同時どうじ)” の例文
(ロ)水源すいげん涵養かんよう。 森林しんりんはかように雨量うりよう調節ちようせつすることが出來できると同時どうじ一方いつぽうでは水源すいげんやしなひとなり、河水かすいれるのをふせぎます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
また同時どうじに、どうかそんなことがこらぬように、そして、おじさんも自分じぶんも、平和へいわはるたのしまれるようにと、いのったのでした。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
最早もはや最後さいごかとおもときに、鎭守ちんじゆやしろまへにあることに心着こゝろづいたのであります。同時どうじみねとがつたやうな眞白まつしろすぎ大木たいぼくました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
先棒さきぼううしろとのこえは、まさに一しょであった。駕籠かご地上ちじょうにおろされると同時どうじに、いけめんした右手みぎてたれは、さっとばかりにはねげられた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
と、同時どうじに、魔法まほうにかけられているじぶんの、ちっぽけな姿すがたを、この子どもたちに見られるくらい、まずいことはない、と思いました。
これと同時どうじにその論議ろんぎ具體化ぐたいくわした建築物けんちくぶつ實現じつげんさらのぞましいことである。假令たとひその成績せいせき多少たせう缺點けつてんみとめられてもそれ問題もんだいでない。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
勘次かんじ毎朝まいあさ方面はうめんことなつてるにもかゝはらず、同時どうじつてくのをなければこゝろまないのであつた。毎朝まいあささうするので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それと同時どうじ地震波ぢしんぱ地球内部ちきゆうないぶ方向ほうこうにも進行しんこうして反對はんたい方面ほうめんあらはれ、場合ばあひによつては地球ちきゆう表面ひようめん反射はんしやしてふたゝ方面ほうめんむかうのもある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
旋頭歌せどうかといふものに發達はつたつしてくと同時どうじに、片歌かたうた自身じしんが、短歌たんかつくげるように、次第しだいに、おんかずし、内容ないよう複雜ふくざつになつてゐました。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
ちてからるとすれば、此方こちらみとめられない便宜べんぎがあると同時どうじに、くらなかとほひとかほわからない不都合ふつがふがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
するともなくすさまじいおとをはためかせて、汽車きしや隧道トンネルへなだれこむと同時どうじに、小娘こむすめけようとした硝子戸ガラスどは、とうとうばたりとしたちた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ガラガラとガラスの破片はへんのとびちる音が気味悪きみわるくひびいた。同時どうじにくるいたったくまは一声ひとこえ高くうなると、自分を目がけてとびかかってきた。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
また松島まつしまでは、老母ろうぼ少女しようじよとがあはせてはうむつてありましたが、これはさだめし祖母そぼ孫娘まごむすめとが同時どうじ病死びようししたものをはうむつたものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
じつ神界しんかいから、あめらせるにいては、同時どうじかみなりほうせてやれとのおたっしがまいったのじゃ。それでいまその手筈てはずをしているところで……。
つぎ硯友社けんいうしやるにいて、第二の動機だうきとなつたのは、思案外史しあんがいし予備門よびもん同時どうじ入学生にふがくせい相識あいしつたのです、其頃そのころ石橋雨香いしばしうかうつてました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
小石こいしゆかうへつたときに、それがのこらずちひさな菓子くわしかはつたのをて、あいちやんは大層たいそうおどろきました、がまた同時どうじことかんがへつきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
... 貴樣達きさまたちつとるとほ中根なかねはあの行軍かうぐん途中とちうあやまつてかはちた‥‥」と、軍曹ぐんそうはジロりと中根なかねた。「クスつ‥‥」と、だれかが同時どうじした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
どなると同時どうじに、フイと、おどるようなからだつき——足を開き、腰を沈ませたかと思うと、抜きうちに左膳のどうへ!
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
自分じぶん學力がくりよく優等いうとうといふので自分じぶんくらす志村しむらくらすとを同時どうじにやるべく校長かうちやうから特別とくべつ處置しよちをせられるので自然しぜん志村しむら自分じぶん競爭者きやうさうしやとなつてた。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
そしてとうとう、おどりのさいちゅうに、コスモは力がつきてぱったりたおれてしまいました。同時どうじに、コスマのマンドリンも、ぷつりと糸が切れました。
活人形 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彈丸だんぐわんもの見事みごとその一羽いちはたをしたが、同時どうじ鳥群てうぐんは、吾等われら敵對てきたいいろがあるとつたからたまらない。
あのにぎつたほか、あのむねいだいたほかむねのあつたことを想像さうぞうして、心臓しんざう鼓動こどうも一とまり、呼吸いきふさがつたやうにおぼえた。同時どうじ色々いろ/\疑問ぎもんむねおこつた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
思ふに土偶製作者せいさくしやの意は頭巾の形を表はすと同時どうじに耳輪の存在そんざいをも併せ示さんとするにりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
二人ふたり同時どうじりよ一目ひとめた。それから二人ふたりかほ見合みあはせてはらそこからげてるやうな笑聲わらひごゑしたかとおもふと、一しよにがつて、くりやしてげた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
外國ぐわいこくから直接ちよくせつ日本にほん輸入ゆにふするものは一わりみなたかはなければならぬのである。同時どうじ外國ぐわいこくから直接ちよくせつ輸入ゆにふされるもの競爭品きやうさうひんあるひ類似るゐじ品物しなものみな大同小異だいどうせうい騰貴とうきするのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
