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𢌞
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まは
ふりがな文庫
“
𢌞
(
まは
)” の例文
母親のお
豊
(
とよ
)
は
長吉
(
ちやうきち
)
が
初袷
(
はつあはせ
)
の
薄着
(
うすぎ
)
をしたまゝ、
千束町
(
せんぞくまち
)
近辺
(
きんぺん
)
の
出水
(
でみづ
)
の混雑を見にと
夕方
(
ゆふがた
)
から夜おそくまで、
泥水
(
どろみづ
)
の中を歩き
𢌞
(
まは
)
つた
為
(
た
)
めに
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
お
禮心
(
れいごころ
)
に、
燈
(
あかり
)
を
點
(
つ
)
けておともをしませう……
町
(
まち
)
を
𢌞
(
まは
)
つて、
門
(
かど
)
までお
迎
(
むか
)
ひに
參
(
まゐ
)
つても
可
(
よ
)
うござんす……
庭
(
には
)
へ
出
(
で
)
て
御覽
(
ごらん
)
なさいませんか。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さて空氣は、若しその
𢌞
(
まは
)
ることいづこにか妨げられずば、こと/″\く第一の囘轉とともに圓を成してめぐるがゆゑに 一〇三—一〇五
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
ヂュリ おゝ、
𢌞
(
まは
)
る
夜毎
(
よごと
)
に
位置
(
ゐち
)
の
變
(
かは
)
る
不貞節
(
ふていせつ
)
な
月
(
つき
)
なんぞを
誓言
(
せいごん
)
にお
懸
(
か
)
けなさるな。お
前
(
まへ
)
の
心
(
こゝろ
)
が
月
(
つき
)
のやうに
變
(
かは
)
るとわるい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
下谷
(
したや
)
から
浅草
(
あさくさ
)
を
𢌞
(
まは
)
つて、それから
貴方
(
あなた
)
、
本郷台
(
ほんがうだい
)
へかゝりました、それから
牛込
(
うしごめ
)
へ出まして、
四谷
(
よつや
)
から
麹町
(
かうぢまち
)
を
𢌞
(
まは
)
つて
帰
(
かへ
)
つてまゐりまして、いやもうがつかり
致
(
いた
)
しました。
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
五百丁の
巴
(
ともゑ
)
もぐさをホグして、祖母の背中の方へ
𢌞
(
まは
)
ると、小さい
燭臺
(
しよくだい
)
へ蝋燭をたて、その火をお線香にうつして、まづ第一のお灸を線香でつらぬき、口の中でブツブツ言つて
お灸
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
笑つて
顎
(
あご
)
をしやくると、玉ちやんはお
母
(
かあ
)
ちやんの
背中
(
せなか
)
を
𢌞
(
まは
)
つて來て、博士に抱かれた。
半日
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
取り亂した化粧部屋にはただひとり
三歳
(
みつつ
)
四歳
(
よつつ
)
の私が
匍
(
は
)
ひ
𢌞
(
まは
)
りながら何ものかを探すやうにいらいらと氣を
焦
(
あせ
)
つてゐた。ある拍子に、ふと薄暗い鏡の中に私は私の思ひがけない姿に
衝突
(
ぶつつ
)
かつたのである。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
想ひ
𢌞
(
まは
)
せば、はや半歳の昔となりぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
も添へてやりたし嗚呼此の脊に負はるゝ子
跡
(
あと
)
より歩む娘今より十年の後はいかになりて在るや二十年の後は何となるべきや人生れて貧賤なればとて生涯それにて
果
(
はつ
)
るにあらず
𢌞
(
まは
)
り合せさへよくば
富貴
(
ふうき
)
の者となりて雨に戀しきみのゝ國に昔し苦みし事を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ふり
𢌞
(
まは
)
す
鍬
(
くは
)
の
柄
(
え
)
をよけながら、いや、お
婆
(
ばあ
)
さんばかりぢやありません、
皆
(
みな
)
が
知
(
し
)
つてるよ、と
言
(
い
)
つても
醉
(
よ
)
つてるから
承知
(
しようち
)
をしない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
誰か彼が
幸
(
さち
