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ふる
ふりがな文庫
“
古
(
ふる
)” の例文
其處
(
そこ
)
へ
古
(
ふる
)
ちよツけた
能代
(
のしろ
)
の
膳
(
ぜん
)
。
碗
(
わん
)
の
塗
(
ぬり
)
も
嬰兒
(
あかんぼ
)
が
嘗
(
な
)
め
剥
(
は
)
がしたか、と
汚
(
きたな
)
らしいが、さすがに
味噌汁
(
みそしる
)
の
香
(
か
)
が、
芬
(
ぷん
)
とすき
腹
(
はら
)
をそゝつて
香
(
にほ
)
ふ。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ごんごろ
鐘
(
がね
)
もあの
爆弾
(
ばくだん
)
になるんだねえ。あの
古
(
ふる
)
ぼけた
鐘
(
かね
)
が、むくりむくりとした、ぴかぴかひかった、
新
(
あたら
)
しい
爆弾
(
ばくだん
)
になるんだね。」
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
勘次
(
かんじ
)
はそれでも
他
(
た
)
に
分別
(
ふんべつ
)
もないので
仕方
(
しかた
)
なしに
桑畑
(
くはばたけ
)
を
越
(
こえ
)
て
南
(
みなみ
)
へ
詑
(
わび
)
を
頼
(
たの
)
みに
行
(
い
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
古
(
ふる
)
い
菅笠
(
すげがさ
)
を
一寸
(
ちよつと
)
頭
(
あたま
)
へ
翳
(
かざ
)
して
首
(
くび
)
を
蹙
(
ちゞ
)
めて
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
現代
(
いまのよ
)
の
人達
(
ひとたち
)
から
頭脳
(
あたま
)
が
古
(
ふる
)
いと
思
(
おも
)
われるか
存
(
ぞん
)
じませぬが、
古
(
ふる
)
いにも、
新
(
あた
)
らしいにも、それがその
時代
(
じだい
)
の
女
(
おんな
)
の
道
(
みち
)
だったのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ぴらみっとや
古
(
ふる
)
い
墓
(
はか
)
から
出
(
で
)
たいろ/\の
寶物
(
ほうもつ
)
が
一
(
いつ
)
ぱいありまして、
今
(
いま
)
から
四五千年前
(
しごせんねんまへ
)
の
王樣
(
おうさま
)
のみいらも、そのまゝ
見
(
み
)
ることが
出來
(
でき
)
ます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
古
(
ふる
)
い/\
昔
(
むかし
)
は、この
一帶
(
いつたい
)
は
暖帶林
(
だんたいりん
)
の
上部
(
じようぶ
)
から
温帶林
(
おんたいりん
)
の
下部
(
かぶ
)
に
屬
(
ぞく
)
する
樹木
(
じゆもく
)
、すなはち
常緑
(
じようりよく
)
の
濶葉樹
(
かつようじゆ
)
や
落葉樹
(
らくようじゆ
)
でおほはれてゐたのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
殆
(
ほと
)
んど
立続
(
たてつづ
)
けに
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、
胡坐
(
あぐら
)
の
上
(
うえ
)
にかけた
古
(
ふる
)
い
浅黄
(
あさぎ
)
のきれをはずすと、
火口箱
(
ほぐちばこ
)
を
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せて、
鉄
(
てつ
)
の
長煙管
(
ながきせる
)
をぐつと
銜
(
くわ
)
えた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
切りて
迯行
(
にげゆき
)
候と申けるに奧田殿
扨々
(
さて/\
)
夫
(
それ
)
は
惜
(
をし
)
き事なり然らば切たる袖は後の證據とならん是へとて右の袖を見らるゝに
辨慶縞
(
べんけいじま
)
の
單物
(
ひとへもの
)
古
(
ふる
)
きを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
音色
(
ねいろ
)
は、さびしい
城跡
(
しろあと
)
に
立
(
た
)
っている
木々
(
きぎ
)
の
長
(
なが
)
い
眠
(
ねむ
)
りをばさましました。また、
古
(
ふる
)
い
木
(
き
)
に
巣
(
す
)
を
造
(
つく
)
っている
小鳥
(
ことり
)
をばびっくりさせました。
海のかなた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
細々
