まつた)” の例文
日本にほん化物ばけもの貧弱ひんじやくなのにたいして、支那しなるとまつたことなる、支那しなはあのとほ尨大ぼうだいくにであつて、西にしには崑崙雪山こんろんせつざん諸峰しよぼう際涯はてしなくつらな
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
あいちやんはたゞちにれが扇子せんすつて所爲せいだとことつていそいで其扇子そのせんすてました、あだかちゞむのをまつたおそれるものゝごとく。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
小木せうぼくえだ諸共もろともたほして猛進まうしんするのであるから、如何いかなる險山けんざん深林しんりんくわいしても、まつた進行しんかう停止ていしせらるゝやうなうれひはないのである。
申さば父の越度をちどとなりまたいはずば吉三郎は殺さるべし兩方まつたきやうには何事もゆかざれども能々よく/\かんがへてこゝろしづかに双方さうはう無事になるやうの御答おこたへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「さうだ、まつたすね。わるくすると、明日あしたあめだぜ‥‥」と、わたしざまこたへた。河野かうのねむさうなやみなかにチラリとひかつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
まだまつたてないけむり便宜よすがに、あからめもしないでぢつときをんな二人ふたりそろつて、みはつて、よつツのをぱつちりとまたゝきした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すなは一時いちじ活動かつどうしたのちは、暫時ざんじ休息きゆうそくして、あるひ硫氣孔りゆうきこう状態じようたいとなり、あるひ噴氣孔ふんきこうとなり、あるひはそのような噴氣ふんきまつたくなくなることがある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
長吉ちやうきちまつたく絶望してしまつた。長吉ちやうきちは役者になりたい自分の主意しゆいとほすには、同情の深い小梅こうめ伯父をぢさんに頼るよりほかに道がない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
手拭てぬぐひひたたびちひさな手水盥てうずだらひみづつきまつたかげうしなつてしばらくすると手水盥てうずだらひ周圍しうゐからあつまやう段々だん/\つきかたちまとまつてえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
斯樣かやうに、墮落だらく方面はうめんをとくに誇張こちやうした冒險者アドヹンチユアラーあたまなかこしらあげ宗助そうすけは、その責任せきにん自身じしん一人ひとりまつたはなければならないやうがした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ヘイ、色々いろ/\介抱かいはういたしましたがきませぬ、此上このうへ如何いかゞいたしませう。殿「イヤ、まつた生体しやうたいなければさひはひぢやて、今度こんど解剖ふわけぢや。 ...
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
破片はへんでも報酬ほうしうあたへるとつたのに、破片はへんを、彼等かれらくす必用ひつよういのだから、まつた菱沼宅前ひしぬまたくまへからは、なになかつたのであらう。
然うしたら社會の人として、あるひ安楽あんらく生活せいくわつるかも知れない。しかし精神てきには、まつたんで了ツたのもおなじことなんだ!
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
げんへば、貴方あなた生活せいくわつふものをないのです、れをまつたらんのです。さうして實際じつさいことたゞ理論りろんうへからばかしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けれども……皷動こどうまつたしづまつて、ながれがもとのゆるやかさにかへつたころきはめてしづかにあゆつてるものびしさを
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
未明みめい食事をおはりて出立し又水流すいりうさかのぼる、無数の瀑布を経過けいくわして五千五百呎のたかきに至れば水流まつたき、源泉は岩罅かんこより混々こん/\として出できた
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
それでも感心かんしんなことには、畫板ぐわばんむかうと最早もはや志村しむらもいま/\しいやつなどおもこゝろえてはうまつたこゝろられてしまつた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたし人物じんぶつまつた想像さうざうはんしてたのにおどろいたとひます、甚麼どんなはんしてたか聞きたいものですが、ちと遠方ゑんぱうで今問合とひあはせるわけにもきません
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この有名な話をドンリヷルが僕等に語ると、ムネ・シユリイは微笑ほゝゑんで「うだ、まつたくタルマがボン、ジユウルと言つてうなづいた様に感ぜられた」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大久保おほくぼが、奈美子なみこうつくしいかみを、剃刀かみそりはさみでぢよき/\根元ねもとからまつたつてしまつたことは、大分だいぶたつてからつた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
僕の知人は震災の為めに何人もこの界隈かいわいたふれてゐる。僕の妻の親戚などは男女九人の家族中、やつと命をまつたうしたのは二十はたち前後の息子むすこだけだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鐡架てつきうの上の苦しみにへしロレンツォ、わが手につらかりしムツィオのごとく、彼等の意志まつたかりせば 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
此蹴綱に転機しかけあり、まつたつくりをはりてのち、穴にのぞんで玉蜀烟艸たうがらしたばこくきのるゐくまにくむ物をたき、しきりにあふぎけふりを穴に入るれば熊烟りにむせて大にいか
長順 幼き時ゆこがれたる、ほの珍らかにいと甘き、いとあえかにもなつかしき『不可思議』の目見まみは我胸よりまつたく消えうせ、のこれるは氷の如きくうの影。
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
枝折戸しをりどぢて、えんきよほどに、十時も過ぎて、往来わうらいまつたく絶へ、月は頭上にきたりぬ。一てい月影つきかげゆめよりもなり。
