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押分
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おしわけ
鳴し稍丑滿頃とも思ふ頃
怪しや
遙か
麓の方よりがさ/\わさ/\と
小笹茅原押分て來る
氣態なればお粂は
屹度氣を
弦月丸の
舷梯へ
達すると、
私共の
乘船の
事は
既に
乘客名簿で
分つて
居つたので、
船丁は
走つて
來て、
急はしく
荷物を
運ぶやら、
接待員は
恭しく
帽を
脱して、
甲板に
混雜せる
夥多の
人を
押分るやらして
取て
突退け名主手代を左右へ
押分て
動乎と
居りし男を見れば下に
結城紬の小袖二ツ上は
紺紬に二ツ
井桁の
紋所付し小袖を着五本手縞の
半合羽を
羽折鮫鞘の大脇差を
押分るに見物山の如くにて近寄事
叶はず其中に討入の者の名前
書を
賣歩行故買取て見るに寺坂吉右衞門迄名前
有共小山田と云は無し
這は記者の
間違ならんと又賣來るを