(
こま/″\
)
しい
臺所
(
だいどころ
)
道具
(
だうぐ
)
の
樣
(
やう
)
なものは
買
(
か
)
ふ
迄
(
まで
)
もあるまい、
古
(
ふる
)
いので
可
(
よ
)
ければと
云
(
い
)
ふので、
小人數
(
こにんず
)
に
必要
(
ひつえう
)
な
丈
(
だけ
)
一通
(
ひととほ
)
り
取
(
と
)
り
揃
(
そろ
)
えて
送
(
おく
)
つて
來
(
き
)
た。
其上
(
そのうへ
)
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
○新撰字鏡
魚
(
うを
)
の
部
(
ぶ
)
に鮭(
佐介
(
さけ
)
)とあり、和名抄には本字は
鮏
(
さけ
)
俗
(
ぞく
)
に
鮭
(
さけ
)
の字を用ふるは
非
(
ひ
)
也といへり。されば鮭の字を用ひしも
古
(
ふる
)
し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
もちろんこれは、
古
(
ふる
)
くからのいひ
傳
(
つた
)
へで、あなた
方
(
がた
)
が、
古代
(
こだい
)
と
考
(
かんが
)
へてゐられる
奈良朝
(
ならちよう
)
よりも、もつと/\
以前
(
いぜん
)
から、さう
信
(
しん
)
じてゐたのです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
抑
(
そもそ
)
も
此所
(
こゝ
)
千鳥窪
(
ちどりくぼ
)
が、
遺跡
(
ゐせき
)
として
認
(
みと
)
められたのは、
隨分
(
ずゐぶん
)
古
(
ふる
)
い
事
(
こと
)
で、
明治
(
めいぢ
)
二十一
年
(
ねん
)
の九
月
(
ぐわつ
)
には、
阿部正功
(
あべせいこう
)
若林勝邦
(
わかばやしかつくに
)
の二
氏
(
し
)
が
既
(
すで
)
に
發掘
(
はつくつ
)
をして
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
祖母
(
おばあ
)
さんがおよめに
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
の
古
(
ふる
)
い
長持
(
ながもち
)
から、お
前達
(
まへたち
)
の
祖父
(
おぢい
)
さんの
集
(
あつ
)
めた
澤山
(
たくさん
)
な
本箱
(
ほんばこ
)
まで、その
藏
(
くら
)
の二
階
(
かい
)
にしまつて
有
(
あ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
其れから
畳
(
たヽみ
)
の破れを新聞で張つた、
柱
(
はしら
)
の
歪
(
ゆが
)
んだ
居間
(
ゐま
)
を二つ
通
(
とほ
)
つて、横手の光琳の梅を書いた
古
(
ふる
)
ぼけた大きい
襖子
(
ふすま
)
を開けると十畳敷許の
内陣
(
ないぢん
)
の
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
一體
(
いつたい
)
家屋
(
かおく
)
が
新
(
あたら
)
しい
間
(
あひだ
)
は
柱
(
はしら
)
と
横木
(
よこぎ
)
との
間
(
あひだ
)
を
締
(
し
)
めつけてゐる
楔
(
くさび
)
が
能
(
よ
)
く
利
(
き
)
いてゐるけれども、それが
段々
(
だん/″\
)
古
(
ふる
)
くなつて
來
(
く
)
ると、
次第
(
しだい
)
に
緩
(
ゆる
)
みが
出
(
で
)
て
來
(
く
)
る。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
すれば、
當國
(
このくに
)
の
風習通
(
ならはしどほ
)
りに、
顏
(
かほ
)
は
故
(
わざ
)
と
隱
(
かく
)
さいで、
最
(
いっち
)
良
(
よ
)
い
晴衣
(
はれぎ
)
を
着
(
き
)
せ、
柩車
(
ひつぎぐるま
)
に
載
(
の
)
せて、カピューレット
家
(
け
)
代々
(
だい/\
)
の
古
(
ふる
)
い
廟舍
(
たまや
)
へ
送
(
おく
)
られさッしゃらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
小は
古
(
ふる
)
郵便券、マッチの貼紙の蒐集家まで、骨董畠が世界各国
都鄙
(
とひ
)
到るところに開かれて存在しているようになっている。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あたしは
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼ
)
りの
紐
(
ひも
)
を首の
後
(
うしろ
)
でチョキンと結んで、
緋金巾
(
ひかなきん
)
の腹がけ(金巾は珍らしかったものと見える)、
祖母
