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鳴
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な
ふりがな文庫
“
鳴
(
な
)” の例文
高窓
(
たかまど
)
の
障子
(
しょうじ
)
の
破
(
やぶ
)
れ
穴
(
あな
)
に、
風
(
かぜ
)
があたると、ブー、ブーといって、
鳴
(
な
)
りました。もう
冬
(
ふゆ
)
が
近
(
ちか
)
づいていたので、いつも
空
(
そら
)
は
暗
(
くら
)
かったのです。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
なんでも
夜中
(
よなか
)
すぎになると、
天子
(
てんし
)
さまのおやすみになる
紫宸殿
(
ししいでん
)
のお
屋根
(
やね
)
の上になんとも
知
(
し
)
れない
気味
(
きみ
)
の
悪
(
わる
)
い
声
(
こえ
)
で
鳴
(
な
)
くものがあります。
鵺
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
さてはや、
念佛
(
ねんぶつ
)
、
題目
(
だいもく
)
、
大聲
(
おほごゑ
)
に
鯨波
(
とき
)
の
聲
(
こゑ
)
を
揚
(
あ
)
げて
唸
(
うな
)
つて
居
(
ゐ
)
たが、やがて
其
(
それ
)
も
蚊
(
か
)
の
鳴
(
な
)
くやうに
弱
(
よわ
)
つてしまふ。
取亂
(
とりみだ
)
さぬ
者
(
もの
)
は
一人
(
ひとり
)
もない。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
今
(
いま
)
まで
流
(
なが
)
し
元
(
もと
)
で
頻
(
しき
)
りに
鳴
(
な
)
いていた
虫
(
むし
)
の
音
(
ね
)
が、
絶
(
た
)
えがちに
細
(
ほそ
)
ったのは、
雨戸
(
あまど
)
から
差
(
さ
)
す
陽
(
ひ
)
の
光
(
ひか
)
りに、おのずと
怯
(
おび
)
えてしまったに
相違
(
そうい
)
ない。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あの
白
(
しろ
)
い
着物
(
きもの
)
に、
白
(
しろ
)
い
鉢巻
(
はちまき
)
をした
山登
(
やまのぼ
)
りの
人達
(
ひとたち
)
が、
腰
(
こし
)
にさげた
鈴
(
りん
)
をちりん/\
鳴
(
な
)
らしながら
多勢
(
おほぜい
)
揃
(
そろ
)
つて
通
(
とほ
)
るのは、
勇
(
いさま
)
しいものでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
飛
(
と
)
ぶときはその
翅
(
はね
)
が
實
(
じつ
)
に
美
(
うつく
)
しい
色
(
いろ
)
に
閃
(
ひらめ
)
きます。この
鳥
(
とり
)
は
羽
(
はね
)
も
綺麗
(
きれい
)
ですが、
鳴
(
な
)
き
聲
(
ごゑ
)
も
美
(
うつく
)
しく、「ぶっ、ぽう、そう」と
鳴
(
な
)
きつゞけます。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
今
(
いま
)
は
餘波
(
なごり
)
さへもない
其
(
その
)
戀
(
こひ
)
を
味
(
あぢ
)
つけうために!
