くらゐ)” の例文
(七)舜禹しゆんうあひだ(八)岳牧がくぼくみなすすむ。すなはこれ(九)くらゐこころみ、しよくつかさどらしむることすうねん(一〇)功用こうようすでおこり、しかのちまつりごとさづく。
すると其時そのとき夕刊ゆふかん紙面しめんちてゐた外光ぐわいくわうが、突然とつぜん電燈でんとうひかりかはつて、すりわる何欄なにらんかの活字くわつじ意外いぐわいくらゐあざやかわたくしまへうかんでた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
至極しごく上手の女にあらざれば此おはたやをたつる事なければ、婦女ふぢよらがこれをうらやむ事、比諭たとへ階下かいかにありて昇殿しようでんくらゐをうらやむがごとし。
ミハイル、アウエリヤヌヰチは一人ひとりして元氣可げんきよく、あさから晩迄ばんまでまちあそあるき、舊友きういうたづまはり、宿やどには數度すうどかへらぬつたくらゐ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たきくつがへすやうで小留をやみもなくうちながらみんな蓑笠みのかさしのいだくらゐ茅葺かやぶきつくろひをすることは扨置さておいて、おもてもあけられず、うちからうち隣同士となりどうし
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『もうないから、萬望どうぞはなして頂戴ちやうだいな』とあいちやんは謙遜けんそんして、『二くちれないわ。屹度きつとそんな井戸ゐどひとくらゐあつてよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
餘程よほど大火おほびかなければ、馬籠まごめにてたるごとあとのこすものでない。かまどとか、とか、それくらゐため出來できたのではおそらくあるまい。
なにたもありません、本船ほんせん左舷さげん後方こうほう海上かいじやうあたつて星火榴彈せいくわりうだん一次いちじ一發いつぱつ火箭くわせん、それが難破船なんぱせん信號しんがうであるくらゐりませんか。
こんなことくちにする宗助そうすけべつ不足ふそくらしいかほもしてゐなかつた。御米およねをつとはなあなくゞ烟草たばこけむながめるくらゐで、それをいてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
返事へんじいから二けましたがそれでも返事へんじいからじゆくではどうなつたことかと非常ひじやう心配しんぱいして責任せきにんつたものは一ねむらなかつたくらゐ
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
それは彼女が五つか六つくらゐのときであつたらうか、父は母や子供たちや女中までつれて、盆の十六日の晩に河原へ水花火を見物に出かけた。
父の帰宅 (新字旧仮名) / 小寺菊子(著)
なるほど、それぢやア、マアたいしたおねつぢやアないおみやくはうは。「みやくはうおほうございます、九でうから一でうでう出越でこくらゐな事で。 ...
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
よしくちしてはなからうともおまへおもことがあるくらゐめくら按摩あんまぐらせてもれたことかずともれてるが、れをばくのだ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むかしのまゝ練壁ねりかべ處々ところ/″\くづちて、かはら完全くわんぜんなのは見當みあたらくらゐそれに葛蔓かづらのぼつてますから、一見いつけん廢寺ふるでらかべるやうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
乳母 おゝ、辛度しんど! 暫時ちいとまァやすましてくだされ。あゝ/\、骨々ほね/″\いたうていたうて! ま、どのくらゐほッつきまはったことやら!
御承知の通り、猪子君も彼様あゝいふ弱い身体だから、始め一緒に信州を歩くと言出した時に、くらゐ我輩が止めたか知れない。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「むりに宮仕みやづかへをしろとおほせられるならば、わたしえてしまひませう。あなたのおくらゐをおもらひになるのをて、わたしぬだけでございます」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
ごろでは綿わたがすつかりれなくなつたので、まるめばこすゝけたまゝまれ保存ほぞんされてるのも絲屑いとくづぬの切端きれはしれてあるくらゐぎないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
にや輪王りんのうくらゐたかけれども七寶しつぱうつひに身に添はず、雨露うろを凌がぬのきの下にも圓頓ゑんどんの花は匂ふべく、眞如しんによの月は照らすべし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
東京邊とうきようへんおこ普通ふつう小地震しようぢしんは、大抵たいてい四十粁しじゆうきろめーとるくらゐふかさをもつてゐるから、かような地震ぢしんがわれ/\の直下ちよつかおこつても、初期微動繼續時間しよきびどうけいぞくじかんは五・三秒程びようほどになる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
子供の時から朝夕あさゆふに母が渡世とせい三味線しやみせんくのが大好きで、習はずして自然にいと調子てうしを覚え、町をとほ流行唄はやりうたなぞは一度けばぐに記憶きおくするくらゐであつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
まととお節もつゞいて立上り是非ともお願ひ申た上お聞入きゝいれのない時は御家老樣の御玄關げんくわんで其儘した喰切くひきりつゝ死して夫の身代みがはりにと云ば藤八打點頭うちうなづきオヽよく云た其くらゐ度胸どきよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
男は「男」を磨くことによつて、人間的な高さをほこり得るのである。女も亦「女」を磨くことによつてのみ、人間のくらゐがあがるのだといふことに気づかねばならぬ。
妻の日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
街道のそばに『官軍改修墓地』といふ木標もくひやうが立つてゐたが、風雨にさらされて字も読めぬくらゐに古びてゐた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
