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決
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けつ
ふりがな文庫
“
決
(
けつ
)” の例文
そら
雲
(
くも
)
が
日
(
ひ
)
を
隱
(
か
)
くした!
薄
(
うす
)
い
影
(
かげ
)
が
野
(
の
)
の
上
(
うへ
)
を、
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
を
這
(
は
)
う、
忽
(
たちま
)
ち
又
(
また
)
明
(
あか
)
るくなる、
此時
(
このとき
)
僕
(
ぼく
)
は
決
(
けつ
)
して
自分
(
じぶん
)
を
不幸
(
ふしあはせ
)
な
男
(
をとこ
)
とは
思
(
おも
)
はなかつた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
機械
(
きかい
)
の
轟
(
とどろき
)
、
勞働者
(
ろうどうしや
)
の
鼻唄
(
はなうた
)
、
工場
(
こうば
)
の
前
(
まへ
)
を
通行
(
つうかう
)
する
度
(
たび
)
に、
何時
(
いつ
)
も耳にする響と聲だ。
決
(
けつ
)
して
驚
(
おどろ
)
くこともなければ、
不思議
(
ふしぎ
)
とするにも
足
(
た
)
らぬ。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
然
(
しか
)
しながら
大地震
(
だいぢしん
)
になると、
初期微動
(
しよきびどう
)
でも
決
(
けつ
)
して
微動
(
びどう
)
でなく、
多
(
おほ
)
くの
人
(
ひと
)
にとつては
幾分
(
いくぶん
)
の
脅威
(
きようい
)
を
感
(
かん
)
ずるような
大
(
おほ
)
いさの
振動
(
しんどう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
決
(
けつ
)
して
安泰
(
あんたい
)
ではない。
正
(
まさ
)
に
其
(
そ
)
の
爪
(
つめ
)
を
剥
(
は
)
ぎ、
血
(
ち
)
を
絞
(
しぼ
)
り、
肉
(
にく
)
を
毮
(
むし
)
り
骨
(
ほね
)
を
削
(
けづ
)
るやうな
大苦艱
(
だいくかん
)
を
受
(
う
)
けて
居
(
ゐ
)
る、
倒
(
さかさま
)
に
釣
(
つ
)
られて
居
(
ゐ
)
る。…………………
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と忽ち心一
決
(
けつ
)
爲し久左衞門は
軈
(
やが
)
て江戸へと久八を連て下り弟六右衞門に
逢
(
あひ
)
て事の仔細を
委敷
(
くはしく
)
話し頼み置つゝ歸りけり
因
(
よつ
)
て六右衞門
所々
(
しよ/\
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
大概
(
たいがい
)
のことでは一
向
(
かう
)
に
騷
(
さわ
)
がぬやうな
彼
(
かれ
)
の
容子
(
ようす
)
が
外
(
ほか
)
からではさうらしくも
見
(
み
)
えるのであつた。も一つは
服裝
(
ふくさう
)
を
決
(
けつ
)
して
崩
(
くず
)
さぬことであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
但
(
たゞ
)
し
同棲後
(
どうせいご
)
の
彼女
(
かのぢよ
)
は、
決
(
けつ
)
して
幸福
(
かうふく
)
ではなかつた。
恐
(
おそ
)
らく
彼女
(
かのぢよ
)
もさう
云
(
い
)
ふ
運命
(
うんめい
)
を
掴
(
つか
)
まうと
思
(
おも
)
つて、
彼
(
かれ
)
のところへ
来
(
き
)
たのではなかつたであらう。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
いや
阿關
(
おせき
)
こう
言
(
い
)
ふと
父
(
ちゝ
)
が
無慈悲
(
むじひ
)
で
汲取
(
くみと
)
つて
呉
(
く
)
れぬのと
思
(
おも
)
ふか
知
(
し
)
らぬが
決
(
けつ
)
して
御前
(
おまへ
)
を
叱
(
し
)
かるではない、
身分
(
みぶん
)
が
釣合
(
つりあ
)
はねば
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
も
自然
(
しぜん
)
違
(
ちが
)
