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押分
この時、
群集を
押分けて、
捫着の中へ割って入ったのは、駐在所の
塚田巡査。年の
壮い、色の黒い、
口鬚の薄い、小作りの男であった。
諏訪池には
自動車道が通じているが、まだ利用されないので、所々
草茫々たる中を
押分けながら私達の自動車は通って行く。
鳴し稍丑滿頃とも思ふ頃
怪しや
遙か
麓の方よりがさ/\わさ/\と
小笹茅原押分て來る
氣態なればお粂は
屹度氣を
弦月丸の
舷梯へ
達すると、
私共の
乘船の
事は
既に
乘客名簿で
分つて
居つたので、
船丁は
走つて
來て、
急はしく
荷物を
運ぶやら、
接待員は
恭しく
帽を
脱して、
甲板に
混雜せる
夥多の
人を
押分るやらして