)
あれといひゐたるを疑はむ、そは尊き愛を開かんとて鑰を
𢌞
(
まは
)
せる女の
象
(
かたち
)
かしこにあらはされたればなり 四〇—四二
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
かう
云
(
い
)
ふ時には酒がなくてはならぬと思つて、
台所
(
だいどころ
)
を探し
𢌞
(
まは
)
つたが、
女世帯
(
をんなじよたい
)
の事とて
酒盃
(
さかづき
)
一ツ
見当
(
みあた
)
らない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
と見て
居
(
ゐ
)
る
中
(
うち
)
に
忽
(
たちま
)
ち五六十
両
(
りやう
)
の
金子
(
かね
)
を
鵜呑
(
うのみ
)
にしたから
堪
(
たま
)
らない、
悶掻
(
もがき
)
𢌞
(
まは
)
つて苦しみ出し。源
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
マーキュ おゝ、ても
善
(
よ
)
う
𢌞
(
まは
)
るわ、
寸
(
すん
)
から
尺
(
しゃく
)
に
伸
(
の
)
びる
莫大小口
(
めりやすぐち
)
とは
足下
(
おぬし
)
の
口
(
くち
)
ぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
𢌞
(
まは
)
せ、
𢌞
(
まは
)
せ、水ぐるま
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
別莊
(
べつさう
)
はずつと
其
(
そ
)
の
奧
(
おく
)
の
樹深
(
きぶか
)
い
中
(
なか
)
に
建
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るのを、
私
(
わたし
)
は
心
(
こゝろ
)
づもりに
知
(
し
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
總二階
(
そうにかい
)
十疊
(
じふでふ
)
に
八疊
(
はちでふ
)
の
𢌞
(
まは
)
り
縁
(
えん
)
で、
階下
(
かいか
)
は
七間
(
なゝま
)
まで
數
(
かぞ
)
へて
廣
(
ひろ
)
い。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
舞台は
相愛
(
あひあい
)
する男女の
入水
(
じゆすゐ
)
と共に
𢌞
(
まは
)
つて、女の
方
(
はう
)
が
白魚舟
(
しらうをぶね
)
の
夜網
(
よあみ
)
にかゝつて助けられる
処
(
ところ
)
になる。再び
元
(
もと
)
の舞台に返つて、男も同じく死ぬ事が
出来
(
でき
)
なくて
石垣
(
いしがき
)
の上に
這
(
は
)
ひ
上
(
あが
)
る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
どうしたつて
無
(
ね
)
えぢやア
無
(
ね
)
えか、
昨日
(
きのふ
)
は
年始𢌞
(
ねんしまは
)
りだ、
朝
(
あさ
)
家
(
うち
)
を出て
霊南坂
(
れいなんざか
)
を
上
(
あが
)
つて、
麻布
(
あざぶ
)
へ出たんだ、
麻布
(
あざぶ
)
から
高輪
(
たかなわ
)
へ出て、それから
芝
(
しば
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
新橋
(
しんばし
)
を渡り、
煉瓦通
(
れんがどほ
)
りを
𢌞
(
まは
)
つて
神田
(
かんだ
)
へ出て
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
𢌞
(
まは
)
せ、𢌞せ、水ぐるま
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
偖
(
さ
)
て、
然
(
さ
)
うなると、この
教育
(
けういく
)
のある
娘
(
むすめ
)
が、
何
(
なに
)
しろ
恰好
(
かつかう
)
が
惡
(
わる
)
い、
第一
(
だいいち
)
又
(
また
)
持
(
も
)
ちやうが
惡
(
わる
)
い、
前
(
まへ
)
へ
𢌞
(
まは
)
して
膝
(
ひざ
)
へ
取
(
と
)
つて
持
(
も
)
ち
直
(
なほ
)
せといふ。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
えゝ
初
(
はじ
)
め
宅
(
たく
)
を出まして、それから
霊南坂
(
れいなんざか
)
を
上
(
あが
)
つて
麻布
(
あざぶ
)
へ出ました、
麻布
(
あざぶ
)
から
高輪
(
たかなわ
)
へ出まして、それから
芝
(
しば
)
