トップ
>
心持
>
こゝろもち
ふりがな文庫
“
心持
(
こゝろもち
)” の例文
咽喉
(
のど
)
から流れるままに口の中で
低唱
(
ていしやう
)
したのであるが、
其
(
そ
)
れによつて
長吉
(
ちやうきち
)
は
已
(
や
)
みがたい心の苦痛が
幾分
(
いくぶん
)
か
柔
(
やはら
)
げられるやうな
心持
(
こゝろもち
)
がした。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さような事に
頓着
(
とんじゃく
)
はいらぬから研ぐには及ばん、又憎い奴を
突殺
(
つきころ
)
す時は錆槍で突いた方が、先の奴が痛いから此方が
却
(
かえ
)
っていゝ
心持
(
こゝろもち
)
だ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうしたね
勘次
(
かんじ
)
、
恁
(
か
)
うして
連
(
つ
)
れて
來
(
こ
)
られてもいゝ
心持
(
こゝろもち
)
はすまいね」といつた。
藁草履
(
わらざうり
)
を
穿
(
は
)
いた
勘次
(
かんじ
)
の
爪先
(
つまさき
)
に
涙
(
なみだ
)
がぽつりと
落
(
お
)
ちた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そこで
衆人
(
みんな
)
の
心持
(
こゝろもち
)
は、せめて
畫
(
ゑ
)
でなりと
志村
(
しむら
)
を
第
(
だい
)
一として、
岡本
(
をかもと
)
の
鼻柱
(
はなばしら
)
を
挫
(
くだ
)
いてやれといふ
積
(
つもり
)
であつた。
自分
(
じぶん
)
はよく
此
(
この
)
消息
(
せうそく
)
を
解
(
かい
)
して
居
(
ゐ
)
た。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
御米
(
およね
)
はかう
宗助
(
そうすけ
)
から
勞
(
いた
)
はられた
時
(
とき
)
、
何
(
なん
)
だか
自分
(
じぶん
)
の
身體
(
からだ
)
の
惡
(
わる
)
い
事
(
こと
)
を
訴
(
うつ
)
たへるに
忍
(
しの
)
びない
心持
(
こゝろもち
)
がした。
實際
(
じつさい
)
又
(
また
)
夫程
(
それほど
)
苦
(
くる
)
しくもなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
あゝ
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
ださつぱりしたお
前
(
まへ
)
が
承知
(
しようち
)
をしてくれゝば
最
(
も
)
う千
人力
(
にんりき
)
だ、
信
(
のぶ
)
さん
有
(
あり
)
がたうと
常
(
つね
)
に
無
(
な
)
い
優
(
やさ
)
しき
言葉
(
ことば
)
も
出
(
いで
)
るものなり。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
心持
(
こゝろもち
)
西
(
にし
)
と、
東
(
ひがし
)
と、
真中
(
まんなか
)
に
山
(
やま
)
を一ツ
置
(
お
)
いて二
条
(
すぢ
)
並
(
なら
)
んだ
路
(
みち
)
のやうな、いかさまこれならば
鎗
(
やり
)
を
立
(
た
)
てゝも
行列
(
ぎやうれつ
)
が
通
(
とほ
)
つたであらう。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戀人
(
こひゞと
)
に
逢
(
あ
)
ふ
嬉
(
うれ
)
しさは、
寺子共
(
てらこども
)
が
書物
(
しょもつ
)
に
離
(
はな
)
るゝ
心持
(
こゝろもち
)
と
同
(
おな
)
じぢゃが、
別
(
わか
)
るゝ
時
(
とき
)
の
切
(
せつ
)
なさは、
澁面
(
じふめん
)
つくる
寺屋通
(
てらやがよ
)
ひぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
『なア
水谷君
(
みづたにくん
)
、
素人
(
しらうと
)
はこれだから
困
(
こま
)
る。
此
(
この
)
どうも
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
なくツても、
貝層
(
かひそう
)
の
好
(
い
)
い
具合
(
ぐあひ
)
なんて
無
(
な
)
いね。
斯
(
か
)
うして
唯
(
たゞ
