“調子(てうし)” の例文
『それから後(のち)は』と帽子屋(ばうしや)は悲(かな)しげな調子(てうし)で、『私(わたし)の云(い)ふことを聞(き)かなくなつて了(しま)つて!まァ、何時(いつ)でも六時(じ)のところに止(とま)つてゐる』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「おやこつちのおとつゝあん、暫(しばら)くでがしたねどうも、御機嫌(ごきげん)よろしがすね」おつたはそら/″\しい程(ほど)打(う)つて變(かは)つた調子(てうし)でいつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
(お泊(と)め申(まを)すとなりましたら、あの、他生(たしやう)の縁(えん)とやらでござんす、あなた御遠慮(ごゑんりよ)を遊(あそ)ばしますなよ。)先(ま)づ恐(おそ)ろしく調子(てうし)が可(い)いぢやて。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
此時(このとき)堂上(だうじやう)の僧(そう)は一齊(いつせい)に合掌(がつしやう)して、夢窓國師(むさうこくし)の遺誡(ゐかい)を誦(じゆ)し始(はじ)めた。思(おも)ひ/\に席(せき)を取(と)つた宗助(そうすけ)の前後(ぜんご)にゐる居士(こじ)も皆(みな)同音(どうおん)に調子(てうし)を合(あは)せた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一緒(しよ)に飯(めし)なぞ食(た)べると、彼(かれ)はいつでも心(こゝろ)の空虚(くうきよ)を訴(うつた)へるやうな調子(てうし)でありながら、さう言(い)つて寂(さび)しい顔(かほ)に興奮(こうふん)の色(いろ)を浮(うか)べてゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
マーキュ 何(なん)ぢゃ、調子(てうし)を合(あは)せて? 吾等(われら)を樂人扱(がくにんあつか)ひにするのか? 樂人扱(がくにんあつか)ひに爲(す)りゃ、耳(みゝ)を顛覆(でんぐりかへ)らする音樂(おんがく)を聞(きか)す。準備(ようい)せい。
新秋(しんしう)の氣(き)もちいゝ風(かぜ)が簾(すだれ)を透(とほ)して吹(ふ)く、それが呼吸氣管(こきうきくわん)に吸(す)ひ込(こ)まれて、酸素(さんそ)が血(ち)になり、動脈(どうみやく)が調子(てうし)よく搏(う)つ………その氣(き)が味(あぢ)はへない。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
お糸(いと)がどうせ行(ゆ)かねばならぬものなら、もう少(すこ)し悲しく自分の為(た)めに別(わかれ)を惜(を)しむやうな調子(てうし)を見せて貰(もら)ひたいと思つたからだ。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今日(けふ)はほんとうにお珍(めづら)しいおいでゝ、お歸(かへ)りになつてから「お前(まへ)は今日よつぽどどうかしてゐたね。」といはれましたほど、私(わたし)の調子(てうし)が狂(くる)ひました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
總(そう)じて江戸(えど)は人間(にんげん)の調子(てうし)が輕(かる)うて、言葉(ことば)も下(した)にござります。下品(げひん)な言葉(ことば)の上(うへ)へ、無暗(むやみ)に「お」の字(じ)を附(つ)けまして、上品(じやうひん)に見(み)せようと企(たくら)んで居(を)ります。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ラランはいつものやうに、カラカラと笑(わら)つた。五千メートル。いつもならこの辺(へん)へ来(く)るまでに疲(つか)れて墜(を)ちてしまう筈(はづ)なのに、今度(こんど)は莫迦(ばか)に調子(てうし)がいい。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
流石(さすが)に明治(めいぢ)の御(おん)作者(さくしや)様方(さまがた)は通(つう)の通(つう)だけありて俗物(ぞくぶつ)済度(さいど)を早(はや)くも無二(むに)の本願(ほんぐわん)となし俗物(ぞくぶつ)の調子(てうし)を合点(がてん)して能(よ)く幇間(たいこ)を叩(たゝ)きてお髯(ひげ)の塵(ちり)を払(はら)ふの工風(くふう)を大悟(たいご)し
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵、三文字屋金平(著)