へ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
き
)
て、
新橋
(
しんばし
)
を渡り、
煉瓦通
(
れんがどほ
)
りを
𢌞
(
まは
)
りまして、
京橋
(
きやうばし
)
から
日本橋
(
にほんばし
)
から
神田
(
かんだ
)
へ出ましてな
年始まはり
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
那
(
そん
)
な
大木
(
たいぼく
)
のあるのは
蓋
(
けだ
)
し
深山
(
しんざん
)
であらう、
幽谷
(
いうこく
)
でなければならぬ。
殊
(
こと
)
にこれは
飛騨山
(
ひだやま
)
から
𢌞
(
まは
)
して
來
(
き
)
たのであることを
聞
(
き
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
𢌞
(
まは
)
し
合羽
(
がつぱ
)
に
笠
(
かさ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで
壁
(
かべ
)
にかけ、伝
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
不忍
(
しのばず
)
の
池
(
いけ
)
で
懸賞
(
けんしやう
)
づきの
不思議
(
ふしぎ
)
な
競爭
(
きやうさう
)
があつて、
滿都
(
まんと
)
を
騷
(
さわ
)
がせた
事
(
こと
)
がある。
彼
(
あ
)
の
池
(
いけ
)
は
内端
(
うちわ
)
に
𢌞
(
まは
)
つて、
一周圍
(
ひとまはり
)
一里強
(
いちりきやう
)
だと
言
(
い
)
ふ。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の一
日前
(
にちまへ
)
の
暮方
(
くれがた
)
に、
千助
(
せんすけ
)
は、
團右衞門方
(
だんゑもんかた
)
の
切戸口
(
きりどぐち
)
から、
庭前
(
ていぜん
)
へ
𢌞
(
まは
)
つた。
座敷
(
ざしき
)
に
御新姐
(
ごしんぞ
)
が
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
を、
豫
(
あらかじ
)
め
知
(
し
)
つての
上
(
うへ
)
。
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
師走
(
しはす
)
の
算段
(
さんだん
)
に
驅
(
か
)
け
𢌞
(
まは
)
つて
五味坂
(
ごみざか
)
で
投出
(
なげだ
)
された、
此
(
こ
)
の
時
(
とき
)
は、
懷中
(
くわいちう
)
げつそりと
寒
(
さむ
)
うして、
心
(
しん
)
、
虚
(
きよ
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
路端
(
みちばた
)
の
石
(
いし
)
に
打撞
(
ぶつ
)
かつて
足
(
あし
)
の
指
(
ゆび
)
に
怪我
(
けが
)
をした。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の一
日前
(
にちまへ
)
の
暮方
(
くれがた
)
に、
元二
(
げんじ
)
は
團右衞門方
(
だんゑもんかた
)
の
切戸口
(
きりどぐち
)
から
庭前
(
にはさき
)
へ
𢌞
(
まは
)
つた、
座敷
(
ざしき
)
に
御新造
(
ごしんぞ
)
が
居
(
ゐ
)
る
事
(
こと
)
を
豫
(
あらかじ
)
め
知
(
し
)
つての
上
(
うへ
)
で。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の
門
(
もん
)
が、
又
(
また
)
……
貴方
(
あなた
)
、
表
(
おもて
)
でもなければ
潛
(
くゞ
)
りでもなくつて、
土塀
(
どべい
)
へついて
一𢌞
(
ひとまは
)
り
𢌞
(
まは
)
りました、
大
(
おほき
)
な
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
があります、
裏門
(
うらもん
)
で
木戸口
(
きどぐち
)
だつたと
申
(
まを
)
すんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
こ
)
の
黒
(
くろ
)
が、
又
(
また
)
頻
(
しき
)
りに
元二
(
げんじ
)
に
馴
(
な
)
れ
睦
(
むつ
)
んで、ニヤゴー、と
夜
(
よ
)
も
晝
(
ひる
)
も
附添
(
つきそ
)
ひあるいて、
啼聲
(
なくこゑ
)
も
愛
(
あい
)
くるしく
附
(
つ
)
いて
𢌞
(
まは