ふて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
多少
(
たせう
)
はヒステリーの
所爲
(
せゐ
)
かとも
思
(
おも
)
つたが、
全然
(
ぜんぜん
)
さうとも
決
(
けつ
)
しかねて、しばらく
茫然
(
ぼんやり
)
してゐた。すると
御米
(
およね
)
が
思
(
おも
)
ひ
詰
(
つ
)
めた
調子
(
てうし
)
で
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
さうしてお前さんに会うて話と謂ふは、
決
(
けつ
)
して身勝手な事を言ひに来たぢやない、やはり
其方
(
そちら
)
の身の上に就いて善かれと計ひたい
老婆心切
(
ろうばしんせつ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
畢竟
(
ひつきやう
)
十
人
(
にん
)
十
色
(
いろ
)
で、
決
(
けつ
)
して一
律
(
りつ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬもので
食
(
しよく
)
の
本義
(
ほんぎ
)
とか
理想
(
りそう
)
とかを
説
(
と
)
いて
見
(
み
)
た
處
(
ところ
)
で
實際問題
(
じつさいもんだい
)
としては
餘
(
あま
)
り
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
たぬ。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「
妾
(
わたし
)
が悪う御座いました。堪忍して下さい。もうこれから
決
(
けつ
)
して貴婦人にならうとは思ひませぬ。
彼
(
あ
)
の
金剛石
(
ダイヤモンド
)
は
貴方
(
あなた
)
と
妾
(
わたし
)
の
間
(
あひだ
)
を割く悪魔でした。」
金剛石
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
其
(
そ
)
の
中
(
なか
)
で、
内安堂寺町
(
うちあんだうじまち
)
に
住
(
す
)
む
町醫
(
まちい
)
の
中田玄竹
(
なかだげんちく
)
だけが、ひどく
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
つて、
但馬守
(
たじまのかみ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
玄竹
(
げんちく
)
の
圓
(
まる
)
い
頭
(
あたま
)
を
見
(
み
)
なければ、
決
(
けつ
)
して
動
(
うご
)
くことがなくなつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
窮理
(
きゆうり
)
決
(
けつ
)
して
迂
(
う
)
なるにあらず
実践
(
じつせん
)
何
(
なん
)
ぞ
浅
(
あさ
)
しと云はんや。
魚肴
(
さかな
)
は
生臭
(
なまぐさ
)
きが
故
(
ゆゑ
)
に
廉
(
やす
)
からず
蔬菜
(
やさい
)
は
土臭
(
つちくさ
)
しといへども
尊
(
たふ
)
とし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
さいごの“
決
(
けつ
)
”は、やはり高時に仰ぐわけなので「——ともあれ、ご
参籠
(
さんろう
)
先の江ノ島へ、早舟でお知らせだけでも」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然
(
しか
)
るに、あの
川
(
かは
)
は
決
(
けつ
)
して
淺
(
あさ
)
くはなかつた。
流
(
なが
)
れも
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
早
(
はや
)
かつた。
次第
(
しだい
)
に
依
(
よ
)
つては
命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれんとも
限
(
かぎ
)
らなかつた。その
危急
(
ききふ
)
の
際
(
さい
)
中根
(
なかね
)
はどう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をしたか。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
太平洋艦隊司令長官「いがみ合いは、もうよそうではないか。そしてここで
決
(
けつ
)
