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血
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ち
ふりがな文庫
“
血
(
ち
)” の例文
ぼくは
運
(
うん
)
がよかったよ。こん夜は
泊
(
と
)
めてもらいたいね。ひさしぶりにゆっくり
眠
(
ねむ
)
りたいんだ。ベッドを
血
(
ち
)
でよごしてすまなかったね。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「もう
何時
(
なんじ
)
」と
云
(
い
)
ひながら、
枕元
(
まくらもと
)
の
宗助
(
そうすけ
)
を
見上
(
みあ
)
げた。
宵
(
よひ
)
とは
違
(
ちが
)
つて
頬
(
ほゝ
)
から
血
(
ち
)
が
退
(
ひ
)
いて、
洋燈
(
らんぷ
)
に
照
(
て
)
らされた
所
(
ところ
)
が、ことに
蒼白
(
あをじろ
)
く
映
(
うつ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
カピ長 やゝ、これは! おゝ、
我妻
(
わがつま
)
よ、あれ、
見
(
み
)
さしませ、
愛女
(
むすめ
)
の
體内
(
みうち
)
から
血
(
ち
)
が
流
(
なが
)
るゝ! えゝ、
此
(
この
)
劍
(
けん
)
は
住家
(
すみか
)
をば
間違
(
まちが
)
へをったわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
だが、般若丸の名刀が、
鞘
(
さや
)
を
脱
(
だっ
)
しようとしたしゅんかんに、はッと気がついたのは(
血
(
ち
)
を見るなかれ)という
御岳
(
みたけ
)
三日
(
みっか
)
の
神誓
(
ちかい
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女
(
かのじょ
)
は、
小指
(
こゆび
)
を
切
(
き
)
りました。そして、
赤
(
あか
)
い
血
(
ち
)
を、サフラン
酒
(
しゅ
)
のびんの
中
(
なか
)
に
滴
(
た
)
らしました。ちょうど、
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
は、いい
月夜
(
つきよ
)
でありました。
砂漠の町とサフラン酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
爭
(
あらそ
)
ひ
將棋
(
せうき
)
に
敗
(
やぶ
)
れて
血
(
ち
)
を
吐
(
は
)
いて死ぬなどは一
種
(
しゆ
)
の
悲壯
(
ひそう
)
美を
感
(
かん
)
じさせるが、
迂濶
(
うくわつ
)
に死ぬ事も出來ないであらう
現
(
げん
)
代の
專
(
せん
)
門
棋士
(
きし
)
は平
凡
(
ぼん
)
に
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
どうも
危
(
あぶな
)
いので、
思
(
おも
)
ふやうに
動
(
うご
)
かせませなんだが、それでもだいぶ
創
(
きず
)
が
附
(
つ
)
きましたやうで、
鏡
(
かゞみ
)
は
見
(
み
)
ませんが、
血
(
ち
)
が
浸染
(
にじ
)
んで
居
(
を
)
りますか。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
小賊
(
せいぞく
)
肯
(
き
)
かずして、
則
(
すなは
)
ち
刀
(
かたな
)
を
執
(
と
)
つて
其
(
そ
)
の
指
(
ゆび
)
を
切
(
き
)
つて
珠
(
たま
)
を
盜
(
ぬす
)
むや、
指
(
ゆび
)
より
紅
(
くれなゐ
)
の
血
(
ち
)
衝
(
つ
)
と
絲
(
いと
)
の
如
(
ごと
)
く
迸
(
ほとばし
)
りぬ。
頭領
(
とうりやう
)
面
(
おもて
)
を
背
(
そむ
)
けて
曰
(
いは
)
く、
於戲痛哉
(
あゝいたましいかな
)
。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
またその
身體
(
からだ
)
には
蘿
(
こけ
)
だの
檜
(
ひのき
)
・杉の類が生え、その長さは
谷
(
たに
)
八
(
や
)
つ
峰
(
みね
)
八
(
や
)
つをわたつて、その腹を見ればいつも
血
(
ち
)
が垂れて
爛
(
ただ
)
れております
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
打
(
うち
)
ければ
額
(
ひたひ
)
より
血
(
ち
)
流
(
なが
)
れけるに四郎右衞門今は
堪忍
(
かんにん
)
成難
(
なりがた
)
しと思へども其身
病勞
(
やみつかれ
)
て居るゆゑ
何共
(
なにとも
)
詮方
(
せんかた
)
なく無念を堪へ
寥々
(
すご/\
)
とこそ歸りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