卿
(
そなた
)
の
溜息
(
ためいき
)
はまだ
大空
(
おほぞら
)
に
湯氣
(
ゆげ
)
と
立昇
(
たちのぼ
)
り、
卿
(
そなた
)
の
先頃
(
さきごろ
)
の
呻吟聲
(
うなりごゑ
)
はまだ
此
(
この
)
老
(
おい
)
の
耳
(
みゝ
)
に
鳴
(
な
)
ってゐる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
とたんに
海騒
(
うみざい
)
のような観衆の
鳴
(
な
)
りはハタと
唾
(
つば
)
を呑んでやんだ。燕青の真白な肌に
藍
(
あい
)
と
朱彫
(
しゅぼり
)
のいれずみが花のごとく見えたからである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『はゝゝゝゝ。
君
(
きみ
)
はまだ
私
(
わたくし
)
の
妻子
(
さいし
)
を
御存
(
ごぞん
)
じなかつたのでしたね。これは
失敬
(
しつけい
)
々々。』と
急
(
いそが
)
はしく
呼鈴
(
よびりん
)
を
鳴
(
な
)
らして、
入
(
いり
)
來
(
きた
)
つた
小間使
(
こまづかひ
)
に
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
やがて
夕方
(
ゆうがた
)
になりました。
松蝉
(
まつぜみ
)
は
鳴
(
な
)
きやみました。
村
(
むら
)
からは
白
(
しろ
)
い
夕
(
ゆう
)
もやがひっそりと
流
(
なが
)
れだして、
野
(
の
)
の
上
(
うえ
)
にひろがっていきました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
本線
(
ほんせん
)
シグナルつきの
電信柱
(
でんしんばしら
)
は、
物
(
もの
)
を言おうとしたのでしたが、もうあんまり気が立ってしまってパチパチパチパチ
鳴
(
な
)
るだけでした。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
河また河、谷また谷、ぼうぼうたる草は身を没して怪
禽
(
きん
)
昼も
鳴
(
な
)
く、そのあいだ
猛獣
(
もうじゅう
)
毒蛇
(
どくじゃ
)
のおそれがある、
蕃人
(
ばんじん
)
襲来
(
しゅうらい
)
のおそれもある。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その婦人は母ではなく、琴もこの琴ではなかったかも知れぬけれども、大方母もこれを
掻
(
か
)
き
鳴
(
な
)
らしつつ幾度かあの曲を
唄
(
うた
)
ったであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その持っているものは、キイキイ
鳴
(
な
)
きながら、モソモソ動いています。これで、おばあさんにも、いまはじめてよくわかりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
其
(
その
)
日
(
ひ
)
は十一
時頃
(
じごろ
)
からからりと
晴
(
は
)
れて、
垣
(
かき
)
に
雀
(
すゞめ
)
の
鳴
(
な
)
く
小春日和
(
こはるびより
)
になつた。
宗助
(
そうすけ
)
が
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
、
御米
(
およね
)
は
例
(
いつも
)
より
冴
(
さ
)
え/″\しい
顏色
(
かほいろ
)
をして
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
もう
忍耐
(
にんたい
)
が
出來
(
でき
)
ない、
萬年
(
まんねん
)
ペンをとつて
振
(
ふ
)
りあげた、その
恐
(
おそ
)
ろしい
笞
(
しもと
)
の
下
(
した
)
で
憐
(
あわれ
)
みを
乞
(
こ
)
ふかのように
鳴
(
な
)
いてゐる、それが
毆
(
たゝ
)
けるか。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
機関車
(
きかんしゃ
)
の前へのこのこでてきてにげようともしないので、
汽笛
(
きてき
)
をピイピイ
鳴
(
な
)
らしてやっと
追
(
お
)
いはらったというような話もあった。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
岩
(
いは
)
はなをば、
漕
(
こ
)
ぎ
廻
(
まは
)
つて
行
(
ゆ
)
くごとに、そこに
一
(
ひと
)
つづゝ
展
(
ひら
)
けて
來
(
く
)
る、
近江
(
あふみ
)
の
湖水
(
こすい
)
のうちのたくさんの
川口
(
かはぐち
)
。そこに
鶴
(
つる
)
が
多
(
おほ
)
く
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てゝゐる。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
が馬を追うごとに、馬車はぎしぎしと
鳴
(
な
)
り
軋
(
きし
)
