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草
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くさ
ふりがな文庫
“
草
(
くさ
)” の例文
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は、ほのかに
足
(
あし
)
もとをあたためて、
草
(
くさ
)
のうちには、まだ
生
(
い
)
き
残
(
のこ
)
った
虫
(
むし
)
が、
細
(
ほそ
)
い
声
(
こえ
)
で、しかし、
朗
(
ほが
)
らかに
歌
(
うた
)
をうたっていました。
丘の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(
茫然
(
ぼんやり
)
してると、
木精
(
こだま
)
が
攫
(
さら
)
ふぜ、
昼間
(
ひるま
)
だつて
用捨
(
ようしや
)
はねえよ。)と
嘲
(
あざけ
)
るが
如
(
ごと
)
く
言
(
い
)
ひ
棄
(
す
)
てたが、
軈
(
やが
)
て
岩
(
いは
)
の
陰
(
かげ
)
に
入
(
はい
)
つて
高
(
たか
)
い
処
(
ところ
)
の
草
(
くさ
)
に
隠
(
かく
)
れた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そればかりではありません、
山
(
やま
)
にある
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
、
田圃
(
たんぼ
)
にある
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
にも『
食
(
た
)
べられるからおあがり。』と
言
(
い
)
つてくれるのもありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
鐵車
(
てつしや
)
は
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
ではビクともしない、
反對
(
はんたい
)
に
獸
(
じう
)
を
彈飛
(
はじきとば
)
すと、
百獸
(
ひやくじう
)
の
王樣
(
わうさま
)
も
團子
(
だんご
)
のやうに
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
を
七顛八倒
(
しちてんばつたう
)
。
吾等
(
われら
)
一同
(
いちどう
)
はドツと
笑
(
わら
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
見
(
み
)
ると石のまわりには、二三
町
(
ちょう
)
の
間
(
あいだ
)
ろくろく
草
(
くさ
)
も
生
(
は
)
えてはいませんでした。そして
小鳥
(
ことり
)
や
虫
(
むし
)
が
何
(
なん
)
千となく
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
って
死
(
し
)
んでいました。
殺生石
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
▼ もっと見る
「よきはどうしたんだ」おつぎは
岸
(
きし
)
へ
上
(
あが
)
つて
泥
(
どろ
)
だらけの
足
(
あし
)
で
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
膝
(
ひざ
)
を
突
(
つい
)
た。
與吉
(
よきち
)
は
笑交
(
わらひまじ
)
りに
泣
(
な
)
いて
兩手
(
りやうて
)
を
出
(
だ
)
して
抱
(
だ
)
かれようとする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そしてそれが
水上
(
すいじょう
)
を
渡
(
わた
)
って
向
(
むこ
)
うへ
消
(
き
)
えたと
思
(
おも
)
うと、
幾匹
(
いくひき
)
かの
猟犬
(
りょうけん
)
が
水草
(
みずくさ
)
の中に
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
て、
草
(
くさ
)
を
踏
(
ふ
)
み
折
(
お
)
り
踏
(
ふ
)
み
折
(
お
)
り
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
きました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
良久
(
しばらく
)
して
芋蟲
(
いもむし
)
は
口
(
くち
)
から
煙管
(
きせる
)
を
離
(
はな
)
し、二つ三つ
欠
(
あくび
)
をして
身振
(
みぶる
)
ひしたかと
思
(
おも
)
ふと、
軈
(
やが
)
て
菌
(
きのこ
)
の
下
(
した
)
を
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
へ這ひ
込
(
こ
)
みました、
只
(
たゞ
