めづ)” の例文
そのうまがさ、わしべつうまめづらしうもないが、白痴殿ばかどの背後うしろかしこまつて手持不沙汰てもちぶさたぢやからいまいてかうとするとき椽側えんがはへひらりと
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
世間の双生児ふたごにはめづらしい一つの胞衣えなに包まれて居たのでしたよ、などとこんな話を口の中でした瑞樹みづきの顔をのぞかうとするのでしたが
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
サア、みな水兵ものどもた/\、大佐閣下たいさかくかのおかへりだよ、それに、めづらしい賓人おきやくさんと、可愛かあいらしい少年せうねんとが御坐ござつた、はや御挨拶ごあいさつまうせ/\。
かくれば重四郎はイヤ來たなとは思へども何喰なにくはぬ顏にて是は/\めづらしく御揃ひでよくこそ御入來かたじけなしと挨拶あいさつなすにやがて掃部は聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「それはめづらしい。滅多に逢へない事だ。僕もうちに居ればかつた。死骸はもう片付けたらうな。行つても見られないだらうな」
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『おまへかみらなくッては』帽子屋ばうしやしばらくのあひださもめづらしさうにあいちやんをながめてましたが、やがしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
横穴よこあななかでも格別かくべつめづらしい構造かうぞうではいが、ゆかみぞとがやゝ形式けいしきおいことなつてくらゐで、これ信仰しんかうするにいたつては、抱腹絶倒はうふくぜつたうせざるをない。
此故このゆゑ当世たうせい文学者ぶんがくしやくち俗物ぞくぶつ斥罵せきばする事すこぶはなはだしけれど、人気じんきまへ枉屈わうくつして其奴隷どれいとなるはすこしもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
屠蘇とそましながら、言葉ことばしづかにつてかした教訓けふくんけつしてめづらしいせつではなかつたのです。すこ理窟りくつならべるをとこならだれでもることなんでした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
成程美術家には若い女を裸體にして熟視じゆくしするといふ特權とくけんがあるから、何も其の裸體がめづらしいといふので無い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
がふほどをりやうとした但馬守たじまのかみは、めづらしく二三銚子てうしへたが、一かうふといふことをらなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
こぶしほどなるを三銭にうる、はじめは二三度賞味せしがのちには氷ともおもはざりき。およそ物のがたきはめづらしく、得易えやすきはめづらしからざるは人情にんじやうつねなり。
みなみ女房にようばう食鹽しよくえんの一にしてながらうらやましげにいつた。おつぎもめづらしさうにしてみなみ女房にようばうのぞいた。勘次かんじしろ食鹽しよくえんつめさきすこしとつてくちいれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そとのぞくと、うすぐらいプラットフォオムにも、今日けふめづらしく見送みおくりの人影ひとかげさへあとつて、ただをりれられた小犬こいぬが一ぴき時時ときどきかなしさうに、ててゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
めづらしく家内中うちゞうとのれになりけり、このともうれしがるは平常つねのこと、父母ちゝはゝなきのちたゞ一人の大切たいせつひとが、やまひのとこ見舞みまこともせで、物見遊山ものみゆさんあるくべきならず
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると誰かが外で、其處いらにはめづらしい新らしいを、見つけたといつて買つて來たのよ、買つてくる奴も奴ぢやねえか、一盃機嫌だから、御本堂も何もあるものか
佃のわたし (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
されどもすこぶる種々の有益なる材料ざいれうを得来りしは余の大に満足まんぞくとする所なり、動物にては鹿しかくまおほくして山中に跋扈ばつこし、猿、兎亦多し、蜘蛛類、蝨類のめづらしき種類あり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
女性行進曲ぢよせいかうしんきよく吹奏すゐそうしてゐることは、早呆はやぼけする日本につぽんをんなとしては、めづらしいひとである。
さうしてちながら、外國ぐわいこくや、露西亞ロシヤ新聞しんぶん雜誌ざつしいてあるめづらしいこと現今げんこん恁云かうい思想しさう潮流てうりうみとめられるとかとはなしすゝめたが、イワン、デミトリチはすこぶ注意ちゆういしていてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このいしずゑならかたて、そこにはどういふかたち御堂おどうつてゐたかゞられます。もちろんこの時分じぶんのおてら建築けんちくで、今日こんにちもなほむかしいしづゑうへつてゐるものも、たまにはめづらしくのこつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
月ほそくまだめづらなり有渡山うどやまの山の端あたり黄ばみそめつつ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
其上そのうへめづらかなるくまの皮を頂戴ちやうだいしましたよ、敷皮しきがはを。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
めづらしく、今日は
悲しき玩具 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
弦月丸げんげつまるには、めづらしく澤山たくさん黄金わうごん眞珠しんじゆとが搭載とうさいされてます、眞珠しんじゆ黄金わうごんとがおびたゞしく海上かいじやう集合あつまる屹度きつとおそたゝりがあります。
なんでも飛騨ひだゑん当時たうじかはつたこともめづらしいこともなかつたが、たゞ取出とりいでゝいふ不思議ふしぎは、医者いしやむすめで、うまれるとたまのやう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はなしをしてるのはだれか?』王樣わうさまあいちやんにちかづきながらまをされました、それから、さもめづらしさうにねこあたまておでになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
