家族かぞく)” の例文
糟谷かすや次男じなん芳輔よしすけじょれい親子おやこ四人の家族かぞくであるが、その四人の生活が、いまの糟谷かすやはたらきでは、なかなかほねがおれるのであった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
茶屋ちゃや主人しゅじんは、家族かぞくのものをみんなやまからろしてしまって、自分じぶんだけがのこり、あとかたづけをしてからやまをおりようとしていました。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いや、昼間ひるまはそんなことはありません。昼間なら、じぶんをも家族かぞくをもまもれます。」と、牡羊はつのをふりながら言いました。
家族かぞくともあそびにつてたが、其時そのときに、いま故人こじん谷活東子たにくわつとうしが、はたけなかから土器どき破片はへん一箇ひとつひろして、しめした。
宗助そうすけすわつて五ふんたないうちに、先刻さつき笑聲わらひごゑは、このへんをとこ坂井さかゐ家族かぞくとのあひだはされた問答もんだふからことつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
真理しんりは我と我の家族かぞくより大なり、この決心けつしん実行じつこうあらん教会けうくわいたゞち復興ふくこうはじむべし、れなからん乎、復興はおはりまでつもきたらざるべし。
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
『さう、眞箇ほんとうに!』おそれて尻尾しツぽさきまでもふるへてゐたねずみさけびました。』わたし斯麽こんなことはなしたが最期さいごわたしの一家族かぞくのこらずねこ仇敵かたきおもふ。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのらせがあったとき、家族かぞくをはじめ、慶応義塾けいおうぎじゅく人々ひとびとは、諭吉ゆきちかんがえをよくしっていましたので、そうだんのうえ、それをことわりました。
「何だ、ただ三つじゃないか。長官ちょうかんは六人もご家族かぞくをつれていらっしゃるんだ。三つじゃ仕方しかたない、お一人十ずつとしても六十なくちゃだめだ。」
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
主人しゆじん内儀かみさんは一おう被害者ひがいしやはなしをつけてた。被害者ひがいしや家族かぞく律義者りちぎものみなげきつてる。七十ばかりに被害者ひがいしや老人ぢいさんこと頑固ぐわんこ主張しゆちやうした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
元來ぐわんらい自分じぶんだい無性者ぶしやうものにておもたつ旅行りよかうもなか/\實行じつかうしないのが今度こんどといふ今度こんど友人いうじん家族かぞくせつなる勸告くわんこくでヤツと出掛でかけることになつたのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
著者ちよしや關東大地震かんとうだいぢしん調査日記ちようさにつきおいて、大地震後だいぢしんご家族かぞくとも自宅じたく安眠あんみんし、一回いつかい野宿のじゆくしなかつたことをしるした。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
れが實際問題じつさいもんだいになると、土地とち状態じやうたい風土ふうど關係くわんけい住者ぢうしや身分みぶん境遇きやうぐう趣味しゆみ性癖せいへき資産しさん家族かぞく職業しよくげふその種々雜多しゆ/″\ざつた素因そいん混亂こんらんしてたがひあい交渉かうせうするので
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
地蔵行者じぞうぎょうじゃ菊村宮内きくむらくないと、坂東巡礼のお時とであった。ほんの旅先たびさきの道づれであるが、ふたりの仲のよいことは、おなじ家にすむ家族かぞくといえどもない美しさだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
家族かぞく一統いつとう加持かぢ祈祷きたうよ、とあをくなつてさわいだが、わたしない其主人そのしゆじんたんすわつていさゝかもさわがない。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
住居ぢうきよの大小は家族かぞくの多少に因る事勿論もちろんなれど塲合ばあひに由つては一個いつこの大部屋をもうくる代りに數個すうこの小部屋を作る事も有りしと思はる。瓢形ひやうかた竪穴たてあなの如き即ち其例なり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
はじめから気質きしつはない家族かぞくとの折合をりあひふにしたがつて円滑ゑんくわつにはかなくなり、なにかにつけておたがひかほあからめ言葉ことばあらくするやうなこと毎日まいにちのやうになつてたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
