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夕暮
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ゆふぐれ
ふりがな文庫
“
夕暮
(
ゆふぐれ
)” の例文
つい、その
頃
(
ころ
)
、
門
(
もん
)
へ
出
(
で
)
て——
秋
(
あき
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
である……
何心
(
なにごころ
)
もなく
町通
(
まちどほ
)
りを
視
(
なが
)
めて
立
(
た
)
つと、
箒目
(
はゝきめ
)
の
立
(
た
)
つた
町
(
まち
)
に、ふと
前後
(
あとさき
)
に
人足
(
ひとあし
)
が
途絶
(
とだ
)
えた。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
葉末
(
はずゑ
)
におく
露
(
つゆ
)
ほども
知
(
し
)
らず
笑
(
わら
)
ふて
暮
(
く
)
らす
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
もまだ
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
き二月
半
(
なか
)
ば
梅
(
うめ
)
見
(
み
)
て
来
(
こ
)
んと
夕暮
(
ゆふぐれ
)
や
摩利支天
(
まりしてん
)
の
縁日
(
ゑんにち
)
に
連
(
つら
)
ぬる
袖
(
そで
)
も
温
(
あたゝ
)
かげに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
(これにもかぎらずさま/″\の術あり)雁の
居
(
を
)
る処を
替
(
か
)
ふるは
夕暮
(
ゆふぐれ
)
夜半
(
やはん
)
暁
(
あかつき
)
也、人此時をまちて
種々
(
いろ/\
)
の
工
(
たくみ
)
を
尽
(
つく
)
して
捕
(
とら
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
三四郎は思はず
顔
(
かほ
)
を
後
(
あと
)
へ
引
(
ひ
)
いた。ヘリオトロープの
壜
(
びん
)
。四丁目の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
。
迷羊
(
ストレイシープ
)
。
迷羊
(
ストレイシープ
)
。
空
(
そら
)
には
高
(
たか
)
い日が
明
(
あき
)
らかに
懸
(
かゝ
)
る。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其處
(
そこ
)
で「アウト」「ストライキ」の
聲
(
こゑ
)
は
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
に
響
(
ひゞ
)
いて、
審判者
(
アンパイヤー
)
の
上衣
(
うはぎ
)
の
一人
(
ひとり
)
黒
(
くろ
)
いのも
目立
(
めだ
)
つて
見
(
み
)
える。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
〔ヱヴェレストは
思
(
おも
)
つたより
遠
(
とほ
)
いな〕と
独言
(
ひとりごと
)
しながら
四辺
(
あたり
)
を
見廻
(
みまは
)
すと、
薄
(
うす
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が
美
(
うつく
)
しく
妖
(
あや
)
しく
漲
(
みなぎ
)
つて、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
近
(
ちか
)
くなつたのだらう。
下界
(
した
)
を
見
(
み
)
ても、
雲
(
くも
)
や
霧
(
きり
)
でまるで
海
(
うみ
)
のやうだ。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
壽永三年三月の末、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
近
(
ちか
)
き頃、
紀州
(
きしゆう
)
高野山を
上
(
のぼ
)
り行く二人の
旅人
(
たびびと
)
ありけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
移
(
うつ
)
せし中穀物の代金百兩受取歸らんとなすを
主
(
あるじ
)
庄右衞門之を
止
(
とゞ
)
め
最早
(
もはや
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
なれば
今宵
(
こよひ
)
は御
泊
(
とま
)
り有て明朝早く歸らるべし殊に大金を
持
(
もつ
)
ての
夜道
(
よみち
)
なれば
無用心
(
ぶようじん
)
なり必ず/\御
泊
(
とま
)
りあれと
勸
(
すゝ
)
むるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