めきながら、落ち葉の波の上を、沈んでは転がり浮かんでは転がって行った。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
六
時
(
じ
)
が七
時
(
じ
)
になつても、
船
(
ふね
)
はひた/\と
波止場
(
はとば
)
の
際
(
きは
)
まで
押
(
お
)
し
寄
(
よ
)
せて
居
(
ゐ
)
ながら、まだなか/\
著
(
つ
)
けさうにない。
其
(
そ
)
のうち
又
(
また
)
しても
銅鑼
(
どら
)
が
鳴
(
な
)
る。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
と
鳴
(
な
)
きながら、
雛鳥
(
ひな
)
が
匐
(
は
)
い
出
(
だ
)
してきました。それはばかに
大
(
おお
)
きくて、ぶきりょうでした。
母鳥
(
ははどり
)
はじっとその
子
(
こ
)
を
見
(
み
)
つめていましたが、
突然
(
とつぜん
)
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
其
(
その
)
囀
(
さへづ
)
る
聲
(
こゑ
)
を
壓
(
あつ
)
し
去
(
さ
)
らうとして
互
(
たがひ
)
の
身體
(
からだ
)
を
飛
(
と
)
び
越
(
こ
)
え飛び越え
鳴
(
な
)
き
立
(
た
)
てるので
小勢
(
こぜい
)
な
雲雀
(
ひばり
)
はすつとおりて
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
根
(
ね
)
に
潜
(
ひそ
)
んで
畢
(
しま
)
ふ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
また、デーデーデーと元気よく鳴くこともあり、たまに春めいた日には森の方から針金のような夏向きのフィービーという
鳴
(
な
)
き
音
(
ね
)
をたてる。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
思
(
おも
)
ひせまつて
梅川
(
うめかは
)
は、
袖
(
たもと
)
をだいてよろ/\よろ、
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
へよろめいて、はつと
踏
(
ふ
)
みとまつて、
手
(
て
)
をあげた
時
(
とき
)
、
白
(
しろ
)
い
指
(
ゆび
)
がかちりと
鳴
(
な
)
つたのです。
桜さく島:見知らぬ世界
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
「今のは
猿
(
さる
)
の
鳴
(
な
)
き声であります。これからまた
他
(
ほか
)
の
鳴
(
な
)
き声をお
聞
(
き
)
かせいたします。……さあひょっとこ人形、
鳴
(
な
)
いたり
鳴
(
な
)
いたり、犬の
鳴
(
な
)
き声」
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
昼より風出でて
梢
(
こずえ
)
鳴
(
な
)
ることしきりなり、冬の野は寒きかな、
荒
(
すさ
)
む
嵐
(
あらし
)
のすさまじきかな。人の世を寒しと見て野に立てば、さてはいづれに行かん。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
水煙
(
みづけむり
)
を
立
(
た
)
てました——
※
(
ねえ
)
さんは三
月兎
(
ぐわつうさぎ
)
と
其
(
そ
)
の
友達
(
ともだち
)
とが
何時
(
いつ
)
になつても
盡
(
つ
)
きない
麺麭
(
ぱん
)
を
分配
(
ぶんぱい
)
した
時
(
とき
)
に、
茶碗
(
ちやわん
)
の
鳴
(
な
)
るのを
聞
(
き
)
き
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
畑では麦が日に/\照って、
周囲
(
あたり
)
の
黯
(
くら
)
い緑に
競
(
きそ
)
う。
春蝉
(
はるぜみ
)
が
鳴
(
な
)
く。
剖葦
(
よしきり
)
が鳴く。
蛙
(
かわず
)
が鳴く。青い風が吹く。夕方は
月見草
(
つきみそう
)
が庭一ぱいに咲いて
香
(
かお
)
る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼
(
か
)
れは
腕
(
うで
)
は
細
(
ほそ
)
かつたが、この
中
(
なか
)
には
南蠻鐵
(
なんばんてつ
)
の
筋金
(
すぢがね
)
が
入
(
はひ
)
つてゐると
思
(
おも
)
ふほどの
自信
(
じしん
)
がある。
其
(
そ
)
の
細
(
ほそ
)
い
手
(
て
)
の
先
(
さ
)
きに
附
(
つ
)
いてゐる
掌
(
てのひら
)
が、ぽん/\と
鳴
(
な
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
女房
(
にようぼ
)
曰
(
いわ
)
く、
御大層
(
ごたいそう
)
な事をお言ひでないうちのお米が
井戸端
(
ゐどばた
)
へ持つて出られるかえ
其儘
(
そのまゝ
)
鳴
(
な
)
りの
鎮
(
しづま
)
つたのは、
辛辣
(
しんらつ
)
な後者の
勝
(
かち
)