ははゝゝそれはね 天体(たい)を見るには機械(きかい)にばかり頼(たよ)らないで『見るのに具(ぐ)合ひのいい調子(てうし)』にしておくことだよ
猶且(やはり)毎朝(まいあさ)のやうに此(こ)の朝(あさ)も氣(き)が引立(ひきた)たず、沈(しづ)んだ調子(てうし)で或(あ)る横町(よこちやう)に差掛(さしかゝ)ると、折(をり)から向(むかふ)より二人(ふたり)の囚人(しうじん)と四人(にん)の銃(じゆう)を負(お)ふて附添(つきそ)ふて來(く)る兵卒(へいそつ)とに、ぱつたりと出會(でつくわ)す。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あゝ、僕あもう絶望(ぜつぼう)だよ!」投出(なげだ)すやうな調子(てうし)で友は云ツた。私の胸は鉛(なまり)のやうに重(おも)くなツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
春(はる)の野路(のぢ)をガタ馬車(ばしや)が走(はし)る、野(の)は菜(な)の花(はな)が咲(さ)き亂(みだ)れて居(ゐ)る、フワリ/\と生温(なまぬる)い風(かぜ)が吹(ふ)ゐて花(はな)の香(かほり)が狹(せま)い窓(まど)から人(ひと)の面(おもて)を掠(かす)める、此時(このとき)御者(ぎよしや)が陽氣(やうき)な調子(てうし)で喇叭(らつぱ)を吹(ふ)きたてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
空(そら)を見(み)あげてホツと息(いき)をつくさま、堪(こら)へかねたる樣子(やうす)は五音(いん)の調子(てうし)にあらはれぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
読(よ)み上(あ)げられた者(もの)は、一人々々(ひとり/\)検疫医(けんえきい)の列(なら)んだ段階子(だんばしご)の下(した)を通(とほ)つて上(うへ)へ出(で)て行(ゆ)く。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で調子(てうし)を上(あ)げて少(すこ)し引(ひ)ツ張(ぱ)つて「マ」で下(さ)げる。成程(なるほど)山(やま)のやうに聞(きこ)える。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
引立て拷問所へ引出し理左衞門は上座(じやうざ)に直り是迄屡々(しば/\)拷問に及べども酢(す)の蒟蒻(こんにやく)のと云掠(かす)め今に白状致さぬ故今日は此理左衞門が自身に拷問(がうもん)を見聞せん強情(しぶとい)奴(やつ)めと一調子(てうし)引上げコリヤ者共九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夜が來て酒倉の暗い中から酛(もと)すり歌の櫂(かい)の音がしんみりと調子(てうし)をそろへて靜かな空の闇に消えてゆく時分(じぶん)になれば赤い三日月の差し入る幼兒(をさなご)の寢部屋の窓に青い眼をした生膽取(いきぎもとり)の「時」がくる。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、夫(をつと)は調子(てうし)に乘(の)りながら
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
呼(よ)ばれた坂上(さかがみ)は、此(こ)の聲(こゑ)を聞(き)くと、外套(ぐわいたう)の襟(えり)から先(ま)づ悚然(ぞつ)とした。……誰(たれ)に似(に)て可厭(いや)な、何時(いつ)覺(おぼ)えのある可忌(いまは)しい調子(てうし)と云(い)ふのではない。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「何(ど)うですな世(よ)の中(なか)は」と宗助(そうすけ)が例(れい)にない浮(う)いた調子(てうし)を出(だ)した。御米(およね)の頭(あたま)の中(なか)には、夫婦(ふうふ)にならない前(まへ)の、宗助(そうすけ)と自分(じぶん)の姿(すがた)が奇麗(きれい)に浮(うか)んだ。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おつかあが見(め)えんだかも知(し)んねえ、さうら明(あか)るく成(な)つた。汝(わ)りや※(ねえ)に抱(だ)かさつてんだ。可怖(おつかねえ)ことあるもんか」卯平(うへい)は重(おも)い調子(てうし)でいふのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『何卒(なにとぞ)お宥(ゆる)し下(くだ)さい、陛下(へいか)よ』二點(ツウ)は極(きは)めて謙遜(けんそん)した調子(てうし)で云(い)つて片膝(かたひざ)をつき、『私(わたし)どもの爲(し)て居(を)りましたことは——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
