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調子
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てうし
ふりがな文庫
“
調子
(
てうし
)” の例文
『それから
後
(
のち
)
は』と
帽子屋
(
ばうしや
)
は
悲
(
かな
)
しげな
調子
(
てうし
)
で、『
私
(
わたし
)
の
云
(
い
)
ふことを
聞
(
き
)
かなくなつて
了
(
しま
)
つて!まァ、
何時
(
いつ
)
でも六
時
(
じ
)
のところに
止
(
とま
)
つてゐる』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
「おやこつちのおとつゝあん、
暫
(
しばら
)
くでがしたねどうも、
御機嫌
(
ごきげん
)
よろしがすね」おつたはそら/″\しい
程
(
ほど
)
打
(
う
)
つて
變
(
かは
)
つた
調子
(
てうし
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
(お
泊
(
と
)
め
申
(
まを
)
すとなりましたら、あの、
他生
(
たしやう
)
の
縁
(
えん
)
とやらでござんす、あなた
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
を
遊
(
あそ
)
ばしますなよ。)
先
(
ま
)
づ
恐
(
おそ
)
ろしく
調子
(
てうし
)
が
可
(
い
)
いぢやて。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此時
(
このとき
)
堂上
(
だうじやう
)
の
僧
(
そう
)
は
一齊
(
いつせい
)
に
合掌
(
がつしやう
)
して、
夢窓國師
(
むさうこくし
)
の
遺誡
(
ゐかい
)
を
誦
(
じゆ
)
し
始
(
はじ
)
めた。
思
(
おも
)
ひ/\に
席
(
せき
)
を
取
(
と
)
つた
宗助
(
そうすけ
)
の
前後
(
ぜんご
)
にゐる
居士
(
こじ
)
も
皆
(
みな
)
同音
(
どうおん
)
に
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
せた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
緒
(
しよ
)
に
飯
(
めし
)
なぞ
食
(
た
)
べると、
彼
(
かれ
)
はいつでも
心
(
こゝろ
)
の
空虚
(
くうきよ
)
を
訴
(
うつた
)
へるやうな
調子
(
てうし
)
でありながら、さう
言
(
い
)
つて
寂
(
さび
)
しい
顔
(
かほ
)
に
興奮
(
こうふん
)
の
色
(
いろ
)
を
浮
(
うか
)
べてゐた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
マーキュ
何
(
なん
)
ぢゃ、
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
せて?
吾等
(
われら
)
を
樂人扱
(
がくにんあつか
)
ひにするのか?
樂人扱
(
がくにんあつか
)
ひに
爲
(
す
)
りゃ、
耳
(
みゝ
)
を
顛覆
(
でんぐりかへ
)
らする
音樂
(
おんがく
)
を
聞
(
きか
)
す。
準備
(
ようい
)
せい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
新秋
(
しんしう
)
の
氣
(
き
)
もちいゝ
風
(
かぜ
)
が
簾
(
すだれ
)
を
透
(
とほ
)
して
吹
(
ふ
)
く、それが
呼吸氣管
(
こきうきくわん
)
に
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれて、
酸素
(
さんそ
)
が
血
(
ち
)
になり、
動脈
(
どうみやく
)
が
調子
(
てうし
)
よく
搏
(
う
)
つ………その
氣
(
き
)
が
味
(
あぢ
)
はへない。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
お
糸
(
いと
)
がどうせ
行
(
ゆ
)
かねばならぬものなら、もう
少
(
すこ
)
し悲しく自分の
為
(
た
)
めに
別
(
わかれ
)
を
惜
(
を
)
しむやうな
調子