と
共
(
とも
)
に
寒
(
さむ
)
さは
急
(
いそ
)
いで
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
に
言
(
もの
)
もなき
修道女
(
しうだうめ
)
の長き
一列
(
ひとつら
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
名
(
な
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
に消えて行く
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
裾野
(
すその
)
の
煙
(
けむり
)
長
(
なが
)
く
靡
(
なび
)
き、
小松原
(
こまつばら
)
の
靄
(
もや
)
廣
(
ひろ
)
く
流
(
なが
)
れて、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
幕
(
まく
)
更
(
さら
)
に
富士山
(
ふじさん
)
に
開
(
ひら
)
く
時
(
とき
)
、
其
(
そ
)
の
白妙
(
しろたへ
)
を
仰
(
あふ
)
ぐなる
前髮
(
まへがみ
)
清
(
きよ
)
き
夫人
(
ふじん
)
あり。
肘
(
ひぢ
)
を
輕
(
かる
)
く
窓
(
まど
)
に
凭
(
よ
)
る。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
薄
(
うす
)
くらきに
迷
(
まよ
)
ふ
心
(
こゝろ
)
もかき
暮
(
くら
)
されて
何
(
なに
)
と
言
(
いひ
)
入
(
い
)
れん
戸
(
と
)
のすき
間
(
ま
)
よりさし
覗
(
のぞ
)
く
家内
(
かない
)
のいたましさよ
頭巾
(
づきん
)
肩掛
(
かたかけ
)
に
身
(
み
)
はつゝめど
目
(
め
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
毎日
(
まいにち
)
/\
晨
(
あした
)
に
星
(
ほし
)
を
戴
(
いたゞ
)
いて
大佐等
(
たいさら
)
と
共
(
とも
)
に
家
(
いへ
)
を
出
(
い
)
で、
終日
(
しうじつ
)
海底
(
かいてい
)
の
造船所
(
ざうせんじよ
)
の
中
(
なか
)
で
汗水
(
あせみづ
)
を
流
(
なが
)
して、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
靜
(
しづ
)
かな
海岸
(
かいがん
)
を
歸
(
かへ
)
つて
來
(
く
)
ると、
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
と
猛犬
(
まうけん
)
の
稻妻
(
いなづま
)
とは
屹度
(
きつと
)
途中
(
とちう
)
まで
迎
(
むかへ
)
に
來
(
き
)
て
居
(
を
)
る
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
(
その
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
であつたか、
小六
(
ころく
)
は
又
(
また
)
寒
(
さむ
)
い
身體
(
からだ
)
を
外套
(
マント
)
に
包
(
くる
)
んで
出
(
で
)
て
行
(
い
)
つたが、
八時過
(
はちじすぎ
)
に
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て、
兄夫婦
(
あにふうふ
)
の
前
(
まへ
)
で、
袂
(
たもと
)
から
白
(
しろ
)
い
細長
(
ほそなが
)
い
袋
(
ふくろ
)
を
出
(
だ
)
して、
寒
(
さむ
)
いから
蕎麥掻
(
そばがき
)
を
拵
(
こし
)
らえて
食
(
く
)
はうと
思
(
おも
)
つて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
取繕
(
とりつくろ
)
ひ
何喰
(
なにくは
)
ぬ顏して有しに其日の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
に何とやらん
怪
(
あや
)
しき
匂
(
にほ
)
ひのするに
近所
(
きんじよ
)
の人々
寄集
(
よりあつま
)
りて何の
匂
(
にほひ
)
やらん雪の中にて場所も分らず
種々
(
さま/″\
)
評議に及び
斯
(
かゝ
)
る時には
何時
(
いつ
)
も第一番にお三ばゝが
出來
(
いできた
)
り
世話
(
せわ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
なやましき
夕暮
(
ゆふぐれ
)
のにほひのなかに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
雨
(
あめ
)
が、さつと
降出
(
ふりだ
)
した、
停車場
(
ていしやば
)
へ
着
(
つ
)
いた
時
(
とき
)
で——