)
掘
(
ほ
)
つて
居
(
ゐ
)
ても
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
だねえ』と
僕
(
ぼく
)
は
言
(
い
)
ふ。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ごろ/\ごろ/\
石臼
(
いしうす
)
が
言
(
い
)
ふのは、あれは
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
だからです。もつと、もつと、と
唄
(
うた
)
を
催促
(
さいそく
)
して
居
(
ゐ
)
るのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『
屹度
(
きつと
)
今
(
いま
)
に
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
になるに
違
(
ちが
)
ひない』と
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つて、『
私
(
わたし
)
の
食
(
た
)
べたり
飮
(
の
)
んだりするものは
何時
(
いつ
)
でも
然
(
さ
)
うですもの、
何
(
ど
)
んなものだかこれも一つ
試
(
ため
)
して
見
(
み
)
よう、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其の踊りの第一印象は、「何だ、こんなものなら、俺にだつて直ぐ出来さうだ。」と云ふやうな
心持
(
こゝろもち
)
だつた。音楽に
合
(
あは
)
して、歩いてゐれやあそれでいゝんぢやないか。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
まち
子
(
こ
)
は、その
時
(
とき
)
その
足
(
あし
)
の
爲
(
た
)
めに
未來
(
みらい
)
がどうなるかとも
考
(
かんが
)
へなかつた。
自分
(
じぶん
)
がその
足
(
あし
)
の
爲
(
た
)
めに
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
にどんな
心持
(
こゝろもち
)
で
生
(
い
)
きなければならないかと、いふ
事
(
こと
)
も
考
(
かんが
)
へなかつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
これは
無論
(
むろん
)
作者
(
さくしや
)
に對する一
種
(
しゆ
)
の
僻見
(
へきけん
)
かも知れませんが、
事實
(
じじつ
)
に於ては、私も氏の
作品
(
さくひん
)
に強く心を
惹
(
ひ
)
かれ乍らも、どこかにまだ
心持
(
こゝろもち
)
にぴつたり來ない點がないではありません。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
勿論僕も
其
(
その
)
一人だ。
南京路
(
ナンキンロ
)
、
四馬路
(
スマロ
)
などの繁華
雑沓
(
ざつたふ
)
は銀座日本橋の
大通
(
おほどほり
)
を眺めて居た
心持
(
こゝろもち
)
と
大分
(
だいぶん
)
に違ふ。コンクリイトで堅めた
大通
(
おほどほり
)
を
柔
(
やはら
)
かに走る馬車の乗心地が第一に
好
(
い
)
い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
ティウトンのヨハンネスと
答
(
こた
)
へる
其声
(
そのこゑ
)
が
透
(
す
)
きとほるやうで、
聞
(
き
)
いてゐて、
心持
(
こゝろもち
)
が
好
(
よ
)
くなる。
癩病やみの話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
得しことゆゑ
癪氣
(
しやくき
)
も速かに
治
(
をさま
)
りければ大岡殿には悦ばれ成程
妙
(
めう
)
に
好
(
よい
)
心持
(
こゝろもち
)
に成しと申されるに城富は先々御
休息
(
きうそく
)
を
遊
(
あそ
)
ばされよと申て自分も
休
(
やす
)
み居たりけるに大岡殿は
寢返
(
ねがへ
)
りて此方を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
君達
(
きみたち
)
の
娯樂
(
ごらく
)
ともならばし
給
(
たま
)
へと
美
(
うつく
)
しき
身
(
み
)
を
魂
(
たましひ
)
を
投
(
な
