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蟲
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むし
ふりがな文庫
“
蟲
(
むし
)” の例文
新字:
虫
お
螻
(
けら
)
殿
(
どの
)
を、
佛
(
ほとけ
)
さん
蟲
(
むし
)
、
馬追蟲
(
うまおひむし
)
を、
鳴聲
(
なきごゑ
)
でスイチヨと
呼
(
よ
)
ぶ。
鹽買蜻蛉
(
しほがひとんぼ
)
、
味噌買蜻蛉
(
みそがひとんぼ
)
、
考證
(
かうしよう
)
に
及
(
およ
)
ばず、
色合
(
いろあひ
)
を
以
(
もつ
)
て
子供衆
(
こどもしう
)
は
御存
(
ごぞん
)
じならん。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『それは
能
(
よ
)
く
解
(
わか
)
つてる、
大方
(
おほかた
)
蛙
(
かはづ
)
か
蟲
(
むし
)
ぐらゐのものだらう』と
云
(
い
)
つて
家鴨
(
あひる
)
は『しかし、
僕
(
ぼく
)
の
訊
(
き
)
くのは
大僧正
(
だいそうじよう
)
が
何
(
ど
)
うしたと
云
(
い
)
ふのだ?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
掻
(
か
)
きツイ先頃はお互に
蟲
(
むし
)
の居所の
惡
(
わる
)
い所から言葉
戰
(
たゝか
)
ひ
爲
(
し
)
たれども考へ見れば
吾儕
(
わし
)
が惡いと
斯
(
かう
)
謝罪
(
あやまつ
)
た上からは主は素より
舍兄
(
あに
)
のこと心持を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その
上
(
うへ
)
個人
(
こじん
)
には
特殊
(
とくしゆ
)
の
性癖
(
せいへき
)
があつて、
所謂
(
いはゆる
)
好
(
す
)
き
嫌
(
きら
)
ひがあり、
甲
(
かふ
)
の
好
(
この
)
む
處
(
ところ
)
は
乙
(
おつ
)
が
嫌
(
きら
)
ふ
處
(
ところ
)
であり、
所謂
(
いはゆる
)
蓼
(
たで
)
喰
(
く
)
ふ
蟲
(
むし
)
も
好
(
す
)
き
好
(
ず
)
きである。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「
蓼
(
たで
)
喰
(
く
)
う
蟲
(
むし
)
」以後の谷崎君の作品は、残りなく通読しているつもりでいたが、この「武州公秘話」だけにはまだ目を触れていないのであった。
武州公秘話:02 跋
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
▼ もっと見る
訴訟を起して、お家の獅子身中の
蟲
(
むし
)
を退治する
積
(
つも
)
りだった父上の御心持はよく解るが、主君の亡びた今になって見れば、それは藪蛇であった。
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其他
(
そのた
)
新
(
あら
)
たに
温泉
(
おんせん
)
や
冷泉
(
れいせん
)
が
湧
(
わ
)
き
始
(
はじ
)
めることもあり、
又
(
また
)
炭酸瓦斯
(
たんさんがす
)
や
其他
(
そのた
)
の
瓦斯
(
がす
)
を
土地
(
とち
)
の
裂
(
さ
)
け
目
(
め
)
から
出
(
だ
)
して、
鳥
(
とり
)
の
地獄
(
じごく
)
や
蟲
(
むし
)
の
地獄
(
じごく
)
を
作
(
つく
)
ることもある。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「
蓼
(
たで
)
喰
(
く
)
う
蟲
(
むし
)
」以後の谷崎君の作品は、残りなく通読しているつもりでいたが、この「武州公秘話」だけにはまだ目を触れていないのであった。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
爲方
(
しかた
)
がないから、
御酒
(
ごしゆ
)
で
蟲
(
むし
)
を耐へてゐたのが、何時か
眞
(
ほ
)
んとののむべいになつて了ツたんですけれども、そりや誰だつて好んでのむべいになる者アありやしませんよ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