じゅうぶん心得こころえている花前は、なんのもなくはね牛の乳をしぼってしまった。主人は安心あんしんすると同時どうじに、つくづく花前の容貌風采ようぼうふうさい注視ちゅうしして、一種の感じをきんじえなかった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
活東子くわつとうしが十ぐわつ卅一にち鐵鉢形てつはつがた小土器せうどき掘當ほりあてながら、あやまつてそれをつたので、破鐵鉢はてつばつ綽號あだなりなどしたが、それと同時どうじした把手附とつてつき小土器せうどきは、すこげてはるが珍形ちんけい
ねこはくすりをのませると同時どうじに、ひもでしばってげださぬようにしておいたんだ。
発見者はっけんしゃは、老人ろうじんうちのすぐとなりにんでいて、去年きょねんあたり開業かいぎょうした島本守しまもとまもるという医学士いがくしだつたが、島本医師しまもといしは、警察けいさつ事件じけん通報つうほうすると同時どうじに、大要たいようつぎのごとく、その前後ぜんご事情じじょうべた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
……のまだはなれないうちに、さしわたし一町いつちやうとははなれない中六番町なかろくばんちやうから黒煙くろけむりげたのがはじまりである。——同時どうじに、警鐘けいしよう亂打らんだした。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このとき、同時どうじに、それをすように、自分じぶんより、ずっと勇敢ゆうかんな、いきいきした、やはり、それも自分じぶんこころおもわれないようなこえ
その日から正直になった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれすぐ自分じぶんちか手拭てぬぐひかぶつたおつぎの姿すがたおもむろにうごいてるのをた。それ同時どうじひそか草履ざうりおと勘次かんじみゝひゞいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、同時どうじに、はげしく水の中にもりをっこみました。もりを引きあげたときには、みごとなウナギが突きささっていました。
これは結婚けつこん先立さきだつて、あたらしいいへてる、その新築しんちくむろ言葉ことばで、同時どうじに、新婚者しんこんしや幸福こうふくいの意味いみ言葉ことばなのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
同時どうじに、いままで世間せけんむかつて、積極的せききよくてき好意かうい親切しんせつ要求えうきうする勇氣ゆうきたなかつたかれは、突然とつぜんこの主人しゆじんまをいでつてすこ間誤まごつくくらゐおどろいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
イヤそれともすこちがう……。現界うつしよにおみやときには、同時どうじまたこちらの世界せかいにもおみやち、そなたとしてはこちらのおみやほうはいるのじゃ。
ふと、かがみのおもてからはなしたおせんのくちびるは、ちいさくほころびた。と同時どうじに、すりるように、からだ戸棚とだなまえ近寄ちかよった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けわしいがけ中腹ちゅうふくを走っている列車は、それと同時どうじすうしゃくの下にいわをかんでいる激流げきりゅうに、墜落ついらくするよりほかはない。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
それと同時どうじ津浪つなみともなふことが其特色そのとくしよくである。これにはんして局部性きよくぶせい大地震おほぢしん規模きぼ狹小きようしようであるが、おほ陸地りくちおこるがために震動しんどう性質せいしつ急激きゆうげきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかあぢなるものはおほくはまた同時どうじ營養えいやうにもよろしいので、ひと不知不識しらず/″\營養えいやうところてん配劑はいざい妙機めうぎがある。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『そんなら福鼠ふくねずみだ!』と彼等かれら二人ふたりさけんで、『きろ、福鼠ふくねずみ!』とひさま、同時どうじ兩方りやうはうからそれをつねりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しかもおなかたちをした土器どき同時どうじおほますところをますと、これらの土器どきは、今日こんにちのように工業的こうぎようてき製造せいぞうせられたものと想像そう/″\することが出來できます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そのうち、こちらの汽車はしだいにとまりかけて、一つ大きくゆれてまったくとまってしまいました。と同時どうじに、むこうの汽車もとまりました。あぶないところでした。
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それと同時どうじに、一旦いつたんいへかへつた櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさは、きんモールのひかり燦爛さんらんたる海軍大佐かいぐんたいさ盛裝せいさうで、一隊いつたい水兵すいへい指揮しきして、屏風岩べうぶいわしたなる秘密造船所ひみつざうせんじよなかへと進入すゝみいつた。
が、さうこたへながらもよるがそんなにけたかとおもふと同時どうじに、わたしねむたさは一さうくなつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
同時どうじ爲替相場かはせさうば調節てうせつ國際貸借こくさいたいしやく改善かいぜん此上このうへもない次第しだいかんがへる。まへべたごとく、金解禁きんかいきん日本内地にほんないちからてもさうであるが、海外かいぐわいかられば一そう大問題だいもんだいである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
背負揚しよいあげのうちに、何等なんら秘密ひみつがあらうとはおもはぬ。が、もしつたら如何どうする?とさけんだのも、おそら猜疑心さいぎしんであらう。わたしはそれをかんずると同時どうじに、めう可厭いやした。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その髮の毛が、一本ずゝけるのに從つて下人のこゝろからは、恐怖が少しづつ消えて行つた。さうして、それと同時どうじに、この老婆に對するはげしい憎惡ぞうをが、少しづゝ動いて來た。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
たく物置ものおきかつ自分じぶんもちあるいた畫板ゑばんつたのつけ、同時どうじ志村しむらのことをおもひだしたので、早速さつそくひといてると、おどろくまいことか、かれは十七のとし病死びやうししたとのことである。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
また一方いつぽうでは人口じんこう増加ぞうかにつれてこれまで食料しよくりようにしてゐたくさもだん/\りなくなり、それをおぎなふためにはたけをこしらへて、農作のうさくをする必要ひつようがおこるし、同時どうじにまた野獸やじゆう
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)