に帰したのだらう(十八日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
言葉
(
ことば
)
はまた
暫
(
しば
)
らく
途切
(
とぎ
)
れた。と、
程近
(
ほどちか
)
くのイギリス人の
家
(
いへ
)
でいつとなく
鳴
(
な
)
りはじめたピヤノの
音
(
ね
)
が、その
沈默
(
ちんもく
)
をくすぐるやうに
間遠
(
まとほ
)
に
聞
(
き
)
こえて※た。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
翌朝
(
よくてう
)
彼
(
かれ
)
は
激
(
はげ
)
しき
頭痛
(
づつう
)
を
覺
(
おぼ
)
えて、
兩耳
(
りやうみゝ
)
は
鳴
(
な
)
り、
全身
(
ぜんしん
)
には
只
(
たゞ
)
ならぬ
惱
(
なやみ
)
を
感
(
かん
)
じた。
而
(
さう
)
して
昨日
(
きのふ
)
の
身
(
み
)
に
受
(
う
)
けた
出來事
(
できごと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
しても、
恥
(
はづか
)
しくも
何
(
なん
)
とも
感
(
かん
)
ぜぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そのきわどい一瞬間、大鼠山の方角から、
鳴
(
な
)
り
鏑
(
かぶら
)
の音が高く聞こえて、窓を通して一本の鏑矢広間の壁に突っ立った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのはずみに、銅貨がすべり落ちて、入口の
石段
(
いしだん
)
でちゃりんと
鳴
(
な
)
った。まっかになった指はまげることができず、銅貨をにぎっていられなかったからだ。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
其
(
その
)
音
(
おと
)
が
寂寞
(
せきばく
)
を
破
(
やぶ
)
つてざわ/\と
鳴
(
な
)
ると、
閭
(
りよ
)
は
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
根
(
ね
)
を
締
(
し
)
め
附
(
つ
)
けられるやうに
感
(
かん
)
じて、
全身
(
ぜんしん
)
の
肌
(
はだ
)
に
粟
(
あは
)
を
生
(
しやう
)
じた。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
左様
(
さやう
)
であらう、ソラ
此器
(
これ
)
で
脈搏
(
みやくはく
)
を
聴
(
き
)
くんだ、
何
(
ど
)
うだグウ/\
鳴
(
な
)
るだらう。登「エヘヽヽヽくすぐつたうござりますな、
左様
(
さやう
)
横
(
よこ
)
ツ
腹
(
ぱら
)
へ
器械
(
きかい
)
をお
当
(
あて
)
あそばしましては。 ...
華族のお医者
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
天地間
(
てんちかん
)
僕
(
ぼく
)
一
人
(
にん
)
、
鳥
(
とり
)
も
鳴
(
な
)
かず。
僕
(
ぼく
)
は
暫
(
しば
)
らく
絶頂
(
ぜつちやう
)
の
石
(
いし
)
に
倚
(
よ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。この
時
(
とき
)
、
戀
(
こひ
)
もなければ
失戀
(
しつれん
)
もない、たゞ
悽愴
(
せいさう
)
の
感
(
かん
)
に
堪
(
た
)
えず、
我生
(
わがせい
)
の
孤獨
(
こどく
)
を
泣
(
な
)
かざるを
得
(
え
)
なかつた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
新室
(
にひむろ
)
を
踏
(
ふ
)
み
鎮
(
しづ
)
む
子
(
こ
)
し
手玉
(
ただま
)
鳴
(
な
)
らすも
玉
(
たま
)
の
如
(
ごと
)
照
(
て
)
りたる
君
(
きみ
)
を
内
(
うち
)
へと
白
(
まを
)
せ 〔巻十一・二三五二〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
源四郎
(
げんしろう
)
の家では、
屋敷
(
やしき
)
の
掃除
(
そうじ
)
もあらかたかたづいたらしい。
長屋門
(
ながやもん
)
のまえにある、せんだんの木に二、三
羽
(
ば
)
のシギが
実
(
み
)
を
食
(
く
)
いこぼしつつ、しきりにキイキイと
鳴
(
な
)
く。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「おお、
母
(
かあ
)
さんや、」とお
父
(
とう
)
さんが
言
(
い
)
った。「あすこに、
綺麗
(
きれい
)
な
鳥
(
とり
)
が、
好
(
い
)
い
声
(
こえ
)
で
鳴
(
な
)
いているよ。
日
(
ひ
)
がぽかぽかと
射
(
さ
)
して、
何
(
なに
)
もかも、
肉桂
(
にくけい
)
のような
甘
(
あま
)
い
香気
(
かおり
)
がする。」