生殖作用
(
せいしよくさよう
)
を
畢
(
をは
)
つた
凡
(
すべ
)
ての
作物
(
さくもつ
)
の
穗先
(
ほさき
)
は
悉皆
(
みんな
)
もう
俛首
(
うなだ
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
蟲
(
むし
)
の
聲
(
こゑ
)
も
地
(
ち
)
に
沁
(
し
)
み
入
(
い
)
らうとして
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だが、記者たちは、いずれも困憊し、そしていずれも
苦
(
に
)
が
蟲
(
むし
)
を噛みつぶしたような顔をしていた。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
夫
(
そ
)
れ
龍
(
りよう
)
の・
蟲
(
むし
)
たる、
(一一二)
擾狎
(
ぜうかふ
)
して
騎
(
き
)
す
可
(
べ
)
し。
然
(
しか
)
れども
其
(
その
)
喉下
(
こうか
)
に
(一一三)
逆鱗
(
げきりん
)
の
(一一四)
徑尺
(
けいしやく
)
なるあり。
人
(
ひと
)
之
(
これ
)
に
嬰
(
ふ
)
るるあれば
則
(
すなは
)
ち
必
(
かなら
)
ず
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
す。
人主
(
じんしゆ
)
にも
亦
(
また
)
逆鱗
(
げきりん
)
有
(
あ
)
り。
国訳史記列伝:03 老荘申韓列伝第三
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
蟲
(
むし
)
の
中
(
なか
)
でもばつたは
賢
(
かしこ
)
い
蟲
(
むし
)
でした。この
頃
(
ごろ
)
は、
日
(
ひ
)
がな一
日
(
にち
)
月
(
つき
)
のよい
晩
(
ばん
)
などは、その
月
(
つき
)
や
星
(
ほし
)
のひかりをたよりに
夜露
(
よつゆ
)
のとつぷりをりる
夜闌
(
よふけ
)
まで、
母娘
(
おやこ
)
でせつせと
機
(
はた
)
を
織
(
を
)
つてゐました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
そして、
小徑
(
こみち
)
の草の葉蔭には名も知らぬ秋の
蟲
(
むし
)
がかぼそい
聲
(
こゑ
)
で
啼
(
な
)
いてゐた。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それで
最初
(
さいしよ
)
は
今日
(
こんにち
)
の
猿
(
さる
)
などと
同
(
おな
)
じく、たゞそのあたりにある
木片
(
きぎれ
)
だとか
石塊
(
いしころ
)
だとかをもつて、
穴
(
あな
)
を
掘
(
ほ
)
つて
蟲
(
むし
)
をとつたり、あるひは
木
(
き
)
の
實
(
み
)
をわつて
食
(
く
)
ふといふような
生活
(
せいかつ
)
をしてゐたのでありませう。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
居
(
を
)
る
蟲
(
むし
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
此
(
こ
)
の
髮
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
を
引拔
(
ひきぬ
)
かれますやうに……
骨身
(
ほねみ
)
に
應
(
こた
)
へるやうなんです……
蟲
(
むし
)
には
濟
(
す
)
まないと
存
(
ぞん
)
じながら……
眞個
(
ほんと
)
に
因果
(
いんぐわ
)
なんですわねえ。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
谿間
(
たにま
)
せせらぐ秋の水といおうか、草むらにすだく残りの
蟲
(
むし
)
の音といおうか、それは言いようもなく淋しく、やるせなく、そして美しい表現です。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
見樣と思ふ中其浪人は
日暮
(
ひぐれ
)
なれば
仕舞
(
しまひ
)
て歸る
樣子
(
やうす
)
なれども
蟲
(
むし
)
の知らせしか文右衞門に
違
(
ちが
)
ひなしとこゝろへ夫より
後
(
あと
)
を
尾
(
つけ
)
て
見屆