天象
(
せつ
)
は
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
くだしである。
敢
(
あへ
)
て
字義
(
じぎ
)
に
拘泥
(
こうでい
)
する
次第
(
しだい
)
ではないが、
雨
(
あめ
)
は
其
(
そ
)
の
花
(
はな
)
を
亂
(
みだ
)
したやうに、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
に
白
(
しろ
)
かつた。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今日
(
けふ
)
より
直
(
すぐ
)
にお
借
(
か
)
り
申
(
まを
)
しまする、
敷金
(
しきゝん
)
は
唯今
(
たゞいま
)
置
(
お
)
いて
參
(
まゐ
)
りまして、
引越
(
ひきこ
)
しは
此
(
この
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
、いかにも
急速
(
きふそく
)
では
御座
(
ござ
)
りますが
直樣
(
すぐさま
)
掃除
(
さうぢ
)
にかゝりたう
御座
(
ござ
)
りますとて、
何
(
なん
)
の
仔細
(
しさい
)
なく
約束
(
やくそく
)
はとゝのひぬ。
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
桜
(
さくら
)
の
散
(
ち
)
る時分には、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて、
四
(
よつ
)
つの
橋
(
はし
)
を
此方
(
こちら
)
から
向
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
り、
向
(
むかふ
)
から又
此方
(
こちら
)
へ
渡
(
わた
)
り返して、長い
堤
(
どて
)
を
縫
(
ぬ
)
ふ様に
歩
(
ある
)
いた。が其
桜
(
さくら
)
はとくに
散
(
ちつ
)
て仕舞つて、
今
(
いま
)
は緑蔭の時節になつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
大佐
(
たいさ
)
は
例
(
れい
)
の
樣
(
やう
)
に、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
海岸
(
かいがん
)
を
一隊
(
いつたい
)
の
水兵
(
すいへい
)
と
共
(
とも
)
に
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
見よ、あかき
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
渡
(
わた
)
し遣せしに其日の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
九助
蒼
(
あを
)
くなりて馳來りしに付何事にやと相
尋
(
たづ
)
ね候所曼陀羅
紛失
(
ふんじつ
)
の次第斯樣々々と
片息
(
かたいき
)
になつて申聞候により私し工夫仕つりし所此儀他村の者の知べき程の
間合
(
まあひ
)
之なく何れ村中の者ならんと心付候まゝ同人歸村の
祝
(
いは
)
ひと名付水呑村惣中を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
雨
(
あめ
)
か
不知
(
しら
)
、
時
(
とき
)
しも
秋
(
あき
)
のはじめなり、
洋燈
(
ランプ
)
に
油
(
あぶら
)
をさす
折
(
をり
)
に
覗
(
のぞ
)
いた
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
の
模樣
(
もやう
)
では、
今夜
(
こんや
)
は
眞晝
(
まひる
)
の
樣
(
やう
)
な
月夜
(
つきよ
)
でなければならないがと
思
(
おも
)
ふ
内
(
うち
)
も
猶
(
なほ
)
其音
(
そのおと
)
は
絶
(
た
)
えず
聞
(
きこ
)
える。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何事
(
なにごと
)
引
(
ひ
)
き
出
(
いで
)
られんも
知
(
し
)
るべからず、
打明
(
うちあ
)
けられしだけ
殊勝
(
しゆしよう
)
なり、
萬
(
よろつ
)
は
母
(
はゝ
)
が
胸
(
むね
)
にあり
任
(
まか
)
せたまへと
子
(
こ
)
故
(
ゆゑ
)
の
闇
(
やみ
)
に、ある
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
墓參
(
ぼさん
)
の
戻
(
もど
)
り、
槖繩師
(
うゑきや
)
許
(
がり
)
くるまを
寄
(
よ
)
せて、
入
(
い
)
りもせぬ
鉢
(
はち
)
ものゝ
買上
(
かひあ
)
げ
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
まだ
二時半前
(