職業漁師でも遊釣人でも、鯛といえば、
真鯛
(
まだい
)
を指すのが常識である。真鯛に色、形ともによく似ているのに
血
(
ち
)
鯛と黄鯛とがある。
鯛釣り素人咄
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
は
頼光
(
らいこう
)
たちが
悪
(
わる
)
びれもしないで、
生
(
い
)
き
血
(
ち
)
のお
酒
(
さけ
)
でも、
生
(
な
)
ま
肉
(
にく
)
のおさかなでも、
引
(
ひ
)
き
受
(
う
)
けてくれたので、
見
(
み
)
るから
上機嫌
(
じょうきげん
)
になって
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
血
(
ち
)
の
道
(
みち
)
のつよき
人
(
ひと
)
なれば
胸
(
むな
)
ぐるしさ
堪
(
た
)
えがたうて、
枕
(
まくら
)
に
小抱卷
(
こがいまき
)
仮初
(
かりそめ
)
にふし
給
(
たま
)
ひしを、
小間
(
こま
)
づかひの
米
(
よね
)
よりほか、
絶
(
た
)
えて
知
(
し
)
る
者
(
もの
)
あらざりき。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
新秋
(
しんしう
)
の
氣
(
き
)
もちいゝ
風
(
かぜ
)
が
簾
(
すだれ
)
を
透
(
とほ
)
して
吹
(
ふ
)
く、それが
呼吸氣管
(
こきうきくわん
)
に
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれて、
酸素
(
さんそ
)
が
血
(
ち
)
になり、
動脈
(
どうみやく
)
が
調子
(
てうし
)
よく
搏
(
う
)
つ………その
氣
(
き
)
が
味
(
あぢ
)
はへない。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
剥
(
む
)
いてゆくうちに、
指
(
ゆび
)
を
切
(
き
)
ったので、
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
へ
血
(
ち
)
がたれました。(*(註)杜松は檜類の喬木で、一に「ねず」又は「むろ」ともいいます)
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
けれども……
皷動
(
こどう
)
が
全
(
まつた
)
く
靜
(
しづ
)
まつて、
血
(
ち
)
の
流
(
なが
)
れがもとのゆるやかさにかへつた
頃
(
ころ
)
、
極
(
きは
)
めて
靜
(
しづ
)
かに
歩
(
あゆ
)
み
寄
(
よ
)
つて
來
(
く
)
るもの
侘
(
わ
)
びしさを
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
然
(
しか
)
しながら
假令
(
たとひ
)
どうでも
噺聲
(
はなしごゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えて
青
(
あを
)
い
煙
(
けぶり
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
れば、
僅
(
わづか
)
でも
血
(
ち
)
が
循環
(
めぐ
)
つて
居
(
ゐ
)
るものゝやうに
活
(
い
)
きて
見
(
み
)
えるのであるが
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
事
(
こと
)
に
依
(
よ
)
つたら、
世
(
よ
)
の
人
(
ひと
)
たちの
有
(
も
)
つてゐる
主
(
しゆ
)
の
御血汐
(
おんちしほ
)
で、この
身
(
み
)
が
癒
(
なほ
)
るかも
知
(
し
)
れぬ。
血
(
ち
)
を
思
(
おも
)
ふことも
度々
(
たびたび
)
だ。この
歯
(
は
)
なら
咬付
(
かみつ
)
ける。
真白
(
まつしろ
)
の
歯
(
は
)
だ。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
ラランのやつに
欺
(
だま
)
されたと
気
(
き
)
づいても、
可哀
(
かあい
)
さうなペンペはその
抉
(
えぐ
)
られた
両方
(
りやうほう
)
の
眼
(
め
)
から
血
(
ち
)
を
滴
(
したた
)
らすばかりだつた。もうラランの
名
(
な
)
も
呼
(
よ
)
ばない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
『
済
(
す
)
みませぬ
済
(
す
)
みませぬ、どうぞどうぞお
許
(
ゆる
)
しくださいませ……』
何回
(
なんかい
)
私
(
わたくし
)
はそれを
繰
(
く
)
り
返
(
かえ
)
して
血
(
ち
)
の
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせ
)
んだことでしょう!