(
おばあ
)
さんのお
古
(
ふる
)
の、
絽
(
ろ
)
の小紋の
旧聞日本橋:02 町の構成
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その
頂上
(
てうじやう
)
には
古
(
ふる
)
い
昔
(
むかし
)
から、
大理石
(
だいりせき
)
のやうに
硬
(
かた
)
くて
真白
(
ましろ
)
な
雪
(
ゆき
)
が
凍
(
こほ
)
りついてゐて、
壁
(
かべ
)
のやうにそゝり
立
(
た
)
つ、そこまで、まだ
誰一人
(
だれひとり
)
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
つた
者
(
もの
)
がない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
馬鹿らしい
独言
(
ひとりごと
)
を云って机の上に
散
(
ち
)
らばった
原稿紙
(
かみ
)
や
古
(
ふる
)
ペンをながめて、誰か人が来て今の此の私の気持を
仕末
(
しまつ
)
をつけて呉れたらよかろうと思う。
秋風
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
其日
(
そのひ
)
はそれで
別
(
わか
)
れ、
其後
(
そのご
)
は
互
(
たがひ
)
に
誘
(
さそ
)
ひ
合
(
あ
)
つて
釣
(
つり
)
に
出掛
(
でかけ
)
て
居
(
ゐ
)
たが、ボズさんの
家
(
うち
)
は一
室
(
ま
)
しかない
古
(
ふる
)
い
茅屋
(
わらや
)
で
其處
(
そこ
)
へ
獨
(
ひとり
)
でわびしげに
住
(
す
)
んで
居
(
ゐ
)
たのである。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
『剣をつっていた帯のお
古
(
ふる
)
ですか!』と、その娘は首をしゃくって叫びました。『それじゃ、あたし欲しかあないわ!』
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
一一四
刀自
(
とじ
)
の君の病み給ふもいとことわりなるものを。そも
一一五
古
(
ふる
)
人は何人にて、家は
何地
(
いづち
)
に住ませ給ふや。女いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
記録
(
きろく
)
に
現
(
あら
)
はれたものも
殆
(
ほとん
)
ど
無
(
な
)
く、
弘仁年間
(
こうにんねんかん
)
に
藥師寺
(
やくしじ
)
の
僧
(
そう
)
景戒
(
けいかい
)
が
著
(
あらは
)
した「
日本靈異記
(
にほんれいいき
)
」が
最
(
もつと
)
も
古
(
ふる
)
いものであらう。
今昔物語
(
こんじやくものがたり
)
にも
往々
(
わう/\
)
化物談
(
ばけものだん
)
が
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
ズル/\ツと
扱出
(
こきだ
)
したは
御納戸
(
おなんど
)
だか
紫
(
むらさき
)
だか
色気
(
いろけ
)
も
分
(
わか
)
らぬ
様
(
やう
)
になつた
古
(
ふる
)
い
胴巻
(
どうまき
)
やうな
物
(
もの
)
を
取出
(
とりだ
)
しクツ/\と
扱
(
こ
)
くと
中
(
なか
)
から
反古紙
(
ほごがみ
)
に
包
(
つつ
)
んだ
塊
(
かたまり
)
が
出
(
で
)
ました。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
古
(
ふる
)
いも
新
(
あた
)
らしいも、
愚老
(
ぐらう
)
は
洒落
(
しやれ
)
なんぞを
申
(
まを
)
すことは
嫌
(
きら
)
ひでございます。
江戸
(
えど
)
つ
子
(
こ
)
のよくやります、
洒落
(
しやれ
)
とかいふ
言葉
(
ことば
)
の
戲
(
ざ
)
れ
遊
(
あそ
)
びは、
厭
(
いや
)
でございます。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
摂津
(
せっつ
)
の
大阪
(
おおさか
)
にある
四天王寺
(
してんのうじ
)
、
大和
(
やまと
)
の
奈良
(
なら
)
に
近
(
ちか
)
い
法隆寺
(
ほうりゅうじ
)
などは、みな
太子
(
たいし
)
のお
建
(
た
)
てになった
古
(
ふる
)
い
古
(
ふる
)
いお
寺
(
てら
)
でございます。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
昼寐
(
ひるね
)
の
夜具
(
やぐ
)
を
敷
(
し
)
きながら
墓地
(
ぼち
)
の
方
(
はう
)
を
見下
(
みおろ
)
すと、いつも
落葉
(
おちば
)