やつまへ
)
だのに、
青
(
あを
)
くあせた
門柱
(
もんちう
)
に
寄
(
よ
)
り
添
(
そ
)
つて、
然
(
さ
)
も
夕暮
(
ゆふぐれ
)
らしく、
曇
(
くも
)
り
空
(
ぞら
)
を
仰
(
あふ
)
ぐも、ものあはれ。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さるほどに
今歳
(
ことし
)
も
空
(
むな
)
しく
春
(
はる
)
くれて
衣
(
ころも
)
ほすてふ
白妙
(
しろたへ
)
の
色
(
いろ
)
に
咲
(
さく
)
垣根
(
かきね
)
の
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
、こゝにも一
ツ
の
玉川
(
たまがは
)
がと、
遣水
(
やりみづ
)
の
流
(
なが
)
れ
細
(
ほそ
)
き
所
(
ところ
)
に
影
(
かげ
)
をうつして、
風
(
ぜか
)
なくても
凉
(
すゞ
)
しき
夏
(
なつ
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
、いと
子
(
こ
)
湯
(
ゆ
)
あがりの
散歩
(
そゞろあるき
)
に
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
苛々
(
いら/\
)
しながら、たわいのない、
恰
(
あたか
)
も
盆
(
ぼん
)
とお
正月
(
しやうぐわつ
)
と
祭禮
(
おまつり
)
を、もう
幾
(
いく
)
つ
寢
(
ね
)
ると、と
前
(
まへ
)
に
控
(
ひか
)
へて、そして
小遣錢
(
こづかひせん
)
のない
處
(
ところ
)
へ、ボーンと
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
鐘
(
かね
)
を
聞
(
き
)
くやうで、
何
(
なん
)
とも
以
(
もつ
)
て
遣瀬
(
やるせ
)
がない。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
店先
(
みせさき
)
に
郵便脚夫
(
いうびんきやくふ
)
が
投込
(
なげこ
)
んで
行
(
ゆ
)
きし
女文字
(
をんなもじ
)
の
書状
(
ふみ
)
一通
(
いつゝう
)
、
炬燵
(
こたつ
)
の
間
(
ま
)
の
洋燈
(
らんぷ
)
のかげに
讀
(
よ
)
んで、くる/\と
帶
(
おび
)
の
間
(
あひだ
)
へ
卷收
(
まきをさ
)
むれば
起居
(
たちゐ
)
に
心
(
こゝろ
)
の
配
(
くば
)
られて
物
(
もの
)
案
(
あん
)
じなる
事
(
こと
)
一通
(
ひととほ
)
りならず、おのづと
色
(
いろ
)
に
見
(
み
)
えて
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
冬
(
ふゆ
)
の
日
(
ひ
)
の、
山國
(
やまぐに
)
の、
名
(
な
)
にしおふ
越路
(
こしぢ
)
なり、
其日
(
そのひ
)
は
空
(
そら
)
も
曇
(
くも
)
りたれば、
漸
(
やうや
)
く
町
(
まち
)
をはづれると、
九頭龍川
(
くづりうがは
)
の
川面
(
かはづら
)
に、
早
(
は
)
や
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
色
(
いろ
)
を
籠
(
こ
)
めて、
暗
(
くら
)
くなりゆく
水蒼
(
みづあを
)
く、
早瀬
(
はやせ
)
亂
(
みだ
)
れて
鳴
(
な
)
る
音
(
おと
)
も
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
下足札
(
げそくふだ
)
そろへてがらんがらんの
音
(
おと
)
もいそがしや
夕暮
(
ゆふぐれ
)
より
羽織
(
はおり
)
引
(
ひき
)
かけて
立出
(
たちいづ
)
れば、うしろに
切火
(
きりび
)
打
(
うち
)
かくる
女房
(
にようぼう
)
の
顏
(
かほ
)
もこれが
見納
(
みおさ
)
めか十
人
(
にん
)
ぎりの
側杖
(
そばづえ
)
無理情死
(
むりしんぢう
)
のしそこね、
恨
(
うら
)
みはかゝる
身
(
み
)
のはて
危
(
あや
)
ふく
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
曉
(
あかつき
)
の
霜
(
しも
)
を
裂
(
さ
)
き、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
霧
(
きり
)
を
分
(
わ
)
けて、
山姫
(
やまひめ
)
が
撞木
(
しゆもく
)
を
當
(
あ
)
てて、もみぢの
紅
(
くれなゐ
)
を
里
(
さと
)
に
響
(
ひゞ
)
かす、
樹々
(
きゞ
)
の
錦
(
にしき
)
の
知
(
し
)
らせ、と
見
(
み
)
れば、
龍膽
(
りんだう
)
に
似
(
に
)
て
俯向
(
うつむ
)
けに
咲
(
さ
)
いた、
半鐘
(
はんしよう
)