)
ぐ」といふあなたの歌をS
誌上
(
しじやう
)
に見たその時の、なんともいふことの出來ないその
心持
(
こゝろもち
)
を、私はまだまざ/\とおぼえてゐます。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
路
(
みち
)
で
出合
(
であ
)
ふ
老幼
(
らうえう
)
は、
皆
(
みな
)
輿
(
よ
)
を
避
(
さ
)
けて
跪
(
ひざまづ
)
く。
輿
(
よ
)
の
中
(
なか
)
では
閭
(
りよ
)
がひどく
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
になつてゐる。
牧民
(
ぼくみん
)
の
職
(
しよく
)
にゐて
賢者
(
けんしや
)
を
禮
(
れい
)
すると
云
(
い
)
ふのが、
手柄
(
てがら
)
のやうに
思
(
おも
)
はれて、
閭
(
りよ
)
に
滿足
(
まんぞく
)
を
與
(
あた
)
へるのである。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてその海の物や山の物を出し惜しみをするやうに、
心持
(
こゝろもち
)
後ろへ引張つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『四
海
(
かい
)
を
家
(
いへ
)
とする』ほどの
廣
(
ひろ
)
い
心持
(
こゝろもち
)
もない。
國語
(
こくご
)
と
風俗
(
ふうぞく
)
と
人種
(
じんしゆ
)
との
關係上
(
くわんけいじやう
)
、
世界
(
せかい
)
の
有
(
あ
)
らゆる
國民
(
こくみん
)
、
有
(
あ
)
らゆる
人種
(
じんしゆ
)
に
對
(
たい
)
して、『一
視同仁
(
しどうじん
)
』といふほどの、
全
(
まつた
)
く
同
(
おな
)
じ
親
(
した
)
しみを
感
(
かん
)
じ
得
(
う
)
るとは
云
(
い
)
へない。
桜と狆と愛国心:コスモポリタンの心理
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
「それで、
貴方
(
あなた
)
は
如何
(
どう
)
か
為
(
な
)
さらうと
云
(
い
)
ふお
心持
(
こゝろもち
)
なのです。」
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
お
品
(
しな
)
は
林
(
はやし
)
を
幾
(
いく
)
つも
過
(
す
)
ぎて
自分
(
じぶん
)
の
村
(
むら
)
へ
急
(
いそ
)
いだが、
疲
(
つか
)
れもしたけれど
懶
(
ものう
)
いやうな
心持
(
こゝろもち
)
がして
幾度
(
いくたび
)
か
路傍
(
みちばた
)
へ
荷
(
に
)
を
卸
(
おろ
)
しては
休
(
やす
)
みつゝ
來
(
き
)
たのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
の二三段を
一躍
(
ひとと
)
びに
駈上
(
かけあが
)
つて
人込
(
ひとご
)
みの中に
割込
(
わりこ
)
むと、
床板
(
ゆかいた
)
の
斜
(
なゝめ
)
になつた低い
屋根裏
(
やねうら
)
の
大向
(
おほむかう
)
は大きな船の底へでも
下
(
お
)
りたやうな
心持
(
こゝろもち
)
。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
懷姙
(
くわいにん
)
と
事
(
こと
)
が
極
(
きま
)
つたとき、
御米
(
およね
)
は
此
(
この
)
新
(
あた
)
らしい
經驗
(
けいけん
)
に
對
(
たい
)
して、
恐
(
おそ
)
ろしい
未來
(
みらい
)
と、
嬉
(
うれ
)
しい
未來
(
みらい
)
を
一度
(
いちど
)
に
夢
(
ゆめ
)
に
見
(
み
)
る
樣
(
やう
)
な
心持
(
こゝろもち
)
を
抱
(
いだ
)
いて
日
(
ひ
)
を
過
(
す
)
ごした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ホヽいやだよ
此人
(
このひと
)
は、
蜆
(
しゞみ
)
の
貝
(
かひ
)
ごと
食
(
た
)
べてさ……あれさお
刺身
(
さしみ
)
をおかつこみでないよ。梅「へえ……あゝ
好
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
になつた。 ...