に
埋
(
うづも
)
れたまゝ
打棄
(
うちす
)
てゝある
古
(
ふる
)
びた
墓
(
はか
)
も
今日
(
けふ
)
は
奇麗
(
きれい
)
に
掃除
(
さうぢ
)
されて、
花
(
はな
)
や
線香
(
せんかう
)
が
供
(
そな
)
へられてゐる。
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
「
刈谷音吉
(
かりやおときち
)
は、
最近
(
さいきん
)
のことだが、だいぶたくさんに
金塊
(
きんかい
)
を
買
(
か
)
いこんでいたそうですよ。
古
(
ふる
)
い
小判
(
こばん
)
などもあるそうで、これは
地金屋
(
ぢがねや
)
からの
聞込
(
ききこ
)
みですが」
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
お庄は
古
(
ふる
)
こびれたようなその顔を横から見ながら、時々
傍
(
わき
)
を向いて何やら思い出し笑いをしていた。するうちに叔母に
睨
(
にら
)
まれて奥の方へ逃げ込んで行った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
こうして、この
古
(
ふる
)
ぼけた小舟が、湖の上でゆられているうちに、小舟のあちこちにある
裂
(
さ
)
けめがだんだん大きくなって、水がますますしみこんできました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
頃日
(
けいじつ
)
偶
(
たまたま
)
書林の店頭に、数冊の
古
(
ふる
)
雑誌を見る。題して
紅潮社
(
こうていしや
)
発兌
(
はつだ
)
紅潮第何号と云ふ。知らずや、漢語に紅潮と云ふは女子の月経に
外
(
ほか
)
ならざるを。(四月十六日)
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
部屋
(
へや
)
がだいなしになっている。わらくずがちらかり、
古
(
ふる
)
トランクがなげだされ、
空籠
(
あきかご
)
がほうりだされてある。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
大祝賀會
(
だいしゆくがくわい
)
を
催
(
もよう
)
すとの
事
(
こと
)
、
其
(
その
)
仕度
(
したく
)
に
帆木綿
(
ほもめん
)
や、
檣
(
ほばしら
)
の
古
(
ふる
)
いのや、
倚子
(
いす
)
や、テーブルを
擔
(
かつ
)
ぎ
出
(
だ
)
して、
大騷
(
おほさわ
)
ぎの
最中
(
さいちう
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
古
(
ふる
)
カードや、ワックスの鑵や、こわれた八
角
(
かく
)
手風琴
(
てふうきん
)
や、
兎耳
(
うさぎみみ
)
や、ちぎれたノルウェー・バンドの切れっぱしは、みなひとまとめにして戸棚のなかに押し込まれ
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三田の
文科
(
ぶんくわ
)
生になつてからは、さすがに
寫眞熱
(
しやしんねつ
)
もさめてしまつたが、
旅
(
りよ
)
行の時だけは、もう
可
(
か
)
なり
古
(
ふる
)
びた上に
舊式
(
きうしき
)
になつたその
寫眞器
(
しやしんき
)
を相
變
(
かは
)
らず
伴侶
(
はんりよ
)
にしてゐた。
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
古
(
ふる
)
い
名
(
な
)
を
持
(
も
)
つ
草津
(
くさつ
)
に
隱
(
かく
)
れて、
冬籠
(
ふゆごも
)
る
身
(
み
)
にも、
遙々
(
はる/″\
)
と
高原
(
かうげん
)
の
雪
(
ゆき
)
を
分
(
わ
)
けて、うらゝかな
日
(
ひ
)
は
照
(
て
)
つてゐる。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
その
中
(
なか
)
でも
殊
(
こと
)
に
日当
(
ひあた
)
りのいい
場所
(
ばしょ
)
に、
川
(
かわ
)
近
(
ちか
)
く、
気持
(
きもち
)
のいい
古
(
ふる
)
い
百姓家
(
ひゃくしょうや
)
が
立
(
た
)
っていました。そしてその
家
(
いえ
)
からずっと
水際
(
みずぎわ
)
の
辺
(
あた
)
りまで、
大
(
おお
)
きな
牛蒡
(
ごぼう
)
の
葉
(
は
)
が
茂
(
しげ
)
っているのです。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
「いまさら、将門謀叛などと、上訴に及ぶも、
事
(
こと
)
古
(
ふる
)
