其他そのた)” の例文
恋には人間の真髄が動く、とか聴かされて、又感服した。其他そのたまだ種々いろいろ聴かされて一々感服したが、此様こんな事は皆愚言たわごとだ、世迷言よまいごとだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
二人ふたり呉服屋ごふくや反物たんものつてた。米屋こめやからこめつてつた。けれども其他そのたには一般いつぱん社會しやくわいところきはめてすくない人間にんげんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
不知庵主人フチアンシユジンやくりしつみばつたいする批評ひゝやう仲々なか/\さかんなりとはきゝけるが、病氣びやうき其他そのたことありて今日こんにちまでにたるはわづか四五種しごしゆのみ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
かゝるおそろしい現象げんしようはこれまでみぎのプレー噴火ふんか經驗けいけんせられたのみであつて、其他そのた火山かざんおいてはいまだかつて經驗けいけんされたことがない。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
その輕氣球けいきゝゆう飛揚ひやうして、だれか一二めい印度インドのコロンボ其他そのた大陸地方たいりくちほう都邑とゆうたつし、其處そこで、電光艇でんくわうていえうする十二しゆ藥液やくえき買整かひとゝの
路上の男女数名即死重軽傷——十数間を隔てた十字路を整理中の交通巡査も打倒されて人事不省——電柱其他そのた附近の店頭メチャメチャ——
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其他そのた阿片あへんにしろ大麻だいまにしろ何れも麻酔作用を有するものであつて、大麻のごときは古来印度の僧侶が「じやう」に入るときに用ひたものである。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
標本棚、外科器械棚などが如何にも贅沢ぜいたくに並び、其他そのた、人間が入れそうなタンクのような訳のわからぬ装置が二つも三つも置かれてあった。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
芋蟲いもむしうでんで其頂そのいたゞきにすわり、悠々いう/\なが水煙草みづたばこ煙管きせるふかしてゐて、あいちやんや其他そのたものにも一切いつさいをくれませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
又ベツクリン其他そのた独逸ドイツ近代の大家の作品はその理想主義と云ひその手法と云ひ自分には李太白の詩を読む心地で遠い世界へ引入れられる感がした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
川村にしても、高橋にしても、斎藤にしても、小野にしても、其他そのた十数人の、彼を支持する有力な子分は、皆組合の手に奪われてしまったのだ。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
其他そのたには、だい一のあなにもあるごとく、周圍しうゐ中央ちうわうとに、はゞ四五すんみぞ穿うがつてあるが、ごど床壇ゆかだんもうけてい。
いやわたくしらうとおもふのは、なんため貴方あなた解悟かいごだの、苦痛くつうだの、れにたいする輕蔑けいべつだの、其他そのたこといてみづか精通家せいつうかみとめておいでなのですか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
第四 長日ちやうじつあひだは、午後一時ごゞいちじころ半時計はんじばかり晝眠ひるねやしなひたすけとなることあれども、其他そのたけつして日中につちゆう睡臥すゐぐわきんこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
十四あさぼく支度したく匆々そこ/\宿やどした。銀座ぎんざ半襟はんえりかんざし其他そのたむすめよろこびさうなしなとゝのへて汽車きしやつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
お杉は南向みなみむきの縁側によこたえられた。市郎の人工呼吸其他そのたの応急手当が効を奏して、彼女かれは間もなく息を吹き返した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
此時このとき領主りゃうしゅ公爵こうしゃく多勢おほぜい從者じゅうしゃ引連ひきつれて出る。モンタギュー長者夫婦ちゃうじゃふうふ、カピューレット長者夫婦ちゃうじゃふうふ其他そのた多勢おほぜい出る。
其他そのた兇器に使われる様な品物は勿論もちろん、疑うべき何物をも見出すことは出来なかった。
夢遊病者の死 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
