なが)” の例文
しかれどもべつ社界しやかい大弊根たいへいこんながそんするありて、壯年有爲そうねんゆういをして徃々おう/\にして熱火ねつくわ焔柱ゑんちういだくの苦慘くさんこゝろよしとせしむることあり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
「ほんとうにかみながくおなりだこと。せめてもう二、三ねん長生ながいきをして、あなたのすっかり大人おとなになったところをたかった。」
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
皮肉を云はれながらも、所天をつとがいつに無く多少のうち解けを見せるのが、千代子には嬉しかつたらしい、で、ながちりをしてゐたので
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
みみずは、おもいきりいきながいて、ジーイ、ジーイ、といい、かえるは、ふとく、みじかく、コロ、コロ、といって、うたっていました。
春の真昼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ところが、その多分たぶん朝鮮ちようせん支那しなふうつたはつたのでありませうが、よこからはひるながいし部屋へやつかなかつくられることになりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ひんよしとよろこぶひとありけり十九といへど深窓しんそうそだちは室咲むろざきもおなじことかぜらねど松風まつ ぜひゞきはかよ瓜琴つまごとのしらべになが春日はるび
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
裾野すそのけむりながなびき、小松原こまつばらもやひろながれて、夕暮ゆふぐれまくさら富士山ふじさんひらとき白妙しろたへあふぐなる前髮まへがみきよ夫人ふじんあり。ひぢかるまどる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二号にがう活字くわつじ広告くわうこく披露ひろうさるゝほかなんよくもなき気楽きらくまい、あツたら老先おひさきなが青年せいねん男女なんによ堕落だらくせしむる事はつゆおもはずして筆費ふでづひ紙費かみづひ
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
そこで天皇てんのう大勢おほぜい家來けらいたちをおつれになりそのながい/\丸木橋まるきばしうへをおわたりになつたといふことが、日本書紀につぽんしよきといふほんてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
くど/\とながたらしいこといた手紙てがみよりか『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきの方が、はるかにきみむねをゑぐるちからつてゐたんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
打製石斧 打製石斧だせいせきふ通例つうれいながさ三寸計りにして、其形状そのけいぜうは長方形、橢圓形、分銅形等なり。は一端に在る事有り、兩端れうたんに在る事有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
したるとおどろほどくびながくなつてて、まるでそれは、はる眼下がんかよこたはれる深緑しんりよくうみからくきのやうにえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ながあひだ外国を旅行してあるいた兄妹きようだいの画が沢山ある。双方共同じ姓で、しかも一つところならべて掛けてある。美禰子は其一枚の前にとまつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其方儀そのほうぎ先達さきだっながいとま差遣さしつかわし候処そうろうところ以後心掛も宜しくよっ此度このたび新地しんち二百石に召し返され馬廻り役被仰付候旨おおせつけられそうろうむね被仰出候事おおせいだされそうろうこと 重 役 判
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すこふところ窮屈きうくつでなくなつてからはなが休憇時間きうけいじかんには滅多めつたなはふこともなく風呂ふろつてははなしをしながら出殼でがらちやすゝつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
じいさんは子供こどものようによろこんで、ながかおをいっそうながくして、あは、あは、とわらった。ぼくたちもいっしょにわらしてしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
“大増”は、うけついで、昭和二十年三月、空襲で、浅草寺とともに焼けるまで、ながの年月、変転つねなき時代とよくたたかいつづけた。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
すこしもながく、おせんをめておきたい人情にんじょうが、たがいくち益々ますますかるくして、まるくかこんだ人垣ひとがきは、容易よういけそうにもなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
『おわかれしてから随分ずいぶんなが歳月としつきましたが、はからずもいまここでおにかかることができまして、こころからうれしうございます。』
「旦那様、亭主がながわづらひで食物たべものさへ咽喉を通らなくなつてります。可哀かあいさうだと思召おぼしめして、一度診てやつて下さいませ。」
早めて歩行あゆめども夏の夜のふけやすく早五時過いつゝすぎとも成し頃名に聞えたる坂東太郎の川波かはなみ音高く岸邊きしべそよあしかや人丈ひとたけよりも高々と生茂おひしげいとながつゝみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きりふかい六ぐわつよるだつた。丁度ちやうどはら出張演習しゆつちやうえんしふ途上とじやうのことで、ながい四れつ縱隊じうたいつくつた我我われわれのA歩兵ほへい聯隊れんたいはC街道かいだうきたきたへと行進かうしんしてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
その畜生ちくしやうおとされるとは、なにかの因縁いんえんちがひございません。それは石橋いしばしすこさきに、なが端綱はづないたままみちばたの青芒あをすすきつてりました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
伝蔵もながいとまとなるべきであったが、六年も勤め通した者でもあり、小才覚もあって何かの役にも立つので、これはそのままに残して置いた。
