むし)” の例文
新字:
けら殿どのを、ほとけさんむし馬追蟲うまおひむしを、鳴聲なきごゑでスイチヨとぶ。鹽買蜻蛉しほがひとんぼ味噌買蜻蛉みそがひとんぼ考證かうしようおよばず、色合いろあひもつ子供衆こどもしう御存ごぞんじならん。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『それはわかつてる、大方おほかたかはづむしぐらゐのものだらう』とつて家鴨あひるは『しかし、ぼくくのは大僧正だいそうじよううしたとふのだ?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
きツイ先頃はお互にむしの居所のわるい所から言葉たゝかたれども考へ見れば吾儕わしが惡いとかう謝罪あやまつた上からは主は素より舍兄あにのこと心持を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのうへ個人こじんには特殊とくしゆ性癖せいへきがあつて、所謂いはゆるきらひがあり、かふこのところおつきらところであり、所謂いはゆるたでむしきである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
たでむし」以後の谷崎君の作品は、残りなく通読しているつもりでいたが、この「武州公秘話」だけにはまだ目を触れていないのであった。
武州公秘話:02 跋 (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)
訴訟を起して、お家の獅子身中のむしを退治するつもりだった父上の御心持はよく解るが、主君の亡びた今になって見れば、それは藪蛇であった。
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
其他そのたあらたに温泉おんせん冷泉れいせんはじめることもあり、また炭酸瓦斯たんさんがす其他そのた瓦斯がす土地とちからして、とり地獄じごくむし地獄じごくつくることもある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
たでむし」以後の谷崎君の作品は、残りなく通読しているつもりでいたが、この「武州公秘話」だけにはまだ目を触れていないのであった。
爲方しかたがないから、御酒ごしゆむしを耐へてゐたのが、何時かんとののむべいになつて了ツたんですけれども、そりや誰だつて好んでのむべいになる者アありやしませんよ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
生殖作用せいしよくさようをはつたすべての作物さくもつ穗先ほさき悉皆みんなもう俛首うなだれてる。むしこゑらうとしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
だが、記者たちは、いずれも困憊し、そしていずれもむしを噛みつぶしたような顔をしていた。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
りようの・むしたる、(一一二)擾狎ぜうかふしてし。しかれどもその喉下こうか(一一三)逆鱗げきりん(一一四)徑尺けいしやくなるあり。ひとこれるるあればすなはかならひところす。人主じんしゆにもまた逆鱗げきりんり。
むしなかでもばつたはかしこむしでした。このごろは、がな一にちつきのよいばんなどは、そのつきほしのひかりをたよりに夜露よつゆのとつぷりをりる夜闌よふけまで、母娘おやこでせつせとはたつてゐました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そして、小徑こみちの草の葉蔭には名も知らぬ秋のむしがかぼそいこゑいてゐた。
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それで最初さいしよ今日こんにちさるなどとおなじく、たゞそのあたりにある木片きぎれだとか石塊いしころだとかをもつて、あなつてむしをとつたり、あるひはをわつてふといふような生活せいかつをしてゐたのでありませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
むし
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
かみ引拔ひきぬかれますやうに……骨身ほねみこたへるやうなんです……むしにはまないとぞんじながら……眞個ほんと因果いんぐわなんですわねえ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
谿間たにませせらぐ秋の水といおうか、草むらにすだく残りのむしの音といおうか、それは言いようもなく淋しく、やるせなく、そして美しい表現です。
見樣と思ふ中其浪人は日暮ひぐれなれば仕舞しまひて歸る樣子やうすなれどもむしの知らせしか文右衞門にちがひなしとこゝろへ夫よりあとつけ見屆みとゞけしに山崎町の乞丐頭がうむね長屋ながや這入はひりしかば其所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身體からだ工合ぐえゝりいなんて、さうだ料簡れうけんだから卯平等うへいらやうねえ、此等こツらようまづだなんて、ようまづなんち病氣びやうきはらむしからんだから、なあにわきあねえだよ、へびでかうきおろすんだ、えゝか
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
成程なるほどむしふくろでは大分だいぶ見當けんたうちがひました。……つゞいてあまあついので、餘程よほどばうとしてるやうです。失禮しつれい可厭いやなものツて、なにきます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
總領の富太郎はむしがひどくなつて、夜分にひどくうなされたり、物驚きをしたり、時々は引付けたり、次第に糸の如く痩せ細つて、頼りない有樣になつて行くのでした。
それでも不見目みじめ貧相ひんさう勘次かんじ依然いぜんとしてかれにはむしかなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
言合いひあはせたやうに、一張ひとはり差置さしおいた、しんほそい、とぼしい提灯ちやうちんに、あたまかほをひしと押着おツつけたところは、人間にんげんたゞひげのないだけで、あきむしあまりかはりない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眼は縁の柱に伸上のびあがる手負に吸い付けられて、娘の身体からだはあまりの恐怖にむしほども動きません。
芳年写生帖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
綺麗きれいだわ、綺麗きれいだわ、綺麗きれいむしだわ。」とせられたやうにひつゝ、草履ざうりをつまつやうにして、大空おほぞらたかく、ゑてあふいだのである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