(
みとゞ
)
けしに山崎町の
乞丐頭
(
がうむね
)
長屋
(
ながや
)
へ
這入
(
はひり
)
しかば其所を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
身體
(
からだ
)
の
工合
(
ぐえゝ
)
惡
(
わ
)
りいなんて、さうだ
料簡
(
れうけん
)
だから
卯平等
(
うへいら
)
仕
(
し
)
やうねえ、
此等
(
こツら
)
ようまづだなんて、ようまづなんち
病氣
(
びやうき
)
は
腹
(
はら
)
の
蟲
(
むし
)
から
出
(
で
)
んだから、なあに
譯
(
わき
)
あねえだよ、
蛇
(
へび
)
でかう
扱
(
こ
)
きおろすんだ、えゝか
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
成程
(
なるほど
)
、
蟲
(
むし
)
と
梟
(
ふくろ
)
では
大分
(
だいぶ
)
見當
(
けんたう
)
が
違
(
ちが
)
ひました。……
續
(
つゞ
)
いて
餘
(
あま
)
り
暑
(
あつ
)
いので、
餘程
(
よほど
)
茫
(
ばう
)
として
居
(
ゐ
)
るやうです。
失禮
(
しつれい
)
、
可厭
(
いや
)
なものツて、
何
(
なに
)
が
鳴
(
な
)
きます。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
總領の富太郎は
蟲
(
むし
)
の
氣
(
け
)
がひどくなつて、夜分にひどくうなされたり、物驚きをしたり、時々は引付けたり、次第に糸の如く痩せ細つて、頼りない有樣になつて行くのでした。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでも
不見目
(
みじめ
)
な
貧相
(
ひんさう
)
な
勘次
(
かんじ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
彼
(
かれ
)
には
蟲
(
むし
)
が
好
(
す
)
かなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
言合
(
いひあ
)
はせたやうに、
一張
(
ひとはり
)
差置
(
さしお
)
いた、
眞
(
しん
)
の
細
(
ほそ
)
い、
乏
(
とぼ
)
しい
提灯
(
ちやうちん
)
に、
頭
(
あたま
)
と
顏
(
かほ
)
をひしと
押着
(
おツつ
)
けた
處
(
ところ
)
は、
人間
(
にんげん
)
唯
(
たゞ
)
髯
(
ひげ
)
のないだけで、
秋
(
あき
)
の
蟲
(
むし
)
と
餘
(
あま
)
りかはりない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眼は縁の柱に
伸上
(
のびあが
)
る手負に吸い付けられて、娘の
身体
(
からだ
)
はあまりの恐怖に
蟲
(
むし
)
ほども動きません。
芳年写生帖
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
綺麗
(
きれい
)
だわ、
綺麗
(
きれい
)
だわ、
綺麗
(
きれい
)
な
蟲
(
むし
)
だわ。」と
魅
(
み
)
せられたやうに
言
(
い
)
ひつゝ、
草履
(
ざうり
)
をつま
立
(
だ
)
つやうにして、
大空
(
おほぞら
)
を
高
(
たか
)
く、
目
(
め
)
を
据
(
す
)
ゑて
仰
(
あふ
)
いだのである。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
短筒を取上げて、巨大な
蟲
(
むし
)
ででもあるように、無気味な心持で見極めた龍之助は
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どんなに
私
(
わたし
)
が
厚顏
(
あつかま
)
しうござんしたつて、
貴方
(
あなた
)
に
蟲
(
むし
)
を
捕
(
と
)
つて、
棄
(
す
)
てて
下
(
くだ
)
さいなんぞと、そんな
事
(
こと
)
が
申
(
まを
)
されますものですか。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾人の娘を人身御供に上げて、一年経てば
蟲
(
むし
)
のように殺してしまった殿様、今まで生きて居たのは少し寿命を儲け過ぎましたよ。さア、斬るなり突くなり縛るなり、どうとも勝手にして下さい。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、