そしておたがひ東京とうきやうたことがほとんどおなじくらゐときで、彼女かれはうすこはやくらゐのものであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
をちのやなぎといふのも、はっきりと、何本なんぼんあるとも、どのくらゐ距離きよりにあるともいはれないで、まづほのかないろあひで、幾本いくほんならんでゐるといふかんじをおこさせるためなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
第五 坐時すわりてをる起時たちてをる平均みならして、七歩しちぶ三歩さんぶすわくらゐにして、すわるにのみすごからざること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
自分はそれを見た時、博士のやうな運命のためにだまうちに遭つたものが、念仏の声くらゐで成仏出来るものかと思つた。よしまた成仏出来るにしても博士は成仏すまいと思つた。
ヱヴェレストくらゐがなんだといふ顔付かほつきで、みんな馬鹿ばかにしたやうにつばをやたらにくのだつた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
ひたぶるに四二隔生即志きやくしやうそくまうして、四三仏果円満ぶつくわゑんまんくらゐに昇らせ給へと、こころをつくしていさめ奉る。
「どのくらゐ程度ていどであつたか、それを懺悔ざんげさしてやらう。」とかひない手段しゆだんめぐらしてた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
一伎あらはれ出でゝ、神がゝりの状になり、八幡大菩薩はちまんだいぼさつの使者と口走り、多勢の中で揚言して、八幡大菩薩、くらゐ蔭子いんし将門に授く、左大臣正二位菅原道真朝臣みちざねあそん之を奉ず、と云つた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
江戸えど町醫者まちいしや小田東叡をだとうえい安政あんせいねん十二ぐわつ出版しゆつぱん防火策圖解ばうくわさくづかい)なるものかかべすぢかひをれることを唱道しやうだうしたくらゐのことでそれ以前いぜんべつ耐震的工夫たいしんてきくふう提案ていあんされたことはかぬのである。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
こゝは湯気ゆげが一ぱいもつてゐて、にはか這入はひつてると、しかともの見定みさだめることも出來できくらゐである。その灰色はひいろなかおほきいかまどが三つあつて、どれにものこつたまき眞赤まつかえてゐる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
物價ぶつか關係くわんけいからればほとんど一てい不動ふどうのものとくらゐわづかのうごきとなる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
お房が周三のモデルになつて、彼の畫室ぐわしつのモデルだいに立つやうになツてから、もう五週間しうかんばかりになる。しか製作せいさく遲々ちゝとして一かう捗取はかどらぬ。辛面やツとかげとひなたが出來たくらゐのところである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
の雑誌も九号くがうまでは続きましたが、依様やはり十号からよくが出て、会員に頒布はんぷするくらゐでは面白おもしろくないから、あたひやすくしてさかん売出うりだして見やうとふので、今度こんどは四六ばい大形おほがたにして、十二ページでしたか
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
料理屋れうりや經營けいえいしたり、子供こども芝居しばゐしたり、大衆物たいしうものもかくし、現代物げんだいものもいゝし、戲曲ぎきよく將棋しやうぎ香合かうがふ女人藝術によじんげいじゆつ左傾さけい等々とう/\三上みかみ神出鬼沒しんしゆつきぼつが、辟易へきえきするくらゐに——世間語せけんごからいへば、わか
くらゐはがれしやらはれのやつれ姿か
きその日は (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
運河うんがの長さはどれくらゐあるんです
くらゐをつひにたり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
何しろ評判の渾名あだな通り、親指くらゐしかない男だから、蜘蛛と戦ふのも容易ではない。蜘蛛は足を拡げた儘、まつしぐらにトムへ殺到する。
LOS CAPRICHOS (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
けばくほど、へい、なんともひやうはねえ。けんども、お前様めえさま、おわけえに、くらゐことに、おとさつしやるもんでねえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
茶店ちやみせ老人夫婦らうじんふうふとは懇意こんいつて『旦那だんなまた石拾いしひろひですか。始終しじうえては、りますまい』とわらはれるくらゐにまでなつた。
政治上にせよ、経済上にせよ、向後かうご解決されべき諸問題はくらゐ彼等の前によこたはつてゐるか分らないとつてもい位である。
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勿論もちろん外形ぐわいけいあらはれてもなにいぶかしいてんはないが、すこしくわたくし異樣ゐやうおぼえたのは、さう噸數とんすう一千とんくらゐにしてはその構造かうざうあまりに堅固けんごらしいのと
まためんにはかれ立派りつぱ教育けういくけ、博學はくがく多識たしきで、んでもつてゐるとまちひとふてゐるくらゐ。で、かれまちきた字引じびきとせられてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それは勿論もちろん正氣せうきひとからはちがひとえるはづ自分じぶんながらすこくるつてるとおもくらゐなれど、ちがひだとてたねなしに間違まちがものでもなく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さいさい自分じぶん研究けんきうして熟考じゆくかうしてうへ愈々いよ/\わからねば其時そのときはじめて理由りいう説明せつめいしてかすくらゐにしてくのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
うさ、一つくらゐ!』と福鼠ふくねずみ焦心ぢれッたさうにつて、またはなつゞけました、『其故それゆゑ此等これらにん姉妹きやうだいは——みんなでえがくことをまなんでました——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)