(
てうし
)
を見せて
貰
(
もら
)
ひたいと思つたからだ。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
今日
(
けふ
)
はほんとうにお
珍
(
めづら
)
しいおいでゝ、お
歸
(
かへ
)
りになつてから「お
前
(
まへ
)
は今日よつぽどどうかしてゐたね。」といはれましたほど、
私
(
わたし
)
の
調子
(
てうし
)
が
狂
(
くる
)
ひました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
總
(
そう
)
じて
江戸
(
えど
)
は
人間
(
にんげん
)
の
調子
(
てうし
)
が
輕
(
かる
)
うて、
言葉
(
ことば
)
も
下
(
した
)
にござります。
下品
(
げひん
)
な
言葉
(
ことば
)
の
上
(
うへ
)
へ、
無暗
(
むやみ
)
に「お」の
字
(
じ
)
を
附
(
つ
)
けまして、
上品
(
じやうひん
)
に
見
(
み
)
せようと
企
(
たくら
)
んで
居
(
を
)
ります。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
ラランはいつものやうに、カラカラと
笑
(
わら
)
つた。五千メートル。いつもならこの
辺
(
へん
)
へ
来
(
く
)
るまでに
疲
(
つか
)
れて
墜
(
を
)
ちてしまう
筈
(
はづ
)
なのに、
今度
(
こんど
)
は
莫迦
(
ばか
)
に
調子
(
てうし
)
がいい。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
流石
(
さすが
)
に
明治
(
めいぢ
)
の
御
(
おん
)
作者
(
さくしや
)
様方
(
さまがた
)
は
通
(
つう
)
の
通
(
つう
)
だけありて
俗物
(
ぞくぶつ
)
済度
(
さいど
)
を
早
(
はや
)
くも
無二
(
むに
)
の
本願
(
ほんぐわん
)
となし
俗物
(
ぞくぶつ
)
の
調子
(
てうし
)
を
合点
(
がてん
)
して
能
(
よ
)
く
幇間
(
たいこ
)
を
叩
(
たゝ
)
きてお
髯
(
ひげ
)
の
塵
(
ちり
)
を
払
(
はら
)
ふの
工風
(
くふう
)
を
大悟
(
たいご
)
し
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
ははゝゝそれはね 天
体
(
たい
)
を見るには
機械
(
きかい
)
にばかり
頼
(
たよ
)
らないで『見るのに
具
(
ぐ
)
合ひのいい
調子
(
てうし
)
』にしておくことだよ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
猶且
(
やはり
)
毎朝
(
まいあさ
)
のやうに
此
(
こ
)
の
朝
(
あさ
)
も
氣
(
き
)
が
引立
(
ひきた
)
たず、
沈
(
しづ
)
んだ
調子
(
てうし
)
で
或
(
あ
)
る
横町
(
よこちやう
)
に
差掛
(
さしかゝ
)
ると、
折
(
をり
)
から
向
(
むかふ
)
より
二人
(
ふたり
)
の
囚人
(
しうじん
)
と四
人
(
にん
)
の
銃
(
じゆう
)
を
負
(
お
)
ふて
附添
(
つきそ
)
ふて
來
(
く
)
る
兵卒
(
へいそつ
)
とに、ぱつたりと
出會
(
でつくわ
)
す。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「あゝ、僕あもう
絶望
(
ぜつぼう
)
だよ!」
投出
(
なげだ
)
すやうな
調子
(
てうし
)
で友は云ツた。私の胸は
鉛
(
なまり
)
のやうに
重
(
おも
)
くなツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
春
(
はる
)
の
野路
(
のぢ
)
をガタ
馬車
(
ばしや
)
が
走
(
はし
)
る、
野
(
の
)
は
菜
(
な
)
の
花
(
はな
)
が
咲
(
さ
)
き
亂
(
みだ
)
れて
居
(
ゐ
)
る、フワリ/\と
生温
(
なまぬる
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
ゐて
花
(
はな
)
の
香
(
かほり
)
が
狹
(
せま
)
い
窓
(
まど
)
から
人
(
ひと
)
の
面
(
おもて
)
を
掠
(
かす
)
