)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
るとぞつとする。こけのある鉛色なまりいろ生物いきもののやうに、まへにそれがうごいてゐる。あゝつてしまひたい。此手このてさはつたところいまはしい。
みんなは、しずかになりました。そして、としちゃんは、まるまるとした鉛筆えんぴつにぎって、おかあさんの、おかおおもしているうちに
さびしいお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
といいながら、はちをつかんでげますと、したから人間にんげん姿すがたあらわれたので、びっくりして、はなしてげていってしまいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
庵主あんじゅさんは、よそゆきの茶色ちゃいろのけさをて、かねのまえにつと、にもっているちいさいかねをちーんとたたいて、おきょうみはじめた。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
おくさんのこゑにはもうなんとなくりがなかつた。そして、そのままひざに視線しせんおとすと、おもひ出したやうにまたはりうごかしはじめた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
さて、屋根やねうへ千人せんにんいへのまはりの土手どてうへ千人せんにんといふふう手分てわけして、てんからりて人々ひと/″\退しりぞけるはずであります。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
しなには與吉よきち惡戯いたづらをしたり、おつぎがいたいといつてゆびくはへてせれば與吉よきち自分じぶんくちあてるのがえるやうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たとへにも天生峠あまふたうげ蒼空あをぞらあめるといふひとはなしにも神代じんだいからそまれぬもりがあるといたのに、いままではあまがなさぎた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
を たたいて なった ほうは みぎと こたえても、ひだりと こたえても、りょうほうです、と こたえても いいでしょう。
一休さん (新字新仮名) / 五十公野清一(著)
「今日はそこに慈善音楽会があるんで、切符を二枚買わされたんだが、ほかに誰もがないから、ちょうどいい。君行きたまえ」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かたつかんで、ぐいとった。そので、かおさかさにでた八五ろうは、もう一おびって、藤吉とうきち枝折戸しおりどうちきずりんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
『おきぬさん!』とぼくおもはずげた。おきぬはにつこりわらつて、さつとかほあかめて、れいをした。ひとくるまとのあひだる/\とほざかつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
あるところにくせ のわる夫婦ふうふがありました。それでもどもがないので、一鸚鵡あふむどものやうに可愛かあいがつてをりました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ところがだん/\進歩しんぽするにしたがつて石塊いしころ多少たしよう細工さいくくはへ、にぎつてものこわすに便利べんりかたちにこしらへるようになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あいが抜けるだろうという心配は無用の心配で、米友は米友らしい一人芸で、客をうならすことができるものと認められます。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いまは疑いの余地もない。大将尊氏の胸にあるものは、そのからの敵軍を、不意に、真上まうえからち下ろすにあったにちがいない。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なにとなく薄淋うすさびしくなつたなみおもながめながら、むねかゞみくと、今度こんど航海かうかいはじめから、不運ふうんかみ我等われら跟尾つきまとつてつたやうだ。
面附つらつきこそはれよりもよけれ、脛附すねつきが十人並にんなみ以上いじゃうぢゃ、それからあしどうやはふがほどいが、ほかには、ま、るゐい。
わたし数人すうにん男女だんじよのR国人こくじん紹介せうかいされて、それらの人達ひとたち力強ちからつよと一/\握手あくしゆをした。しかしたれたれだかおぼえてもゐられなかつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
きん小鳥ことりのやうないたいけな姫君ひめぎみは、百日鬘ひやくにちかつら山賊さんぞくがふりかざしたやいばしたをあはせて、えいるこえにこの暇乞いとまごひをするのであつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
そのみゝもとでは、『をんな一つで』とか、『よくまああれだけにしあげたものだ』とかいふやうな、かすかな聲々こゑ/″\きこえるやうでもあつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そういう袖子そでことうさんはやもめで、中年ちゅうねんいにわかれたひとにあるように、おとこ一つでどうにかこうにか袖子そでこたちをおおきくしてきた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかしつまゆめのやうに、盜人ぬすびとをとられながら、やぶそとかうとすると、たちま顏色がんしよくうしなつたなり、すぎのおれをゆびさした。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
下品げひんの縮の事は姑舎しばらくおいろんぜず。中品ちゆうひん以上に用ふるをうむにはうむところをさだめおき、たいを正しくなし呼吸こきふにつれてはたらかせて為作わざをなす。