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或
(
あるひ
)
は
俥
(
くるま
)
のはやりはじめの
頃
(
ころ
)
かも
知
(
し
)
れない。
微醉
(
ほろよひ
)
を
春
(
はる
)
の
風
(
かぜ
)
にそよ/\
吹
(
ふ
)
かせて、
身體
(
からだ
)
がスツと
柳
(
やなぎ
)
の
枝
(
えだ
)
で
宙
(
ちう
)
に
靡
(
なび
)
く
心持
(
こゝろもち
)
は、
餘程
(
よつぽど
)
嬉
(
うれ
)
しかつたものと
見
(
み
)
える。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貴嬢
(
あなた
)
は
何
(
なに
)
をおつしやいます
今
(
いま
)
まで
彼
(
あ
)
れ
程
(
ほど
)
お
待遊
(
まちあそ
)
ばしたのに
又
(
また
)
そんなことをヱお
心持
(
こゝろもち
)
がおわるひのならお
薬
(
くすり
)
をめしあがれ
阿母
(
おつか
)
さまですか
阿母
(
おつか
)
さまはうしろに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
絹
(
きぬ
)
の
話
(
はなし
)
が
出
(
で
)
て、お
絹
(
きぬ
)
は
愈々
(
いよ/\
)
小田原
(
をだはら
)
に
嫁
(
よめ
)
にゆくことに
定
(
き
)
まつた一
條
(
でう
)
を
聞
(
き
)
かされた
時
(
とき
)
の
僕
(
ぼく
)
の
心持
(
こゝろもち
)
、
僕
(
ぼく
)
の
運命
(
うんめい
)
が
定
(
さだま
)
つたやうで、
今更
(
いまさら
)
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
へぬ
不快
(
ふくわい
)
でならなかつた。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
と
凧
(
たこ
)
が
言
(
い
)
ひました。
父
(
とう
)
さんが
大急
(
おほいそ
)
ぎで
糸
(
いと
)
を
出
(
だ
)
しますと、
凧
(
たこ
)
は
左右
(
さいう
)
に
首
(
くび
)
を
振
(
ふ
)
つたり、
長
(
なが
)
い
紙
(
かみ
)
の
尾
(
を
)
をヒラ/\させたりしながら、さも
心持
(
こゝろもち
)
よささうに
揚
(
あが
)
つて
行
(
ゆ
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まだ
若
(
わか
)
い十八の
年
(
とし
)
に、
彼女
(
かれ
)
は、
淋
(
さび
)
しい
昔戀
(
むかしこひ
)
しいやうな
心持
(
こゝろもち
)
になつて、もしも
自分
(
じぶん
)
が
松葉杖
(
まつばづゑ
)
をつかない
壯健
(
そうけん
)
な
女
(
をんな
)
であつたならば、
自分
(
じぶん
)
の
運命
(
うんめい
)
はどうなつたであらうかと
考
(
かんが
)
へた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
巧みに表現されて居ますが、それを包む
肝腎
(
かんじん
)
の人間の
心持
(
こゝろもち
)
の
色合
(
ニユアンス
)
や、味ひが
缺
(
か
)
けて居ます。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
此
(
この
)
一
日
(
にち
)
の
運動
(
うんどう
)
は、
骨
(
ほね
)
の
髓
(
ずい
)
まで
疲勞
(
ひろう
)
する
樣
(
やう
)
に
感
(
かん
)
じるのであるが、
扨
(
さ
)
て
其
(
その
)
洗
(
あら
)
ひ
上
(
あ
)
げたる
破片
(
はへん
)
を
食卓
(
しよくたく
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
並
(
なら
)
べて、
然
(
さ
)
うして、一
杯
(
ぱい
)
やる
時
(
とき
)
の
心持
(
こゝろもち
)
といふものは、
何
(
な
)
んとも
云
(
い
)
はれぬ
愉快
(
ゆくわい
)
である。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
老
(
おい
)
の
目
(
め
)
は
苦勞
(
くらう
)
に
覺
(
さ
)
め
勝
(
が
)
ち、
苦勞
(
くらう
)
の
宿
(
やど
)
る
處
(
ところ
)
には
兎角
(
とかく
)
睡眠