)
る。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
酒氣
(
しゆき
)
が
天井
(
てんじやう
)
を
衝
(
つ
)
くのではない、
陰
(
いん
)
に
籠
(
こも
)
つて
疊
(
たゝみ
)
の
燒
(
や
)
けこげを
轉
(
ころ
)
げ
𢌞
(
まは
)
る。あつ
燗
(
かん
)
で
火
(
ひ
)
の
如
(
ごと
)
く
惡醉
(
あくすゐ
)
闌
(
たけなは
)
なる
最中
(
さいちう
)
。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト
錨
(
いかり
)
が
一具
(
いちぐ
)
据
(
すわ
)
つたやうに、
間
(
あひ
)
十
間
(
けん
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てて、
薄黒
(
うすぐろ
)
い
影
(
かげ
)
を
落
(
おと
)
して、
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
でくる/\と
𢌞
(
まは
)
る
車
(
くるま
)
がある。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
千助
(
せんすけ
)
の
順
(
じゆん
)
に
杯
(
さかづき
)
が
𢌞
(
まは
)
つて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
、
自分
(
じぶん
)
國許
(
くにもと
)
の
事
(
こと
)
に
擬
(
なぞら
)
へて、
仔細
(
しさい
)
あつて、
世
(
よ
)
を
忍
(
しの
)
ぶ
若
(
わか
)
ものが
庄屋
(
しやうや
)
の
屋敷
(
やしき
)
に
奉公
(
ほうこう
)
して、
其
(
そ
)
の
妻
(
つま
)
と
不義
(
ふぎ
)
をする
段
(
だん
)
、
手
(
て
)
に
取
(
と
)
るやうに
饒舌
(
しやべ
)
つて
片しぐれ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ト
錨
(
いかり
)
が
一具
(
ひとつ
)
据
(
すわ
)
つたやうに、
間
(
あひだ
)
十間
(
じつけん
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てて、
薄黒
(
うすぐろ
)
い
影
(
かげ
)
を
落
(
おと
)
して、
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
でくる/\と
𢌞
(
まは
)
る
車
(
くるま
)
がある。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
が、はずんで
下
(
お
)
りて
一淀
(
ひとよど
)
みして
𢌞
(
まは
)
る
處
(
ところ
)
から、
少
(
すこ
)
し
勢
(
いきほひ
)
が
鈍
(
にぶ
)
くなる。
知
(
し
)
らずや、
仲町
(
なかちやう
)
で
車夫
(
わかいしゆ
)
が、
小當
(
こあた
)
りに
當
(
あた
)
るのである。「
澄
(
す
)
まねえがね、
旦那
(
だんな
)
。」
甚
(
はなはだ
)
しきは
楫
(
かぢ
)
を
留
(
と
)
める。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
名物
(
めいぶつ
)
と
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く、——
前
(
まへ
)
にも
一度
(
いちど
)
、
神田
(
かんだ
)
の
叔父
(
をぢ
)
と、
天王寺
(
てんわうじ
)
を、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
相坂
(
あひざか
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
て、
今戸
(
いまど
)
邊
(
あたり
)
へ
𢌞
(
まは
)
る
途中
(
とちう
)
を、こゝで
憩
(
やす
)
んだ
事
(
こと
)
がある。が、
最
(
も
)
う七八
年
(
ねん
)
にもなつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……その
玄關
(
げんくわん
)
が
六疊
(
ろくでふ
)
の、
右
(
みぎ
)
へ
𢌞
(
まは
)
り
縁
(
えん
)
の
庭
(
には
)
に、
物數寄
(
ものずき
)
を
見
(
み
)
せて
六疊
(
ろくでふ
)
と
十疊
(
じふでふ
)
、
次
(
つぎ
)
が
八疊
(
はちでふ
)
、
續
(
つゞ
)