藥
(
くすり
)
をつけられますと、
疵
(
きず
)
あとは、すぐに
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
に
痂
(
か
)
せて
落
(
お
)
ちて、
蟲
(
むし
)
に
刺
(
さ
)
されたほどのあとも
殘
(
のこ
)
りません。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼方
(
かなた
)
へ
此方
(
こなた
)
へと、
蟲
(
むし
)
のように逃げ廻りました。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくて
餘物
(
よぶつ
)
を
覩
(
み
)
るや。
皆
(
みな
)
丘山
(
きうざん
)
もたゞならず、
乃
(
すなは
)
ち
自
(
みづか
)
ら
射
(
い
)
る。
射
(
い
)
るに
從
(
したが
)
うて、
𥶡
(
りん
)
盡
(
こと/″\
)
く
蟲
(
むし
)
の
心
(
むなもと
)
を
貫
(
つらぬ
)
く。
以
(
もつ
)
て
飛衞
(
ひゑい
)
に
告
(
つ
)
ぐ。
先生
(
せんせい
)
、
高踏
(
かうたふ
)
して
手
(
て
)
を
取
(
と
)
つて
曰
(
いは
)
く、
汝得之矣
(
なんぢこれをえたり
)
。
術三則
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蟲
(
むし
)
のやうだと
言
(
い
)
つたが、あゝ、
一層
(
いつそ
)
、くづれた
壁
(
かべ
)
に
潛
(
ひそ
)
んだ、
波
(
なみ
)
の
巖間
(
いはま
)
の
貝
(
かひ
)
に
似
(
に
)
て
居
(
ゐ
)
る。——
此
(
これ
)
を
思
(
おも
)
ふと、
大
(
おほい
)
なる
都
(
みやこ
)
の
上
(
うへ
)
を、
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
つて
立
(
た
)
つて
歩行
(
ある
)
いた
人間
(
にんげん
)
は
大膽
(
だいたん
)
だ。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
松蟲
(
まつむし
)
や——すゞ
蟲
(
むし
)
、と
茣蓙
(
ござ
)
きて、
菅笠
(
すげがさ
)
かむりたる
男
(
をとこ
)
、
籠
(
かご
)
を
背
(
せ
)
に、
大
(
おほき
)
な
鳥
(
とり
)
の
羽
(
はね
)
を
手
(
て
)
にして
山
(
やま
)
より
出
(
い
)
づ。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
溝
(
みぞ
)
に
浸
(
つか
)
つた
麥藁帽子
(
むぎわらばうし
)
が、
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
と
一所
(
いつしよ
)
に、プンと
臭
(
にほ
)
つて、
眞
(
ま
)
つ
黒
(
くろ
)
になつて
撥上
(
はねあ
)
がる。……もう、やけになつて、
鳴
(
な
)
きしきる
蟲
(
むし
)
の
音
(
ね
)
を
合方
(
あひかた
)
に、
夜行
(
やかう
)
の
百鬼
(
ひやくき
)
が
跳梁跋扈
(
てうりやうばつこ
)
の
光景
(
くわうけい
)
で。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
江戸
(
えど
)
のなごりも、
東京
(
とうきやう
)
も、その
大抵
(
たいてい
)
は
焦土
(
せうど
)
と
成
(
な
)
んぬ。
茫々
(
ばう/\
)
たる
燒野原
(
やけのはら
)
に、ながき
夜
(
よ
)
を
鳴
(
な
)
きすだく
蟲
(
むし
)
は、いかに、
蟲
(
むし
)
は
鳴
(
な
)
くであらうか。
私
(
わたし
)
はそれを、
人
(
ひと
)
に
聞
(
き
)
くのさへ
憚
(
はゞか
)
らるゝ。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「さあ、
斷念
(
あきら
)
めろ、
聲
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てるな、
人
(
ひと
)
が
來
(
き