)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ひ
殘
(
のこ
)
して
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
すずの(種々)
御供養
(
ごくやう
)
、
送給畢
(
おくりたびをはんぬ
)
。
大風
(
たいふう
)
の
草
(
くさ
)
をなびかし、
雷
(
いかづち
)
の
人
(
ひと
)
ををどろかすやうに候。よの
中
(
なか
)
に、いかにいままで御信用候けるふしぎさよ。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼
(
かれ
)
は
熱心
(
ねつしん
)
に
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
る
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
に
腰
(
こし
)
から
上
(
うへ
)
が
出
(
で
)
て、
其
(
その
)
立
(
た
)
てた
膝
(
ひざ
)
に
畫板
(
ぐわばん
)
が
寄掛
(
よりか
)
けてある、そして
川柳
(
かはやぎ
)
の
影
(
かげ
)
が
後
(
うしろ
)
から
彼
(
かれ
)
の
全身
(
ぜんしん
)
を
被
(
おほ
)
ひ
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
私
(
わたし
)
は
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つて、
折
(
をり
)
から
運
(
はこ
)
ばれて
來
(
き
)
た
金盥
(
かなだらひ
)
のあたゝな
湯氣
(
ゆげ
)
の
中
(
なか
)
に、
草
(
くさ
)
の
葉
(
は
)
から
搖
(
ゆる
)
ぎ
落
(
お
)
ちたやうな
涙
(
なみだ
)
を
靜
(
しづ
)
かに
落
(
おと
)
したのであつた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
じぶんが
盗人
(
ぬすびと
)
のくせに、かしらはそんなひとりごとをいいながら、また
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
にねころがろうとしたのでありました。そのときうしろから
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
われもこう、ききょう、かるかや、おみなへし、すゝき、ふぢばかま、はぎの
秋
(
あき
)
の
七草
(
なゝくさ
)
をはじめ、いろ/\の
草
(
くさ
)
が
野原一面
(
のはらいちめん
)
に
咲
(
さ
)
いてゐます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「そのなかに車一台の
乾
(
ほ
)
し
草
(
くさ
)
を押し入れうる」——それを持って行ける人間がいるなら——ほどの大きな穴を見た、と称する。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
が、
草
(
くさ
)
や
竹
(
たけ
)
の
落葉
(
おちば
)
は、一
面
(
めん
)
に
踏
(
ふ
)
み
荒
(
あら
)
されて
居
(
を
)
りましたから、きつとあの
男
(
をとこ
)
は
殺
(
ころ
)
される
前
(
まへ
)
に、
餘程
(
よほど
)
手痛
(
ていた
)
い
働
(
はたら
)
きでも
致
(
いた
)
したのに
違
(
ちが
)
ひございません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
諏訪池には
自動車道
(
ドライブ・ウェー
)
が通じているが、まだ利用されないので、所々
草
(
くさ
)
茫々
(
ぼうぼう
)
たる中を
押分
(
おしわ
)
けながら私達の自動車は通って行く。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
草
(
くさ
)
を
刈
(
かる
)
鎌
(
かま
)
をさへ
買求
(
かひもとむ
)
るほどなりければ、火の
為
(
ため
)
に
貧
(
まづし
)
くなりしに家を
焼
(
やき
)
たる
隣家
(
りんか
)
へ
対
(
むか
)
ひて
一言
(
いちごん
)
の
恨
(
うらみ
)
をいはず、
交
(
まじは
)
り
親
(
したし
)
むこと常にかはらざりけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
草
(
くさ
)
の
根
(
ね
)
が
邪魔
(
じやま
)
をして、
却々
(
なか/\
)
掘
(
ほ
)
り
難
(
にく
)
い。それに
日
(
ひ
)
は
當
(
あた
)
らぬ。
寒
(
さむ
)
くて
耐
(
たま
)
らぬ。
蠻勇
(
ばんゆう
)
を
振
(
ふる
)
つて
漸
(
やうや
)
く
汗
(
あせ
)
を
覺
(
おぼ
)
えた
頃
(
ころ
)
に、
玄子
(
げんし
)
は
石劒
(
せきけん
)
の
柄部
(
へいぶ
)
を
出
(
だ
)
した。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