を取ろう。同時作戦では攻撃目標は一つだ。日本本土攻略か、それとも比島
奪回
(
だっかい
)
か」
諜報中継局
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それはある
場合
(
ばあひ
)
、ある
心
(
こゝろ
)
の
状態
(
じやうたい
)
の時には、さういふことも考へないではなかつたけれど、
離婚
(
りこん
)
をもつてその
悔
(
くい
)
を
償
(
つぐな
)
ふものだとは
決
(
けつ
)
して思はなかつたらうと思ひます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
こんな
赤
(
あか
)
はげ
山
(
やま
)
は、
山
(
やま
)
としては
決
(
けつ
)
して
立派
(
りつぱ
)
なものとはいへません。
人間
(
にんげん
)
でいへば
體
(
からだ
)
ばかり
大
(
おほ
)
きくて
徳
(
とく
)
も
智慧
(
ちえ
)
もないとすれば、
人
(
ひと
)
としててんで
品位
(
ひんい
)
がないのと
同
(
おな
)
じです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
穰苴
(
じやうしよ
)
則
(
すなは
)
ち
表
(
へう
)
を
仆
(
たふ
)
し
(一二)
漏
(
ろう
)
を
決
(
けつ
)
し、
入
(
い
)
りて
軍
(
ぐん
)
を
行
(
めぐ
)
り
兵
(
へい
)
を
(一三)
勒
(
ろく
)
し、
約束
(
やくそく
)
を
(一四)
申明
(
しんめい
)
す。
約束
(
やくそく
)
既
(
すで
)
に
定
(
さだ
)
まる。
夕時
(
せきじ
)
、
莊賈
(
さうか
)
乃
(
すなは
)
ち
至
(
いた
)
る。
穰苴
(
じやうしよ
)
曰
(
いは
)
く、『
何
(
なん
)
すれぞ
期
(
き
)
に
後
(
おく
)
るる』
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
けっきょく、夜の明けるのを待って、さがしなおすほかはないと一
決
(
けつ
)
しました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして
病院
(
びやうゐん
)
がいふには、
入院料
(
にふゐんれう
)
を
持
(
も
)
つて
來
(
こ
)
ない
限
(
かぎ
)
り、
決
(
けつ
)
して
屍體
(
したい
)
は
渡
(
わた
)
さないと。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
その
環
(
わ
)
のまんなかには、さつきの
嘉十
(
かじふ
)
の
栃
(
とち
)
の
団子
(
だんご
)
がひとかけ
置
(
お
)
いてあつたのでしたが、
鹿
(
しか
)
どものしきりに
気
(
き
)
にかけてゐるのは
決
(
けつ
)
して
団子
(
だんご
)
ではなくて、そのとなりの
草
(
くさ
)
の
上
(
うへ
)
にくの
字
(
じ
)
になつて
落
(
お
)
ちてゐる
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
転変
(
てんぺん
)
の
激
(
はげし
)
きは
莫
(
な
)
しと
某老人
(
ぼうらうじん
)
の
申候
(
まうしそろ
)
其訳
(
そのわけ
)
は
外充内空
(
ぐわいじうないくう
)
の
商略
(
せふりやく
)
にたのみて、
成敗
(
せいはい
)
の
一挙
(
いつきよ
)
に
決
(
けつ
)
せんと
欲
(
ほつ
)
し
候
(
そろ
)
人の、
其家構
(
そのいへかま
)
へに
於
(
おい
)
て、
町構
(
まちかま
)
へに
於
(
おい
)
て、
同処
(
どうしよ
)
を
利
(
り
)
と
致候
(
いたしそろ
)
よりの
事
(
こと
)
にて、今も
店頭
(
てんとう
)
に
堆
(
うつたか
)
きは
資産
(
しさん
)
に
非
(
あら
)
ず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
おぢさん「
一度
(
いちど
)
そんなことがあると
決
(
けつ
)
して
忘
(
わす
)
れません」
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
それで
他國
(
たこく
)
の
立派
(
りつぱ
)
な
堂々
(
だう/\
)
たる
小學校
(
せうがくかう
)
に
居
(
ゐ
)
て
急
(
きふ
)
に
其樣
(
そんな
)
見
(
み
)
すぼらしい
學校
(
がくかう
)
に
來
(
