みじか)” の例文
みみずは、おもいきりいきながいて、ジーイ、ジーイ、といい、かえるは、ふとく、みじかく、コロ、コロ、といって、うたっていました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あたしゃみじかいから、どこへくにしても、とてもあるいちゃかれない。千きちつぁん、ぐに駕籠かごんでもらおうじゃないか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しな天秤てんびんおろした。おしなたけみじか天秤てんびんさきえだこしらへたちひさなかぎをぶらさげてそれで手桶てをけけてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
谷の向こうがわから森のところまでずっとつづいている、こんもりしたたけのみじかい林を、村の人たちは荒れ地とんでいたのです。
おんなにもしてみたいほどのいろしろで、やさしいまゆ、すこしひらいたくちびるみじかいうぶのままのかみ子供こどもらしいおでこ——すべてあいらしかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
前記ぜんき但馬地震たじまぢしん丹後地震たんごぢしんごときは初期微動繼續時間しよきびどうけいぞくじかんもつとみじかかつた稀有けうれいであるので、むし例外れいがいとみてしかるべきものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
一階目いつかいめゆかは、いまよぎつたに、とびらてまはしたとるばかりひろかつた。みじかくさ処々ところ/″\矢間やざまひと黄色きいろつきで、おぼろおなじやう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
玄翁和尚げんのうおしょうは一にち野原のはらあるきどおしにあるいてまだ半分はんぶんも行かないうちに、みじかあきの日はもうれかけて、るそこらがくらくなってきました。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
戲談じようだんつてはこまります。だから新聞記者しんぶんきしやひとわるい。ひと眞面目まじめくのに。』と高商紳士かうしやうしんしみじかくなつたシガーをストーブにんだ。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
野猪ゐのしゝかたちぶた全身ぜんしん黒褐色こつかつしよくのあらいでおほはれてをり、くびみじかいのでけだすときゆうには方向ほうこうへられない動物どうぶつです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
それは沢山たくさんの馬のひづめあとで出来上っていたのです。達二は、夢中むちゅうで、みじかわらい声をあげて、その道をぐんぐん歩きました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたくし場合ばあいには、この無意識むいしき期間きかんが二三にちつづいたと、あとかみさまからおしえられましたが、どちらかといえば二三にちというのはみじか部類ぶるい
落着いてから訊くべき事と思いながら、その間も待ちどおしげに、胤頼は、歩きながら言葉みじかに、もう訊きほじっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこには、赤い布地きれじでつくった古風こふう百姓ひゃくしょうの着物——みじか胴着どうぎ、ひだのあるスカート、真珠しんじゅかざりのついた胸着むなぎ——がいくつか入れてありました。
またこれから日本につぽんまで夫人等ふじんら航海かうかいともにするやうになつた不思議ふしぎゆかり言葉ことばみじかかたると、夫人ふじんは『おや。』とつたまゝいとなつかしすゝる。
つぎにんおもてとほいろながうみながめた。まつみきからやに空氣くうきつた。ふゆみじかそら赤裸々せきらゝ横切よこぎつて大人おとなしく西にしちた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
六月にはいると、麦は黄熟こうじゅくして刈り取られ、胡瓜きゅうりくきみじかきに花をもち、水草のあるところにはほたるやみを縫って飛んだ。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
また新石器時代しんせつきじだいのつゞいた年代ねんだい舊石器時代きゆうせつきじだいくらべてたいへんみじかく、舊石器時代きゆうせつきじだい十分じゆうぶんいちにもりないくらゐです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さうこたへて玄関げんくわんにあがると、機嫌きげんのいいときにするいつものくせで、青木さんは小がらおくさんのからだかるせながら、そのくちびるにみじかせつぷんをあたへた。
(旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
君勇きみゆう』とか『秀香ひでか』とか、みやこ歌妓うたひめめた茶色ちやいろみじか暖簾のれんが、のきわたされて、緋毛氈ひまうせん床几しようぎ背後うしろに、赤前垂あかまへだれをんなが、甲高かんだかこゑしぼつてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
此間このあひだ停車場ステイシヨンへ小林萬吾まんごと一緒に迎へに来てれた時も既に感じた事であつたが、揉上もみあげをよい程にみじかく剃り上げて見違へる程色の白い美しい男に成つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
日は永くても、仕事はえない。夜はみじかくてもおち/\眠ることが出来ぬ。何処どこの娘も赤い眼をして居る。何処のかみさんも、半病人はんびょうにんあおい顔をして居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と、呟くようにくと、その若い男は、ギクンと立ち止まって、中田の顔をのぞき込むと言葉みじか
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
それからふたゝみんながあつまつたときに、ドードてうおごそかに指環ゆびわしめして、『吾輩わがはいこの優美いうびなる指環ゆびわ諸君しよくん受納じゆなふせられんことをのぞむ』このみじか演説えんぜつむと一どう拍手喝采はくしゆかつさいしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
秋の日はみじかしとはんやうに、貫一は手形用紙を取上げて、用捨無く約束の金額を書入れたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