私は
草
(
くさ
)
の中へ
腰
(
こし
)
を降ろすと
煙草
(
たばこ
)
を取り出した。
妻
(
つま
)
も私の
横
(
よこ
)
へ
座
(
すわ
)
つて落ちついたらしく、
暮
(
くれ
)
て行く空の
色
(
いろ
)
を
眺
(
なが
)
めてゐた。——
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
半身
(
はんしん
)
を
沒
(
ぼつ
)
して、
二人
(
ふたり
)
はいひ
爭
(
あらそ
)
つてゐた。
男
(
をとこ
)
は
激
(
はげ
)
しく
何
(
なに
)
かいひながら、
搖
(
ゆ
)
すぶるやうに
女
(
をんな
)
の
肩
(
かた
)
を
幾度
(
いくど
)
も
小突
(
こづ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
空
(
そら
)
は又
変
(
かは
)
つて
来
(
き
)
た。風が遠くから吹いてくる。広い
畠
(
はたけ
)
の
上
(
うへ
)
には日が
限
(
かぎ
)
つて、見てゐると、寒い程淋しい。
草
(
くさ
)
からあがる
地意気
(
ぢいき
)
で
身体
(
からだ
)
は
冷
(
ひ
)
えてゐた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それからは、
見
(
み
)
えない
眼
(
め
)
で、
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
を
探
(
さぐ
)
り
廻
(
まわ
)
り、
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
や
草
(
くさ
)
の
実
(
み
)
を
食
(
た
)
べて、ただ
失
(
な
)
くした
妻
(
つま
)
のことを
考
(
かんが
)
えて、
泣
(
な
)
いたり、
嘆
(
なげ
)
いたりするばかりでした。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
物
(
もの
)
に
魂
(
たましひ
)
があるとの
想像
(
さうざう
)
は
昔
(
むかし
)
からあるので、
大
(
だい
)
は
山岳
(
さんがく
)
河海
(
かかい
)
より、
小
(
せう
)
は一
本
(
ぽん
)
の
草
(
くさ
)
、一
朶
(
だ
)
の
花
(
はな
)
にも
皆
(
みな
)
魂
(
たましひ
)
ありと
想像
(
さう/″\
)
した。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
鳥うたい
草
(
くさ
)
薫
(
かお
)
る春や夏が、田園に何の趣きを添えようか。曇った秋の
小径
(
こみち
)
の夕暮に、踏みしく落葉の音をきいて、はじめて遠く、都市を離れた心になる……
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おしやれな
娘兎
(
むすめうさぎ
)
のこととて、でかけるまでには
谿川
(
たにがは
)
へ
下
(
を
)
りて
顏
(
かほ
)
をながめたり、からだ
中
(
ぢう
)
の
毛
(
け
)
を一
本
(
ぽん
)
一
本
(
ぽん
)
、
綺麗
(
きれい
)
に
草
(
くさ
)
で
撫
(
な
)
でつけたり、
稍
(
やゝ
)
、
半日
(
はんにち
)
もかかりました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
十八に
家出
(
いえで
)
をしたまま、いまだに
行方
(
ゆくえ
)
も
知
(
し
)
れない
伜
(
せがれ
)
千
吉
(
きち
)
の
不甲斐
(
ふがい
)
なさは、
思
(
おも
)
いだす
度毎
(
たびごと
)
にお
岸
(
きし
)
が
涙
(
なみだ
)
の
種
(
たね
)
ではあったが、
踏
(
ふ
)
まれた
草
(
くさ
)
にも
花咲
(
はなさ
)
くたとえの
文字通
(
もじどお
)
り
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
私
(
わたし
)
の
大事
(
だいじ
)
の
方
(
かた
)
は、
假
(
か
)
り
小屋
(
こや
)
を
作
(
つく
)
つていらつしやる。がどうも、
葺
(
ふ
)
き
草
(
くさ
)
がないので、
困
(
こま
)
つてゐられるようだ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
師走
(
しはす
)
の
中頃
(
なかごろ
)
で、
淀川堤
(
よどがはづつみ
)
には
冬枯
(
ふゆが
)
れの
草
(
くさ
)
が
羊
(
ひつじ
)
の
毛
(
け
)
のやうでところ/″\に
圓
(
まる
)
く
燒
(
や
)
いた
痕
(
あと
)
が
黒
(
くろ
)
く
見
(
み
)
えてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
どりゃ、
太陽
(
ひ
)
が
其
(
その
)
燃
(
も
)
ゆるやうな
眼
(
まなこ
)
を
擧
(
あ
)
げて
今日
(
けふ