き
)
た
僕
(
ぼく
)
は
子供心
(
こどもごころ
)
にも
決
(
けつ
)
して
愉快
(
ゆくわい
)
な
心地
(
こゝち
)
は
爲
(
し
)
なかつたのです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
火山
(
かざん
)
は
地震
(
ぢしん
)
の
安全瓣
(
あんぜんべん
)
だといふ
諺
(
ことわざ
)
がある。これには一
面
(
めん
)
の
眞理
(
しんり
)
があるように
思
(
おも
)
ふ。
勿論
(
もちろん
)
事實
(
じじつ
)
として
火山地方
(
かざんちほう
)
には
決
(
けつ
)
して
大地震
(
だいぢしん
)
を
起
(
おこ
)
さない。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
おつぎは
決
(
けつ
)
して
卯平
(
うへい
)
を
滿足
(
まんぞく
)
させ
得
(
う
)
ることとは
思
(
おも
)
はなかつたが、
彼
(
かれ
)
が
喫
(
た
)
べて
見
(
み
)
ようといへば
粥
(
かゆ
)
にでも
炊
(
た
)
いてやらうと
思
(
おも
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いま
此
(
こ
)
のバラツク
建
(
だて
)
の
洋館
(
やうくわん
)
に
對
(
たい
)
して——こゝに
見取圖
(
みとりづ
)
がある。——
斷
(
ことわ
)
るまでもないが、
地續
(
ぢつゞ
)
きだからといつて、
吉良邸
(
きらてい
)
のでは
決
(
けつ
)
してない。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
先生だつて
返
(
かへ
)
せればとうに
返
(
かへ
)
すんだらうが、月々余裕が
一文
(
いちもん
)
も
出
(
で
)
ない
上
(
うへ
)
に、月給以外に
決
(
けつ
)
して
稼
(
かせ
)
がない男だから、つい夫なりにしてあつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
下
(
さ
)
げての
詫
(
わび
)
ごと
何
(
なん
)
としてするべきならずよしや
膝
(
ひざ
)
を
屈
(
ま
)
げればとて
我親
(
わがおや
)
決
(
けつ
)
して
肯
(
きゝい
)
れはなすまじく
乞食
(
こつじき
)
非人
(
ひにん
)
と
落魄
(
おちぶ
)
るとも
新田如
(
につたごと
)
きに
此口
(
このくち
)
腐
(
くさ
)
れても
助
(
たす
)
けを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼
(
か
)
れはかね/″\
書物
(
しよもつ
)
を
讀
(
よ
)
んで、
磔刑
(
はりつけ
)
、
獄門
(
ごくもん
)
、
打首
(
うちくび
)
、それらの
死刑
(
しけい
)
が
決
(
けつ
)
して、
刑罰
(
けいばつ
)
でないといふことを
考
(
かんが
)
へてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
すれば師匠感應院の
後住
(
ごぢう
)
にせんと村中相談一
決
(
けつ
)
したり左樣に
心得
(
こゝろえ
)
べしと申渡せば
寶澤
(
はうたく
)
は
謹
(
つゝし
)
んで承はり答へけるは師匠感應院の
跡目
(
あとめ
)
相續致し候樣と
貴殿
(
きでん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
食
(
しよく
)
の
本義
(
ほんぎ
)
に
就
(
つい
)
て、
生理衞生
(
せいりえいせい
)
の
學理
(
がくり
)
を
講釋
(
かうしやく
)
した
處
(
ところ
)
で、
夫
(
そ
)
れ
丈
(
だ
)
けでは
決
(
けつ
)
して
要領
(
えうれう
)
は
得
(
え
)
られない、
何
(
なん
)
となれば、
食
(
しよく
)
の
使命
(
しめい
)
は
人身
(
じんしん
)
の
營養
(
えいやう
)
にあることは
勿論
(
もちろん
)
であるが
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
さりながら
人気
(
じんき
)
の
奴隷
(
どれい
)
となるも
畢竟
(
ひつきやう
)
は
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
といふ
殊勝
(
しゆしよう
)
らしき
奥
(
おく
)
の
手
(
て
)
があれば