良夜 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
まつた不思議ふしぎことでございました。やまからとらつてかへつてまゐられたのでございます。そしてそのまゝ廊下らうか這入はひつて、とらぎんじてあるかれました。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
夏の明易あけやすかつた。両側に人家が続いたり、橋がかかつたりするあたりに来る頃には、もうまつた明放あけはなれて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
アメリカの資本家しほんか搾取さくしゆされるのも、日本にほん資本家しほんか搾取さくしゆされるのもおなじわけだが、日本にほん勞働者らうどうしやとしては、まつたく『おなじわけ』にかない心理しんりのこつてゐる。
なほらざるとき全身ぜんしん冷水れいすゐそゝぎてそのいたみまつたりしゆゑに、其後そのご頭痛づつうおこごと全身ぜんしん冷水灌漑れいすゐくわんがいおこなひしが、つひ習慣しふくわんとなり、寒中かんちゆうにも冷水灌漑れいすゐくわんがいゆるをたり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
結婚の前後を以て貞操を區劃し、結婚以前の不品行を寛假するのも道理のないことであり、結婚さへ續けて居れば貞操のまつたいものであるとすることも形式的な解釋です。
まつたくはわたし御飽おあきなされたので此樣こうもしたらてゆくか、彼樣あゝもしたら離縁りゑんをとすかといぢめていぢめていぢくので御座ござりましよ、御父樣おとつさん御母樣おつかさんわたし性分せうぶん御存ごぞん
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
美濃守殿みののかみどののことから、其方そち潔白けつぱくいて、ひどく感心かんしんしたのだつたな。まつた其方そち卑劣ひれつな、強慾がうよくな、恥知はぢしらずの人間にんげんばかりおほ土地とちで、めづらしい潔白けつぱく高尚かうしやう人間にんげんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
其金そのかね内地ないち金貨きんくわもつ支拂しはらつたのではない、したがつ内地ないち通貨つうくわらぬのであるが、しかしながら金解禁きんかいきんが一ぐわつ十一にち出來できのちには、以前いぜんとはまつたちがつた現象げんしやうるのは
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
本幹すでに倒れて、枝葉まつたからず、将門の弟の将頼と藤原玄茂とは其歳相模国でられ、興世王は上総へ行つて居たが左中弁将末に殺され、遂高玄明は常陸で殺されてしまひ
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それは宗教しうけう病院びやうゐんになんか、あなたをおれしたくなかつたんですけれど、せまつたことではあるし、經濟的けいざいてきにどうにもならなかつたもんですからね、まつた仕方しかたのないことでした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
これは家族的かぞくてきでありまして主義しゆぎまつた放任主義はうにんしゆぎしか放任主義はうにんしゆぎまをしてもけつして氣儘放題きまゝはうだいにしてくといふのではありません。放任主義はうにんしゆぎうちには自營獨立じえいどくりつ精神せいしんこもつてます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
紫色むらさきいろちいさいかたくりの花がくなんていふことをかんがへると、まつたくたまらない。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
思ふにゾロアスタル、釈迦シャカの如き文籍未だ備はらず考証未だまつたからざる、時代に属する人は之を置く、歴史以後の人、ソクラテスといへども、プレトーと雖、孔丘コウキウ老冉ロウゼン荘周サウシウと雖、之をイヱス
「二十年前に足を洗つた天狗小僧が、無事に天命をまつたうする積りで、娘の育つのを眺めて居たのは殊勝ぢやないか、——その娘の爲に、こんな事になつたのは考へて見ると可哀想でもあるよ」
それはたゞひとつの下顎骨かがくこつでありますが、このほねあご内側うちがは引込ひつこみ、今日こんにち人間にんげんとはよほどちがつてゐますけれども、類人猿るいじんえんとはまつた別種べつしゆであり、もはや人間にんげん仲間なかまであることはあきらかであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
小弟けふより出雲に下り、せめては一一七骨ををさめてしんまつたうせん。一一八きみ尊体おほんみを保ち給うて、しばらくのいとまを給ふべし。老母云ふ。吾がかしこに去るとも、はやく帰りて老が心を休めよ。
そこで死ぬと云ふことがない故、天命のまゝにして、天より授かりしまゝでかへすのぢや、少しもかはることがない。ちやうど、天と人と一體と云ふものにて、天命をまつたうしへたと云ふ譯なればなり。
遺教 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
アヌンチヤタはいづくにかきし。ベルナルドオなかりせば、彼人は不幸に陷らで止みしならん。否、彼人のみかは、我も或は生涯の願を遂げ、即興詩人の名を成して、偕老かいらうちぎりまつたうせしならんか。
夕方ゆふがただし、ほかに人間はゐないし、まつた
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「そだそだ、まつたぐだ。」
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
せつ戦後せんごくにまつたふす
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
まつたくその通り アハハ
女王樣ぢよわうさま論據ろんきようでした、何事なにごとにせよ、まつた時間じかんえうせずしてうせられなかつたなら、所有あらゆる周圍しうゐたれでもを死刑しけいしよする。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そんなわけ伊豆いづ山からかへつてくると、早速家の近くに通ひの球突塲たまつきばを見つけて、さすがに學校をまつたくエスするといふほどではなかつたが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「あゝ奇麗きれいになつた。うもつたあときたないものでね」と宗助そうすけまつた食卓しよくたく未練みれんのないかほをした。勝手かつてはうきよがしきりにわらつてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)