-
トップ
>
-
沈光
これを
繋がんとするに
其の
大なる
旗竿を
倒さずしては
如何ともなし
難し。これを
倒さんは
不祥なりとて、
仰いで
評議區々なり。
沈光これを
見て
笑つて
曰く、
仔細なしと。
隋の
沈光字は
總持、
煬帝に
事へて
天下第一驍捷の
達人たり。
帝はじめ
禪定寺を
建立する
時、
幡を
立つるに
竿の
高さ
十餘丈。
然るに
大風忽ち
起りて
幡の
曳綱頂より
斷れて
落ちぬ。
沈光頂よりひつくりかへりざまに
梯子を
控へたる
綱を
握り、
中空より
一たび
跳返りて
劍を
揮ふと
云へり。それ
飛燕は
細身にしてよく
掌中に
舞ふ、
絶代の
佳人たり。
沈光は
男兒のために
氣を
吐くものか。