)
の
晝
(
ひる
)
を
慰
(
なぐさ
)
め、
昨夜
(
さくや
)
の
濕氣
(
しっき
)
を
乾
(
かわか
)
す
前
(
まへ
)
に、
毒
(
どく
)
ある
草
(
くさ
)
や
貴
(
たふと
)
い
液
(
しる
)
を
出
(
だ
)
す
花
(
はな
)
どもを
摘
(
つ
)
んで、
吾等
(
われら
)
の
此
(
この
)
籃
(
かご
)
を一
杯
(
ぱい
)
にせねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
太夫房
覚明
(
かくみょう
)
は、牛小屋の外に積んである
干
(
ほ
)
し
草
(
くさ
)
のうえに坐りこんで寝足らない顔を
陽
(
ひ
)
なたに
曝
(
さら
)
していた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いいえ、
変
(
か
)
わります。
変
(
か
)
わります。私の
実
(
み
)
の光なんか、もうすぐ風に
持
(
も
)
って行かれます。
雪
(
ゆき
)
にうずまって白くなってしまいます。
枯
(
か
)
れ
草
(
くさ
)
の中で
腐
(
くさ
)
ってしまいます」
めくらぶどうと虹
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
我背子
(
わがせこ
)
に
吾
(
わ
)
が
恋
(
こ
)
ひ
居
(
を
)
れば
吾
(
わ
)
が
屋戸
(
やど
)
の
草
(
くさ
)
さへ
思
(
おも
)
ひうらがれにけり 〔巻十一・二四六五〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
某夜
(
あるよ
)
、築地の
待合
(
まちあい
)
へ客に呼ばれて往った
某妓
(
あるおんな
)
が、迎えの車が来ないので一人で歩いて帰り、釆女橋まで往ったところで、川が無くなって一めんに
草
(
くさ
)
茫茫
(
ぼうぼう
)
の野原となった。
築地の川獺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そのさがしている
証拠品
(
しょうこひん
)
というのは、稲川先生が受けもっている六年生の文集『
草
(
くさ
)
の
実
(
み
)
』だというのである。それが、片岡先生の自宅にも、学校の机にもなかったのだ。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
即
(
すなわ
)
ち
彼
(
か
)
の
体
(
たい
)
を
将来
(
しょうらい
)
、
草
(
くさ
)
、
石
(
いし
)
、
蟇
(
ひきがえる
)
の
中
(
うち
)
に
入
(
い
)
って、
生活
(
せいかつ
)
すると
云
(
い
)
うことを
以
(
もっ
)
て
慰
(
なぐさ
)
むることが
出来
(
でき
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
木にもせよ、竹にもせよ、
草
(
くさ
)
にもせよ、植物質の
原料
(
げんれう
)
にて作りたるものは
腐敗
(
ふはい
)
し易き事
勿論
(
もちろん
)
なれば、其今日に
遺存
(
いぞん
)
せざるの故を以て曾て
存在
(
そんざい
)
せざりし證とは爲すべからず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
そしてその晩も、
翌
(
あく
)
る晩も、また翌る晩もその石碑の
下
(
もと
)
に野宿をして、じつと石碑の文字に
惚々
(
ほれ/″\
)
してゐるので、馬はとうと腹を立てて、
其処
(
そこら
)
の
草
(
くさ
)
つ
原
(
ぱら
)
にごろり横になつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
水
(
みづ
)
に
影
(
うつ
)
る
月
(
つき
)
を
奪
(
うば
)
はんとする
山猿
(
やまざる
)
よ、
無芸
(
むげい
)
無能
(
むのう
)
食
(
しよく
)
もたれ
総身
(
そうみ
)
に
智恵
(
ちゑ
)
の
廻
(
まは
)
りかぬる
男
(
をとこ
)
よ、
木
(
き
)
に
縁
(
よつ
)
て
魚
(
うを
)
を
求
(
もと
)
め
草
(
くさ
)
を
打
(
うつ
)
て
蛇
(
へび
)
に
驚
(
をどろ
)
く
狼狽
(
うろたへ
)
者
(
もの
)
よ、
白粉
(
おしろい
)
に
咽
(
む
)
せて
成仏
(
じやうぶつ
)
せん
事
(
こと
)
を
願
(
ねが
)
ふ
艶治郎
(
ゑんぢらう
)
よ
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
草
(
くさ
)
むしりに
庭掃除
(
にはさうぢ
)
ぐらゐはとて、六十
男
(
をとこ
)
のする
仕事
(
しごと
)
ぞかし、
勿躰
(
もつたい
)
なや
古事記
(
こじき
)
舊事記
(
くじき
)
を
朝夕
(
あさゆふ
)
に
開
(
ひ
)
らきて、
万葉集
(
まんえふしふ
)
に
不審紙
(
ふしんがみ
)
をしたる
手
(
て
)
を、
泥鉢
(
どろばち
)
のあつかひに
汚
(
け
)
がす
事
(
こと
)
と
人
(