める、
此時
(
このとき
)
御者
(
ぎよしや
)
が
陽氣
(
やうき
)
な
調子
(
てうし
)
で
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
きたてる。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
あげてホツと
息
(
いき
)
をつくさま、
堪
(
こら
)
へかねたる
樣子
(
やうす
)
は五
音
(
いん
)
の
調子
(
てうし
)
にあらはれぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げられた
者
(
もの
)
は、
一人々々
(
ひとり/\
)
検疫医
(
けんえきい
)
の
列
(
なら
)
んだ
段階子
(
だんばしご
)
の
下
(
した
)
を
通
(
とほ
)
つて
上
(
うへ
)
へ
出
(
で
)
て
行
(
ゆ
)
く。『ミストル・アサヤーマ』。「ヤ」で
調子
(
てうし
)
を
上
(
あ
)
げて
少
(
すこ
)
し
引
(
ひ
)
ツ
張
(
ぱ
)
つて「マ」で
下
(
さ
)
げる。
成程
(
なるほど
)
山
(
やま
)
のやうに
聞
(
きこ
)
える。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
引立て拷問所へ引出し理左衞門は
上座
(
じやうざ
)
に直り是迄
屡々
(
しば/\
)
拷問に及べども
酢
(
す
)
の
蒟蒻
(
こんにやく
)
のと云
掠
(
かす
)
め今に白状致さぬ故今日は此理左衞門が自身に
拷問
(
がうもん
)
を見聞せん
強情
(
しぶとい
)
奴
(
やつ
)
めと一
調子
(
てうし
)
引上げコリヤ者共九助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夜が來て酒倉の暗い中から
酛
(
もと
)
すり歌の
櫂
(
かい
)
の音がしんみりと
調子
(
てうし
)
をそろへて靜かな空の闇に消えてゆく
時分
(
じぶん
)
になれば赤い三日月の差し入る
幼兒
(
をさなご
)
の寢部屋の窓に青い眼をした
生膽取
(
いきぎもとり
)
の「時」がくる。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と、
夫
(
をつと
)
は
調子
(
てうし
)
に
乘
(
の
)
りながら
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
呼
(
よ
)
ばれた
坂上
(
さかがみ
)
は、
此
(
こ
)
の
聲
(
こゑ
)
を
聞
(
き
)
くと、
外套
(
ぐわいたう
)
の
襟
(
えり
)
から
先
(
ま
)
づ
悚然
(
ぞつ
)
とした。……
誰
(
たれ
)
に
似
(
に
)
て
可厭
(
いや
)
な、
何時
(
いつ
)
覺
(
おぼ
)
えのある
可忌
(
いまは
)
しい
調子
(
てうし
)
と
云
(
い
)
ふのではない。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
何
(
ど
)
うですな
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
は」と
宗助
(
そうすけ
)
が
例
(
れい
)
にない
浮
(
う
)
いた
調子
(
てうし
)
を
出
(
だ
)
した。
御米
(
およね
)
の
頭
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
には、
夫婦
(
ふうふ
)
にならない
前
(
まへ
)
の、
宗助
(
そうすけ
)
と
自分
(
じぶん
)
の
姿
(
すがた
)
が
奇麗
(
きれい
)
に
浮
(
うか
)
んだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おつかあが
見
(
め
)
えんだかも
知
(
し
)
んねえ、さうら
明
(
あか
)
るく
成
(
な
)
つた。
汝
(
わ
)
りや
※
(
ねえ
)
に
抱
(
だ
)
かさつてんだ。
可怖
(
おつかねえ
)
ことあるもんか」
卯平
(
うへい
)
は
重
(
おも
)
い
調子
(
てうし
)
でいふのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
何卒
(
なにとぞ
)
お
宥
(
ゆる
)
し