(
すゐみん
)
の
宿
(
やど
)
らぬものぢゃが、
心
(
こゝろ
)
に
創
(
きず
)
が
無
(
な
)
く
腦
(
なう
)
に
蟠
(
わだかま
)
りのない
若
(
わか
)
い
者
(
もの
)
は、
手足
(
てあし
)
を
横
(
よこ
)
にするや
否
(
いな
)
や、
好
(
よ
)
い
心持
(
こゝろもち
)
に
眠
(
ねむ
)
らるゝ
筈
(
はず
)
ぢゃに、かう
早
(
はや
)
う
起
(
お
)
きさしゃったは
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
而
(
さう
)
して
可成
(
なるべく
)
そんな
秘密
(
ひみつ
)
に
触
(
さは
)
りたくないやうな
心持
(
こゝろもち
)
もした。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
お
品
(
しな
)
は
朝
(
あさ
)
から
心持
(
こゝろもち
)
が
晴々
(
はれ/″\
)
して
日
(
ひ
)
が
昇
(
のぼ
)
るに
連
(
つ
)
れて
蒲團
(
ふとん
)
へ
起
(
お
)
き
直
(
なほ
)
つて
見
(
み
)
たが、
身體
(
からだ
)
が
力
(
ちから
)
の
無
(
な
)
いながらに
妙
(
めう
)
に
輕
(
かる
)
く
成
(
な
)
つたことを
感
(
かん
)
じた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
欽明天皇の
御代
(
みよ
)
でも差支ない気がする。応神天皇や称武天皇では決してないと思ふ。三四郎はたゞ
入鹿
(
いるか
)
じみた
心持
(
こゝろもち
)
を持つてゐる丈である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何処
(
どこ
)
か近くの家で
百萬遍
(
ひやくまんべん
)
の
念仏
(
ねんぶつ
)
を
称
(
とな
)
へ始める声が、ふと
物哀
(
ものあは
)
れに耳についた。
蘿月
(
らげつ
)
は
唯
(
たつ
)
た一人で
所在
(
しよざい
)
がない。
退屈
(
たいくつ
)
でもある。
薄淋
(
うすさび
)
しい
心持
(
こゝろもち
)
もする。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
……
其
(
そ
)
の
黒繻子
(
くろじゆす
)
に、
小辨慶
(
こべんけい
)
の
藍
(
あゐ
)
と
紺
(
こん
)
、
膚
(
はだ
)
の
白
(
しろ
)
さも
可
(
い
)
いとして、
乳房
(
ちゝ
)
の
黒子
(
ほくろ
)
まで
言
(
い
)
ひ
當
(
あ
)
てられました、
私
(
わたし
)
が
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
の
心持
(
こゝろもち
)
、
憚
(
はゞか
)
りながら
御推量
(
ごすゐりやう
)
下
(
くだ
)
さりまし。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
正太
(
しようた
)
は
恐
(
おそ
)
る/\
枕
(
まくら
)
もとへ
寄
(
よ
)
つて、
美登利
(
みどり
)
さん
何
(
ど
)
うしたの
病氣
(
びようき
)
なのか
心持
(
こゝろもち
)
が
惡
(
わる
)
いのか
全體
(
ぜんたい
)
何
(
ど
)
うしたの、と
左
(
さ
)
のみは
摺寄
(
すりよ
)
らず
膝
(
ひざ
)
に
手
(
て
)
を
置
(
お
)
いて
心
(
こゝろ
)
ばかりを
腦
(
なや
)
ますに
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
成程
(
なるほど
)
先刻
(
さつき
)
店
(
みせ
)
へ
来
(
き
)
た
田舎者
(
ゐなかもの
)
の
土左衛門
(
どざゑもん
)
だから、
悪人
(
あくにん
)
ながらも
宜
(
よ
)
い
心持
(
こゝろもち
)
はしない、
身
(
み
)
の
毛
(
け
)
慄立
(
よだ
)
つたが、
土左衛門
(
どざゑもん
)
突出
(
つきだ
)
してしまへと
云
(
い
)
ふので、
仕事師
(
しごとし
)
が
手鍵
(
てかぎ
)
を
持
(
も
)
つて
来
(
き
)
たり
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
生
(
うま
)
れて
初
(
はじ
)
めて『
惡
(
わる
)
い』といふ
事
(
こと
)
をほんたうに
知