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それから、そのあとを六
羽
(
わ
)
の若いガンが、右に三
羽
(
ば
)
、左に三羽飛ぶのです。どれもこれも、りっぱな
血
(
ち
)
すじの高山ガンです。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
頭髪
(
かみ
)
を乱して、
血
(
ち
)
の
色
(
け
)
のない顔をして、薄暗い洋燈の陰にしょんぼり坐っているこの時のお源の姿は随分
憐
(
あわれ
)
な様であった。
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そんなお
喋
(
しゃべ
)
りをしていますと、
突然
(
とつぜん
)
空中
(
くうちゅう
)
でポンポンと
音
(
おと
)
がして、二
羽
(
わ
)
の
雁
(
がん
)
は
傷
(
きず
)
ついて
水草
(
みずくさ
)
の
間
(
あいだ
)
に
落
(
お
)
ちて
死
(
し
)
に、あたりの
水
(
みず
)
は
血
(
ち
)
で
赤
(
あか
)
く
染
(
そま
)
りました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お
父上
(
ちちうえ
)
は、りっぱな
学者
(
がくしゃ
)
だった。その
血
(
ち
)
をひいたおまえが、
勉強
(
べんきょう
)
はだいきらいだなんていって、はずかしいとおもわぬか。
福沢諭吉:ペンは剣よりも強し
(新字新仮名)
/
高山毅
(著)
此故
(
このゆゑ
)
に
腥
(
なまぐさ
)
き
血
(
ち
)
の
臭
(
にほひ
)
失
(
う
)
せて
白粉
(
おしろい
)
の
香
(
かをり
)
鼻
(
はな
)
を
突
(
つ
)
く
太平
(
たいへい
)
の
御代
(
みよ
)
にては
小説家
(
せうせつか
)
即ち
文学者
(
ぶんがくしや
)
の
数
(
かず
)
次第々々
(
しだい/\
)
に
増加
(
ぞうか
)
し、
鯛
(
たひ
)
は
花
(
はな
)
は
見
(
み
)
ぬ
里
(
さと
)
もあれど、
鯡
(
にしん
)
寄
(
よ
)
る
北海
(
ほつかい
)
の
浜辺
(
はまべ
)
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
この言葉が更に新しい間違ひを
釀
(
かも
)
した——それが眞實に觸れたが故に、より惡いものであつた。彼の
血
(
ち
)
の
氣
(
け
)
を失つた唇は瞬間的な
痙攣
(
けいれん
)
に引きつゝた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それはまるで赤や
緑
(
みどり
)
や青や
様々
(
さまざま
)
の火がはげしく
戦争
(
せんそう
)
をして、
地雷火
(
じらいか
)
をかけたり、のろしを上げたり、またいなずまがひらめいたり、光の
血
(
ち
)
が
流
(
なが
)
れたり
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
西
(
にし
)
の
空
(
そら
)
はいま、
血
(
ち
)
みどろな
沼
(
ぬま
)
のやうに、まつ
紅
(
か
)
な
夕
(
ゆふ
)
やけに
爛
(
たゞ
)
れてゐた。K
夫人
(
ふじん
)
は
立
(
た
)
つて
西窓
(
にしまど
)
のカーテンを
引
(
ひ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
一国の大寺なれば
古文書
(
こもんじよ
)
宝物等も多し、その中に
火車落
(
くわしやおとし
)
の
袈裟
(
けさ
)
といふあり、
香染
(
かうそめ
)
の
麻
(
あさ
)
と見ゆるに
血
(
ち
)
の
痕
(
あと
)
のこれり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
瑣細
(
ささい
)
な
道理
(
だうり
)
と
云
(
い
)
ふのは
例
(
たと
)
へば、
眞赤
(
まツか
)
に
燒
(
や
)
けた
火箸
(
ひばし
)
を
長
(
なが
)
い
間
(
あひだ
)
持
(
も
)
つてると
火傷
(
やけど
)
するとか、
又
(
また
)
は
指
(
ゆび
)
を
小刀
(
ナイフ
)
で
極
(
ごく
)
深
(
ふか
)
く
切
(
き
)
ると
何時
(
いつ
)
でも
血
(
ち
)
が
出
(
で
)
るとか
云
(
い
)
ふことです。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
別府
(
べっぷ
)
さんの
口調
