たい)” の例文
新字:
掛一たい志操こゝろざしよろしからぬ者に付同惡とぞんじこと仇討あだうちせつさまたげ致し候故是非ぜひなくきずを付候と申ければして又其方敵討かたきうちいたさん爲に遊女奉公ほうこう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにうまはゐなかつたか? あそこは一たいうまなぞには、はひれないところでございます。なにしろうまかよみちとは、やぶひとへだたつてりますから。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しよかうとしたときに、あいちやんは王樣わうさま小聲こゞゑで、一たい仲間なかまものどもにはれるのをきました、『みん放免はうめんする』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
〔譯〕身に老少らうせう有りて、心に老少無し。氣に老少有りて、理に老少無し。須らく能く老少無きの心をつて、以て老少無きの理をたいすべし。
たいわたし幼少ちひさ時分じぶんには、ごくよわかつたものですから、この白狐しろぎつねはこれでもそだつかしら、とみんなはれたくらゐださうです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
のきりつとしまつた身體からだちひさいにしてもそれが各部かくぶ平均へいきんたもつて唐鍬たうぐはるときにはかれ唐鍬たうぐはとはたゞたいである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たいコスモポリタンといふ言葉ことば正確せいかく意義いぎはどういふのだらう。わたしには疑問ぎもんおこつた。そこで『井上ゐのうへ英和辭典えいわじてん』をいてると、うある。
かくて恰も火がそのたいの最や永く保たるゝところに登らんとする素質によりて高きにむかひゆくごとく 二八—三〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
然し、その性質如何いかんかゝはらず、一たい人の犯罪乃至ないしは祕密を探し尋ねて、それを白日はくじつにさらし出すとふ事はあんまり好い氣持のするものぢやありません。
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
うたがうて立戻たちもどり、わし所行しょぎゃううかゝひなどいたさうなら、てん照覽せうらんあれ、おのれが四たい寸々すん/″\切裂きりさき、くことをらぬこのはかこやすべくらさうぞよ。
身に迫つてくるもののけはひに思はず三人がたいを立てなほさうとした瞬間、側の火鉢のなかの鐵の火箸の一本を鷲づかみにした熊吉はもう片膝を立ててゐた。
黎明 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
たい日本にほんをんなの足とたら、周三所謂いはゆる大根だいこんで、不恰好ぶかつかうみぢかいけれども、お房の足はすツと長い、したがツてせいたかかツたが、と謂ツて不態ぶざま大柄おほがらではなかツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たいこの規則きそくでさせること規則きそく其物そのものそんしてゐるあひだすなは規則きそくにはまつてあひだはよろしいが、他日たじつ境遇きやうぐうはると、一方ひとかたならぬ差支さしつかへしやうずることがありませう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
たい容顏きりようほうなれども、いかにもいかにもの田舍風いなかふう午房縞ごぼうじま綿入わたいれにろんなく白木綿しろもめんおびあを毛布けつとひざしたに、まへこゞみにりて兩手りようてかしらをしかとおさへし。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此瀧このたきぎて小一町こいつちやうみちのほとり、やまいは清水しみづしたゝり、三たい地藏尊ぢざうそん安置あんちして、幽徑いうけい磽确げうかくたり。
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が其のみせといふのも見すぼらしくはないまでもただあたりまへの八百屋に過ぎなかつたので、それまであまり見かけたことはなかつた。一たい私はあの檸檬が好きだ。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
晴着はれぎ場所ばしよへはかない。これはかれさげすみ、かれはこれをいきどほる。こんなことが、一たいあつてよいものか
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「來たの?」無邪氣さうに、あかの這入つてゐない友禪縮緬いうぜんちりめんに包まれたからだをひツたり義雄に添はせた。そして、左りの手を手摺りに當てて、醉つてゐるたいをささへる。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
翌朝よくてう知縣ちけんおくられてた。けふもきのふにかはらぬ天氣てんきである。一たい天台てんだいまん八千ぢやうとは、いつたれ測量そくりやうしたにしても、所詮しよせん高過たかすぎるやうだが、かくとらのゐるやまである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
遺骨ゐこつは三四たい合葬がつそうした形跡けいせきがある。其所そこにも此所こゝにも人骨じんこつよこたはつてるが、多年たねん泥水どろみづしたされてたので、れると宛然まるでどろごどく、かたちまつた取上とりあげること出來できぬ。
えうするに、化物ばけもの形式けいしき西洋せいやうは一たい幼稚えうちである。希臘ぎりしや埃及えじぷとおほ人間にんげん動物どうぶつ繼合つぎあはせをやつてことまへべたが、それではかたちたくみ出來できても所謂いはゆる完全くわんぜん化物ばけものとはへない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
が、作用さようにはなにもない。たいして恐怖きようふいだ臆病者おくびやうものは、こともつ自分じぶんなぐさめること出來できる。すなはたい將來しやうらいくさいしひきがへるうちつて、生活せいくわつするとこともつなぐさむることが出來できる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おとありて聲無し、名あれどたい無し
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
たいも崩さず、ぢつとして
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
めんをふりたいをかはして
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
好み童女どうぢよまれなる能書のうしよなりと人々も稱譽もてはやしけり此お高一たい容貌みめかたち美麗うるはしくして十五六歳になりし頃はたぐひなき艷女たをやめなりと見る人毎ひとごとに心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