(
し
)
つた、
自分
(
じぶん
)
で
惡
(
わる
)
いと
思
(
おも
)
ひながら
復
(
ま
)
た
棒
(
ぼう
)
を
振上
(
ふりあ
)
げ/\して
龜
(
かめ
)
の
子
(
こ
)
を
打
(
う
)
つのに
夢中
(
むちう
)
になつてしまつた、あんな
心持
(
こゝろもち
)
は
初
(
はじ
)
めてだ
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
... あゝ
佳
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
ぢや』と
老人
(
らうじん
)
は
言
(
い
)
つて
更
(
さら
)
に
若者
(
わかもの
)
に
向
(
むか
)
ひ『お
前
(
まへ
)
さんは
何處
(
どこ
)
の
者
(
もの
)
ぢや』と
問
(
と
)
ひました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
必然
(
ひつぜん
)
にどうしてもその
心理
(
しんり
)
の
動
(
うご
)
き方が、
讀
(
よ
)
む者の
心持
(
こゝろもち
)
にしつくり
篏
(
はま
)
つて來ないといふ
氣
(
き
)
がします。これを言ひ
換
(
か
)
へれば、氏の
心理描寫
(
しんりべうしや
)
は
心理解剖
(
しんりかいばう
)
であつて、
心理描寫
(
しんりべうしや
)
ではないのでありますまいか。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
何
(
ど
)
うかしたかと
尋
(
たづ
)
ねると、たゞ
少
(
すこ
)
し
心持
(
こゝろもち
)
が
惡
(
わる
)
いと
答
(
こた
)
へる
丈
(
だけ
)
であつた。
醫者
(
いしや
)
に
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
へと
勸
(
すゝ
)
めると、
夫
(
それ
)
には
及
(
およ
)
ばないと
云
(
い
)
つて
取
(
と
)
り
合
(
あ
)
はなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お
姉上
(
あねうへ
)
。」——いや、
二十幾年
(
にじふいくねん
)
ぶりかで、
近頃
(
ちかごろ
)
も
逢
(
あ
)
つたが、
夫人
(
ふじん
)
は
矢張
(
やつぱ
)
り、
年上
(
としうへ
)
のやうな
心持
(
こゝろもち
)
がするとか
言
(
い
)
ふ。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
交際
(
つきあつ
)
ては
存
(
ぞん
)
の
外
(
ほか
)
やさしい
處
(
ところ
)
があつて
女
(
おんな
)
ながらも
離
(
はな
)
れともない
心持
(
こゝろもち
)
がする、あゝ
心
(
こゝろ
)
とて
仕方
(
しかた
)
のないもの
面
(
おも
)
ざしが
何處
(
どこ
)
となく
冴
(
さ
)
へて
見
(
み
)
へるは
彼
(
あ
)
の
子
(
こ
)
の
本性
(
ほんせう
)
が
現
(
あら
)
はれるのであらう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
間違いとは云いながら、
少
(
ちい
)
さい時分に別れたお前様の子、それを
貴方
(
あんた
)
が知らないとは云いながらはア斬って殺すと云うは、若い時分の罪だと
懺悔
(
ざんげ
)
する其の
心持
(
こゝろもち
)
を考えますと
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
老人
(
らうじん
)
なら
南無阿彌陀佛
(
なむあみだぶつ
)
/\と
口
(
くち
)
の
中
(
うち
)
で
唱
(
とな
)
へる
所
(
ところ
)
だ。
老人
(
らうじん
)
でなくとも
此
(
この
)
心持
(
こゝろもち
)
は
同
(
おな
)
じである。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「里見さん」と呼んだ時に、美禰子は青竹の
手欄
(
てすり
)
に手を突いて、
心持
(
こゝろもち
)
首
(
くび
)
を
戻
(
もど
)
して、三四郎を見た。何とも云はない。
手欄
(
てすり
)
のなかは養老の滝である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“心”で始まる語句
心
心配
心地
心算
心細
心得
心底
心臓
心許
心遣