強
(
あなが
)
ち
無用
(
むよう
)
と
呼
(
よ
)
ばゝるにあらず、
却
(
かへつ
)
て
之
(
こ
)
れ
中々
(
なか/\
)
の
大事
(
だいじ
)
決
(
けつ
)
して
等閑
(
なほざり
)
にしがたし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
決
(
けつ
)
して
不眞面目
(
ふまじめ
)
ではなかつた。
彼
(
かれ
)
は
實際
(
じつさい
)
まつ
正直
(
しやうぢき
)
に「
天子樣
(
てんしさま
)
に
御奉公
(
ごほうこう
)
する」
積
(
つも
)
りで
軍務
(
ぐんむ
)
を
勉強
(
べんきやう
)
してゐたのである。が、
彼
(
かれ
)
の
生
(
うま
)
れつきはどうする
事
(
こと
)
も
出來
(
でき
)
なかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「ただいまのこと、一同
評議
(
ひょうぎ
)
の
結果
(
けっか
)
、これはやはり
御岳
(
みたけ
)
の
神慮
(
しんりょ
)
におまかせいたすのがとうぜんであろうという
意見
(
いけん
)
に一
決
(
けつ
)
したが、
双方
(
そうほう
)
ごいぞんはないであろうか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
決
(
けつ
)
して超凡の人では無い………としたら、
北側
(
きたがわ
)
のスリガラスの
天井
(
てんじやう
)
から
射込
(
さしこ
)
む柔かな光線………何方かと謂へばノンドリした
薄柔
(
うすぐら
)
い
光
(
ひかり
)
で、若い女の裸體を見てゐて
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
狸
(
たぬき
)
の
毛皮
(
けがは
)
は
大變
(
たいへん
)
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つもので、
値段
(
ねだん
)
も
高
(
たか
)
いのです。
狐
(
きつね
)
や
狸
(
たぬき
)
は
昔
(
むかし
)
は
人
(
ひと
)
を
化
(
ばか
)
すものと
信
(
しん
)
じられたりしましたが、
決
(
けつ
)
してそんなばかげたことがあり
得
(
う
)
るわけもありません。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「
僕
(
ぼく
)
はね
竹村氏
(
たけむらし
)
、
決
(
けつ
)
して
悲観
(
ひくわん
)
して
洋行
(
やうかう
)
するんぢやないんですよ。」
彼
(
かれ
)
は
弁護
(
べんご
)
した。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
私
(
わたし
)
が
間違
(
まちが
)
つた
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひますれば、
其處
(
そこ
)
に
居
(
ゐ
)
ます
師匠
(
ししやう
)
、
沙汰
(
さた
)
をします
筈
(
はず
)
。
點
(
とも
)
つて
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
ります
上
(
うへ
)
は、
決
(
けつ
)
して
相違
(
さうゐ
)
ないと
存
(
ぞん
)
じます。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
懷
(
ふところ
)
には
小錢
(
こぜに
)
を
蓄
(
たくは
)
へて
置
(
お
)
くことも
出來
(
でき
)
るのであつたが
彼
(
かれ
)
は
能
(
よ
)
くコツプ
酒
(
ざけ
)
を
傾
(
かたむ
)
けたので
彼
(
かれ
)
の
懷
(
ふところ
)
は
決
(
けつ
)
して
餘裕
(
よゆう
)
を
存
(
そん
)
しては
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其時
(
そのとき
)
宗助
(
そうすけ
)
は
是
(
これ
)
はならんと
思
(
おも
)
つた。けれども
果
(
はた
)
して
刄物
(
はもの
)
を
用
(
もち
)
ひて、
肩
(
かた
)
の
肉
(
にく
)
を
突
(
つ
)
いて
可
(
い
)
いものやら、
惡
(
わる
)
いものやら、
決
(
けつ
)
しかねた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