下
(
くだ
)
さい、
陛下
(
へいか
)
よ』
二點
(
ツウ
)
は
極
(
きは
)
めて
謙遜
(
けんそん
)
した
調子
(
てうし
)
で
云
(
い
)
つて
片膝
(
かたひざ
)
をつき、『
私
(
わたし
)
どもの
爲
(
し
)
て
居
(
を
)
りましたことは——』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
少
(
すこ
)
しは声を
曇
(
くもら
)
したものゝ
其
(
そ
)
の
調子
(
てうし
)
は
長吉
(
ちやうきち
)
の満足するほどの
悲愁
(
ひしふ
)
を帯びてはゐなかつた。
長吉
(
ちやうきち
)
は
暫
(
しばら
)
くしてから
又
(
また
)
突然
(
とつぜん
)
に
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
『
君
(
きみ
)
ちやんや、
母
(
かあ
)
さんがするからもういゝかげんにしてお
置
(
お
)
き、
兄
(
にい
)
さんがはいれたさうだよ、よかつたねえ。』と、あとは
自分自身
(
じぶんじしん
)
にいふやうに
調子
(
てうし
)
を
落
(
おと
)
して
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
調子
(
てうし
)
づいた
独唱
(
どくせう
)
が二つばかりつづいた。そして
前
(
まえ
)
に
叙事詩
(
じよじし
)
のやうなものを
朗読
(
らうどく
)
した
多分
(
たぶん
)
代理大使
(
だいりたいし
)
の
夫人
(
ふじん
)
だとおもはるゝ
婦人
(
ふじん
)
が
其後
(
そのあと
)
で又
舞台
(
ぶたい
)
のうへで
朗読
(
らうどく
)
をはじめた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
小
(
ちい
)
さな
飼主
(
かひぬし
)
のない
猫
(
ねこ
)
、まだ
純眞
(
じゆんしん
)
な
態度
(
たいど
)
で
人
(
ひと
)
を
怖
(
おそ
)
れないのみか、
人
(
ひと
)
なつかしい
調子
(
てうし
)
で
鳴
(
な
)
き
寄
(
よ
)
つてくる。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
でも
此様
(
こん
)
な
筈
(
はず
)
では無かツたがと、
躍起
(
やつき
)
となツて、
行
(
や
)
る
點
(
とこ
)
まで
行
(
や
)
ツて
見
(
み
)
る、
我慢
(
がまん
)
で行ツて見る。
仍且
(
やツぱり
)
駄目
(
だめ
)
だ。
頭
(
てん
)
で
調子
(
てうし
)
が出て來ない。
揚句
(
あげく
)
に
草臥
(
くたび
)
れて了ツて、
悲観
(
ひくわん
)
の
嘆息
(
ためいき
)
だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
『
俺
(
おれ
)
の
用
(
よう
)
の
有
(
あ
)
るのが
見
(
み
)
えんのか。いや
過去
(
くわこ
)
は
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しますまい。』と
彼
(
かれ
)
は
調子
(
てうし
)
を一
段
(
だん
)
と
柔
(
やさ
)
しくしてアンドレイ、エヒミチに
向
(
むか
)
つて
云
(
い
)
ふ。『さあ
君
(
きみ
)
、
掛
(
か
)
け
給
(
たま
)
へ、さあ
何卒
(
どうか
)
。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
(劍に手を掛けて)
乃公
(
おれ
)
の
胡弓
(
こきう
)
は
此劍
(
これ
)
ぢゃ、
今
(
いま
)
に
足下
(
おぬし
)
を
踊
(
をど
)
らせて
見
(
み
)
せう。
畜生
(
ちくしゃう
)
、
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
す!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
聞人
(
きくひと
)
なげに
遠慮
(
ゑんりよ
)
なき
高聲
(
たかごゑ
)
、
福
(
ふく
)
も
相槌
(
あひづち
)
例
(
れい
)
の
調子
(
てうし
)
に、もう一ト
働
(
はたら
)
きやつて
除
(
の
)