(
くちょう
)
が
熱
(
ねつ
)
してきて、そのほおが赤くなるにつれて、
星野仁一
(
ほしのじんいち
)
の顔からは、
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
がひいていった。
選手
(
せんしゅ
)
たちは、みんな、頭を深くたれてしまった。
星野くんの二塁打
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
おいらァおめえの
兄貴
(
あにき
)
だよ。——
血
(
ち
)
を
分
(
わ
)
けた、たった
一人
(
ひとり
)
の
兄貴
(
あにき
)
だよ。それも、百とまとまった
金
(
かね
)
が
入用
(
いりよう
)
だという
訳
(
わけ
)
じゃねえ。四
半分
(
はんぶん
)
の二十五
両
(
りょう
)
で
事
(
こと
)
が
済
(
す
)
むんだ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
皮膚には一滴の
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
もなく
下瞼
(
したまぶた
)
がブクリと
膨
(
ふく
)
れて
垂
(
た
)
れ
下
(
さが
)
り、大きな眼は
乾魚
(
ひもの
)
のように光を失っていた。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
柔
(
やわら
)
かな
腹
(
はら
)
の
鱗
(
うろこ
)
の
間
(
あいだ
)
に、一
面
(
めん
)
に
釘
(
くぎ
)
がささりまして、そこから
血
(
ち
)
が
流
(
なが
)
れだし、そのまま
死
(
し
)
んでしまいました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
血
(
ち
)
の
赤
(
あか
)
と、
骨
(
ほね
)
の
白
(
しろ
)
の配色の翅をつけた一匹の蝶は、落寞とした空間に、見るもあやうげにかかっている。
蝶の絵
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
血
(
ち
)
の
脅威
(
テラア
)
」——ジャアナリズムはいちはやくこの連続的犯行をこう命名していた——が、またもやこの夜、貧窮と
汚毒
(
おどく
)
と邪悪のイースト・エンドを訪れるのだ。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
祖先伝来一切の生命の蓄積して居る土は、其
一塊
(
いっかい
)
も肉の一片
血
(
ち
)
の
一滴
(
いってき
)
である。農から土を
奪
(
うば
)
うは、霊魂から肉体を奪うのである。換言すれば死ねと云うのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
何
(
なに
)
しろ
一刀
(
ひとかたな
)
とは
申
(
まを
)
すものの、
胸
(
むな
)
もとの
突
(
つ
)
き
傷
(
きず
)
でございますから、
死骸
(
しがい
)
のまはりの
竹
(
たけ
)
の
落葉
(
おちば
)
は、
蘇芳
(
すはう
)
に
滲
(
し
)
みたやうでございます。いえ、
血
(
ち
)
はもう
流
(
なが
)
れては
居
(
を
)
りません。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
残
(
のこ
)
る所の二十七名は之より
進
(
すす
)
むのみにして
帰
(
かへ
)
るを得ざるもの、
実
(
じつ
)
に
血
(
ち
)
を
啜
(
すす
)
りて
决死
(
けつし
)
の
誓
(
ちかひ
)
をなししと云ふて
可
(
か
)
なり、
既
(
すで
)
にして日
漸
(
やうや
)
く
高
(
たか
)
く露亦
漸
(
やうや
)
く
消
(
き
)
へ、
渇
(
かつ
)
益渇を
加
(
くわ
)
へ
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
銃架
(
じうか
)
よ、お
前
(
まへ
)
はおれの
心臓
(
しんざう
)
に
異様
(
いやう
)
な
戦慄
(
せんりつ
)
を
与
(
あた
)
へる——
血
(
ち
)
のやうな
夕日
(
ゆふひ
)
を
浴
(
あ
)
びてお
前
(
まへ
)
が
黙々
(
もく/\
)
と
進
(
すゝ
)
むとき
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
其他
(
そのほか
)
は
何
(
いづ
)
れも
断片
(
だんぺん
)
で、
文句
(
もんく
)
は
素
(
もと
)
より
