はゝ)” の例文
ゆきなか紅鯛べにだひ綺麗きれいなり。のお買初かひぞめの、ゆき眞夜中まよなか、うつくしきに、新版しんぱん繪草紙ゑざうしはゝつてもらひしうれしさ、わすがたし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それにくはへてをとこ周旋業しうせんげふも一かううまくはかないところから、一年後ねんごには夫婦別ふうふわかれとはなしがきまり、をとこはゝいもうととをれて関西くわんさいく。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
うちよりけておもていだすは見違みちがへねどもむかしのこらぬ芳之助よしのすけはゝ姿すがたなりひとならでたぬひとおもひもらずたゝずむかげにおどろかされてもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それがはゝの死んだ時も、菅沼すがぬまの死んだ時もて、始末をしたので、生前に関係のふかかつた代助とも平岡とも知り合になつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おもひそかはゝ委敷事くはしきことを語りければはゝおどろき今度の御呼出およびだしは吉三郎と對決たいけつさせんとの事なるべければ種々いろ/\御尋おんたづねあるならんが其時そのとき委細ゐさい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ねかへさうとすれば、はゝおほきなこええたからだが、澤庵漬たくあんづけのやうに細つこいあたしの上に乘つて、ピシヤンコにつぶしてしまふ。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
なほそのおろかなはゝたいしてそゝぎるだらうか? あゝしもさうだとしたならば——? 彼女かのぢよはたゞ子供こどものために無慾むよく無反省むはんせい愛情あいじやうのために
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
何處どこ人懷ひとなつこいところがあつて只管ひたすら他人たにん同情どうじやうかつしてたおしなはゝ何物なにものをかもとめるやうな態度たいどやうや二人ふたりちかづけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
下宿屋げしゆくや下婢かひかれあざけりてそのすところなきをむるや「かんがへることす」とひて田舍娘いなかむすめおどろかし、故郷こきやうよりの音信いんしんはゝいもととの愛情あいじやうしめして
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
千駄木せんだぎおくわたしいへから番町ばんちやうまでゞは、可也かなりとほいのであるが、てからもう彼此かれこれ時間じかんつから、今頃いまごろちゝはゝとにみぎひだりから笑顔ゑがほせられて
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わづか收入しうにふはゝ給養きふやうにもきようせねばならず、かれつひ生活せいくわつにはれず、斷然だんぜん大學だいがくつて、古郷こきやうかへつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
萬有ばんいうはゝたる大地だいぢその墓所はかどころでもあり、またその埋葬地まいさうちたるものがその子宮こぶくろでもある、さてその子宮こぶくろより千べつ兒供こどもうまれ、そのむねをまさぐりてふやうに
それからすぐに和歌山わかやまられてつて、ひさしくくにかへることもしませんでした。加納家かのうけみこんでから、はじめて遠江とほたふみはゝのところへ歸省きせいしたことがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
其事そのこと、おまへはゝとは、これ永遠えいゑんわかれとなるかもれませんが、さひはひにおまへ生命いのちたすかつたなら、これからときに、始終しじうその言葉ことばわすれず、誠實まことひととならねばなりませんよ。
はゝが死んだあとに二度添どぞえでも這入って憎まれ口をきいていじめられると憫然かわいそうだから、大事にしておれに成り代って丹誠して呉れと云うから、なにおっかあ心配しなさんな、己が受合ったから
はゝかさねて『でもわたしには人形にんぎやうかほえる』うですな、これが眉毛まゆげで、これのしたがあるといのですが』とひつゝ、小揚子こやうじでツヽくと、つちが、ポロリとちて、兩眼りやうがんひらいた。
腹立はらだたしかほをしたものや、ベソをいたものや、こはさうにおど/\したものなぞが、前後ぜんごしてぞろ/\とふねからをかあがつた。はゝかれた嬰兒あかごこゑは、ことあはれなひゞき川風かはかぜつたへた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あいするおまへちゝ、おまへはゝ、おまへつま、おまへ、そしておほくのおまへ兄妹きやうだいたちが、土地とちはれ職場しょくばこばまれ、えにやつれ、しばり、こぶしにぎって、とほきたそらげるにくしみの
海恋ししほの遠鳴りかぞへては少女となりしちゝはゝの家
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
はゝぎみよ乳母うば叔母をばぎみ
おもひで (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
はゝかひなのさみしさか。
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
はゝおやだけに、叮嚀ていねい
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
はとはとはゝこひし。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
はゝこやしぬ柞葉はゝそは
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
二人ふたりは、はゝ父母ふぼで、同家ひとついへ二階住居にかいずまひで、むつまじくくらしたが、民也たみやのものごころおぼえてのちはゝさきだつて、前後ぜんごしてくなられた……
