いたゞき)” の例文
ると、太陽たいやうがキラ/\とかゞやいてひがしほうの、赤裸あかはだかやまいたゞきなゝめかすめて、一個いつこ大輕氣球だいけいききゆうかぜのまに/\此方こなたむかつてんでた。
さうしてはまたまばらな垣根かきねながみじかいによつてとほくのはやしこずゑえた山々やま/\いたゞきでゝる。さわやかなあきくしてからりと展開てんかいした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さるほどに、やままたやまのぼればみねます/\かさなり、いたゞき愈々いよ/\そびえて、見渡みわたせば、見渡みわたせば、此處こゝばかりもとを、ゆきふうずる光景ありさまかな。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おきなる島山しまやまいたゞき紫嵐しらんつゝまれ、天地てんちるとして清新せいしんたされてときはま寂寞じやくばくとしていつ人影じんえいなく、おだやかにせてはへすなみろう
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
にはを見ると、生垣いけがき要目かなめいたゞきに、まだ薄明うすあかるい日足ひあしがうろついてゐた。代助はそとのぞきながら、是から三十分のうちに行くさきめやうと考へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(かやをまじへ入れてかたちをつくる)此いたゞき大根注連だいこんしめといふものゝ左右に開たる扇をつけて飛鳥ひてうかたちを作りつける。
けたより桁にまたいたゞきあしとの間に諸〻の光動き、相會ふ時にも過ぐるときにもかれらは強くきらめけり 一〇九—一一一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さるからに、薄紅き蓮華の不尽の隈ぐまの澄み明りゆく立姿、いたゞきは更にもあかく、つや紅く光り出でたれ。よく見ればその空高く、かすかにも靡くものあり。
太陽たいやうが、ちやうど一本いつぽんのはんのきのいたゞきにかかつてゐましたので、そのこずゑはあやしくあをくひかり、まるで鹿しかむれおろしてぢつとつてゐるあをいいきもののやうにおもはれました。
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
初夏の陽はもう落ち尽して、たゞその余光が嶮しい連山のいたゞきを、その雪の峯を薄紫に照してゐた。眼の下の街々は僅かに全体の輪郭だけを残して、次第々々に灰色の空気につゝまれて行つた。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
太古たいこ日本家屋にほんかおくは、匠家せうかのいはゆる天地根元宮造てんちこんげんみやづくりしやうするもので無造作むざうさごろの合掌がつしやうしばつたのを地上ちじやうてならべ棟木むなぎもつてそのいたゞきわたし、くさもつ測面そくめんおほうたものであつた。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あれは塔のいたゞきの影のことと氣のついたのが山さ。
燈台のいたゞきには、気付かれず緑の光がともされる。
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
けんゑたるいたゞき
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
つるぎを植ゑしいたゞき
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
怪火あやしびうつる、大瀧おほだきゆきは、まへなる、ヅツンとおもい、おほきやまいたゞきから一雪崩ひとなだれにちてるやうにもえました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
したからのぞくと、さむたけあさ空氣くうきとざされてじつとしてゐるうしろから、しもやぶいろして、幾分いくぶんいたゞきめてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
(かやをまじへ入れてかたちをつくる)此いたゞき大根注連だいこんしめといふものゝ左右に開たる扇をつけて飛鳥ひてうかたちを作りつける。
この時いたゞきを打ちて彼、我をかく深く沈めしものはへつらひなりき、わが舌これに飽きしことなければなり 一二四—一二六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
さるからに、薄紅き蓮華の不尽の隈ぐまの澄み明りゆく立姿、いたゞきは更にもあかく、つや紅く光り出でたれ。よく見ればその空高く、かすかにも靡くものあり。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
鐵車てつしやが、いよ/\永久紀念塔えいきゆうきねんたふ深山しんざんいたゞきてんがめに、此處こゝ出發しゆつぱつするのは明朝めうてう午前ごぜん六時ろくじさだまつたが、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさは、海底戰鬪艇かいていせんとうてい運轉式うんてんしき間近まぢかせまつてるので
四方板塀で圍まれ隅に用水桶が置いてある、板塀の一方は見越みこしに夏蜜柑の木らしく暗く繁つたのが其いたゞきを出して居る、月の光はくつきりと地に印してせきとし人の氣勢けはひもない。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そびえたるいたゞきたか
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
つひくだんかめりて、もこ/\と天上てんじやうす。令史れいしあへうごかず、のぼること漂々へう/\として愈々いよ/\たかく、やがて、高山かうざんいたゞきいつ蔚然うつぜんたるはやしあひだいたる。こゝに翠帳すゐちやうあり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このほかわが喜曲コメディアの歌ふを好まざる事どもかたりつゝ、かく橋より橋にゆき、いたゞきにいたるにおよびて 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