けよう、
安
(
やす
)
さんは
下廻
(
したまは
)
りを
頼
(
たの
)
みます、
私
(
わたし
)
はも一
度
(
ど
)
此處
(
こゝ
)
を
拭
(
ふ
)
いて、
今度
(
こんど
)
はお
藏
(
くら
)
だとて、
雜巾
(
ぞうきん
)
がけしつ/\と
始
(
はじ
)
めれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
愈〻
(
いよ/\
)
平地
(
へいち
)
を
離
(
はな
)
れて
山路
(
やまぢ
)
にかゝると、これからが
初
(
はじ
)
まりと
言
(
い
)
つた
調子
(
てうし
)
で
張飛巡査
(
ちやうひじゆんさ
)
は
何處
(
どこ
)
からか
煙管
(
きせる
)
と
煙草入
(
たばこいれ
)
を
出
(
だ
)
したがマツチがない。
關羽
(
くわんう
)
も
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
ない。これを
見
(
み
)
た
義母
(
おつかさん
)
は
徐
(
おもむろ
)
に
袖
(
たもと
)
から
取出
(
とりだ
)
して
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
但馬守
(
たじまのかみ
)
もキッパリと
爽
(
さわや
)
かな
調子
(
てうし
)
で
問
(
と
)
うた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
幽
(
かす
)
かな、
銀
(
ぎん
)
の
調子
(
てうし
)
で
鳴
(
な
)
いてゐる。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
其時
(
そのとき
)
宗助
(
そうすけ
)
は
何時
(
いつ
)
もの
調子
(
てうし
)
で、
寧
(
むし
)
ろ
穩
(
おだ
)
やかに、
弟
(
おとうと
)
の
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いてゐたが、
聞
(
き
)
いてしまつた
後
(
あと
)
でも、
別
(
べつ
)
に
是
(
これ
)
といふ
眼立
(
めだ
)
つた
批評
(
ひひやう
)
は
加
(
くは
)
へなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
思
(
おも
)
ひながら、
絶
(
た
)
えず
拍子
(
ひやうし
)
にかゝつて、
伸縮
(
のびちゞみ
)
に
身體
(
からだ
)
の
調子
(
てうし
)
を
取
(
と
)
つて、
手
(
て
)
を
働
(
はたら
)
かす、
鋸
(
のこぎり
)
が
上下
(
じやうげ
)
して、
木屑
(
きくづ
)
がまた
溢
(
こぼ
)
れて
來
(
く
)
る。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼
(
かれ
)
は
只
(
たゞ
)
自分
(
じぶん
)
の
調子
(
てうし
)
に
乘
(
の
)
つて
噺
(
はなし
)
をしてくれることに
滿足
(
まんぞく
)
を
求
(
もと
)
めようとしたのみであつた。
然
(
しか
)
しそれは
悉
(
こと/″\
)
く
徒勞
(
むだ
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
何
(
なに
)
が
何
(
なん
)
だか
薩張
(
さつぱり
)
道理
(
わけ
)
が
解
(
わか
)
らず、『
長靴
(
ながぐつ
)
にもなれは
半靴
(
はんぐつ
)
にもなる!』と
不審
(
いぶか
)
しげな
調子
(
てうし
)
で
繰返
(
くりかへ
)
しました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
子供の時から
朝夕
(
あさゆふ
)
に母が
渡世
(
とせい
)
の
三味線
(
しやみせん
)
を
聴
(
き
)
くのが大好きで、習はずして自然に
絃
(
いと
)
の
調子
(
てうし
)
を覚え、町を
通
(
とほ
)
る
流行唄
(
はやりうた
)
なぞは一度
聴
(
き
)
けば
直
(
す
)
ぐに
記憶
(
きおく
)
する
位
(
くらゐ
)
であつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
SH
氏
(
し
)
はこのアンコールに
応
(
おう