とに
角
(
かく
)
人畜
(
じんちく
)
が
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれる
程度
(
ていど
)
に
於
(
おい
)
て、
大地
(
だいち
)
が
開閉
(
かいへい
)
するといふことは、わが
國
(
くに
)
に
於
(
おい
)
ては
決
(
けつ
)
して
起
(
おこ
)
り
得
(
え
)
ない
現象
(
げんしよう
)
と
見
(
み
)
てよい。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
櫻
(
さくら
)
の
皮
(
かは
)
を
剥
(
むか
)
されては
大變
(
たいへん
)
と、
兒童
(
こども
)
は
早速
(
さつそく
)
親父
(
おやぢ
)
の
言
(
い
)
ふ
通
(
とほ
)
りになつて
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から
平常
(
いつも
)
の
如
(
ごと
)
く
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
ゆ
)
く
風
(
ふう
)
で
家
(
うち
)
を
出
(
で
)
た。けれども
決
(
けつ
)
して
學校
(
がくかう
)
には
行
(
い
)
かない。
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其處
(
そこ
)
をよく
辨
(
わきま
)
へて、
正
(
たゞ
)
しく
働
(
はたら
)
いて
貰
(
もら
)
ひたい。
爪
(
つめ
)
の
垢
(
あか
)
ほどでも、
不正
(
ふせい
)
があつたら、この
但馬
(
たじま
)
は
決
(
けつ
)
して
默
(
だま
)
つてゐない。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
左樣
(
さう
)
であらう、
校内
(
かうない
)
一
(
いち
)
の
人
(
ひと
)
だとお
前
(
まへ
)
も
常
(
つね
)
に
褒
(
ほ
)
めたではないか、
其人
(
そのひと
)
であるから
決
(
けつ
)
してお
前
(
まへ
)
を
恨
(
うら
)
んで
死
(
し
)
ぬ、
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
はある
筈
(
はず
)
がない、
憤
(
いきどほ
)
りは
世間
(
せけん
)
に
對
(
たい
)
してなので
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
我が
抜苦
(
ばつく
)
与楽
(
よらく
)
の
説法
(
せつぱう
)
を
疑
(
うたが
)
ふ事なく
一図
(
いちづ
)
に
有
(
あり
)
がたがツて
盲信
(
まうしん
)
すれば
此世
(
このよ
)
からの
極楽
(
ごくらく
)
往生
(
おうじやう
)
決
(
けつ
)
して
難
(
かた
)
きにあらず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
一
體
(
たい
)
中根
(
なかね
)
は
平素
(
へいそ
)
は
決
(
けつ
)
して
成績佳良
(
せいせきかりやう
)
の
方
(
はう
)
ではなかつた。
己
(
おれ
)
も
度度
(
たびたび
)
嚴
(
きび
)
しい
小言
(
こごと
)
を
云
(
い
)
つた。が、
人間
(
にんげん
)
の
眞面目
(
しんめんもく
)
は
危急
(
ききふ
)
の
際
(
さい
)
に
初
(
はじ
)
めて
分
(
わか
)
る。
己
(
おれ
)
は
中根
(
なかね
)
の
眞價
(
しんか
)
を
見誤
(
みあやま
)
つてゐた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
送りけるが此喜八
素
(
もと
)
より
實體
(
じつてい
)
なる者故に
困
(
こま
)
ればとて人に無心
合力
(
がふりよく
)
などは
決
(
けつ
)
して云し事なく
幽
(
かすか
)
な
渡世
(
とせい
)
にても己れが
果福
(
くわふく
)
なりと
斷念
(
あきらめ
)
其日を送りける
然
(
され
)
ば喜八は吉之助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
決
常用漢字
小3
部首:⽔
7画
“決”を含む語句
決定
決然
解決
決心
決闘
決断
裁決
決定的
決着
決潰
未決監
決行
決口
決死
石決明貝
決而
決定性
決勝点
一決
安心決定
...