少(すこ)しは声を曇(くもら)したものゝ其(そ)の調子(てうし)は長吉(ちやうきち)の満足するほどの悲愁(ひしふ)を帯びてはゐなかつた。長吉(ちやうきち)は暫(しばら)くしてから又(また)突然(とつぜん)に
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
『君(きみ)ちやんや、母(かあ)さんがするからもういゝかげんにしてお置(お)き、兄(にい)さんがはいれたさうだよ、よかつたねえ。』と、あとは自分自身(じぶんじしん)にいふやうに調子(てうし)を落(おと)して
悔 (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
調子(てうし)づいた独唱(どくせう)が二つばかりつづいた。そして前(まえ)に叙事詩(じよじし)のやうなものを朗読(らうどく)した多分(たぶん)代理大使(だいりたいし)の夫人(ふじん)だとおもはるゝ婦人(ふじん)が其後(そのあと)で又舞台(ぶたい)のうへで朗読(らうどく)をはじめた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
小(ちい)さな飼主(かひぬし)のない猫(ねこ)、まだ純眞(じゆんしん)な態度(たいど)で人(ひと)を怖(おそ)れないのみか、人(ひと)なつかしい調子(てうし)で鳴(な)き寄(よ)つてくる。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
でも此様(こん)な筈(はず)では無かツたがと、躍起(やつき)となツて、行(や)る點(とこ)まで行(や)ツて見(み)る、我慢(がまん)で行ツて見る。仍且(やツぱり)駄目(だめ)だ。頭(てん)で調子(てうし)が出て來ない。揚句(あげく)に草臥(くたび)れて了ツて、悲観(ひくわん)の嘆息(ためいき)だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『俺(おれ)の用(よう)の有(あ)るのが見(み)えんのか。いや過去(くわこ)は思(おも)ひ出(だ)しますまい。』と彼(かれ)は調子(てうし)を一段(だん)と柔(やさ)しくしてアンドレイ、エヒミチに向(むか)つて云(い)ふ。『さあ君(きみ)、掛(か)け給(たま)へ、さあ何卒(どうか)。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
(劍に手を掛けて)乃公(おれ)の胡弓(こきう)は此劍(これ)ぢゃ、今(いま)に足下(おぬし)を踊(をど)らせて見(み)せう。畜生(ちくしゃう)、調子(てうし)を合(あは)す!
聞人(きくひと)なげに遠慮(ゑんりよ)なき高聲(たかごゑ)、福(ふく)も相槌(あひづち)例(れい)の調子(てうし)に、もう一ト働(はたら)きやつて除(の)けよう、安(やす)さんは下廻(したまは)りを頼(たの)みます、私(わたし)はも一度(ど)此處(こゝ)を拭(ふ)いて、今度(こんど)はお藏(くら)だとて、雜巾(ぞうきん)がけしつ/\と始(はじ)めれば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
愈〻(いよ/\)平地(へいち)を離(はな)れて山路(やまぢ)にかゝると、これからが初(はじ)まりと言(い)つた調子(てうし)で張飛巡査(ちやうひじゆんさ)は何處(どこ)からか煙管(きせる)と煙草入(たばこいれ)を出(だ)したがマツチがない。關羽(くわんう)も持(もつ)て居(ゐ)ない。これを見(み)た義母(おつかさん)は徐(おもむろ)に袖(たもと)から取出(とりだ)して
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
但馬守(たじまのかみ)もキッパリと爽(さわや)かな調子(てうし)で問(と)うた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
幽(かす)かな、銀(ぎん)の調子(てうし)で鳴(な)いてゐる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其時(そのとき)宗助(そうすけ)は何時(いつ)もの調子(てうし)で、寧(むし)ろ穩(おだ)やかに、弟(おとうと)の云(い)ふ事(こと)を聞(き)いてゐたが、聞(き)いてしまつた後(あと)でも、別(べつ)に是(これ)といふ眼立(めだ)つた批評(ひひやう)は加(くは)へなかつた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と思(おも)ひながら、絶(た)えず拍子(ひやうし)にかゝつて、伸縮(のびちゞみ)に身體(からだ)の調子(てうし)を取(と)つて、手(て)を働(はたら)かす、鋸(のこぎり)が上下(じやうげ)して、木屑(きくづ)がまた溢(こぼ)れて來(く)る。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