農村のうそんにびんぼうなお百姓ひやくせうがありました。びんぼうでしたが深切しんせつなかい、家族かぞくでした。そこの鴨居かもゐにことしもつばめをつくつてそして四五ひなをそだててゐました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
さて一同いちどう裏庭にわいてみますと、そこではいま大騒おおさわぎの最中さいちゅうです。ふたつの家族かぞくで、ひとつのうなぎあたまうばいあっているのです。そして結局けっきょく、それはねこにさらわれてしまいました。
元來がんらい以前いぜんひとつのつかには一人ひとりしかはうむらなかつたのが、この石室せきしつつく時代じだいになつてからは、一人ひとりだけをはうむ場合ばあひもありましたが、家族かぞくものをもひとつの石室せきしつはうむふう出來できたかとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
しかし有り難いことに、普通の義務教育の小学校は、決して乱臣賊子の家族かぞくをも拒否しないのである。日本に生れて幸だと思った。それで順当じゅんとうに進むかと思っていると、その中戦争は苛烈かれつになった。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
周三は奈何いかなる場合にも「自己」を忘れなかツた。そして何處までも自己の權利を主張しゆちやうして、家または家族かぞくに就いて少しも考へなかツた。無論家の興廢こうはいなどゝいふことはてん眼中がんちゆうに置いてゐなかた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
時々とき/″\、もっとよいくらしがしたいといふ氣持きもちがおこらなくもありません。それはおほくは家族かぞくのものたちが、主人しゆじんうつたへる場合ばあひあるひはさういふ心持こゝろもちをかほあらはしてゐる場合ばあひおこつて氣持きもちなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
その舟の芝居もどりの家族かぞくを眠らす。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
家族かぞくといっては、ほかにとしとった、やといのおばあさんがいるばかり、ひろにわには、いっぱい草花くさばなえて、これをあいしていました。
三つのお人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかその悲劇ひげきまた何時いつ如何いかなるかたちで、自分じぶん家族かぞくとらへにるかわからないとふ、ぼんやりした掛念けねんが、折々をり/\かれあたまのなかにきりとなつてかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
江連えづれ当時とうじ榎本えのもと家族かぞくといっしょに静岡しずおかにすんでいたのですが、手紙てがみには、つぎのようにかいてありました。
となり主人しゆじん家族かぞく長屋門ながやもんの一たゝみいてかり住居すまゐかたちづくつてた。主人夫婦しゆじんふうふ勘次かんじからは有繋さすが災厄さいやくあとみだれた容子ようすすこしも發見はつけんされなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
くはしことあづかるが、水上みなかみさんは、先月せんげつ三十一にちに、鎌倉かまくら稻瀬川いなせがは別莊べつさうあそんだのである。別莊べつさうつぶれた。家族かぞく一人いちにん下敷したじきんなすつた。が、無事ぶじだつたのである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その日の晩方ばんがたおそく私たちはひどくまわりみちをしてうちへ帰りましたが東北長官とうほくちょうかんはひるころ野原へいて夕方まで家族かぞく一緒いっしょに大へん面白おもしろあそんで帰ったということを聞きました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
また丹後大地震たんごだいぢしんときは、九歳きゆうさいになる茂籠傳一郎もかごでんいちろうといふ山田小學校やまだしようがつこう二年生にねんせい一家いつか八人はちにんとも下敷したじきになり、家族かぞく屋根やねやぶつてしたにかゝはらず、傳一郎君でんいちろうくん倒潰家屋内とうかいかおくないとゞまり
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しよを山上にけながら眼下がんか群住ぐんぢうするあはれなる数万の異教徒ゐけうとめに祈願きぐわんめるも無益むえきなり、教会けうくわい復興ふくこう方策はうさくとは教導師けうだうしみづからつるにあり、家族かぞく安楽あんらく犠牲ぎせいきやうするにあり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