其他そのた裁判官さいばんくわんも有る、会社員も有る、鉄道の駅長も有る、なかには行方不明ゆくへふめいなのも有る、物故ぶつこしたのも有る、で、銘々めい/\げふちがふからしておのづから疎遠そゑんる、長い月日には四はうさんじてしまつて
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
はいよ/\うれしくてたまらず、川面かわづらは水も見えぬまで、端艇ボート其他そのたふねならびて漕開こぎひらき、まは有様ありさま屏風びやうぶに見たる屋島やしまだんうら合戦かつせんにもて勇ましゝ、大尉たいゐ大拍手だいはくしゆ大喝采だいかつさいあひだ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
其他そのたには薩摩琵琶歌さつまびはうただの漢詩朗吟らうぎんなぞも存在しているが、此れも同じく色彩の極めて単純な日本特有の背景と一致した場合、初歩期の単調が、ある粗朴そぼくな悲哀の美感をもよほさせるばかりである。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それより御國許おくにもと飛脚ひきやくとばして、御用ごようこれあり、諸役人しよやくにんども月番つきばんもの一名宛いちめいづゝ殘止のこりとゞまり、其他そのた恩田杢おんだもく同道どうだうにて急々きふ/\出府しゆつぷつかまつるべし、とめいたまひければ、こはそも如何いかなる大事だいじ出來できつらむと
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
... 八代目だいめだんらう市村羽左衛門いちむらうざゑもん怪談くわいだん沢村宗さはむらそうらう御殿女中ごでんぢよちう怪談くわいだん岩井半いはゐはんらう怪談くわいだん其他そのた聞いた事見た事を種々いろ/\集めてゐるんですが」とふと、是真翁ぜしんをうが「円朝ゑんてうさん、めう怪談くわいだん種子たねがある。 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其他そのた御尋ねに従い各位様の御嗜好に相叶あいかない候御料理色々御紹介可申上もうしあぐべく
(南路志其他そのた。高知県高岡郡黒岩村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なげき江戸表へ奉公に出でたることより憑司がせがれ昌次郎に金子騙取かたりとられしこと其他そのたありし始末しまつ委細申ければ公用人はとくと聞き終り如何にもうつたへの趣き道理の樣には聞ゆれ共片口かたぐちにては定め難し何れ主人へも申上べき間旅宿はたごやへ下り明朝まかり出よとお專與惣次は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とにかく初期微動繼續時間しよきびどうけいぞくじかんはじめとして、發震時はつしんじ其他そのたかんするあたひ計測けいそくし、これを器械觀測きかいかんそく結果けつか比較ひかくすることすこぶ興味きようみおほいことである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
日本娼婦の稼ぎ高はまつた抱主かゝへぬしと折半で、衣類を除いた外食物其他そのた一切の雑費は抱主かゝへぬしの負担であり、この外内地とちがつて纒頭てんとうの所得が多いと云ふ事だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その脊中せなか模樣もやう一組ひとくみ其他そのたのものとおなじことであつて、女王樣ぢよわうさまにはれが、園丁えんていか、兵士へいしか、朝臣てうしんか、また御自分ごじぶんのお子供衆こどもしゆうのお三方さんかたであつたかを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其他そのた利己心りこしんおほ人々ひと/″\覬覦きゆから、完全くわんぜんその秘密ひみつたもたんがめに、みづか此樣こん孤島はなれじましのばせて、その製造せいぞうをもきわめて内密ないみつにして次第しだいだが——。
此所こゝ先年せんねん幻翁げんおうが、香爐形こうろがた其他そのた大珍品だいちんぴんした遺跡ゐせきつゞきなので、如何いかにも有望ゆうぼうらしくかんがへられたのである。
万一これに一発のたまを与えたならば、熱病其他そのたの怖るべきたたりこうむって、一家は根絶ねだやしになると信じられている。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其他そのたには、よめさとがある會社員くわいしやゐんで、有福いうふく生計くらしをしてゐることと、その學校がくかう女學館ぢよがくくわんであるといふことと、兄弟きやうだい澤山たくさんあると事丈ことだけを、おなじく小六ころくつうじてみゝにした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
この少年せうねん數學すうがく勿論もちろん其他そのた學力がくりよく全校ぜんかう生徒中せいとちゆうだいりう以下いかであるが、天才てんさいいたつてはまつたならぶものがないので、わづかるゐさうかともはれるもの自分じぶんにん
