は
暫時
(
しばし
)
恍惚
(
うつとり
)
として
其
(
その
)
すゝけたる
天井
(
てんじやう
)
を
見上
(
みあ
)
げしが、
孤燈
(
ことう
)
の
火
(
ほ
)
かげ
薄
(
うす
)
き
光
(
ひかり
)
を
遠
(
とほ
)
く
投
(
な
)
げて、おぼろなる
胸
(
むね
)
にてり
返
(
かへ
)
すやうなるもうら
淋
(
さび
)
しく、
四隣
(
あたり
)
に
物
(
もの
)
おと
絶
(
た
)
えたるに
霜夜
(
しもよ
)
の
犬
(
いぬ
)
の
長吠
(
とほぼえ
)
すごく
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
海外
(
かいぐわい
)
萬里
(
ばんり
)
の
地
(
ち
)
に
生
(
うま
)
れて、
父母
(
ちゝはゝ
)
の
外
(
ほか
)
には
本國人
(
ほんこくじん
)
を
見
(
み
)
る
事
(
こと
)
も
稀
(
まれ
)
なる
事
(
こと
)
とて、
幼
(
いとけな
)
き
心
(
こゝろ
)
にも
懷
(
なつ
)
かしとか、
憘
(
うれ
)
しとか
思
(
おも
)
つたのであらう、
其
(
その
)
清
(
すゞ
)
しい
眼
(
め
)
で、しげ/\と
私
(
わたくし
)
の
顏
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げて
居
(
を
)
つたが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それですから、
星
(
ほし
)
が
暁
(
あかつき
)
とともに
隠
(
かく
)
れてしまう
前
(
まえ
)
に
大急
(
おおいそ
)
ぎで
起
(
お
)
きて、
空
(
そら
)
に
輝
(
かがや
)
いている、さびしい
姉
(
あね
)
の
姿
(
すがた
)
を
見上
(
みあ
)
げることもありました。
王さまの感心された話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
無理
(
むり
)
に
堪
(
こら
)
へてうしろを
振返
(
ふりかへ
)
つて
見
(
み
)
ようといふ
元氣
(
げんき
)
もないが、むず/\するので
考
(
かんが
)
へるやうに、
小首
(
こくび
)
をふつて、
促
(
うなが
)
す
處
(
ところ
)
ある
如
(
ごと
)
く、はれぼつたい
眼
(
め
)
で、
巡査
(
じゆんさ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
暗
(
くら
)
い
便所
(
べんじよ
)
から
出
(
で
)
て、
手水鉢
(
てうづばち
)
の
水
(
みづ
)
を
手
(
て
)
に
受
(
う
)
けながら、
不圖
(
ふと
)
廂
(
ひさし
)
の
外
(
そと
)
を
見上
(
みあ
)
げた
時
(
とき
)
、
始
(
はじ
)
めて
竹
(
たけ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した。
幹
(
みき
)
の
頂
(
いたゞき
)
に
濃
(
こま
)
かな
葉
(
は
)
が
集
(
あつ
)
まつて、
丸
(
まる
)
で
坊主頭
(
ばうずあたま
)
の
樣
(
やう
)
に
見
(
み
)
える。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
困
(
こま
)
りきってしまって、
二人
(
ふたり
)
は
大空
(
おおぞら
)
を
見上
(
みあ
)
げながら、ありったけの
悲
(
かな
)
しい
声
(
こえ
)
をふりしぼって
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
これやモウ
程
(
ほど
)
なく十
時
(
じ
)
になるが
關
(
せき
)
は
泊
(
とま
)
つて
行
(
い
)
つて
宜
(
よ
)
いのかの、
歸
(
かへ
)
るならば
最
(
も
)
も
歸
(
かへ
)
らねば
成
(
な
)
るまいぞと
氣
(
き
)
を
引
(
ひ
)
いて
見
(
み
)
る
親
(
おや
)
の
顏
(
かほ
)
、
娘
(
むすめ
)
は
今更
(
いまさら
)
のやうに
見上
(
みあ
)
げて
御父樣
(
おとつさん
)
私
(
わたくし
)
は
御願
(
おねが
)
ひがあつて
出
(
で
)
たので
御座
(
ござ
)
ります
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ああ、
子供
(
こども
)
は
元気
(
げんき
)
でいいなあ。」と、おじいさんは、
空
(
そら
)
を
見上
(
みあ
)
げました。そのおじいさんの
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
て、
太陽
(
たいよう
)
は、にっこりと
笑
(
わら
)
いました。
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
見上
(
みあ
)
げます
所
(
ところ
)
に
坐
(
すわ
)
つたなり、
膝
(
ひざ
)
へ
折
(
を
)
つた
褄
(
つま
)
をふはりと
落
(
おと
)
して、
青
(
あを
)
い
衣服
(
きもの
)
が
艷々
(
つや/\
)
として、すつと
出
(
で
)
て
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
するとある日
猿
(
さる
)
が
来
(
き
)
て、
鈴
(
すず
)
なりになっている
柿
(
かき
)
を
見上
(
みあ
)
げてよだれをたらしました。そしてこんなにりっぱな
実
(
み
)
がなるなら、おむすびと
取
(
と
)
りかえっこをするのではなかったと
思
(
おも
)
いました。
猿かに合戦
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
くしやりと
首
(
くび
)
を
折
(
を
)
つたなり
家
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
つて、
其
(
その
)
夜
(
よる
)
は
夫
(
をつと
)
の
顏
(
かほ
)
さへ
碌々
(
ろく/\
)
見上
(
みあ
)
げなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
探
(
さが
)
しなされと
振
(
ふり
)
はらへば
又
(
また
)
すがり
芳
(
よし
)
さまそれは
御眞實
(
ごしんじつ
)
かと
見上
(
みあ
)
ぐる
面
(
おもて
)
睨
(
にら
)
みかへして
嘘
(
うそ
)
いつはりはお
前
(
まへ
)
さまなどのなさること
義理人情
(
ぎりにんじやう
)
のある
世
(
よ
)
ならよもやと
思
(
おも
)
ふ
生正直
(
きしやうぢき
)
から
飼
(
か
)
ひ
犬
(
いぬ
)
同樣
(
どうやう
)
な
人
(
ひと
)
でなしに
手
(
て
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“見上”で始まる語句
見上皺