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かへりのおそきをはゝおやあんしてたづねにてくれたをば時機しほうちへはもどつたれど、はゝものいはず父親てゝおや無言むごんに、一人ひとりわたしをばしかものもなく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて、小供こども明日あした下読したよみをする時間だと云ふので、はゝから注意を受けて、自分の部屋へやへ引きつたので、あとは差しむかひになつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
君子きみこのびをしてむすばれた電氣でんきつなをほどいてゐた。とそのときはゝあたかもそのひかりにはじかれたやうにぱつとあがつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
掛られけるとぞ此元は皆全く師の竹本政太夫のおかげなりとて猶更なほさら是をも大切にして兩人のはゝへ孝行をつくしけるこそ殊勝しゆしようなれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんゆへきはめて正直せうじきなるこゝろもつて、きはめて愛情あいじようにひかさるべき性情せいじようしかしてはゝいもと愛情あいじよう冷笑れいしようするにいたりしや
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
しばらくしておしなはゝみゝへもへびうはさつたはつた。それからといふものおしなはゝは一でも卯平うへい自分じぶんうちからはなさない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
貴方あなたなどは、才智さいちすぐれ、高潔かうけつではあり、はゝちゝとも高尚かうしやう感情かんじやう吸込すひこまれたかたですが、實際じつさい生活せいくわつるやいなやたゞちつかれて病氣びやうきになつてしまはれたです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こゝも生活くらしにはこまつてゐたので、はゝ食料しよくれうをかせぐため、丁度ちやうど十八になつてゐたのをさいはひ、周旋屋しうせんや世話せわで、そのころあらたにできた小岩こいは売笑窟ばいせうくつ身売みうりをしたのである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ヂュリ はゝさまは何處どこにぢゃ? 母樣はゝさまうちにぢゃ。何處どこかしゃらうぞ? なにやるぞい!「あのかた被言おッしゃるには、身分みぶんのある殿方とのがたらしう、お母樣かゝさま何處どこにぢゃ?」
わきはゝが『おや/\それは人形にんぎやうかほではなかつたのか』といふ。
小児こどもが怖い/\と云って泣いているではないか、さ、これはいさゝかだが小遣いに遣るから何か好きな物でもはゝに買って遣れ、だがそれと知らず気の毒なは足に手裏劒を打ったからさぞ痛むであろう
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そんな時は圖々しいといつて、短氣たんきはゝ平打ひらうちがピシヤリピシヤリと來て、惡くするとも一度熱い目にあはされたりした。そして、その祖母といふひとと、母といふひとと、二人の年長者は言つた。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
はゝぎみはそよ一しづく
おもひで (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
はゝはやどりぬ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
盂蘭盆うらぼん墓詣はかまうでに、のなきはゝしのびつゝ、なみだぐみたるむすめあり。あかのみづしづくならで、桔梗ききやうつゆ置添おきそへつ、うきなみおもふならずや。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまだに宿やどとてもさだまるまじく、はゝ此樣こんになつてはづかしい紅白粉べにおしろい、よし居處ゐどころわかつたとてひにてもれまじ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此羽織は、三輪田の御光さんの御母おつかさんが織つて呉れたのを、紋付もんつきに染めて、御みつさんが縫ひげたものだと、はゝの手紙に長い説明がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方儀養子やうし又七にきずつけあまつさへ不義の申かけ致候樣下女きくに申つける段人にはゝたるのおこなひにあら不埓ふらち至極しごくつき遠島ゑんたうつく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そののちなが歳月としつきておしなはゝんだとき以前いぜんはなしたりいたりしてものあひだにのみわづか記憶きおくかへされた。おしなはゝこし病氣びやうきつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
道子みちこ三月みつきたゝぬうち立派りつぱかせにんとなり、はゝへの仕送しおくりにはなんとゞこほりもなくやつてつたが、ほどなく其母そのはゝ急病きふびやうんでしまひ、道子みちこはそれから以後いごみせかせかね
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ヂュリ さア、いてもませう、かるゝものなら。とはいへ、わたしの矢頃やごろは、はゝさまのおゆるしをばかぎりにして、それよりきつうは射込いこまぬやうにいたしませう。
今日けふなにやらあわてゝいたおとをたてながら、いそ/\とはゝむかへに入口いりくちまでた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
思出おもひだしてると奇談きだんがあつた。はゝさい親類しんるゐ子供こどもや、女中ぢよちうや、とほくもいので摘草つみくさかた/\見物けんぶつことつた。其時そのとき生憎あいにくなにないので、採集袋さいしふぶくろ摘草つみくされてかへつたこともあつた。
なきはゝ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
それもうあらうかとはゝなどはしきりにいやがるのでわしあしんでる、無論むろん病院びやうゐんけば自宅じたくちがつて窮屈きゆうくつではあらうが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)