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
讀者とくしやげんしんぜずば罪と罰にきて、さら其他そのた記事きじ精讀せいどくせられよ、おもけだなかばぎんか。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
三十七ねんげつ大雪おほゆきがいと、その七月しちぐわつ疫疾えきしつために、牛馬ぎうばそのなかばうしなひたるの災厄さいやくあり。其他そのた天災てんさい人害じんがい蝟集ゐしふきたり、損害そんがいかうむことおびたゞしく、こゝろなやましたることじつすくなからざるなり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
其頃の事をたれに聞いても、皆阿母おっかさんは能く辛抱なすったとばかりで、其他そのたに何も言わぬから、私の記憶に残る其時分の母は、何時迄いつまでっても矢張やっぱり手拭を姉様冠あねさまかぶりにして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
其他そのたの所員たちも多勢駈けつけたが、ミチ子ばかりはどうしたものか却々なかなか影をみせなかった。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
生來せいらい貴方あなた怠惰者なまけもので、嚴格げんかく人間にんげん其故それゆゑ貴方あなたんでも自分じぶん面倒めんだうでないやう、はたらかなくともむやうとばか心掛こゝろがけてゐる、事業じげふ代診だいしんや、其他そのたのやくざものにまか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
生きながら葬られるということは、かつて人類の運命に落ちきたった、これらの極端な不幸(バーソロミュウの大虐殺其他そのたの歴史上の戦慄すべき事件)の内で、うたがいなく最も恐しきものである。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
黙阿弥の劇中に見られるやうな毒婦は近松にも西鶴にも春水しゆんすゐにも見出みいだされない。馬琴ばきんに至つて初めて「船虫ふなむし」を発見し得るが、講談としては已に鬼神きじんまつ其他そのたに多くの類例を挙げ得るであらう。
虫干 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
いまではそんなたのしい、うつくしい、花園はなぞのがないかはり、まへ橋銭はしせん受取うけとざるいてある、このちいさなまどからふうがはりないぬしゝだの、奇躰きたいきのこだの、不思議ふしぎさるだの、まだ其他そのたひとかほをしたとりだの
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
夜番よばんものかふおつへい其他そのた多勢おほぜいパリスの侍童こわらは案内者あんないじゃにして出る。
其他そのたあらたに温泉おんせん冷泉れいせんはじめることもあり、また炭酸瓦斯たんさんがす其他そのた瓦斯がす土地とちからして、とり地獄じごくむし地獄じごくつくることもある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
東京のみちの様で無く、目まぐるしい程自動車や其他そのた雑多な車の行交ゆきか巴里パリイ大道だいだうたくみに縫つて自動車を駆る滋野君の手腕は感服すべき物であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大佐たいさばかりでない、快活くわいくわつなる武村兵曹たけむらへいそうも、其他そのた水兵等すいへいらも、電光艇でんくわうていより上陸じやうりくした一同いちどうは、こと/″\色蒼いろあほざめ、かうべれて、何事なにごとをかふかかんがへて樣子やうす
それからのこりの斷面貝層だんめんかひそう(一丈餘じやうよ)三ぱうくまなく見廻みまはつたが、何處どこに一ぺん土器破片どきはへん其他そのた見出みいださなかつた。
産婆さんばゆつくりふし、脱脂綿だつしめん其他そのた準備じゆんびこと/″\不足ふそくなくそろへてあつた。さん案外あんぐわいかるかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きよ!』女王樣ぢよわうさまするどおほきなこゑまをされました。三にん園丁等えんていらたゞちにき、王樣わうさまと、女王樣ぢちわうさまと、皇子方わうじがたと、それから其他そのたものとに、各々おの/\辭儀じぎをしはじめました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いまでは腹部截開ふくぶせつかいの百たびうちることは一度位どぐらゐなものである。梅毒ばいどく根治こんぢされる、其他そのた遺傳論ゐでんろん催眠術さいみんじゆつ、パステルや、コツホなどの發見はつけん衞生學ゑいせいがく統計學とうけいがくなどは奈何どうであらう……。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)