)
て
見
(
み
)
りや
實
(
まこと
)
は
何
(
ど
)
うでも、
蟲
(
むし
)
のついた
花
(
はな
)
の
枝
(
えだ
)
だ。」
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戀々
(
れん/\
)
として、
彽徊
(
ていくわい
)
し、
漸
(
やうや
)
くにして
里
(
さと
)
に
下
(
くだ
)
れば、
屋根
(
やね
)
、
廂
(
ひさし
)
、
時雨
(
しぐれ
)
の
晴間
(
はれま
)
を、ちら/\と
晝
(
ひる
)
灯
(
ひとも
)
す
小
(
ちひさ
)
き
蟲
(
むし
)
あり、
小橋
(
こばし
)
の
稚子等
(
うなゐら
)
の
唄
(
うた
)
ふを
聞
(
き
)
け。(おほわた)
來
(
こ
)
い、
來
(
こ
)
い、まゝ
食
(
く
)
はしよ。
五月より
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
一人
(
ひとり
)
や
二人
(
ふたり
)
はあつたらうが、
場所
(
ばしよ
)
が
廣
(
ひろ
)
いし、
殆
(
ほとん
)
ど
影
(
かげ
)
もないから
寂寞
(
ひつそり
)
して
居
(
ゐ
)
た。
柄
(
え
)
を
持
(
も
)
つた
手許
(
てもと
)
をスツと
潛
(
くゞ
)
つて、
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ、
恐
(
おそ
)
らく
鼻
(
はな
)
と
並
(
なら
)
ぶくらゐに
衝
(
つ
)
と
鮮
(
あざや
)
かな
色彩
(
しきさい
)
を
見
(
み
)
せた
蟲
(
むし
)
がある。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
よつて
怪
(
け
)
しからぬ
二人連
(
ふたりづ
)
れを、
畜生
(
ちくしやう
)
、
蝦蟆賣
(
がまうり
)
め、と
言
(
い
)
ふ。たゞし
蝦蟆
(
がま
)
は
赤蛙
(
あかがへる
)
なり。
蝦蟆
(
がま
)
や、
蝦蟆
(
がんま
)
い。——そのあとから
山男
(
やまをとこ
)
のやうな
小父
(
をぢ
)
さんが、
柳
(
やなぎ
)
の
蟲
(
むし
)
は
要
(
い
)
らんかあ、
柳
(
やなぎ
)
の
蟲
(
むし
)
は
要
(
い
)
らんかあ。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたし
)
などの
夜具
(
やぐ
)
は、むやみと
引張
(
ひつぱ
)
つたり、
被
(
かぶ
)
つたりだから、
胴中
(
どうなか
)
の
綿
(
わた
)
が
透切
(
すきぎ
)
れがして
寒
(
さむ
)
い、
裾
(
すそ
)
を
膝
(
ひざ
)
へ
引包
(
ひつくる
)
めて、
袖
(
そで
)
へ
頭
(
あたま
)
を
突込
(
つツこ
)
むで、こと/\
蟲
(
むし
)
の
形
(
かたち
)
に
成
(
な
)
るのに、この
女中
(
ぢよちう
)
は、また
妙
(
めう
)
な
道樂
(
だうらく
)
で
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
家
(
いへ
)
なんざ
買
(
か
)
ふものとも、
買
(
か
)
へるものとも、てんで
分別
(
ふんべつ
)
に
成
(
な
)
らないのだから、
空耳
(
そらみゝ
)
を
走
(
はし
)
らかしたばかりだつたが、……
成程
(
なるほど
)
。
名所※繪
(
めいしよづゑ
)
の
家並
(
いへなみ
)
を、ぼろ/\に
蟲
(
むし
)
の
蝕
(
く
)
つたと
云
(
い
)
ふ
形
(
かたち
)
の
此處
(
こゝ
)
なんです。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
は
聞
(
き
)
くとともに、
直下
(
すぐした
)
の
三番町
(
さんばんちやう
)
と、
見附
(
みつけ
)
の
土手
(
どて
)
には
松並木
(
まつなみき
)
がある……
大方
(
おほかた
)
玉蟲
(
たまむし
)
であらう、と
信
(
しん
)
じながら、
其
(
そ
)
の
美
(
うつく
)
しい
蟲
(
むし
)
は、
顏
(
かほ
)
に、
其
(
そ
)
の
玉蟲色
(
たまむしいろ
)
笹色
(
さゝいろ
)
に、
一寸
(
ちよつと
)
、
口紅
(
くちべに
)
をさして
居
(
ゐ
)
たらしく