)
じて、
再
(
ふたゝ
)
び
立
(
た
)
つて
行
(
い
)
つた。そして
前
(
まえ
)
よりも
安易
(
あんい
)
な
調子
(
てうし
)
で
謳
(
うた
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
『アンドレイ、エヒミチ
今日
(
けふ
)
は
何日
(
なんにち
)
です?』
其
(
それ
)
から
續
(
つゞ
)
いて、ハヾトフとブロンヂンのドクトルとは
下手
(
へた
)
なのを
感
(
かん
)
じてゐる
試驗官
(
しけんくわん
)
と
云
(
い
)
つたやうな
調子
(
てうし
)
で、
今日
(
けふ
)
は
何曜日
(
なにえうび
)
だとか
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
無駄
(
むだ
)
ばなしの
取
(
と
)
りやりに
調子
(
てうし
)
づいて
旦那
(
だんな
)
のお
商買
(
しようばい
)
を
當
(
あて
)
て
見
(
み
)
ませうかとお
高
(
たか
)
がいふ、
何分
(
なにぶん
)
願
(
ねが
)
ひますと
手
(
て
)
のひらを
差出
(
さしだ
)
せば、いゑ
夫
(
それ
)
には
及
(
およ
)
びませぬ
人相
(
にんさう
)
で
見
(
み
)
まするとて
如何
(
いか
)
にも
落
(
おち
)
つきたる
顏
(
かほ
)
つき
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
チッバ マーキューシオー、
足下
(
おぬし
)
は
平生
(
ふだん
)
あのロミオと
調子
(
てうし
)
を
合
(
あは
)
せて……
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ところが
去來
(
いざ
)
取懸
(
とりかか
)
ツて見ると、
些
(
ちつ
)
とも
豫期
(
よき
)
した
調子
(
てうし
)
が出て來ない。頭の中に描かれた作品と、
眼前
(
がんぜん
)
に描出される作品とは
鉛
(
なまり
)
と
鋼鉄
(
かうてつ
)
ほどの
相違
(
さうゐ
)
がある。周三は自分ながら自分の腕の
鈍
(
なまくら
)
なのに
呆返
(
あきれかへ
)
ツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
幽
(
かす
)
かな
昼
(
ひる
)
の
調子
(
てうし
)
で
鳴
(
な
)
いてゐる。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
だから、ふくろの
聲
(
こゑ
)
は、
話
(
はなし
)
に
聞
(
き
)
く
狼
(
おほかみ
)
がうなるのに
紛
(
まぎ
)
れよう。……みゝづくの
方
(
はう
)
は、
木精
(
こだま
)
が
戀
(
こひ
)
をする
調子
(
てうし
)
だと
思
(
おも
)
へば
可
(
い
)
い。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
パレスといふ
小岩
(
こいは
)
の
遊
(
あそ
)
び
場
(
ば
)
に
身
(
み
)
を
沈
(
しづ
)
めてゐた
頃
(
ころ
)
、
折々
(
をり/\
)
泊
(
とま
)
りに
来
(
き
)
た
客
(
きやく
)
なので、
調子
(
てうし
)
もおのづから
心
(
こゝろ
)
やすく
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
竹村
(
たけむら
)
はその
温順
(
おとな
)
しさと
寛容
(
くわんよう
)
なのに
面喰
(
めんくら
)
はされてしまつた。
彼女
(
かのぢよ
)
の
軟
(
やはら
)
かで
洗煉
(
せんれん
)
された
調子
(
てうし
)
から
受取
(
うけと
)
られる
感情
(
かんじやう
)
で
見
(
み
)
ると、しかし
其
(
そ
)
の
考
(
かんが
)
へ
方
(
かた
)
が、
極
(
きは
)
めて
自然
(
しぜん
)
に
見
(
み
)
えるのであつた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
調
常用漢字
小3
部首:⾔
15画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“調子”で始まる語句
調子外
調子高
調子合
調子附