王樣わうさまその女王樣ぢよわうさまかひなにかけされられ、おそる/\まをされました、『かんがへても御覽ごらんなさい、え、たか一人ひとり子供こどもではないか!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのとき杜松ねずがザワザワとうごして、えだえだが、まるでってよろこんでいるように、いたり、はなれたり、しました。
どこから金を見つけて来たかと思うような堂々たる五階建のアパートなどが目の前にスックと立って、を見えなくした。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それからは、ちいさい字引じびきれて、自分じぶん一人ひとり英語えいご勉強べんきょうちからをそそぎました。けれども、おもうようにはすすみません。
ふねのはげしき動揺どうようにつれて、幾度いくたびとなくさるるわたくしからだ——それでもわたくしはその都度つどあがりて、あわせて、熱心ねっしんいのりつづけました。
「いかにもいささか会得してござる……俗称は天狗飛切りの術、武道における名称は、小太刀潜入飛燕術! これこそそれがしおくでござる」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
要吉ようきちは、東京のやまにある、あるさか水菓子屋みずがしや小僧こぞうさんです。要吉は、半年はんねんばかり前にいなかからでてきたのです。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
墓塲はかば掃除さうぢ男衆をとこしゆたすくるまではたらけば、和尚おしやうさま經濟けいざいより割出わりだしての御不憫ごふびんかゝり、としは二十からちがうてともなきことをんな心得こゝろゑながら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
有松氏の顔は名代の痘痕面あばたづらなので、その窪みに入り込んだ砂利は、おいそれととりばや穿ほじくり出す事が出来なかつたのだ。
性格も強くて傲慢ごうまんなほど自信があった人であろう。それだからこそ諸大名や武将を向うに廻して、彼らを手玉に取ったほどのであった。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
がすりのあはせに、あかおび竪矢たてや背中せなかうた侍女じぢよが、つぎつかへて、キッパリとみゝこゝろよ江戸言葉えどことばつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
お客にするように封建的ほうけんてきをして礼をいう。小初はそれをいじらしく思って木屑臭きくずくさい汗のにおい我慢がまんして踊ってやる。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
院長いんちょう片手かたて頬杖ほおづえきながら考込かんがえこんで、ただ機械的きかいてき質問しつもんけるのみである。代診だいしんのセルゲイ、セルゲイチが時々ときどきこすこすくちれる。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
大木は鉄瓶てつびんを呼んで、自分ずから茶を入れる、障子に日がかぎって、風も少し静かになった。大木はなおひそかに矢野のようすに注意している。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そうすると、あとに残った三人の男たちはに妾の頭と、胴と、足を抱えて、上の方へ担ぎ上げながら、黙りこくって階段を昇りはじめたの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
牡家鴨おあひるでさえなけりゃいいんだがねえ、そうすりゃ家鴨あひるたまごはいるというもんだ。まあ様子ようすててやろう。」
そこでさかずきかわして、つて、今日までもしずまつておいでになります。これらの歌は神語かむがたりと申す歌曲かきよくです。
不吉な蒸気の輪が、不具の身体と一緒に動いていって、そのが触れるところは、すぐその場で、毒のある何物かに変ってしまうだろうと思われた。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
見て赤川大膳は心中に驚き見透みすかされては一大事と氣をはげましいか山内やまのうち狂氣きやうきせしか上にたいし奉つり無禮の過言くわごんいで切捨きりすてんと立よりて刀のつかを掛るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどこれははじめで、そんなにいいものとはへない。だい一、ほんたかすぎる。それに童謠うただつて、まだほんとうにきみたちにかれないかもれない。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
真白いひらに紫色の葡萄の粒が重って乗っていたその美しさを僕は今でもはっきりと思い出すことが出来ます。
一房の葡萄 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ニールスは、まっすぐ造船所ぞうせんじょへいかないで、東のほうへいく通りにいそいでまがりました。ともかくこうして、からげてしまいたかったのです。
おゝこの集団しふだん姿すがたあらはすところ、中国ちうごく日本にほん圧制者あつせいしゃにぎり、犠牲ぎせいの××(1)は二十二しやうつちめた
さりながら人気じんき奴隷どれいとなるも畢竟ひつきやう俗物ぞくぶつ済度さいどといふ殊勝しゆしようらしきおくがあればあなが無用むようばゝるにあらず、かへつ中々なか/\大事だいじけつして等閑なほざりにしがたし。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
見てるとも知らず源八げんぱちもち取上とりあげ二ツにわつなかあん繰出くりだし、あんあんもちもち両方りやうはう積上つみあげまして、突然とつぜん懐中ふところ突込つツこしばらくムグ/\やつてたが
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)