の
銅
(
あかゞね
)
は、
月
(
つき
)
に
紫
(
むらさき
)
の
影
(
かげ
)
を
照
(
て
)
らす。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
もとんだ
運
(
うん
)
のわるい
詰
(
つま
)
らぬ
奴
(
やつ
)
に
見込
(
みこま
)
れて
可愛
(
かあい
)
さうな
事
(
こと
)
をしたといへば、イヤあれは
得心
(
とくしん
)
づくだと
言
(
い
)
ひまする、あの
日
(
ひ
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
、お
寺
(
てら
)
の
山
(
やま
)
で
二人
(
ふたり
)
立
(
たち
)
ばなしをして
居
(
ゐ
)
たといふ
確
(
たし
)
かな
證人
(
しようにん
)
もござります
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
うまし、かるた
會
(
くわい
)
に
急
(
いそ
)
ぐ
若
(
わか
)
き
胸
(
むね
)
は、
駒下駄
(
こまげた
)
も
撒水
(
まきみづ
)
に
辷
(
すべ
)
る。
戀
(
こひ
)
の
歌
(
うた
)
を
想
(
おも
)
ふにつけ、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
線路
(
せんろ
)
さへ
丸木橋
(
まるきばし
)
の
心地
(
こゝち
)
やすらむ。
松
(
まつ
)
を
鳴
(
な
)
らす
電車
(
でんしや
)
の
風
(
かぜ
)
に、
春着
(
はるぎ
)
の
袖
(
そで
)
を
引合
(
ひきあは
)
す
急
(
せ
)
き
心
(
ごころ
)
も
風情
(
ふぜい
)
なり。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夫
(
それ
)
で
宜
(
よ
)
けれど
彼
(
あ
)
れほどまでに
思
(
おぼ
)
しめし
入
(
い
)
れたもの
左
(
さ
)
らばと
云
(
い
)
ひて
斷念
(
あきらめ
)
のつく
筈
(
はづ
)
なし
我身
(
わがみ
)
の
願
(
ねが
)
ひが
叶
(
かな
)
へばとて
現在
(
げんざい
)
お
心
(
こゝろ
)
知
(
し
)
りながら
夫
(
それ
)
もつらし
是
(
こ
)
れも
憂
(
う
)
しと
迷
(
まよ
)
ひに
心
(
こゝろ
)
も
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
空
(
そら
)
お
八重
(
やへ
)
つく/″\
詠
(
なが
)
むれば
明日
(
あす
)
も
晴日
(
はれひ
)
か
西
(
にし
)
の
方
(
かた
)
のみ
紅
(
くれな
)
ゐの
雲
(
くも
)
たな
引
(
び
)
きぬ
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
あの
辺
(
あたり
)
へ、
夕暮
(
ゆふぐれ
)
の
鐘
(
かね
)
が
響
(
ひゞ
)
いたら、
姿
(
すがた
)
が
近
(
ちか
)
く
戻
(
もど
)
るのだらう、——と
誰
(
た
)
が
言
(
い
)
ふともなく
自分
(
じぶん
)
で
安心
(
あんしん
)
して、
益々
(
ます/\
)
以前
(
もと
)
の
考
(
かんがへ
)
に
耽
(
ふけ
)
つて
居
(
ゐ
)
ると、
榾
(
ほだ
)
を
焚
(
た
)
くか、
炭
(
すみ
)
を
焼
(
や
)
くか、
谷間
(
たにま
)
に、
彼方此方
(
かなたこなた
)
、ひら/\
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
腸
(
はらわた
)
断
(
た
)
えざらん
限
(
か
)
ぎりなき
心
(
こゝろ
)
のみだれ
忍艸
(
しのぶぐさ
)
小紋
(
こもん
)
のなへたる
衣
(
きぬ
)
きて
薄
(
うす
)
くれなゐのしごき
帯
(
おび
)
前に結びたる
姿
(
(すが)た
)
今
(
いま
)
幾日
(
いくひ
)
見
(
み
)
らるべきものぞ
年頃
(
としごろ
)
日頃
(
ひごろ
)
片時
(
かたとき
)
はなるゝ
間
(
ひま
)
なく
睦
(
むつ
)
み
合
(
あ
)
ひし
中
(
うち
)
になど
底
(
そこ
)
の
心
(
こゝろ
)
知
(
し
)
れざりけん
少
(
ちい
)
さき
胸
(
むね
)
に
今日
(
けふ
)
までの
物思
(
ものおも
)
ひはそも
幾何
(
いくばく
)
ぞ
昨日
(
きのふ
)
の
夕暮
(
ゆふぐれ
)
お
福
(
ふく
)
が
涙
(
なみだ
)
ながら
語
(
かた
)
るを
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
梅
(
うめ
)
はやき
夕暮
(
ゆふぐれ
)
日金
(
ひがね
)
おろしかな
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
暮
常用漢字
小6
部首:⽇
14画
“夕暮”で始まる語句
夕暮方
夕暮色
夕暮近