母がひとり子ども三人、夫婦ふうふをあわせて六人の家族かぞく妻君さいくんというのは、同業者のむすめで花前の恋女房こいにょうぼうであった。地所じしょなどもすこしは所有しょゆうしておって、六人の家族はゆたかにたのしく生活しておった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
伸一先生しんいちせんせい給料きふれうつき十八ゑんしか受取うけとりません、それで老母らうぼ妻子さいし、一にん家族かぞくやしなふてるのです。家産かさんといふは家屋敷いへやしきばかり、これを池上權藏いけがみごんざう資産しさんくらべてると百分一ひやくぶんのいちにもあたらないのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
家族かぞく無人島むじんたう漂着へうちやくしたやう氣持きもちである。
ほのお家族かぞく
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おりしく、そのばんに、ひどいあらしがいて、うみなかは、さながら渦巻うずまきかえるようにられたのでした。家族かぞくのものは心配しんぱいしました。
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしあによめが此方面に向つて代助に肉薄すればする程、代助は漸々家族かぞくのものと疎遠にならなければならないと云ふ恐れが、代助のあたま何処どこかにひそんでゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
口々くち/″\かはして、寂然しんとしたみちながら、往來ゆききあわたゞしいまちを、白井しらゐさんの家族かぞくともろともに立退たちのいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれ段々だん/\彼等かれら伴侶なかまむかつて以前いぜんごとくこせ/\といたづらに遠慮ゑんりよした態度たいどがなくなつた。かれ村落むらすべてにむかつてはらつた恐怖きようふねんことごと東隣ひがしどなり家族かぞくにのみさゝげてしまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「そんなら、S町エスまち夜店よみせへいってごらん。あのへんには、外人がいじん家族かぞくが、たくさんきているから、ないともかぎらない。」
緑色の時計 (新字新仮名) / 小川未明(著)
塾生じゆくせい家族かぞくとがんで使つかつてゐるのは三室みま四室よまぎない。玄關げんくわんはひると十五六疊じふごろくでふ板敷いたじきそれ卓子テエブル椅子いすそなへて道場だうぢやうといつたかくの、英漢數學えいかんすうがく教場けうぢやうになつてる。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
昨日きのう行方不明ゆくえふめいになった、三にんのものの家族かぞくや、たくさんの群集ぐんしゅうが、五つのあかいそりが、捜索そうさくかけるのを見送みおくりました。
黒い人と赤いそり (新字新仮名) / 小川未明(著)
もとより以前いぜんから、友造ともざういへは、土地とちでも、場末ばすゑの、まちはづれの、もと足輕町あしがるまちやぶ長屋ながやに、家族かぞく大勢おほぜいで、かびた、しめつた、じと/\したまづしいくらしでたのであるから
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いよいよ戦争せんそうわって、空襲くうしゅうおそれがなくなると、この家族かぞくは、ふるいすみかへもどっていきました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
白井しらゐさんの家族かぞく四人よにん、——主人しゆじんはまだけないいへまもつてこゝにはみえない——わたしたちと、……濱野はまのさんは八千代やちよさんが折紙をりがみをつけた、いゝをとこださうだが、仕方しかたがない。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すると、つかれた家族かぞくのものは、こちらをいて、ちょっと躊躇ちゅうちょしましたが、ついにまって
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あめれたあさである。修善寺しゆぜんじ温泉宿をんせんやど、——くわん家族かぞく一婦人いちふじんと、家内かない桂川かつらがは一本橋いつぽんばしむかうの花畑はなばたけ連立つれだつて、次手ついで同家どうけひかへ別莊べつさう——あきである——をせてもらつた、とつてはなした。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その一けんいえへ、戦時中せんじちゅうに、疎開そかいしてきた、家族かぞくがありました。からだのよわそうなおとこが、よく二かいまどから、ぼんやりと、彼方かなたやまをながめて、なにかかんがえていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みんなまち魚屋さかなやってしまって、そのかね家族かぞくのものをやしなわなければならなかったのです。
一本の釣りざお (新字新仮名) / 小川未明(著)