いて
八疊
(
はちでふ
)
が
川
(
かは
)
へ
張出
(
はりだ
)
しの
欄干下
(
らんかんした
)
を、
茶船
(
ちやぶね
)
は
浩々
(
かう/\
)
と
漕
(
こ
)
ぎ、
傳馬船
(
てんま
)
は
洋々
(
やう/\
)
として
浮
(
うか
)
ぶ。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
帷子
(
かたびら
)
か
何
(
なん
)
でござりますか、ぶわ/\した
衣
(
き
)
ものを
着
(
き
)
ました
坊
(
ばう
)
さんが、
輪
(
わ
)
をかいて
𢌞
(
まは
)
つて
居
(
を
)
ります。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
如何
(
いか
)
に
流言
(
りうげん
)
に
憑
(
つ
)
いた
鼠
(
ねずみ
)
でも、オートバイなどで
人
(
ひと
)
もなげに
駈𢌞
(
かけまは
)
られては
堪
(
たま
)
らないと
思
(
おも
)
ふと、どしん、どしん、がら/\がらと
天井
(
てんじやう
)
を
追
(
お
)
つかけ
𢌞
(
まは
)
し、
溝
(
どぶ
)
の
中
(
なか
)
で
取
(
と
)
つて
倒
(
たふ
)
し
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兩親
(
りやうしん
)
や
兄
(
あに
)
の
意見
(
いけん
)
などは、
蘆
(
あし
)
を
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
ほども
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みないで、
朋輩
(
ほうばい
)
同士
(
どうし
)
には、
何事
(
なにごと
)
にも、
直
(
ぢ
)
きに
其
(
そ
)
の、
己
(
おれ
)
が
己
(
おれ
)
ががついて
𢌞
(
まは
)
つて、あゝ、
世
(
よ
)
が
世
(
よ
)
ならばな、と
口癖
(
くちぐせ
)
のやうに
云
(
い
)
ふ。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
外面
(
おもて
)
の、
印度洋
(
インドやう
)
に
向
(
む
)
いた
方
(
はう
)
の、
大理石
(
だいりせき
)
の
𢌞
(
まは
)
り
縁
(
えん
)
には、
軒
(
のき
)
から
掛
(
か
)
けて、
床
(
ゆか
)
へ
敷
(
し
)
く……
水晶
(
すゐしやう
)
の
簾
(
すだれ
)
に、
星
(
ほし
)
の
數々
(
かず/\
)
鏤
(
ちりば
)
めたやうな、ぎやまんの
燈籠
(
とうろう
)
が、十五、
晃々
(
きら/\
)
點
(
つ
)
いて
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
ます。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恍惚
(
うつとり
)
ともの
思
(
おも
)
はしげな
顏
(
かほ
)
をして
手
(
て
)
をなよ/\と
忘
(
わす
)
れたやうに、
靜
(
しづか
)
に、
絲車
(
いとぐるま
)
を
𢌞
(
まは
)
して
居
(
ゐ
)
ました。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
トタンに、
背後
(
うしろ
)
から
私
(
わたし
)
の
身體
(
からだ
)
を
横切
(
よこぎ
)
つたのは
例
(
れい
)
のもので、
其女
(
そのをんな
)
の
脚
(
あし
)
が
前
(
まへ
)
へ
𢌞
(
まは
)
つて、
眼
(
め
)
さきに
見
(
み
)
えた。
啊呀
(
あなや
)
といふ
間
(
ま
)
に
内
(
うち
)
へ
引摺込
(
ひきずりこ
)
まれさうになつたので、はツとすると
前
(
まへ
)
へ
倒
(
たふ
)
れた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
孫一
(
まごいち
)
も
其
(
そ
)
の
一人
(
ひとり
)
だつたの……
此
(
こ
)
の
人
(
ひと
)
はね、
乳
(
ちゝ
)
も
涙
(
なみだ
)
も
漲
(
みなぎ
)
り
落
(
お
)
ちる
黒女
(
くろめ
)
の
俘囚
(
とりこ
)
と
一所
(
いつしよ
)
に、
島々
(
しま/″\
)
を
目見得
(
めみえ
)
に
𢌞
(
まは
)
つて、
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
には、
日本
(
につぽん
)
、
日本
(
につぽん
)
で、
見世
(
みせ
)
ものの
小屋
(
こや
)