彼(かれ)は只(たゞ)自分(じぶん)の調子(てうし)に乘(の)つて噺(はなし)をしてくれることに滿足(まんぞく)を求(もと)めようとしたのみであつた。然(しか)しそれは悉(こと/″\)く徒勞(むだ)であつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
愛(あい)ちやんは何(なに)が何(なん)だか薩張(さつぱり)道理(わけ)が解(わか)らず、『長靴(ながぐつ)にもなれは半靴(はんぐつ)にもなる!』と不審(いぶか)しげな調子(てうし)で繰返(くりかへ)しました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
子供の時から朝夕(あさゆふ)に母が渡世(とせい)の三味線(しやみせん)を聴(き)くのが大好きで、習はずして自然に絃(いと)の調子(てうし)を覚え、町を通(とほ)る流行唄(はやりうた)なぞは一度聴(き)けば直(す)ぐに記憶(きおく)する位(くらゐ)であつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
SH氏(し)はこのアンコールに応(おう)じて、再(ふたゝ)び立(た)つて行(い)つた。そして前(まえ)よりも安易(あんい)な調子(てうし)で謳(うた)つた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
『アンドレイ、エヒミチ今日(けふ)は何日(なんにち)です?』其(それ)から續(つゞ)いて、ハヾトフとブロンヂンのドクトルとは下手(へた)なのを感(かん)じてゐる試驗官(しけんくわん)と云(い)つたやうな調子(てうし)で、今日(けふ)は何曜日(なにえうび)だとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
無駄(むだ)ばなしの取(と)りやりに調子(てうし)づいて旦那(だんな)のお商買(しようばい)を當(あて)て見(み)ませうかとお高(たか)がいふ、何分(なにぶん)願(ねが)ひますと手(て)のひらを差出(さしだ)せば、いゑ夫(それ)には及(およ)びませぬ人相(にんさう)で見(み)まするとて如何(いか)にも落(おち)つきたる顏(かほ)つき
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
チッバ マーキューシオー、足下(おぬし)は平生(ふだん)あのロミオと調子(てうし)を合(あは)せて……
ところが去來(いざ)取懸(とりかか)ツて見ると、些(ちつ)とも豫期(よき)した調子(てうし)が出て來ない。頭の中に描かれた作品と、眼前(がんぜん)に描出される作品とは鉛(なまり)と鋼鉄(かうてつ)ほどの相違(さうゐ)がある。周三は自分ながら自分の腕の鈍(なまくら)なのに呆返(あきれかへ)ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
幽(かす)かな昼(ひる)の調子(てうし)で鳴(な)いてゐる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
だから、ふくろの聲(こゑ)は、話(はなし)に聞(き)く狼(おほかみ)がうなるのに紛(まぎ)れよう。……みゝづくの方(はう)は、木精(こだま)が戀(こひ)をする調子(てうし)だと思(おも)へば可(い)い。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
パレスといふ小岩(こいは)の遊(あそ)び場(ば)に身(み)を沈(しづ)めてゐた頃(ころ)、折々(をり/\)泊(とま)りに来(き)た客(きやく)なので、調子(てうし)もおのづから心(こゝろ)やすく
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風、永井壮吉(著)
竹村(たけむら)はその温順(おとな)しさと寛容(くわんよう)なのに面喰(めんくら)はされてしまつた。彼女(かのぢよ)の軟(やはら)かで洗煉(せんれん)された調子(てうし)から受取(うけと)られる感情(かんじやう)で見(み)ると、しかし其(そ)の考(かんが)へ方(かた)が、極(きは)めて自然(しぜん)に見(み)えるのであつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)