エチエンヌは非常な勇気ゆうきふるい起こします。一生懸命しょうけんめい、足をはやめます。みじかあしせいいっぱいにひろげます。まだその上に、うでります。しかし、なんといっても、ちいさすぎます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
振分ふりわけかみみじか春草はるくさかみくらむいもをしぞおもふ 〔巻十一・二五四〇〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うた俳句はいくうへでは、そのかたちみじかちひさいだけに、はしがき——また、詞書ことばがきともいふ——や、そのうたつくつた事情じじようなどをるといふことが、ほか文學ぶんがくとはべつ大事だいじなことであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
馬塞棒ませぼうを取払って、裸馬へヒラリと飛乗ると、頭を下げながら手綱みじかにドウドウドウドウと厩を出た。裏庭から横露地を玄関前へタッタッタッと乗出して、往来へ出るや否や左へ一曲り
名君忠之 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と、ばれ、だいひいきものでした。それは背中せなかをぐいとたかくしたり、のどをごろごろらしたりぎゃくでられるとからことまで出来できました。牝鶏めんどりはというと、あしがばかにみじかいので
召抱へて益々内福ないふくにぞくらしける然るに享保十一年には最早もはや文藏二十四歳となりければよきよめをとらんと近所きんじよの心やすき者を頼みて種々いろ/\穿鑿せんさくせしが兎角ながみじかしにて相談さうだん調とゝのはざるうち文藏は忠兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
石匕 石鏃せきぞく石錐抔いしきりなど同質どうしつにして其大さ是等の五倍或は十倍なる物有り。形状けいじよう長方形ちようはうがた橢圓形たいえんがた三角形さんかくがた等の不規則ふきそくなるものにして一部に必ずみじかき把柄有り。此の如き石器せききぞく天狗テング飯匙メシカヒぶ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
みじかいのちではあつた。それはふゆさだめられた運命うんめいである。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「ええ。そろそろとおたがひ生命いのちもさきがみじかくなるばかりさ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ロミオ ればときみじかうなるが、其物そのものられぬゆゑ。
葭短不舸 あしみじかおおぶねさまたげず
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
みじかつた栗毛くりげ光沢つやから
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いのちみじかし、こひせよ、少女をとめ
ゴンドラの唄 (旧字旧仮名) / 吉井勇(著)
さがしもの見当らぬまゝみじか
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
最期さいご用意よういあはれみじかちぎりなるかな井筒ゐづゝにかけしたけくらべふりわけがみのかみならねばくとも如何いかゞしらかみにあねさまこさへてあそびしころこれはきみさまこれはわれ今日けふ芝居しばゐくのなりいや花見はなみはうれはしとたはむはせしそれひとつもねがひのかなひしことはなくまちにまちし長日月ちやうじつげつのめぐりれば果敢はかなしや
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
天気てんきのよくないは、あたりがくらく、がいっそうみじかいようにおもわれたのです。小鳥ことりがぬれながら、あちらのえだにとまりました。
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さういふみじかいのは端布片はしぎれふにかぎるのさ、いくらにもつかないもんだよ、わたし近頃ちかごろついでもあるからつてつてもいよ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
柄長くしいの葉ばかりなる、ちいさき鎌を腰にしつ。かごをば糸つけて肩に懸け、あわせみじかに草履穿きたり。かくてわれ庵を出でしは、の時過ぐるころなりき。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「まあ、よくよくえんがないのだね。なにしろとしってさきみじかからだだからね。しかたがない、あきらめましょう。」
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そしてその金屬きんぞくまへにもまをしたとほり、青銅せいどうだけを使用しようした時代じだいきはめてみじかく、あるひはほとんどないくらゐで、すぐにてつ使つか時代じだいになつたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
日がみじかい頃で、葬式が家を出たのは日のくれ/″\であった。青山あおやま街道かいどうに出て、鼻欠はなかけ地蔵じぞうの道しるべから畑中を一丁ばかり入り込んで、薄暗うすぐらい墓地に入った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ずんぐりした人で、足はみじかく、顔は大きく赤く、かみの毛は黒くピカピカしていて、まっ黒なひげをはやしていました。頭には黒い木の帽子ぼうしをかぶっていました。
ただ、野の一方に三、四ヵ所張ってある幕のあたりで、法衣みじかからげあげた法師たちがかしわの葉でくるんだ弁当の飯を喰べたり、湯をのんだりしているだけである。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
としくれに、ことこのむとしかおもはれない世間せけんひとが、故意わざみじかまへしたがつて齷齪あくせくする樣子やうすると、宗助そうすけなほことこの茫漠ばうばくたる恐怖きようふねんおそはれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
また平均へいきんよりもおほきな噴火ふんかをなしたのち休息期きゆうそくきながく、反對はんたいちいさな噴火ふんかをなしたのち休息期きゆうそくきみじかい。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)