短筒を取上げて、巨大なむしででもあるように、無気味な心持で見極めた龍之助は
大江戸黄金狂 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
どんなにわたし厚顏あつかましうござんしたつて、貴方あなたむしつて、ててくださいなんぞと、そんなことまをされますものですか。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
幾人の娘を人身御供に上げて、一年経てばむしのように殺してしまった殿様、今まで生きて居たのは少し寿命を儲け過ぎましたよ。さア、斬るなり突くなり縛るなり、どうとも勝手にして下さい。
が、くすりをつけられますと、きずあとは、すぐにつぎせてちて、むしされたほどのあとものこりません。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼方かなた此方こなたへと、むしのように逃げ廻りました。
百唇の譜 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
かくて餘物よぶつるや。みな丘山きうざんもたゞならず、すなはみづかる。るにしたがうて、𥶡りんこと/″\むしむなもとつらぬく。もつ飛衞ひゑいぐ。先生せんせい高踏かうたふしてつていはく、汝得之矣なんぢこれをえたり
術三則 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むしのやうだとつたが、あゝ、一層いつそ、くづれたかべひそんだ、なみ巖間いはまかひる。——これおもふと、おほいなるみやこうへを、つてつて歩行あるいた人間にんげん大膽だいたんだ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
松蟲まつむしや——すゞむし、と茣蓙ござきて、菅笠すげがさかむりたるをとこかごに、おほきとりはねにしてやまよりづ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
みぞつかつた麥藁帽子むぎわらばうしが、たけかは一所いつしよに、プンとにほつて、くろになつて撥上はねあがる。……もう、やけになつて、きしきるむし合方あひかたに、夜行やかう百鬼ひやくき跳梁跋扈てうりやうばつこ光景くわうけいで。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
江戸えどのなごりも、東京とうきやうも、その大抵たいてい焦土せうどんぬ。茫々ばう/\たる燒野原やけのはらに、ながききすだくむしは、いかに、むしくであらうか。わたしはそれを、ひとくのさへはゞからるゝ。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「さあ、斷念あきらめろ、こゑてるな、ひとりやまことうでも、むしのついたはなえだだ。」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
戀々れん/\として、彽徊ていくわいし、やうやくにしてさとくだれば、屋根やねひさし時雨しぐれ晴間はれまを、ちら/\とひるひともちひさむしあり、小橋こばし稚子等うなゐらうたふをけ。(おほわた)い、い、まゝはしよ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……一人ひとり二人ふたりはあつたらうが、場所ばしよひろいし、ほとんかげもないから寂寞ひつそりしてた。つた手許てもとをスツとくゞつて、まへへ、おそらくはなならぶくらゐにあざやかな色彩しきさいせたむしがある。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よつてしからぬ二人連ふたりづれを、畜生ちくしやう蝦蟆賣がまうりめ、とふ。たゞし蝦蟆がま赤蛙あかがへるなり。蝦蟆がまや、蝦蟆がんまい。——そのあとから山男やまをとこのやうな小父をぢさんが、やなぎむしらんかあ、やなぎむしらんかあ。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたしなどの夜具やぐは、むやみと引張ひつぱつたり、かぶつたりだから、胴中どうなか綿わた透切すきぎれがしてさむい、すそひざ引包ひつくるめて、そであたま突込つツこむで、こと/\むしかたちるのに、この女中ぢよちうは、まためう道樂だうらく
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いへなんざふものとも、へるものとも、てんで分別ふんべつらないのだから、空耳そらみゝはしらかしたばかりだつたが、……成程なるほど名所※繪めいしよづゑ家並いへなみを、ぼろ/\にむしつたとかたち此處こゝなんです。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしくとともに、直下すぐした三番町さんばんちやうと、見附みつけ土手どてには松並木まつなみきがある……大方おほかた玉蟲たまむしであらう、としんじながら、うつくしいむしは、かほに、玉蟲色たまむしいろ笹色さゝいろに、一寸ちよつと口紅くちべにをさしてたらしくおもつて
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元來ぐわんらいきしやなぎは、家々いへ/\根太ねだよりもたかいのであるから、破風はふうへで、切々きれ/″\に、かはづくのも、欄干らんかんくづれた、いたのはなれ/″\な、くひけた三角形さんかくけいはしうへあししげつて、むしがすだくのも
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あたりは眞暗まつくらところに、むしよりもちひさ身體からだで、この大木たいぼくあたか注連繩しめなはしたあたりにのこぎりつきさしてるのに心着こゝろづいて、恍惚うつとりとしてみはつたが、とほくなるやうだから、のこぎりかうとすると
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
をかしいから、おれもんところつてられてたが、へんだなあ、うむ、そと月夜つきよで、むしふのがえるやうだぜ、おそろしくさむいぢやあないか、とをりからかへつて教師けうしはいつたのである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
鶯懷爐うぐひすくわいろはるめいたところへ、膝栗毛ひざくりげすこ氣勢きほつて、熱燗あつかんむしおさへた。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兎角とかく夏向なつむきになりますと、むしくでえすな。」
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むしでないのぢや、たまぢや。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むしか、ほたるか、ほたるむし
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)