拙劣
(
せつれつ
)
、
唯
(
たゞ
)
血
(
ち
)
の
躍
(
おど
)
るまゝにペンを
走
(
はし
)
らせたものとしか
見
(
み
)
えぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
甚「此の鎌で殺しゃアがった、
酷
(
ひど
)
い雨で段々
血
(
のり
)
は無くなったが、見ねえ、
血
(
ち
)
が滅多に
落
(
おち
)
ねえ物とみえて
染込
(
しみこ
)
んで居らア、
磨澄
(
とぎすま
)
した鎌で殺しゃアがった、是で
遣
(
や
)
りゃアがった」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『あゝ
貴方
(
あなた
)
も
此
(
こゝ
)
へ
入
(
い
)
れられましたのですか。』と
彼
(
かれ
)
は
嗄
(
しはが
)
れた
聲
(
こゑ
)
で
片眼
(
かため
)
を
細
(
ほそ
)
くして
云
(
い
)
ふた。『いや
結構
(
けつこう
)
、
散々
(
さん/″\
)
人
(
ひと
)
の
血
(
ち
)
を
恁
(
か
)
うして
吸
(
す
)
つたから、
此度
(
こんど
)
は
御自分
(
ごじぶん
)
の
吸
(
す
)
はれる
番
(
ばん
)
だ、
結構々々
(
けつこう/\
)
。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其
(
その
)
息子
(
むすこ
)
が
海蛇
(
うみへび
)
に
捕
(
と
)
られたといふのは、
生命
(
いのち
)
の
事
(
こと
)
ではなく、
實
(
じつ
)
は、
印度洋
(
インドやう
)
の
惡魔
(
あくま
)
と
世
(
よ
)
に
隱
(
かく
)
れもなき
海賊船
(
かいぞくせん
)
の
仲間
(
なかま
)
に
入
(
い
)
り、
血
(
ち
)
をすゝつて、海蛇
丸
(
まる
)
とかいへる
海賊船
(
かいぞくせん
)
の
水夫
(
すいふ
)
となつたのだ
相
(
さう
)
です。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして
双方
(
そうほう
)
とも、
泥
(
どろ
)
だらけになり、やがて
血
(
ち
)
までがだらだら
流
(
なが
)
れ
出
(
だ
)
しました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
いかになりつるやと、あるひは
異
(
あや
)
しみ、或は恐る恐る、
一八二
ともし火を
挑
(
かか
)
げてここかしこを見
廻
(
めぐ
)
るに、明けたる
戸腋
(
とわき
)
の壁に
一八三
腥
(
なま
)
々しき
血
(
ち
)
灌
(
そそ
)
ぎ流れて地につたふ。されど
屍
(
しかばね
)
も
骨
(
ほね
)
も見えず。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
純粋
(
じゅんすい
)
のフランス
人
(
じん
)
の
血
(
ち
)
すじをうけた
人
(
ひと
)
で、するどい
知力
(
ちりょく
)
をもっています。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
どこへ行っても、今頃は、こんな
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
の多いのに
打突
(
ぶっつ
)
かることが珍らしくない。いや、竜之助は、これよりもっともっと
生命知
(
いのちし
)
らずの新撰組や、諸国の浪士の間に
白刃
(
しらは
)
の林を
潜
(
くぐ
)
って来た身だ。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その風流な河原も、今は
血
(
ち
)
なまぐさい風が吹きまくって。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
五
時
(
じ
)
ごろの
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
わかわかしき
血
(
ち
)
のごとくふりそそぎ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
“血”の解説
血(けつ)とは、中医学においては、脈中を流れる赤色の液状物である。生体内で活動するものとして、気とともに重要なものである。
(出典:Wikipedia)
血
常用漢字
小3
部首:⾎
6画
“血”を含む語句
吸血鬼
鮮血
血統
血塗
血管
血脈
血縁
血腥
碧血
混血児
血相
血潮
血色
血染
血溜
血紅
血族
生血
喀血
膏血
...