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
シューラは
素早
(
すばや
)
くはね
起
(
お
)
きて、
毛布
(
もうふ
)
を
床
(
ゆか
)
へおっぽり
出
(
だ
)
すと、はだしで
冷
(
つめた
)
い
床板
(
ゆかいた
)
をぱたぱたと大きく
鳴
(
な
)
らしながら、ママのところへ
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
き、いきなりこうわめいた。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
やつらが
勝
(
か
)
たうと
負
(
ま
)
けようと、
中国
(
ちうごく
)
と
日本
(
にほん
)
の
兄弟
(
きやうだい
)
の
上
(
うへ
)
に×
(3)
圧
(
あつ
)
の
鞭
(
むち
)
は
層
(
そう
)
一
層
(
そう
)
高
(
たか
)
く
鳴
(
な
)
り
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
はじめは小川のせせらぎのように、かすかにかすかに
鳴
(
な
)
りだし、ついで
谷川
(
たにがわ
)
の岩にくだける水音のようにひびきだして、法師のあわれにも、ほがらかな声が、もれはじめました。
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
この室は家の主人の
部屋
(
へや
)
にて、その時は東京に行き不在の折なれば、怪しと思いて板戸を開き見るに何の影もなし。しばらくの
間
(
あいだ
)
坐
(
すわ
)
りて居ればやがてまた
頻
(
しきり
)
に鼻を
鳴
(
な
)
らす音あり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
が、やがて
發車
(
はつしや
)
の
笛
(
ふえ
)
が
鳴
(
な
)
つた。
私
(
わたくし
)
はかすかな
心
(
こころ
)
の
寛
(
くつろ
)
ぎを
感
(
かん
)
じながら、
後
(
うしろ
)
の
窓枠
(
まどわく
)
へ
頭
(
あたま
)
をもたせて、
眼
(
め
)
の
前
(
まへ
)
の
停車場
(
ていしやぢやう
)
がずるずると
後
(
あと
)
ずさりを
始
(
はじ
)
めるのを
待
(
ま
)
つともなく
待
(
ま
)
ちかまへてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
なるほど
旨味
(
うま
)
い。いくらか
元気
(
げんき
)
も
出
(
で
)
てきたので、ラランについて
上
(
うえ
)
へ
上
(
うえ
)
へと
飛
(
と
)
んでゐた。すると
間
(
ま
)
もなく
先
(
さき
)
にゆくラランが
前
(
まえ
)
のやうに
喉
(
のど
)
を
鳴
(
な
)
らしはじめた。ペンペは
気
(
き
)
が
気
(
き
)
でない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
果敢
(
はか
)
なの
身
(
み
)
やとうち
仰
(
あふ
)
げば
空
(
そら
)
に
澄
(
す
)
む
月影
(
つきかげ
)
きよし、
肘
(
ひぢ
)
を
寄
(
よ
)
せたる
丸窓
(
まるまど
)
のもとに
何
(
な
)
んの
咡
(
さゝや
)
きぞ
風
(
かぜ
)
に
鳴
(
な
)
る
荻
(
をぎ
)
の
友
(
とも
)
ずり、
我
(
わ
)
が
蔭
(
かげ
)
ごとか
哀
(
あは
)
れはづかし、
見渡
(
みわた
)
す
花園
(
はなぞの
)
は
夜
(
よ
)
るの
錦
(
にしき
)
を
月
(
つき
)
にほこりて
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「しめたぞ!」と
大悦
(
おほよろこび
)
で、ぐツと氣を
落着
(
おちつ
)
け、眼を
瞑
(
つぶ
)
り、
片手
(
かたて
)
で
後頭部
(
こうとうぶ
)
を押へて息を
凝
(
こ
)
らして考へて見る………頭の中が何か泡立ツてゐるやうにフス/\
鳴
(
な
)
ツてゐるのが
微
(
かすか
)
に
顳顬
(
こめかみ
)
に響く。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
鏽銀
(
しやうぎん
)
の
鐘
(
かね
)
は
鳴
(
な
)
る……
幽
(
かす
)
かに、……
幽
(
かす
)
かに……やるせなき
霊
(
たましひ
)
の
求
(
と
)
めもあへぬ
郷愁
(
ノスタルヂヤア
)
。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それにつれて戸の
鳴
(
な
)
る音さえ、ガンガーン、ガンガーンと次第に調子をたかめて行って、はてしもなく高く騒々しくなって行く音は、家中のありとあらゆる戸——袋戸棚の戸でも、戸棚でも
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
鳴
常用漢字
小2
部首:⿃
14画
“鳴”を含む語句
雷鳴
怒鳴
鳴音
鳴鏑
共鳴
地鳴
呶鳴
鶏鳴
自鳴鐘
空鳴
鹿鳴館
鳴神
神鳴
鼠鳴
鳴咽
鳴声
鳴弦
鳴出
耳鳴
大雷鳴
...