しです。事態は、そんなどころか、もう天下の大乱で、駿河以東には、朝廷も中央の命もあったものではありません」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
病犬は、そこにころがっている
古
(
ふる
)
材木の下にこごまって、苦しそうに腹でいきをしていました。
やどなし犬
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
チャンと自分に説を
極
(
き
)
めてあるから、男女夜行くときは
灯
(
ともしび
)
を照らすとか、物を受授するに手より手にせずとか、アンな
古
(
ふる
)
めかしい教訓は、私の眼から見ると
唯
(
ただ
)
可笑
(
おか
)
しいばかり。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
其
(
そ
)
れは
彼
(
かれ
)
が
古
(
ふる
)
くから
病院
(
びやうゐん
)
にゐる
爲
(
ため
)
か、
町
(
まち
)
で
子供等
(
こどもら
)
や、
犬
(
いぬ
)
に
圍
(
かこ
)
まれてゐても、
决
(
けつ
)
して
他
(
た
)
に
何等
(
なんら
)
の
害
(
がい
)
をも
加
(
くは
)
へぬと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
町
(
まち
)
の
人
(
ひと
)
に
知
(
し
)
られてゐる
爲
(
ため
)
か、
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
、
彼
(
かれ
)
は
町
(
まち
)
の
名物男
(
めいぶつをとこ
)
として
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
その風流男の前に立って恥じらう風情もなしに心易げに物をいう
女子
(
おなご
)
は、人間の色も恋もとうに忘れ果てた
古
(
ふる
)
女房か、但しは色も風情も彼に劣らぬという自信をもった
風流乙女
(
みやびおとめ
)
か
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
尤も肖古王を近肖古王に對して古肖古王といつたとすれば、滿洲でも
古
(
ふる
)
をフオと申しますから、古關は古肖古王だとして、一つの王として手數がかゝらぬ片付方をしてもよいのです。
近畿地方に於ける神社
(旧字旧仮名)
/
内藤湖南
(著)
受身
(
うけみ
)
の立場からいうたら、
目上
(
めうえ
)
の人から受けた
恩
(
おん
)
よりも、
目下
(
めした
)
の者から受けた
恩
(
おん
)
のほうが大きいこともある。自分の
君公
(
くんこう
)
からお
古
(
ふる
)
の
裃
(
かみしも
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
するのは、昔では非常の
恩誼
(
おんぎ
)
とみなした。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
そして
自分
(
じぶん
)
の
部屋
(
へや
)
に
入
(
はひ
)
ると、
古
(
ふる
)
びた
青
(
あを
)
いビロードの
椅子
(
いす
)
に
腰
(
こし
)
をおろして、その
膝
(
ひざ
)
をもんだり、
痛
(
いた
)
さをこらへて
少
(
すこ
)
しでも
折
(
を
)
り
曲
(
ま
)
げやうとしたり、または
罨法
(
あんはふ
)
してそつとのばしたり
等
(
など
)
した。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
粕谷八幡はさして
古
(
ふる
)
くもないので、大木と云う程の大木は無い。御神木と云うのは
梢
(
うら
)
の
枯
(
か
)
れた杉の木で、此は
社
(
やしろ
)
の
背
(
うしろ
)
で高処だけに諸方から
目標
(
めじるし
)
になる。烏がよく其枯れた
木末
(
こずえ
)
にとまる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
長崎のいにし
古
(
ふる
)
ごと
明
(
あき
)
らむる君ぞたふときあはれたふとき(古賀十二郎翁に)
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
曲げてまがらぬ柳に受けるもやや
古
(
ふる
)
なれどどうも言われぬ取廻しに俊雄は成仏延引し父が奥殿深く秘めおいたる
虎
(
とら
)
の子をぽつりぽつり
背負
(
しょ
)
って出て皆この
真葛原下
(
まくずはらした
)
這
(
は
)
いありくのら猫の児へ
割歩
(
わりぶ
)
を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“古”を含む語句
古家
中古
古人
往古
古本屋
反古
太古
古代
古木
古城
古昔
古井
古瓦
古婆
稽古
蒙古
古渡
古市
古文書
古典
...