くら便所べんじよからて、手水鉢てうづばちみづけながら、不圖ふとひさしそと見上みあげたときはじめてたけことおもした。みきいたゞきこまかなあつまつて、まる坊主頭ばうずあたまやうえる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この高山かうざんは、風景ふうけいきわめてうるはしく、吾等われらたつしたるいたゞきは、三方さんぽう巖石がんせき削立せうりつして、自然しぜん殿堂でんどうかたちをなし、かゝる紀念塔きねんたふつるには恰好かつこう地形ちけいだから、つひ此處こゝ鐵車てつしやとゞめた。
高山たかやまの雪ふかつもりてこほりたる上へなほ雪ふかくかさなり、時の気運きうんによりていまだこほらで沫々あわ/\しきが、山のいたゞきの大木につもりたる雪、風などの為に一塊ひとかたまえだよりおちしが山のそびえしたがひてまろくだ
これいたゞきかざりなり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
婦人をんな何時いつかもうこめしらてゝ、衣紋えもんみだれた、はしもほのゆる、ふくらかなむねらしてつた、はなたかくちむすんで恍惚うつとりうへいていたゞきあふいだが
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またかく抱きて疲るゝことなく、第四の堤より第五の堤に通ふ弓門アルコいたゞきまで我を載せ行き 一二七—一二九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
んなことかさなつてくうちに、何時いつにかちて仕舞しまつた。さうしてたかやまいたゞきが、あるあさ眞白まつしろえた。さらしの河原かはらしろくなつて、はしわたひとかげほそうごいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此石数百万をたて積重つみかさねて、此数十丈の絶壁ぜつへきをなす也。いたゞきは山につゞきて老樹らうじゆ欝然うつぜんたり、是右の方の竪御たておがうなり。左りは此石の寸尺にたがはざる石を横につみかさねて数十丈をなす事右に同じ。
いたゞき虚空こくうつらねて、ゆき白銀しろがねひかりはなつて、さへぎ樹立こだちかげもないのは、にし白山はくさんである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あゝ人力のさかえむなし、衰へる世の來るにあはずばそのいたゞきの縁いつまでか殘らむ 九一—九三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
此石数百万をたて積重つみかさねて、此数十丈の絶壁ぜつへきをなす也。いたゞきは山につゞきて老樹らうじゆ欝然うつぜんたり、是右の方の竪御たておがうなり。左りは此石の寸尺にたがはざる石を横につみかさねて数十丈をなす事右に同じ。
近江あふみくに山越やまごしに、づるまでには、なか河内かはち芽峠めたうげが、もつとちかきはまへに、春日野峠かすがのたうげひかへたれば、いたゞきくもまゆおほうて、みちのほど五あまり、武生たけふ宿しゆくいたころ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これにのぼるべきだんをも雪にて作り、いたゞき平坦たひらになし松竹を四すみに立、しめをはりわたす(広さは心にまかす)内には居るべきやうにむしろをしきならべ、小童等こどもらこゝにありて物をひなどしてあそ
ずゐ沈光ちんくわうあざな總持そうぢ煬帝やうだいつかへて天下第一てんかだいいち驍捷はやわざ達人たつじんたり。ていはじめ禪定寺ぜんぢやうじ建立こんりふするときはたつるに竿さをたか十餘丈じふよぢやうしかるに大風たいふうたちまおこりてはた曳綱ひきづないたゞきよりれてちぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いはほ牡丹ぼたんいたゞきをどること、あゐしろ紺青こんじやうと三とう獅子ししるゝがごときをるとせよ。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おなたかさにいたゞきならべて、遠近をちこちみねが、東雲しのゝめうごきはじめるかすみうへたゞよつて、水紅色ときいろ薄紫うすむらさき相累あひかさなり、浅黄あさぎ紺青こんじやう対向むかひあふ、かすかなかゆきかついで、明星みやうじやう余波なごりごと晃々きら/\かゞやくのがある。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四辺あたり寂寞ひつそりしてる……みねあたり、いたゞきさはつて、山々やま/\のためにれるのである。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
暴風雨あらしいくさもよほすならむ、その一團いちだんはやすで沿岸えんがんやまいたゞきたむろせり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むかぎしまたやますそで、いたゞきはう真暗まつくらだが、やまからその山腹さんぷくつきひかりらしされたあたりからは大石おほいし小石こいし栄螺さゞえのやうなの、六尺角しやくかく切出きりだしたの、つるぎのやうなのやらまりかたちをしたのやら
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
沈光ちんくわういたゞきよりひつくりかへりざまに梯子はしごひかへたるつなにぎり、中空なかぞらよりひとたび跳返はねかへりてけんふるふとへり。それ飛燕ひえん細身さいしんにしてよく掌中しやうちうふ、絶代ぜつだい佳人かじんたり。沈光ちんくわう男兒だんじのためにくものか。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふたゝふ、東向ひがしむかうに、そのくも日暮崎くれのさき御室みむろしようならんで半島はんたう真中まんなかところくもよりすべつてみづうみひた巌壁がんぺき一千ぢやういたゞきまつ紅日こうじつめ、夏霧なつぎりめてむらさきに、なか山肌やまはだつちあかく、みぎは密樹緑林みつじゆりよくりんかげこまやかに
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……欄干らんかんむねおさへて、故郷ふるさとそらともかぬ、はるかなやまいたゞきほそけむりくのをれば、あれがほのほかとおもひ、いしはしらもたれて、利鎌とがまつきときは、それもやいばかとおもつたんです。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)