に
置
(
お
)
かれた
事
(
こと
)
もあつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
靜
(
しづ
)
かに
進
(
すゝ
)
んで
禮
(
れい
)
をする
時
(
とき
)
、
牡丹
(
ぼたん
)
に
八
(
や
)
ツ
橋
(
はし
)
を
架
(
か
)
けたやうに、
花
(
はな
)
の
中
(
なか
)
を
𢌞
(
まは
)
り
繞
(
めぐ
)
つて、
奧
(
おく
)
へ
續
(
つゞ
)
いた
高樓
(
たかどの
)
の
廊下
(
らうか
)
づたひに、
黒女
(
くろめ
)
の
妼
(
こしもと
)
が
前後
(
あとさき
)
に三
人
(
にん
)
屬
(
つ
)
いて、
淺緑
(
あさみどり
)
の
衣
(
きぬ
)
に
同
(
おな
)
じ
裳
(
も
)
をした……
面
(
おもて
)
は
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
嘘
(
うそ
)
か
眞
(
まこと
)
か、
本所
(
ほんじよ
)
の、あの
被服廠
(
ひふくしやう
)
では、つむじ
風
(
かぜ
)
の
火
(
ひ
)
の
裡
(
なか
)
に、
荷車
(
にぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
いた
馬
(
うま
)
が、
車
(
くるま
)
ながら
炎
(
ほのほ
)
となつて、
空
(
そら
)
をきり/\と
𢌞
(
まは
)
つたと
聞
(
き
)
けば、あゝ、その
馬
(
うま
)
の
幽靈
(
いうれい
)
が、
車
(
くるま
)
の
亡魂
(
ばうこん
)
とともに
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
婦同士
(
をんなどうし
)
も
見惚
(
みと
)
れたげで、
前
(
まへ
)
へ
𢌞
(
まは
)
り、
背後
(
うしろ
)
で
視
(
なが
)
め、
姿見
(
すがたみ
)
に
透
(
す
)
かして、
裸身
(
はだか
)
のまゝ、つけまはいて、
黒子
(
ほくろ
)
が
一
(
ひと
)
つ、
左
(
ひだり
)
の
乳
(
ちゝ
)
の、
白
(
しろ
)
いつけ
際
(
ぎは
)
に、ほつりとある
事
(
こと
)
まで、よう
知
(
し
)
つたと
云
(
い
)
ふ
話
(
はなし
)
。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
なあ、
婆
(
ばあ
)
さん。——
荒
(
あら
)
もの
屋
(
や
)
の
婆
(
ばあ
)
さんが、
知
(
し
)
つてるんだ。
椋鳥
(
むくどり
)
の
畜生
(
ちくしやう
)
、もの
干棹
(
ほしざを
)
で
引掻
(
ひきか
)
き
𢌞
(
まは
)
いてくれようと、
幾度
(
いくど
)
飛出
(
とびだ
)
したか
分
(
わか
)
らねえ。
樹
(
き
)
が
高
(
たけ
)
えから
屆
(
とゞ
)
かねえぢやありませんかい。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
微笑
(
ほゝゑ
)
んで
見
(
み
)
せて、
少
(
わか
)
いのが
其
(
その
)
清
(
すゞし
)
い
目
(
め
)
に
留
(
と
)
めると、くるりと
𢌞
(
まは
)
つて、
空
(
そら
)
ざまに
手
(
て
)
を
上
(
あ
)
げた、お
品
(
しな
)
はすつと
立
(
た
)
つて、しなやかに
柳
(
やなぎ
)
の
幹
(
みき
)
を
叩
(
たゝ
)
いたので、
蜘蛛
(
くも
)
の
巣
(
す
)
の
亂
(
みだ
)
れた
薄
(
うす
)
い
色
(
いろ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
の
袂
(
たもと
)
は
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
此
(
これ
)
にぎよつとしながら、いま
一祈
(
ひといの
)
り
祈
(
いの
)
りかけると、その
茸
(
きのこ
)
、
傘
(
かさ
)
を
開
(
ひら
)
いてスツクと
立
(
た
)
ち、
躍
(
をど
)
りかゝつて、「ゆるせ、」と
逃
(
に
)
げ
𢌞
(
まは
)
る
山伏
(
やまぶし
)
を、「
取
(
と
)
つて
噛
(
か
)
まう、
取
(
と
)
つて
噛
(
か
)
まう。」と
脅
(
おびやか
)
すのである。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
𢌞
部首:⼵
8画
“𢌞”を含む語句
見𢌞
立𢌞
一𢌞
振𢌞
取𢌞
掻𢌞
輪𢌞
駈𢌞
大𢌞
這𢌞
荒𢌞
居𢌞
𢌞轉
睨𢌞
追𢌞
三𢌞部名
外𢌞
馳𢌞
連𢌞
迯𢌞
...