ひと
)
は
知
(
し
)
らねど
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わしらはひとつこの峠に
草
(
くさ
)
の
庵
(
いおり
)
というようなものを建て、この世の安楽と後生の追善のために、ここでお地蔵様のお守をして一生を暮したいもんだと心がけてはおりますがねえ……
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
羊質
(
ようしつ
)
にして
虎皮
(
こひ
)
、
草
(
くさ
)
を見て
悦
(
よろこ
)
び、
豺
(
さい
)
を見て
戦
(
おのの
)
く、其の皮の
虎
(
とら
)
なるを忘るるなり」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
人間
(
にんげん
)
は
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
をただ
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
とのみ
考
(
かんが
)
えるから、
矢鱈
(
やたら
)
に
花
(
はな
)
を
挘
(
むし
)
ったり、
枝
(
えだ
)
を
折
(
お
)
ったり、
甚
(
はなは
)
だしく
心
(
こころ
)
なき
真似
(
まね
)
をするのであるが、
実
(
じつ
)
を
言
(
い
)
うと、
草
(
くさ
)
にも
木
(
き
)
にも
皆
(
みな
)
精
(
せい
)
……つまり
魂
(
たましい
)
があるのじゃ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
壁辰父娘
(
かべたつおやこ
)
のはなしでは、金山寺屋の音松とかいったが、あの、七
草
(
くさ
)
の夜に、下谷の壁辰の家で、自分をこの右近と言いくるめて危いところを助けてくれた大兵の男の声……あの渋い声
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
急
(
いそ
)
いであたしは
一掴
(
ひとつかみ
)
の
草
(
くさ
)
を
毟
(
むし
)
つて、
此児
(
このこ
)
の
口
(
くち
)
と
手
(
て
)
を
拭
(
ふ
)
いてやつて、かう
言
(
い
)
つた。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
二人
(
ふたり
)
のこんな
話
(
はな
)
しは、いつまでたつてもつきなかつた、
彼女
(
かれ
)
の
云
(
い
)
ふ
山
(
やま
)
や
川
(
かは
)
や
木
(
き
)
が、
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
にすぐに
感
(
かん
)
じられ。
彼
(
かれ
)
のいふ
空
(
そら
)
や
草
(
くさ
)
や
建物
(
たてもの
)
は、
彼女
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
にすぐ
氣
(
き
)
づいて
思浮
(
おもひうか
)
べることが
出來
(
でき
)
るからであつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
クリストフはほかにすることもなかったので、あとからついていった。そしていつもの通り、
子犬
(
こいぬ
)
のようにじゃれついていじめた
揚句
(
あげく
)
、とうとう
息
(
いき
)
を
切
(
き
)
らして、
小父
(
おじ
)
の足もとの
草
(
くさ
)
の上にねころんだ。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
相良の方へ參らんと存じ島田より馬を
傭
(
やと
)
ひ
未刻
(
やつどき
)
過
(
すぎ
)
同所を出立
致
(
いた
)
し
河袋
(
かはぶくろ
)
と申處迄は私し儀馬に
附添
(
つきそひ
)
參りたるが山王の宮脇にて小便を致し居る中見失ひ候に付後を
追掛
(
おひかけ
)
しに上新田村の土手に右の馬は
草
(
くさ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
野分
(
のわき
)
よさらば駆けゆけ。目とむれば
草
(
くさ
)
紅葉
(
もみぢ
)
すとひとは言へど
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
窓
(
まど
)
の
下
(
もと
)
、
生
(
せい
)
の
痛苦
(
つうく
)
に
只
(
たゞ
)
赤
(
あか
)
く
戦
(
そよ
)
ぎえたてぬ
草
(
くさ
)
の花
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
踏みゆく
途
(
みち
)
ぞ荒野の
草
(
くさ
)
身
(
み
)
を
刺
(
さ
)
し
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
“草”を含む語句
草鞋
草原
水草
煙草
雑草
萱草
草履
草臥
巻煙草
草花
枯草
海草
草生
青草
莎草
煙草入
草葉
草書
鴨跖草
大草原
...