其時そのとき野々宮さんは廊下へりて、したから自分の部屋ののき見上みあげて、一寸ちよつと見給へ藁葺わらぶきだと云つた。成程めづらしく屋根に瓦をいてなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
大切になしくれ候事若き者にはめづらしくお前樣方も嫁を取るゝならば女郎がよろしきなどと今はかへつ自慢じまんなすほどなれば家内むつましく暮し居たりけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こぶしほどなるを三銭にうる、はじめは二三度賞味せしがのちには氷ともおもはざりき。およそ物のがたきはめづらしく、得易えやすきはめづらしからざるは人情にんじやうつねなり。
めづらしききやく馳走ちそう出來できねど好物かうぶつ今川燒いまがはやき里芋さといもころがしなど、澤山たくさんたべろよと言葉ことばうれし、苦勞くらうはかけまじとおもへど大晦日おほみそかせまりたるいゑ難義なんぎ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
段々だん/\たがひめづらしくなくなつてからはかれあまそとへもないで㷀然ぽつさりとしてきな煙草たばこにのみ屈託くつたくした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
入梅つゆになッてからは毎日まいにち雨降あめふりそれやつ昨日きのふあがツて、庭柘榴ざくろの花に今朝けさめづらしくあさひ紅々あか/\したとおもツたもつか午後ごゝになると、また灰色はいいろくもそら一面いちめんひろがり
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なにかにつけては美学びがく受売うけうりをして田舎者いなかものメレンスはあざやかだからで江戸ツ子の盲縞めくらじまはジミだからでないといふ滅法めつぱふ大議論だいぎろん近所きんじよ合壁がつぺきさわがす事少しもめづらしからず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
美濃守殿みののかみどののことから、其方そち潔白けつぱくいて、ひどく感心かんしんしたのだつたな。まつた其方そち卑劣ひれつな、強慾がうよくな、恥知はぢしらずの人間にんげんばかりおほ土地とちで、めづらしい潔白けつぱく高尚かうしやう人間にんげんだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あるくもつたふゆ日暮ひぐれである。わたくし横須賀發よこすかはつのぼり二とう客車きやくしやすみこしおろして、ぼんやり發車はつしやふえつてゐた。とうに電燈でんとうのついた客車きやくしやなかには、めづらしくわたくしほか一人ひとり乘客じようきやくはゐなかつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
親父おやぢといふは煙管パイプ旋盤細工ろくろざいくげふとして居るもので、とりく時から日のくれるまで旋盤ろくろまへうごいたことのない程の、ブリダアまちではめづらしい稼人かせぎにんであるから、兒童こどもところ承知しようちするはずもない。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
發掘品はつくつひんとしては三十六ねんぐわつ十九にちに、活東子くわつとうし方形裏模樣はうけいうらもやう土器どきし、望蜀生ぼうしよくせいが、どうぐわつ二十二にち壺形土器つぼがたどきし、玄川子げんせんし土偶どぐうあしと、第二圖だいにづニのごとき、めづらしく複雜ふくざつなる把手とつてし。
何卒どうぞわたくしなか生活せいくわつはなしてください、なにめづらしいことでもいですか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
土糞トオフイヌ掻きほけくらす人居りて春あたたかき夕光ゆふかげめづ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
めづらしくさしのぞ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
途中とちゆう事故じこがあつて、ちやく時間じかんめづらしく三十分程ぷんほどおくれたのを、宗助そうすけ過失くわしつでゞもあるかのやうに、待草臥まちくたびれた氣色けしきであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見付是はめづらしやと表へ呼出し向ふ横町の鰻屋うなぎやあがりて物語りけるに三吉はひざを進め扨々さて/\面目なき仕合しあはせなれども誠に此體なれば何卒なにとぞ少々の合力を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また、安永中あんえいちう続奥ぞくおく細道ほそみちには、——故将堂女体こしやうだうによたい甲胄かつちうたいしたる姿すがた、いとめづらし、ふるざうにて、彩色さいしきげて、下地したぢなる胡粉ごふんしろえたるは。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いてるとイヤハヤ無※ばかはなし! 西洋せいようでもいろ/\と縁起えんぎかたひとはあるが、この老女らうぢよのやうなのはまアめづらしからう。
家鴨あひるやドードてう、ローリーてう小鷲こわし其他そのほか種々いろ/\めづらしい動物どうぶつましたが、あいちやんの水先案内みづさきあんないで、みんたいしてのこらずきしおよぎつきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
これらは我家わがいへ氷柱つらゝにてめづらしからず、宮寺みやてらのつらゝは猶大なり、又山中のつらゝは里地さとちしがたし。
をりからすこあつくるしくとも半天はんてんのぬがれぬはづかしさ、らうめづらしくうれしきを、ゆめかとばかり辿たどられて、このがつあたつきとあるを、ひとにははれねどもゆびをるおも
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
陸稻をかぼめづらしいうち出來できるもんだわ、わりにやけねえが、そんでも開墾おこしたばかしにやくさねえから手間てまらねえしな、それに肥料こやしつちやなんぼもしねえんだから
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『ヤア、これはめづらしいところで』と景氣けいきよくこゑをかけてはひつものがある。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
めづらなるいとも可笑をかしきちやるめらのそと一節ひとふし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)