どんな書物しよもつでもといふことは、はなはだボンヤリしてゐるやうであるが、實際じつさい、一たい書物しよもつなり、書物しよもつ選擇せんたくといふものは、各人かくじん自由じいうまかせるほかはない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たおで、ね、一たいだれ自分じぶんなんだか?」をつけてやう、「それがわかつたらるわ、それでなければわたしほかひとになるまで此處こゝやう」
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
〔譯〕人心のれいは、しゆとす。氣はたいに之れつるものなり。凡そ事を爲すに、氣を以て先導せんだうと爲さば、則ち擧體きよたい失措しつそ無し。技能ぎのう工藝こうげいも、亦皆かくの如し。
たい中根なかね平素へいそけつして成績佳良せいせきかりやうはうではなかつた。おれ度度たびたびきびしい小言こごとつた。が、人間にんげん眞面目しんめんもく危急ききふさいはじめてわかる。おれ中根なかね眞價しんか見誤みあやまつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いま筆法ひつはふもつ日本國内にほんこくない政治せいぢ改造かいざうせよとせまるものがあつたら、きみは一たいどうするつもりだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
には襤褸ぼろげさせいゑとては二じよう此樣こん犬小屋いぬごや世間せけんたいから馬鹿ばかにされて別物べつものにされて、よしや春秋はるあき彼岸ひがんればとて、隣近處となりきんじよ牡丹ぼたもち團子だんごくばあるなか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
たい多數たすうひとあつまつて一組織そしきすれば自然しぜんいきほひとして多數人たすうじん便宜べんぎといふこと心掛こゝろがけねばなりません、多數たすう都合つがふよろしいとやうにといふのが畢竟ひつきやう規則きそく精神目的せいしんもくてきでありませう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
たい日本にほんけんよりちひさいものにぐんけてゐるのは不都合ふつがふだと、吉田東伍よしだとうごさんなんぞは不服ふふくとなへてゐる。りよはたして台州たいしう主簿しゆぼであつたとすると日本にほん府縣知事ふけんちじくらゐ官吏くわんりである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其代そのかはりに奧壁おくかべから一しやくずんへたてて、一れついしならべてあり、それから三じやくへだてて、まただいれついしならべてある。其間そのあひだに、人骨じんこつ腐蝕ふしよくしたのが二三たいどろごどくなつてよこたはつてる。鐵鏃てつぞくがある。
しか貴方あなたは一たい何處どこへお出掛でかけにならうとふのです?』院長ゐんちやうふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「わたしや、かなかつたが一たい今日けふのはなにからですね」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
運轉臺上うんてんだいじやうひとたいかたむみをごとくろまがつた。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかしをつところしたわたしは、盜人ぬすびとごめにつたわたしは、一たいどうすればいのでせう? 一たいわたしは、——わたしは、——(突然とつぜんはげしき歔欷すすりなき
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
せざりし者と泣々なく/\たのもらひ乳の足ぬがちなる養育やういくつなぐ我が子の玉のほそくも五たいやせながら蟲氣むしけも有ぬすこやかさえん有ればこそ親子と成何知らぬ兒に此憂苦いうく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『「醜飾しうしよく」なンていたことがないわ』とあいちやんが一ぽんみました。『一たいそれはどんなこと!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たいわたしは、このころりう行のいはゆる藝術寫眞げいじゆつしやしんには、何の感興かんけうも持たない。あのへん氣取きとつた、いかにもおもはせぶりな、しかも一しゆかたにはまつた印畫いんぐわのとこがいゝといふのであらう?
たいぎんずることのすきひとで、うら僧院そうゐんでも、よるになるとぎんぜられました。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕聖賢を講説かうせつして之をにする能はず、之を口頭こうとう聖賢と謂ふ、吾れ之を聞いて一たび惕然てきぜんたり。道學を論辯ろんべんして之をたいする能はず、之を紙上道學と謂ふ、吾れ之を聞いて再び惕然てきぜんたり。
ぼくは一たい滅多めつた封書ふうしよといふものをかない。そんなにひとわるやうこと場合ばあひはないからなア。それでぼく何用なにようでも大抵たいてい葉書はがきますのだが、し一まいりなければ二まいつゞきにする。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
茶屋ちやゝ棧橋ざんばしとんと沙汰さたして、まわどほ此處こゝからあげまする、あつらもの仕事しごとやさんとこのあたりにはふぞかし、一たい風俗ふうぞくよそとかはりて女子おなご後帶うしろおびきちんとせしひとすくなく、がらをこのみて巾廣はゞひろ卷帶まきおび
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大丈夫だいじやうぶだといふところで、望生ぼうせいに一たい如何どうしたのかとうてると、草刈くさかりながに、子供こどもて、去年きよねんくれ此處こゝ大穴おほあなけたのは、此人達このひとたちだとげたために、いくらお前達まへたちねこかぶつても駄目だめだと
這麼こんなことを主張しゆちやうなさるのか、貴方あなたは一たい哲人ワイゼですか、哲學者てつがくしやですか?
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
婦人ふじんういふ書物しよもつませたらいゝかといふことはなまへに、一たい婦人ふじんのみにませるといふやうな書物しよもつがあるかどうか、それをかんがへてなければならない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
このW刑事が私に話したところの嬉しさの味とは何を意味するものであらうか? いや、それよりも探偵とは一たいどうふ仕事であらうか? ふまでもなく、それは彼もちよつとつたやうに人間の
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)