半七捕物帳:61 吉良の脇指 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこでたうげはうから清水しみづいて、それをめる塲所ばしよつくつてあつたのです。なんといふ清水しみづながとひとほつて、どん/\ながれてましたらう。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
小田原をだはらまちまでながその入口いりぐちまでると細雨こさめりだしたが、それもりみらずみたいしたこともなく人車鐵道じんしやてつだう發車點はつしやてんいたのが午後ごゝ何時なんじ
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此學校このがつこう敷地しきちは、數年前すうねんぜん水田すいでん埋立うめたてゝつくられたものであつて、南北なんぼくなが水田すいでん一區域いちくいきなかに、半島はんとうかたちをなして西にしからひがし突出とつしゆつしてゐた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
今日こんにち世界せかい最大さいだいふねながさ二百三十ヤード、すなはちやうにして二ちやうゆるものもある、本船ほんせんごときもその一で、競走レース前部甲板ぜんぶかんぱんから後部甲板こうぶかんぱんへと
之も心理と氣息とを連ねて處理するところに其の術の核心は存すると思はれる。所謂「おきなが」は單に氣息いきながのみとしては面白味は幾分かを失ふ。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
このことはながまをさずとも、柳田先生やなぎだせんせいのおはなしでゝも、おわかりになることゝおもひますから、わたし分擔ぶんたんに、關係かんけいふかいところばかりでやめておきます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
すこをおいてから、Rこく婦人ふじんが一つて、やゝなが叙事的歌詞じよじてきかしのやうなものを、多少たせうしぐさまじへてえんした。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そのうち晩酌ばんしゃくを欠かした事のない酒好きではあったけれど、極めて律義者で、十何年というながの月日を、恐らく一日も欠勤せずに通した様な男であった。
毒草 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
はじめてつく/″\とそれを見れば、ながい顏、まるい顏、眼のつツたのやくちの大きいのと、さまざまなうちにも、おしなべてみんながとしりましたこと。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
これ以上生きながらえていると、賭博の研究で次第に消耗してしまう。そんな死に方では死にきれなくなったんだ。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
百樹もゝきいはく丁酉の夏北越ほくゑつに遊びて塩沢に在し時、近村に地芝居ありときゝて京水とともに至りしに、寺の門のかたはらくひたてよこなが行燈あんどんあり、是にだいしていはく
うさぎは、はつとおもひました。そしてみんなのみゝをみました。それから自分じぶんのをさはつてみました。なるほどながい!
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
あれはたまごなかにあまりながはいっておりましたせいで、からだつきが普通なみ出来上できあがらなかったのでございます。
いでや新身あらみの切れ味見せて、逆縁の引導いんどう渡しれむと陣太刀じんだちながやかに抜き放ち、青眼に構へて足法そくほう乱さず、切尖きっさきするどく詰め寄り来る。虹汀何とか思ひけむ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
また日向ひむかいづみなが比賣に娶ひて、生みませる御子、大羽江はえみこ、次に小羽江をはえの王、次に檣日はたびわか郎女三柱。
あさ須原峠のけんのぼる、偶々たま/\行者三人のきたるにふ、身には幾日か風雨ふううさらされてけがれたる白衣をちやくし、かたにはなが珠数じゆづ懸垂けんすゐし、三個の鈴声れいせいに従ふてひびきた
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
やさしい言葉ことばが、やがて一しやくもあらうかとおもはるゝほどにながおほきなたぶさせたあたまのてツぺんからた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ヂュリ いきれてはれぬとやるほどなら、いきれてゐぬはずぢゃ。なんのかのと言譯いひわけしてゐやるのが肝腎かんじん一言ひとことよりながいわいの。これ、きつか、きょうか? はやや。
老先生はながのいたつき、後妻のおれんさまという大年増おおどしまが、師範代峰丹波みねたんばとぐるになって、今いい気に品川まで乗りこんできている源三郎を、なんとかしてしりぞけ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
しやあはれな勞働者は其の唄のをはらぬうち惡魔あくまのやうな機械の運轉うんてん渦中くわちう身躰からだ卷込まきこまれて、唄の文句もんくの其のとほり、ながくもない生涯しようがいをはりげたのではあるまいか。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
つきみやこ父母ちゝはゝすこしのあひだといつて、わたしをこのくにによこされたのですが、もうなが年月としつきがたちました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
其所そこで、入口いりくちると、其所そこ横幅よこはゞが九しやくすんある。それから突當つきあたりの奧壁おくかべまで一ぢやうしやくながさがある。奧壁おくかべところ横幅よこはゞは、入口いりくちよりすこしくびて一ぢやうしやくすんある。
なるほど外部ぐわいぶからひと生活状態せいくわつじやうたいると至極しごく景氣けいきいやうにえるけれども其状態そのじやうたいがどれだけつゞくかとふことをかんがへてると、到底たうていながつゞるものではない。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
なが羽根はねのついた帽子、袋とか籠とかを腕にして、としをとつてゐたさうだが、それは、およそ私の友達が死ぬまでもしさうにもなく、想像にもさうは思はれない姿だつた。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
「こんな石をけずるなんて、人間にんげんにできるものか。いくらよしむらのようにながくても。」
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
が、パトラッシュはききません。毎朝、起きると、彼はちゃんと梶棒のところへ行っています。そして、今までながの年月通い慣れたその野道を、雪を蹴って、進むのでした。