思
(
おも
)
つて
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
元來
(
ぐわんらい
)
岸
(
きし
)
の
柳
(
やなぎ
)
の
根
(
ね
)
は、
家々
(
いへ/\
)
の
根太
(
ねだ
)
よりも
高
(
たか
)
いのであるから、
破風
(
はふ
)
の
上
(
うへ
)
で、
切々
(
きれ/″\
)
に、
蛙
(
かはづ
)
が
鳴
(
な
)
くのも、
欄干
(
らんかん
)
の
壞
(
くづ
)
れた、
板
(
いた
)
のはなれ/″\な、
杭
(
くひ
)
の
拔
(
ぬ
)
けた
三角形
(
さんかくけい
)
の
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
に
蘆
(
あし
)
が
茂
(
しげ
)
つて、
蟲
(
むし
)
がすだくのも
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あたりは
眞暗
(
まつくら
)
な
處
(
ところ
)
に、
蟲
(
むし
)
よりも
小
(
ちひさ
)
な
身體
(
からだ
)
で、この
大木
(
たいぼく
)
の
恰
(
あたか
)
も
其
(
そ
)
の
注連繩
(
しめなは
)
の
下
(
した
)
あたりに
鋸
(
のこぎり
)
を
突
(
つき
)
さして
居
(
ゐ
)
るのに
心着
(
こゝろづ
)
いて、
恍惚
(
うつとり
)
として
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
つたが、
氣
(
き
)
が
遠
(
とほ
)
くなるやうだから、
鋸
(
のこぎり
)
を
拔
(
ぬ
)
かうとすると
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
をかしいから、
俺
(
おれ
)
は
門
(
もん
)
の
處
(
ところ
)
に
立
(
た
)
つて
氣
(
き
)
を
取
(
と
)
られて
居
(
ゐ
)
たが、
變
(
へん
)
だなあ、うむ、
外
(
そと
)
は
良
(
い
)
い
月夜
(
つきよ
)
で、
蟲
(
むし
)
の
這
(
は
)
ふのが
見
(
み
)
えるやうだぜ、
恐
(
おそろ
)
しく
寒
(
さむ
)
いぢやあないか、と
折
(
をり
)
から
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
た
教師
(
けうし
)
はいつたのである。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
鶯懷爐
(
うぐひすくわいろ
)
で
春
(
はる
)
めいた
處
(
ところ
)
へ、
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
で
少
(
すこ
)
し
氣勢
(
きほ
)
つて、
熱燗
(
あつかん
)
で
蟲
(
むし
)
を
壓
(
おさ
)
へた。
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
兎角
(
とかく
)
夏向
(
なつむ
)
きになりますと、
得
(
え
)
て
然
(
さ
)
う
云
(
い
)
ふ
蟲
(
むし
)
が
湧
(
わ
)
くでえすな。」
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蟲
(
むし
)
でないのぢや、
目
(
め
)
の
玉
(
たま
)
ぢや。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
蟲
(
むし
)
か、
螢
(
ほたる
)
か、
螢
(
ほたる
)
の
蟲
(
むし
)
か
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“蟲(
虫
)”の解説
虫(蟲、むし)の意味は次の通りである。
(本草学)人類・獣類・鳥類・魚類以外の小動物の総称。昆虫、秋に鳴く虫を限定して指すこともある。
蠕形動物のこと。なかでも回虫。
* 回虫などによって起こると考えられていた腹痛などのこと。
* 潜在する意識。昔は(体内の)虫が人の心の中に考えや感情を引き起こすと考えられていた。
(出典:Wikipedia)
蟲
部首:⾍
18画
“蟲”を含む語句
昆蟲
甲蟲
地蟲
羽蟲
苦蟲
弱蟲
毛蟲
油蟲
玉蟲
毒蟲
蝗蟲
蝶飛蟲
船蟲
松蟲
泣蟲
玉蟲色
蟲喰
寄生蟲
蛆蟲
蟲唾
...